年々暑さが厳しくなる夏を前に、エアコンの設置を検討している方も多いのではないでしょうか。しかしエアコンの設置が難しい部屋もあります。
エアコンを設置しにくい部屋の特徴や対策を押さえて快適な環境づくりに生かしましょう。
エアコン設置が難しい部屋の特徴と原因
エアコンの設置が難しい部屋にはいくつかの特徴があります。
まずはエアコン設置が難しい部屋の特徴と原因は何なのか、詳しく見ていきましょう。
室外機を置くスペースがない
エアコンを設置するには、室外機を置くための十分なスペースが必要です。
目安として室外機の背面は5cm以上、前面は20cm以上、左右それぞれ約10cmの間隔が必要です。
適切な間隔がないとエアコンの排熱を逃がせず室外機の周りに熱気がたまってしまい、運転効率が悪くなります。
室外機を置く場所がなかったり狭かったりする場合、エアコンの設置が難しくなると考えましょう。十分なスペースがあったとしても、室内機からの距離・地面や床の状況次第では、エアコンの設置が難しくなる可能性があります。
例えばベランダや隣家との間のような空間が狭い部屋は、エアコンを設置するのが難しい部屋です。マンションなどでは、エアコンの設置が許可されていても共有部分に物が置けないので室外機が設置できず、施工が難しくなるケースも少なくありません。
配管を通すための外壁の穴あけや隠蔽配管が難しい
エアコンは、室内機と室外機の間で冷媒ガスを行き来させることで熱を移動させています。そのため冷媒管を通す穴を外壁にあける必要があります。
賃貸物件で穴あけの許可を得られなかった、壁の材質が特殊といった理由で外壁への穴あけができない場合、エアコンの設置が難しくなります。
また外観の問題で、壁の中や通気口などに配管を隠す『隠蔽配管』でないとエアコンの設置ができないケースもあります。この場合は隠蔽配管が難しい機種(お掃除機能付きエアコン、加湿・給気換気機能付きエアコンなど)だと、エアコンが設置できません。
室内機を設置するスペースが狭い
エアコンを設置する部屋そのものに十分なスペースがなく狭すぎるという場合も、エアコンの設置が難しくなります。モデルにもよるものの室内機本体の上下左右に各50mm程度の余裕がなければ、正しくエアコンが機能しません。
カーテンレールや窓と干渉してしまうといった問題もあるので、エアコンを設置しようとする部屋には十分なスペースが必要です。
エアコンは大きな電力を消費する家電です。設置時にはエアコン専用コンセントが近くにあるかどうかも確認してください。
ドレンホースの勾配確保が難しい
エアコンには、空気を冷やす際に出る結露水を排出する『ドレンホース』という管があります。エアコンを取り付けるときはドレンホースに1/100以上の勾配を確保しなければ、結露水がうまく排出されず水漏れなどのトラブルが発生します。
エアコンの排水は基本的に自然排水のため、勾配が付けられないと設置自体ができないと判断されます。室内機本体よりも下に配管の穴がない、または新しく穴をあけられない場合、エアコンの設置は難しいです。
エアコン設置が難しい部屋の対処法
エアコンの設置が難しい部屋でも、工夫をすることでエアコンを取り付けられるケースは少なくありません。設置が難しい部屋の特徴に応じた対策を紹介します。
室外機の設置場所を工夫する
室外機を置く場所が狭い部屋でも、通常とは違う置き方で室外機を設置すれば、エアコンを設置できることがあります。
室外機は床や地面に直接置くのが基本ですが、以下のような置き方を選ぶのも1つの手です。
- 壁面置き:専用の台を設置して壁に取り付ける
- 天吊り:マンションなどのベランダの天井に吊す
- 屋根置き:戸建て住宅の屋根に設置する
- 立ち下ろし:2階以上の部屋に室内機を置き、配管を下階に下ろす
他にも、2台のエアコンを設置したいけれど1台分しか室外機の設置スペースがない場合、上下に室外機を2台置く方法もあります。通常とは異なる室外機の置き方は、エアコン設置業者がオプションで用意しているケースが多いので、まず相談してみましょう。
配管の工夫
外観上エアコンの配管が問題になる場合は、隠蔽配管を採用することでエアコンを設置できるようになります。
一般的な配管はあけた穴からそのまま配管を抜き出す『露出配管』で、外から室内機と室外機をつなぐ配管が見えている状態です。一方の隠蔽配管では、配管を通気口に通したり壁の中に埋め込んだりして、配管を外から見えないように隠します。
ただしエアコンの機種によっては、隠蔽配管ができないケースもあるので、設置を依頼する業者にあらかじめ確認しましょう。隠蔽配管が難しければ、カバーで隠したり配管自体をインテリアとしてデザインしたりと、工夫するのも選択肢です。
室内機の設置場所の工夫
室内機を置くスペースが十分に確保できない部屋であっても、コンパクトモデルなどを選ぶと設置できる可能性があります。設置スペースが確保できなくても設置できるエアコンは以下の通りです。
- コンパクトタイプのエアコン
- 天井埋め込み式のエアコン
- 床置き式のエアコン
コンパクトタイプのエアコンなら、壁に十分なスペースがなくても設置できる可能性が高まります。
天井埋め込み式のエアコンは壁が狭くても設置できますが、施工費用が高くなることには注意しましょう。部屋の状況によって、工事が難しい場合もあります。
天井への設置も難しければ、床置きタイプのエアコンを選ぶのも1つの手です。薄いタイプであれば、狭い部屋でも設置できる可能性が高まります。
ドレンホースの工夫
エアコンはドレンホースに勾配を付けないと、自然に排水できません。そのため、室内機本体よりも下に配管用の穴がないとエアコンの設置が難しくなります。ただ、機械やポンプを使って排水できるように工夫すれば、ドレンホースの勾配を確保できない部屋でもエアコンの設置が可能です。
機械でドレン水を持ち上げることで勾配を付けて排水する『ドレンアップキット』や、機械でドレン水を持ち上げてからポンプで圧力を加えて排水する『ドレンポンプキット』というものが販売されています。それぞれに適した環境が違うため、判断に迷う場合はエアコン設置の専門業者に相談してみましょう。
エアコンを設置できない賃貸でも使えるアイテム
エアコンの設置がどうしても難しい部屋では、他の冷房を検討しなければなりません。賃貸で大家さんの許可が出ていない場合も、エアコン以外の冷房を導入する必要があります。エアコンを設置できない部屋で使えるアイテムを押さえておきましょう。
冷風機や冷風扇
エアコン設置が許可されない賃貸や、どの方法でもエアコンを設置できない部屋におすすめのアイテムに、冷風機や冷風扇が挙げられます。
冷風機は室外機も本体の固定もいらない、床置きタイプのエアコンです。ポータブルクーラーやスポットエアコンといった名称でも販売されています。通常のコンセントさえあれば使えるため、近くに専用コンセントがあるかどうかも気にする必要はありません。
窓用エアコン
窓用エアコンも、エアコンの設置が難しい部屋や工事ができない賃貸で使えるアイテムです。窓用エアコンは、室外機を別に置く必要がないエアコンで、名前の通り窓に取り付けて使います。
窓用エアコンの魅力は、取り付けが簡単で自分でも簡単に設置できる点です。ただし、窓を一部あけた状態で取り付けるため、防犯面が心配な場合は他の方法を選びましょう。
壁掛けタイプのエアコンに比べて、電気代が高くなりがち、音が大きいといったデメリットもあるので、購入する前によく検討しましょう。
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エアコン設置が難しい部屋は業者に相談を
エアコンの設置にはさまざまな条件があり、部屋や家の環境によっては、取り付けが難しいケースも少なくありません。しかし、室外機や室内機の置き方や配管、排水の工夫をすれば設置できるようになるケースもあります。
まずはエアコン設置業者に相談し、オプションで対応してもらえないかを確認しましょう。口コミや実績もチェックしておくと、過去の施工事例から自分に合った業者を見つけやすくなります。