ERPは経営資源とされているヒト・モノ・カネを、統合的に管理する業務システムを指す言葉です。建設業は独特の要件が多いため、ERPを導入する際は建設業向けの製品を選ぶことを勧めます。
本記事では、建設業向けERPの概要や役割、おすすめの9製品から比較ポイントまで解説しました。「ERPの導入をしたいが迷っている…」「汎用的なERPのカスタマイズだと使いにくい…」などの悩みを持つ方はぜひ、記事をご参照ください。
建設業向けERPとは?
建設業向けERPとは建設業の財務や生産、在庫や販売の業務プロセスに対応したERP(基幹システム)のことです。
建設業界特有の課題に合わせた機能を備えているため、汎用的なERPと比べて、プロジェクトやコスト管理、進捗状況の把握に長けています。オンプレミス型とクラウド型があり、近年はクラウド型ERPが増えているようです。
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建設業の特性とERPの役割
建設業にはおもに以下のような特性があり、企業規模や案件、部門によって必要な管理が異なります。そのため、それぞれ独立したシステムを使ったり、手動での管理をおこなったりと、部門間のデータ管理や情報共有に人手や費用が掛かる傾向にあります。
建設業の特性
- 業務が案件・プロジェクトベースで進み、個々の案件ごとの管理が重要
- 発注者や下請け、設備メーカーなどステークホルダーが多様
- 中小企業が多く、システムに予算をかけたがらない傾向が強い
- 業務の専門性が高く汎用的なシステムだとカスタムしきれない
そこで着目されるのが建設業向けERPとなります。建設業向けERPは複数のプロジェクトの同時進行や資材の管理、実行予算の登録や工事ごとの原価管理などができるため、部門間のデータ共有や現場業務の効率化に貢献できるでしょう。
また、2024年の建設業法等の改正(25年施行予定)によって、労働時間の適正化や現場管理の効率化が求められるようになりました。システムと情報を統合化し、管理を効率化できるERPは有用性を増していく可能性が高いです。
建設業向けERPおすすめ9製品比較表
建設業におすすめのERPを9製品紹介します。
製品 | 提供形態 | 分類 | 主な機能 | 主な業種 |
ガリバーシリーズ | クラウド/オンプレミス | 統合型 | 営業管理、工事管理、支払管理、販売管理、原価管理、JV管理、購買管理、財務会計、人事給与 | 総合建設、土木、プラント、塗装、建築、電気工事、リフォームなど |
GRANDIT | クラウド/オンプレミス | 統合型 | 工事管理、予算管理、在庫管理、収支管理、原価管理 | 総合建設、エンジニアリングサービス、建築、総合プラントなど |
プロワン | クラウド | コンポーネント型 | 顧客管理、営業管理、現場見積作成、見積比較表作成、発注管理、収支管理、現場アプリ、電子契約、決済、契約管理、会計ソフト連携、レポート作成 | 総合建設、電気工事、設備工事、リフォーム、塗装など |
OBIC7 | クラウド/オンプレミス | 統合型 | 建設業会計、勤怠、給与、支払管理、検収・仕入れ、予実管理、販売、契約管理、請求・入金管理 | 総合建設、土木、建築、設備工事など |
e2movE | クラウド | コンポーネント型 | 工事管理、販売管理、建設業会計、支払管理、出面管理、原価管理 | 総合建設、建材販売、設備工事、設計・施工、土木など |
PROCES.S | クラウド/オンプレミス | コンポーネント型 | 建設業会計、原価管理、支払管理、請求入金管理、JV管理、給与労賃 | 総合建設、土木、建築、塗装、電気、防水、資材販売、建設コンサルなど |
建設WAO | クラウド | コンポーネント型 | 営業管理、見積、原価管理、工事管理、販売在庫管理、生産管理、経費精算、会計ソフト連携 | 建築事業、総合建設業、設備工事、土木など |
建築帳 | オンプレミス | コンポーネント型 | 工事管理、売上管理、支払管理、財務管理、工事情報検索、資材管理、帳票作成 | 特に記載無し。中小規模の建設業など |
HUE C2 | クラウド | コンポーネント型 | 統合情報管理、プロジェクト管理、財務会計、経費精算、債権管理、工事原価管理、調達管理 | 総合建設、土木、建築、インフラ整備、防災、地域開発プロジェクトなど |
建設業向けERPおすすめ9選
建設業におすすめのERP9製品について詳しく説明します。
「ガリバーシリーズ」建設・工事業の基幹業務の効率化を実現
- 中小企業向けのERPシステム
- 売上規模によって3種類の製品を選べる
- 建設業での導入実績が豊富で、スタッフも業界に精通
建設業・工事業の基幹業務の効率化が可能な、中小企業向けのERPです。営業管理から工事管理、支払・販売管理など、建設業に求められる業務に関する機能が網羅されています。売上規模によって3種類の製品から選択可能です。
著名な建設業者を含めた導入実績が豊富で、建設業に特化したスタッフによる充実したサポートを受けられるのも特徴。CSVデータを介して、ほかのツールやシステムとも連携できます。
すでに社内で管理システムを導入している企業は、組織全体の業務フローの効率化を実現できるでしょう。
「GRANDIT」テンプレートやモジュールを活用した業務管理
- 販売から調達、在庫管理まで幅広く対応
- さまざまなテンプレートやモジュールを利用可能
- 豊富な実績をベースにした導入サポート
「GRANDIT」は工事別の予実管理や損益管理をはじめ、販売や原価の統合管理まで、幅広く対応している建設・工事業向けのERPです。
原価管理や調達管理用のテンプレートに加えて、見積もりや受注などのモジュールを用いた管理が特徴。FAXやスマートデバイスとの連携も可能です。
導入に当たってはベンダーの豊富な導入事例を基に、社内システムの再構築といった観点から提案を受けられます。顧客の声を製品開発に反映するため、ベンダーによる独自のコンソーシアムも構成されています。
「プロワン」現場に向き合う企業の全業務を効率化
- 最新の案件・顧客情報をすべての端末からリアルタイムで確認可能
- 過去の案件や顧客情報を蓄積して自動でフォローアップ
- 売上・原価データがひと目でわかるダッシュボードを搭載
「プロワン」は現場から経営まですべてをつなぐ、オールインワン業務支援システムです。
工事管理や収支管理、顧客管理や発注管理など、建設業の幅広い業務を効率化する豊富な機能を搭載。業務に必要な情報を入力するだけであらゆるデータが蓄積されていき、活用まで自動化できます。
パソコンやタブレット、スマホなどあらゆる端末から操作やデータの入力が可能で、入力データはクラウドを通じてリアルタイムで共有されます。現場後のオフィスでの書類作業や、複数のシステムをまたいだ重複操作に悩まされることもありません。
見積額や発注額のデータは売上・原価として、自動で計算と集計が可能。月次の集計を待つことなく、案件ごとの収益性をリアルタイムで追いながら、次に取るべき戦略や行動へ活かせます。
「OBIC7」建設業特有の業務・商習慣に対応
- 建設業界に特有の業務を強力にサポート
- さまざまな観点から情報の活用法を提案
- 建設業ならではの商習慣にも対応
「OBIC7」は建設業界に必要な業務要件が実装された、会計一体型のERPです。現場の情報をタイムリーに収集・整理し、早期の意思決定を可能にする情報基盤を構築できます。
資産管理や労務管理にも対応しており、建設事業者の全社業務をまとめてカバーできるのが特徴です。
さまざまな情報を集約し、多角的に分析できるのが強み。経営上の意思決定に必要な情報の、抽出・提案に優れた機能構成になっています。出来高請求や立て替えなど、建設業ならではの商習慣にも対応可能です。
「e2movE」業務環境に応じて柔軟にカスタマイズ
- 400社以上の導入実績
- 物販や工事の状況を一目で把握
- データ連携による事務コストの削減
「e2movE」は日本全国の建設業や工事業者、建材販売業者など、400社以上の導入実績を基に開発されたERPパッケージです。
販売管理や工事原価管理をはじめ、支払管理、手形管理などに関する機能が集約されています。ユーザーの業務環境に従って、柔軟にカスタマイズできる点が特徴です。
さらに有名な会計システムや経費精算システムなど、他社製品とシームレスに連携できる機能も備えています。パソコン画面の共有によるオンラインデモが利用できるので、まずは機能や操作性を確認してみましょう。
「PROCES.S」建設業経理士の資格者による導入サポート
- 基幹業務から会計・支払・給与管理などトータルにカバー
- データの一元化による無駄の削減
- 総合建設業向けの導入実績が豊富
「PROCES.S」は中小企業から上場企業まで350社以上の導入実績を誇る、建設業向けERPです。
特に総合建設業向けの導入実績が豊富で、基幹業務から会計・支払管理、JV管理、給与管理まで、幅広く対応したパッケージ構成です。
各所で入力したデータを一元管理し、部門横断的に活用できる環境を構築できます。組織全体の業務効率化と生産性の向上を実現できるでしょう。
建設業経理士の資格を持つスタッフや、業界の事情に詳しい専任部隊のサポートを受けられるので、初めてERPを導入する企業も安心です。
「建設WAO」個別原価管理の自動化を実現する建設業向けERP
- 建設業に特化した7つのシステムを統合できる
- 請求書発行から入金管理までをトータルにサポート
- プロジェクトで横刺しした個別原価管理が可能
「建設WAO」は、建設業に特化した機能を持つERPシステムで、特に中小建設業者に適したパッケージです。
営業管理や見積、原価管理や工事管理、生産管理や経費精算を含めた7つのシステムで構成されています。建設業の要件に合わせたシステムなので情報統合がしやすいです。
また、データの一元管理によって、各種レポートや帳票を簡単に作成できるため、経営判断の迅速化にも寄与します。統合型のシステムであるため、各部門が情報をリアルタイムで共有しやすく、業務の無駄を大幅に削減できるでしょう。
「建築帳」建設業向けのシンプルで使いやすい業務管理システム
- 見積もり作成から請求書発行、工事原価管理までトータルにカバー
- 現場からのリアルタイムなデータ入力をサポート
- 豊富な帳票機能で経営判断を迅速化
「建築帳」は建設業に特化した業務管理システムで、中小建設業者から大規模事業者まで幅広いニーズに対応しています。
データ仕訳から入力する会計主導のシステムと異なり、見積もり作成や工事原価管理、実行予算管理など現場管理側の視点を重要視しています。特に、現場からリアルタイムにデータを入力できることにより、作業の進捗状況を即座に把握でき、的確な意思決定が可能となります。
月次や年次ごとの更新処理は必要なく、即時更新されるため、常にリアルタイムデータにアクセスしながら、現場単位の受注、原価、市請求、支払情報を管理できます。
「HUE C2」建設業特有のJV管理まで標準的に対応した統合管理システム
- 建設業の要件に対応しながら会計・プロジェクトを統合管理
- 大規模案件から共同施工などさまざまな工事形態に対応
- 無償でバージョンアップまで対応してくれる
「HUE C2」はさまざまな工事形態に対応できる建設業特化のクラウドパッケージ型ERPです。
建設業特有のJV管理まで標準的に対応しており、発生原価が独自か指定したり、共通費を持分に応じて自動振り分けできたりします。さらにJV全体の業績と自社単体の業績を標準的に確認可能です。
各企業の特性やニーズに応じた複雑な承認ワークフローにも対応します。承認・申請プロセスを短縮し、会計とプロジェクト全体の管理をスムーズにします。
建設業向けERPの主な機能
建設業向けERPの機能はおもに以下のようなものが挙げられます。汎用的なERPの機能はもちろん、建設業特有の要件に沿った機能を備えている点が特徴です。
建設業向けERPの機能
- 原価管理機能
- プロジェクトごとの工事管理
- 予実管理機能
- 建設業会計対応
- 人事管理機能
- 在庫管理機能
- 販売管理機能
- データ分析・レポート機能
建設業向けERPの場合、汎用的なERPが備える人事管理や販売・営業管理機能なども建設業に特化したものになっています。たとえば人事管理機能は作業員ごとのシフトや資格、安全対策も確認できます。販売管理機能も引合から見積もり、受注までの情報を管理可能です。
ほとんどの製品は特性に応じて、より詳細な機能を備えていたり、カスタマイズ可能だったりします。詳しくは製品の見積もり、問い合わせ時に確認しましょう。
建設業向けERPの比較ポイント
建設業向けERPを探すとき、以下のようなポイントで比較すると選びやすいです。自社の規模や業務の進め方を振り返りながら、製品を比較してみましょう。
建設業向けERPの比較ポイント
- 自社の規模や工事形態に合った機能があるか
- 最新の工事進行基準や原価回収基準に対応済みか
- 業務フローや特性に応じたカスタマイズができるか
自社の規模や工事形態に合った機能があるか
建設業向けERPを選定する際には、自社の規模や工事形態に応じた機能が揃っているかが重要です。自社がゼネコンかサブコンか?電気工事など専門事業があるか?リフォームが中心か?など、規模や形態によって必要な機能は少しずつ異なります。
たとえば、ゼネコンの場合は公共工事や民間工事に特化した入札機能、契約管理機能が必要となることがあります。電気工事や土木工事が多い事業者の場合、資材管理や専門的な工程管理機能、重機の保守管理機能なども大切です。
最新の工事進行基準や原価回収基準にどのように対応しているか
建設業向けERPの比較ポイントとして、最新の工事進行基準や原価回収基準への対応状況を確認しましょう。受注登録時の基準選択、進捗率の自動計算、実績原価に基づく売上計上などの機能があれば、個々のプロジェクトごとの基準に合わせた管理や計算がしやすくなります。
リアルタイムに反映されるか、進捗率はどのように計算されるかなど、製品ごとに比較して選ぶといいでしょう。
業務フローや特性に応じたカスタマイズができるか
建設業には各社独自の業務フローや特性が存在します。実行予算などは項目や管理単位が企業毎に異なるケースが多いです。またプロジェクトごとの情報活用範囲も変化するため、自社に合わせてカスタマイズしやすいかは重要な比較ポイントです。
ほかの建設事業者との連携方法や原価計算や実行予算ごとの管理がどこまでカスタマイズできるかは製品によって異なります。ERPは基本的にカスタマイズありきな面があるため、自社と似た業態の企業でのカスタマイズ実績などを確認しておきましょう。
ぴったりのERP選びはミツモアで
ERPは製品によって特徴や機能もさまざま。「どの製品を選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。
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