一部の部屋にのみエアコンがついている場合など、賃貸物件で新しくエアコンを取り付けたいこともあるでしょう。
賃貸物件にエアコンを取り付けるには物件の所有者である大家や管理会社に相談し、許可を取らなくてはいけません。
そのほかにもいくつか気をつけるべきポイントがあります。賃貸物件へエアコンの取り付けをするときの注意点を確認しましょう。
大家または管理者から取り付けの許可を得る
賃貸物件は文字通り借りているものなので、エアコンを取り付けるような大掛かりな工事をする前には持ち主の許可を取らなければなりません。
多くの場合は管理会社を通じて工事の許可を打診します。日ごろから大家やオーナーと付き合いがあるのなら直接交渉しても良いでしょう。
大家や管理会社と付き合いのある業者がいる場合は、自分で申し込むときよりも安く取り付け工事をできる可能性があります。
エアコンの取り付け許可が出やすいケース
賃貸物件であってもエアコンの取り付け許可が下りやすいケースは以下の通りです。
- 既に配管穴が開いている
- エアコン専用コンセントがある
- 取り付け工事にかかる費用を入居者が負担する
- エアコンを利用できないことによる入居者への悪影響が大きい
許可が出やすいケースに当てはまっている場合でも、取り付け許可が必ず下りることではありません。
交渉に臨む際は過度にへりくだらず必要はありませんが、高圧的にならないように気をつけましょう。
エアコンの取り付けを断られやすいケース
反対にエアコンの取り付けを断られやすいケースもあります。いくつかチェックしてみましょう。
- 配管穴や専用コンセントがない
- 取り付け工事の費用負担について正当性がない
- 分譲賃貸住宅への取り付け
分譲賃貸住宅とは、分譲マンションとして購入したマンションがなんらかの理由で賃貸物件として貸し出されているものを指します。
一般の賃貸住宅とは異なるハイグレードな住宅に住めるメリットがある一方、マイホームとして購入しているものを貸し出していることが多いので、一般の賃貸物件よりも規約が厳しい傾向があります。
賃貸物件にエアコンを取り付ける前に確認する5つのこと
大家や管理会社からエアコン取り付けの許可を得られたら、以下5つのことを確認しましょう。
① 室内機を取り付けられる場所があるか
エアコンの室内機は好きな場所に取り付けられるわけではありません。効率よく使うためにはいくつか守るべきポイントがあります。
機種によって細かな数字は異なりますが、パナソニック『エオリア LXシリーズ6畳用(CS-LX224D)』の例を挙げます。
本体サイズ(H×W×D) | 295×799×385(mm) |
---|---|
左側スペース | 最低:20mm以上 推奨:50mm以上 |
右側スペース | 最低:30mm以上 推奨:50mm以上 |
上部スペース | 最低:35mm以上 推奨:50mm以上 |
下部スペース | 110mm以上 |
十分なスペースをあけて取り付けないと運転効率が下がります。せっかく省エネ性能が高い製品を買ったとしてもその性能を十分に発揮できなくなるので、取り付け場所に余裕があるかは必ず確認しましょう。
② エアコンの配管穴(スリーブ)があるか
エアコンを取り付けるときは配管を通すための穴が必要です。
配管穴がないと壁に穴を開ける工事を行わなくてはならないので、物件の所有者に無許可で行うとトラブルのもとになります。
配管穴があるからといってエアコンを勝手に取り付けてはいけません。他人の所有物に手を加えるので、必ず許可を取りましょう。
関連記事ではエアコンの取り付けで必要な穴あけ工事や配管穴について解説しています。
③ エアコンの専用コンセントがあるか
エアコンは一般的な家電と異なり、専用のコンセントにつながないと使えません。
コンセントは電圧とアンペア数によって4パターンの差し口があります。差し口にあったエアコンでないと使えないので注意が必要です。
室内機のコンセントの形は公式サイトや取扱説明書に記載されています。購入前に一度目を通すことをおすすめします。
④ 室外機を置く場所があるか
マンションなどの集合住宅に住んでいる場合は室外機を設置する場所に注意が必要です。
廊下などの共用部分に私物を置くことは消防法により禁じられています。共用部分は災害時に避難経路として使うことを想定しているので、避難行動の妨げになるようなことはしてはいけません。
室外機を設置できる場所が共用部分の廊下しかない場合は、大家からの許可を得てもエアコンを取り付けられないです。
⑤ 退去時にエアコンをどうするか
退去時に取り付けたエアコンをどうするかも取り決めてください。
穴あけ工事など、部屋に大きく手を加えている場合は原状回復として穴をふさぐ必要があるのか、修繕費の負担割合などを確認しておきましょう。
取り付けたエアコンの性能や取り付けてからの期間によっては、取り外しせずに退去しても良いと言われることもあります。
ケースバイケースなので「こうだろう」と決めつけず、認識のすり合わせをしておくことがトラブル防止に有効です。
新しくエアコンを取り付ける費用は誰が負担する?
賃貸物件で新しくエアコンを取り付ける場合、気になるのは誰が費用を負担をするかです。
取り付けるエアコンの購入費用などもあるので、取り付け費用はいくらか負担してほしいのではありませんか?一般的なケースを紹介します。
誰が負担するかは契約内容によって異なる
賃貸物件にエアコンを取り付ける場合、取り付け費用は入居者が全額負担になるケースが多いです。
例外は物件備え付けエアコンの故障や経年劣化による取り替えなど、入居者都合ではないエアコン取り付けの場合です。
エアコン取り付けで大家等物件所有者が費用負担をする可能性があるのは、賃貸契約書に以下の記述がある場合です。
- 契約期間中は貸主が設備のメンテナンスを行う
- 設備欄にエアコンの記載がある
メンテナンスは「契約期間中の修繕」と記載されることもあります。エアコンを取り付けたい、取り替えたいと思ったときは念のため賃貸契約書をチェックしておくと良いでしょう。
エアコン取り付けの費用相場
エアコン取り付け工事の費用相場は、エアコンのパワーによって変わります。
家電量販店では「○○kw未満は○○円」などと決められていることが多いです。
ミツモアでのエアコン取り付け工事の料金相場は、新品壁掛けエアコンは10,000~20,000円、中古壁掛けエアコンは8,000~10,000円です。
大手家電量販店の取り付け工事料金
冷房能力 | 料金(税込) | |
---|---|---|
エディオン | 言及なし | 15,400円~ |
ジョーシン | 4.0kW以下 4.1kW以上 |
14,800円 19,800円 |
ビックカメラ | 3.6kW以下 3.7kW以上 |
14,300円 19,800円 |
ヤマダ電機 | 2.2~4.9kW 5.6kW以上 |
16,500円 22,000円 |
ヨドバシカメラ | 2.2~3.9kW 4.0kW~ |
10,780円 15,950円 |
賃貸物件にエアコンを取り付けられないときはどうする?
物件の持ち主である大家や管理会社からの許可が得られないのであればエアコンの取り付けはできません。
壁掛けエアコンを取り付けられないときの代替策は3つあります。
3つの方法のうち実現可能性が高いものを選びましょう。
① 窓用エアコンを導入する
一定以上の大きさの窓があるのなら、窓用エアコンを導入するのがおすすめです。
窓用エアコンであれば壁掛けエアコンで必要な配管穴が不要なので、設置を許可される可能性が高いです。
窓用エアコンは穴あけ不要で部屋にダメージを与えないと言われることが多いですが、厳密に言うと窓枠にビス止めをすることがあるので、部屋にまったくダメージを与えずに設置できるとは限りません。
窓用エアコンを導入する場合でも念のため大家や管理会社の許可を取るようにしましょう。
関連記事では窓用エアコンの選び方や取り付けないできない窓の種類について解説しています。
② 負担割合を変えて交渉する
エアコンの故障や経年劣化が理由なのではなく、自己都合でエアコンの取り替えを申し出て許可が出なかったのであれば、費用負担率を変えて再度交渉すると許可が得られるかもしれません。
極端な話ではありますが、エアコンの取り付け工事費用を全額負担するという条件であればよほどの理由がない限り断られることはないでしょう。
③ 別の物件に引っ越す
賃貸契約の更新期間が近いなど、他に理由があり今の物件に居続けるメリットが少ないのであれば引っ越してしまうのも1つの手段です。
ただし引っ越す場合は初期費用だけで数十万円近くの出費がかかるので、エアコンの取り付け・交換ができないという理由のみで引っ越すのはあまり現実的ではないでしょう。
エアコン取り付け業者を相見積もりで探そう
賃貸物件でエアコンを取り付けるには大家など物件所有者の許可が必須です。自己都合による取り付けであれば、取り付け費用の負担は入居者がするので、安く工事をしてくれるエアコン工事業者を探しましょう。
エアコンの取り付け業者を探すときは相見積もりを取って、料金や作業内容、サービス面をよく比較してください。実績や口コミ・評判もチェックして、納得できる業者を見つけましょう。