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医療業界向けのERPシステム4選!選び方・導入までのステップとは?

ぴったりのERP(基幹システム)をさがす
最終更新日: 2025年01月30日

医療業界では、日々の業務を効率的に運営するためのツールとして、ERP(統合基幹業務システム)の導入が進んでいます。ERPシステムは病院やクリニック、医療機器メーカーなど、さまざまな医療関連の組織にとって不可欠な存在となりつつあります。

そこで本記事では、医療業界向けのERPシステムの選び方や導入のステップについてわかりやすくまとめました。具体的なおすすめのERPツールもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

医療業界におけるERPとは

パソコンを操作する男性ドクター

まずは、ERPの概要について見てみましょう。

ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業の経営資源を効率的に活用するために、業務を一元管理できるようにするシステムで、医療業界でも欠かせないツールとなりつつあります。

ERP(基幹システム・統合基幹業務システム)の基本

ERPは、経営資源を最大限に活用するために、企業内の複数の部門や業務を統一的に管理できるシステムです。財務、人事、在庫、販売といった様々な部門・業務を統合的に管理するためのツールとして、多くの企業で導入が進んでいます。

医療業界においては、患者情報、医療材料、薬剤、診療報酬などの業務を集約して管理できるため、効率化やミスの防止が期待できます。

医療分野での特徴的な機能

医療業界向けのERPシステムには、医療特有の機能を備えているものもあります。代表的なものとして、以下の機能があります。

患者情報管理

患者の個人情報や診療歴、検査結果などを一元管理。医療従事者が患者の情報を迅速に把握できるようになり、適切な治療を提供できます。

医療材料管理

医療機器や消耗品、薬剤の在庫管理をリアルタイムで行い、無駄を削減できます。

保険請求処理

保険会社との請求業務を自動化し、請求ミスや時間のロスを防ぎます。

法規制遵守

コンプライアンス違反のリスクを減少させることができます。医療業界は厳しい法規制が多いため、法規制遵守の対応を強化しているツールを選びましょう。

患者プライバシー保護

個人情報保護法に準拠したデータ管理が可能で、患者のプライバシーを守ることができます。

医療業界でERPが必要な理由

ナースステーションで働く看護師

ここからは、医療業界でERPシステムが重要視される理由を見てみましょう。

  • 複雑な業務プロセスを効率化するため
  • 正確なデータを一元管理するため
  • 人材不足への対応が求められるため
  • 法規制を遵守しなければならないため

複雑な業務プロセスを効率化するため

医療現場では、診療、検査、手術、薬剤管理、保険請求など、さまざまな業務が複雑に絡み合っています。すべての業務を個別に管理していては非常に手間がかかり、ミスや重複が生じるリスクも高まります。

ERPシステムでは、複数の業務を一元管理できるため、効率的に業務を進められるようになります。

正確なデータを一元管理するため

医療業界では、正確なデータ管理も重要です。患者情報や治療記録、薬剤使用履歴などは治療の質に直結するため、ミスが許されません。

ERPシステムを導入することで、データを一元管理できれば、必要な情報に迅速にアクセスできるようになります。たとえば、患者の過去の病歴やアレルギー情報が即座に表示されれば、より精度の高い診断が可能となるでしょう。

人材不足への対応が求められるため

医療業界では、慢性的な人材不足が問題となっており、業務効率化が急務となっています。限られた人数で多くの業務をこなさなければならないため、IT化やデジタル化が進められています。

ERPシステムで業務を自動化できれば、スタッフの負担も減り、時間を有効活用できるようになります。たとえば請求処理を自動化するだけでも事務作業の負担が減り、医療従事者が患者ケアに集中しやすくなるでしょう。

法規制を遵守しなければならないため

医療業界は非常に多くの法規制に従わなければならず、遵守のために細心の注意が必要です。ERPシステムの中には法規制を遵守するための機能を備えているものも多く、リスクヘッジとしての効果もあります。

医療業界におけるERP導入のメリット

病院での打ち合わせ

ここからは、ERPを導入するメリットについて詳しくみてみましょう。

  • 医療用品のスムーズな在庫管理
  • リアルタイムでの情報共有と連携
  • セキュリティ強化と適切なプライバシー保護
  • データ分析による経営支援
  • サービスの質の向上

医療用品のスムーズな在庫管理

医療機関では、医療用品や薬剤の管理が非常に重要です。過剰在庫や不足が発生すると、コストが無駄にかかるだけでなく、患者への治療にも影響が出てしまいます。

ERPシステムを活用することで在庫状況をリアルタイムで把握でき、必要な物品を必要なタイミングで確保できるようになります。

患者の治療に必要な薬剤が不足することなく適切に管理されるため、治療の遅延や中断リスクを防ぐことができます。

リアルタイムでの情報共有と連携

医療機関では、診療情報、検査結果、患者の状態など、さまざまな情報が異なる部門で取り扱われます。ERPシステムを導入することで、部門間や施設間での情報共有をスムーズに行えるようになります。医療従事者が患者の状態や治療方針について迅速に把握できれば、対応のスピードも向上します。

例えば、病院内の外科部門、内科部門、検査部門で情報を即座に共有し、患者に最適な治療を提供することも可能です。また、病院間での情報連携も強化され、転院時や複数施設での治療も円滑に進めやすくなります。

セキュリティ強化と適切なプライバシー保護

医療業界では、患者のプライバシーを守らなければなりません。患者の個人情報や治療内容は非常にセンシティブなので、適切に管理するためのセキュリティ対策が必要です。

多くのERPシステムには、情報セキュリティを強化するための機能が備わっており、アクセス制限やデータの暗号化など、重要な情報を守るための技術が組み込まれています。患者情報が不正にアクセスされることを防ぎ、セキュリティ対策を強化できます。また、法規制に基づいたデータ管理も可能で、コンプライアンスも遵守しやすくなります。

データ分析による経営支援

ERPシステムでは、データ分析による経営支援も可能です。業務データを集約して分析する機能により、経営者や管理者にとって有益な意思決定をサポートしてくれます。蓄積されたデータを分析することで、医院運営に関する課題や改善点を特定し、経営判断を迅速に行えるようになります。

サービスの質の向上

ERPシステムにより業務を効率化できれば、医療従事者が患者ケアに集中できる環境が整います。事務作業の自動化が進むことで、医師や看護師、事務スタッフはより多くの時間を患者対応に割けるようになるでしょう。

医療業界におけるERPの活用事例

病院でデータ入力をする看護師

続いて、医療業界におけるERPの活用事例を見てみましょう。よくある事例として、以下のような活用の仕方が挙げられます。

  • 医療機器メーカーでの在庫管理と販売促進
  • 病院での患者情報管理と業務効率化

医療機器メーカーでの在庫管理と販売促進

医療機器メーカーは、製品の生産から販売までの過程で様々な管理業務が発生します。特に、在庫管理や販売促進は効率化が求められる部分です。

ERPを導入することで生産計画と在庫管理を一元化すれば、リアルタイムなデータを基に、需要予測や販売戦略を最適化できます。医療機器の在庫が不足していることが事前に把握でき、適切なタイミングでの製造・配送が可能となります。医療機関への納品遅延を防げるため、信頼性が向上するでしょう。

また、ERPシステムを活用することで販売促進活動の支援も可能です。営業部門と在庫部門が同じデータを使用することで、よりターゲットを絞ったプロモーション活動を行えるようになります。

病院での患者情報管理と業務効率化

病院では、患者情報管理や業務効率化を目的にERPシステムが導入されることが多いです。特に、電子カルテとの連携や会計処理の自動化は、日常業務の大幅な効率化を実現します。

例えば、電子カルテの情報をもとにRPシステムで請求情報を自動生成することで、手作業で行っていた会計処理の負担を軽減できます。

また、ERPシステムは病院内での情報の一元化を促進します。診療科ごとに分散していた情報を統合することで、誰もが患者情報にすぐアクセスできる状態に。患者の待機時間も短縮され、より質の高いサービスを提供できるようになります。

医療業界におすすめなERP4選

パソコンを操作する看護師

以下では、医療業界におすすめなERP4選をご紹介します。

  • GRANDIT
  • SAP S/4HANA Cloud
  • 奉行V ERP
  • アラジンオフィス

GRANDIT

GRANDIT
出典:「GRANDIT」公式Webサイト

GRANDITは国産のERPシステムで、販売、調達、在庫管理、経理、人事など、企業のさまざまな業務を統合的にサポートしてくれます。複数の企業が協力して開発した製品で、「使いやすさ」を重視しており、専門的な操作なしで誰でも簡単に使える設計です。

特に医療機器商社向けのソリューションを提供しているため、医療業界特有の様々なニーズにも対応しやすいところが特長。必要な機能を自由に選んで組み合わせることができ、自社にぴったりのERPシステムを実現できます。

また、システムの機能拡張にはアドオンやテンプレートを活用でき、標準機能に簡単・低コストで追加できます。大きなシステム変更なしでも、業務を大幅に効率化できます。

SAP S/4HANA Cloud

SAP S/4HANA Cloud
出典:「SAP S/4HANA Cloud」公式Webサイト

「SAP S/4HANA Cloud」は、世界的にトップシェアを誇るSAP社が提供するERPシステムです。

SAP S/4HANA Cloudの大きなメリットは、あらかじめ用意された豊富な機能群の中から、自社に必要な機能のみを選択して利用できる点。不要な機能をオフにすることで、ランニングコストを抑えることが可能です。

システムはクラウドベースで提供されるため、サーバーなどのインフラを自社で用意する必要もありません。

奉行V ERP

奉行V ERP
出典:「奉行V ERP」公式Webサイト

奉行V ERPは、企業規模や業種に関係なく使いやすいシステムとしておすすめです。日本の商習慣に最適化された高品質な業務処理を提供しており、信頼性も高いです。データ管理と運用は、世界トップレベルのセキュリティを誇るマイクロソフトの「Microsoft Azure」で行われており、安全性も確保されています。

会計や販売管理、人事労務などのデータを自動的に集約し、AIや学習機能により業務の自動化をサポート。異常値が発生した際はアラートで通知されるため、万が一のトラブルにも迅速に対応できます。グループ企業間でもデータを1つの基盤に統一でき、グループ経営にも向いています。

アラジンオフィス

Aladdin Office_ERP

アラジンオフィスは、販売や購買、在庫、生産、原価管理などの本部管理・物流管理を集約できる「ポストモダンERPシステム」。医療を含む各種業界に精通したノウハウを元に開発された、業界特化型のパッケージが揃っています。

インターネット接続さえあれば、PCからURLを入力してログインするだけで在庫管理が可能です。クラウド型のシステムなので端末にデータが残らず、情報漏洩のリスクもありません。

会計システムや分析ツール、顧客管理ツールなど、多種多様な外部ツールとの連携も可能。既存のシステムとの連携により業務がスムーズに進み、データの相互連携が円滑になるでしょう。

医療ERPシステムの選び方

スマホとパソコンとビジネス手帳

ここからは、医療ERPシステムの選び方をご紹介します。

  • 自社の業務ニーズに合ったものを選ぶ
  • セキュリティ対策・サポート体制が整ったものを選ぶ
  • 費用対効果の高いものを選ぶ
  • スケーラビリティ・カスタマイズ性の高さで選ぶ

自社の業務ニーズに合ったものを選ぶ

一口に医療業界といっても、病院やクリニック、製造業者、医療機器メーカーなどさまざまな業態があります。業態によって必要な機能は異なるため、自社の業務ニーズに最適なシステムを選ぶことが最も重要です。

例えば、医療機器メーカーは在庫管理や生産管理に重きを置く必要があり、病院では患者情報管理や請求処理が重要です。

セキュリティ対策・サポート体制が整ったものを選ぶ

セキュリティ対策・サポート体制が整ったものを選ぶことも欠かせません。特に、患者情報や機密データの保護は必須条件です。

システムの選定時には、セキュリティ機能が充実していることを確認しましょう。また、万が一システムにトラブルが発生した際に備えて、サポート体制が整っているかどうかもチェックが必要です。

費用対効果の高いものを選ぶ

ERPシステムの導入には高額な投資が必要となるため、選定の際は費用対効果を踏まえて検討することが欠かせません。初期投資のみならず、運用コストを含めた総合的な費用対効果をしっかりと見極めるようにしましょう。

ただ「安い」「高い」といっただけでなく、得られる効果も加味した上で、自社に合ったシステムを選ぶことが重要です。

スケーラビリティ・カスタマイズ性の高さで選ぶ

スケーラビリティ・カスタマイズ性の高さも着目したいポイントです。医療業界は変化が激しく、新しい規制への対応や業務の拡大が求められることもあります。そのため、将来的な成長や変化に対応できる、柔軟性の高いシステムを選びましょう。

医療ERPシステムの導入ステップ

病院でパソコンを持つ笑顔のナース

以下では、医療ERPシステムの導入ステップについて具体的に解説します。

  • 導入プロセスの企画
  • プロジェクト体制の構築
  • データ移行と統合の計画
  • 従業員教育とトレーニング
  • 運用開始後のフォローアップ

導入プロセスの企画

まずは、ERPシステムを導入する目的を明確にしましょう。

業務効率化、コスト削減、データの一元管理など、どのような課題を解決するためにERPを導入するのかを定義します。その上で、導入するシステムのスコープを固めます。どの部門や業務に焦点を当てるのか、また、ERPがどの範囲の業務をカバーするのかを決定します。

次に、導入のスケジュールと予算を設定します。スケジュールに関しては、システム導入にかかる時間を計算し、全体の進捗を管理できるようにします。予算は、システム購入費用だけでなく、導入後のサポート費用や運用にかかるコストも考慮して設定することが重要です。

プロジェクト体制の構築

次に、ERPシステム導入に向けてプロジェクトチームを組織します。このとき、内部チームと外部ベンダーの役割分担がはっきりわかるようにしておきましょう。

内部チームは、各部署の責任者やシステム管理担当者を中心に構成されることが多く、業務の要件を明確にする役割を担います。外部ベンダーは、適切なERPシステムの選定や導入作業を担当し、実際にシステムをカスタマイズしたり、データ移行をサポートしたりします。

プロジェクト体制が確立されたら、定期的に進捗確認を行い、各チームが適切に連携できる仕組みを整えましょう。

データ移行と統合の計画

新しいERPシステムに切り替える際、既存のシステムから新システムへデータを移行する作業が必要です。データ移行作業は、非常に慎重に行うべきで、万が一ミスがあれば医療業務に大きな影響を与えかねません。まず、移行するデータの範囲を明確にし、不要なデータと必要なデータを明確にしましょう。

データ移行には、データのクレンジングや整理作業が伴う場合が多く、移行前に既存システムのデータ整備も必要です。新システムとの統合方法についても検討しながら、事前にテストを繰り返し行うことが大切です。

従業員教育とトレーニング

ERPシステムの導入後は、従業員への教育とトレーニングを行います。新しいシステムの導入時は混乱が生じやすいため、事前共有を徹底しましょう。また、研修はシステム管理者を中心に実施し、その後、各部門の従業員に対しても教育を行います。

運用開始後のフォローアップ

ERPシステムの導入が完了した後も、運用が安定するまでは定期的なフォローアップが欠かせません。システムが問題なく稼働しているか、エラーや不具合がないかをチェックし、必要に応じて修正を加えます。特に初期段階ではトラブルの発生率が高いため、素早く対応できる体制を整えておくことが重要です。

また、運用開始後も改善点やの使い勝手についてフィードバックを受けて、継続的に改善を図ることが重要です。

医療向けのERPシステムを導入して業務を効率化

微笑む若い女性医師

医療業界でのERPシステムについて解説しました。人手不足が課題となりやすい医療業界において、ERPシステムの導入は必須となりつつあります。業務内容や規模に合ったERPシステムを選ぶことで業務を円滑に進められるようになり、質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。

次の記事ではおすすめのERP各製品の特徴や機能を比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。

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