ERP(統合基幹業務システム)は、会計、販売、生産、在庫、人事などの基幹業務を一元管理するシステムです。
通常は数十万円から数百万円の導入費用がかかりますが、オープンソースERPならソースコードが公開されライセンス料が不要のため、無料で導入できます。
この記事では、無料で使えるオープンソースERP7製品を比較して解説します。
無料で使えるERPおすすめ3製品比較表
7つのオープンソースERPの中から、導入実績・サポート体制・日本企業との親和性の観点で注目すべき3製品をピックアップしました。基本機能を備えており、自社の技術リソースや運用体制に応じて選べます。
| 製品名 | 財務会計 | 販売管理 | 在庫管理 | 日本語対応 | サポート体制 |
|---|---|---|---|---|---|
| iDempiere | ○ | ○ | ○ | ○ | 国内ベンダーの有償支援、有料コンサル、コミュニティ(英語) |
| ADempiere | ○ | ○ | ○ | ― | コミュニティ(英語) |
| JPiere | ○ | ○ | ○ | ○ 標準搭載 | 日本語相談会、有料コンサル、サポーター制度 |
○=対応あり ×=対応なし ―=公式サイトに情報なし
iDempiereはCompiereを源流とするオープンソースERPで、ADempiereから派生した最新世代の製品です。販売・購買・在庫・生産・会計管理に加えCRM機能を統合し、多言語・多通貨に標準対応しています。JPiereの母体でもあり、柔軟なプラグイン構造により、国内企業でもカスタマイズを経て導入されるケースが増えています。
ADempiereはWebUIでブラウザから操作できるため、場所やデバイスを選ばず利用できます。「Active Data Dictionary」という独自の辞書機能を持ち、プログラミングなしでデータベース定義を変更して画面やレポートを柔軟にカスタマイズできる点が特徴です。サポートはコミュニティベースのため、ドキュメントやフォーラムを活用できる技術力のある企業に向いています。
JPiereはiDempiereを日本の商習慣に最適化した派生パッケージです。消費税処理や契約管理など国内業務に必要な機能が標準搭載されており、日本語でのサポートも受けられます。国内向けの業務をスムーズに始めたい企業におすすめです。
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無料で使えるERPおすすめ7選
iDempiere

- グローバル対応
- 業務アプリケーションの開発フレームワークとしても活用可能
- 内部統制機能
「iDempiere」はADempiereの後継として登場したERPです。多言語・多通貨に対応しており、グローバル化に備えられるのも魅力です。
「販売管理」「購買管理」「在庫管理」「生産管理」「会計管理(財務会計/管理会計)」「顧客管理(CRM/SFA)」の機能を搭載し、企業の基幹業務を集約して一元管理します。顧客管理には営業支援管理(SFA)も含まれており、顧客クレームの管理・共有や問い合わせ管理にも対応可能です。
業務アプリケーション開発のベースとなる機能はデフォルトで搭載されています。ユーザーはビジネスロジックのコーディングに集中すればよく、開発はスムーズです。
ADempiere

- 日本の商習慣に対応
- すべての業務を一つのブラウザで完結
- カスタマイズが容易
「ADempiere」は販売・購買管理・会計管理から生産管理まで、あらゆる基幹業務を一元管理できるERPです。経営部門・営業部門・工場部門がシームレスにつながり、全社的な業務効率アップが期待できます。
システムにアクセスするときは、Internet Explorer、Google ChromeなどのWebブラウザを通す仕組みです。個々のデバイスに依存せず、アクセスする場所も問いません。WebUIを備えた高機能なオープンソースERPは比較的珍しく、世界でも高い評価を得ています。
またモデル駆動アーキテクチャの採用によりカスタマイズも簡単です。アプリケーション辞書という仕組みを利用すれば、プログラミング知識がゼロの社員でもカスタマイズに困ることはないでしょう。
標準仕様で日本の商習慣に対応した債権債務管理機能も備えており、アドオン開発の必要がないのも魅力です。
JPiere(株式会社オープンソース・イーアールピー・ソリューションズ)

- 日本の契約システムに対応
- 消費税処理もスムーズ
- 見積伝票も簡単作成
「JPiere」は日本仕様に最適化されたiDempiereのパッケージです。iDempiereのオリジナルは海外製で、日本企業が導入すると何らかのズレが生じます。JPiereはこのズレを最小限に抑えるために必要な、日本の商習慣に対応したさまざまなカスタマイズが施されているのが魅力です。
JPiereならではのカスタマイズとしては「契約管理機能」があります。これを利用すれば、販売や購買に関する各種伝票を簡単に作成することが可能です。
また消費税処理機能は、複雑な消費税処理をスムーズにするために加えられました。このほかに受注伝票で見積もりを行える機能なども搭載されています。
ただしパッケージツールという特性上、機能は標準化されたものばかりです。そのため導入に際しては、システムインテグレーター(SIer)に依頼してカスタマイズすることが推奨されています。
ERP5(株式会社Nexedi)

- すべての要素をオープンソースのみで構築可能
- 高いアクセシビリティ
- カスタマイズが容易
「ERP5」はPythonで書かれたオープンソースのERPです。ベースとなる型を自由にカスタマイズすることで、既製品にはない柔軟で自由なプラットフォームを設計できます。汎用性の高さから、銀行・病院・自動車産業や地方自治体・アパレル産業など、幅広い業界で導入されているERPです。
ERP5の構成要素はアプリに至るまで、オープンソースで提供されています。個別のアプリケーションコンポーネントをインストールすれば、自社ニーズに特化したERPの構築も可能です。
パッケージを利用しにくい特殊な業種・業界や、独自の業務工程を持つ企業でも、利用しやすいでしょう。
ERPNext(Frappe Technologies Pvt. Ltd.)

- 企業運用に必要な基幹業務を一元管理
- カスタマイズが容易
- マルチデバイス対応
「ERPNext」はグローバル拠点にも対応できる、グローバル・オープンソースERPです。4大経営資源といわれる「ヒト・モノ・カネ・情報」を適切に一元管理できます。すべての機能はダッシュボード上で操作できるため、ブラウザ上にいくつも画面を並べる必要はありません。
またERPNextはパソコンはもちろん、スマホやタブレットでの利用も可能です。いつでもどこからでもアクセスしやすく、テレワーク中の社員や遠方拠点の社員とも情報を共有できます。
機能は必要に応じて追加できるため、スモールスタートも可能です。企業の規模を問わずに導入しやすく、ERPの導入に不安がある中小規模の企業にもおすすめできます。
Axelor(Axelor[フランス])

- クラウド型オープンソースERP
- CRM・BPM・ERPを統合
- ローコードプラットフォーム
「Axelor」はシンプルで使いやすいUIを備えたオープンソースERPです。CRM、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツールの役割も果たし、顧客管理や業務管理の流れを定型化・最適化します。
Axelorの魅力は個々のニーズや課題に応じて、必要なモジュールを簡単に追加できる点です。プラットフォームへの機能の追加は、ドラッグ&ドロップのみで完了します。コードを書く必要がないため、プログラミング言語の知識がない人でも、戸惑うことはないでしょう。
またプラットフォームは完全にWeb上で展開されるクラウド型のため、デバイスを選ばないのも魅力です。ユーザーはインターネット環境の整っている場所からなら、いつでも必要な情報にアクセスできます。
サーバーの設置や保守管理の必要がなく、運用のコスト・手間もかかりません。
Apache OFBiz(Apache Software Foundation)

- Java ベースの Web フレームワーク
- 高い拡張性
- オンラインデモ付き
「Apache OFBiz」はJavaベースで開発された、スケーラビリティの高いERPです。ウィジェットベースの UIを備え、簡単にWeb アプリケーションのプロトタイプ作成・開発を行えます。搭載されているカスタム機能を使えば、フレームワークの拡張や強化も内製化が可能です。
すぐに利用できるコアモジュールとしては会計・CRM・注文管理・e コマースのほか、倉庫や在庫管理、製造、MRPなどがあります。特に製造業・小売業・流通業に携わる企業に必要な機能がそろっており、通常業務を加速してくれるでしょう。
フレームワークを活用してみたい場合はオンラインデモの活用がおすすめです。eコマースのウェブストアとバックエンド ERP アプリケーションから、自社ニーズに合うものを試せます。
無料で利用できるERPの選び方
無料のERPはコスト削減に役立ちますが、「実はエンジニアがいないと動かない」製品も多くあります。導入に失敗しないよう、以下の5点を必ず確認してください。
| 確認項目 | ここをチェック! |
|---|---|
| 自社のIT技術力 | 社内にエンジニアはいますか? 「サーバー構築?何それ?」という場合は、Odooの有料プランや完全クラウド型を選びましょう。自力構築は非常に困難です。 |
| 日本の商習慣 | 海外製は「インボイス制度」や「日本の請求書」に未対応なことが多いです。 日本向けに調整されたJPiereなどを選ぶか、カスタマイズの予算が必要です。 |
| 必要な機能 | 「会計だけ」「在庫だけ」など製品によって得意分野が違います。 全部入りならCompiere、製造業ならERPNextが候補です。 |
| サポート体制 | 無料版は基本的に「自己責任」です。 英語のマニュアルを読んで解決する自信がない場合、有料サポートがある製品を選びましょう。 |
| 会社の規模 | 従業員50名以上なら、無料版では動作が重くなる可能性があります。 将来の成長を見越して、最初から有料版を検討するのも手です。 |
無料で利用できるERPの注意点
無料ERPを導入する際、いきなりインストールを始めるのは失敗のもとです。以下の注意点を踏まえ、「業務の整理」から進めることで、導入後のミスマッチを防げます。
| 注意点 | 実施内容 |
|---|---|
| 解決したい課題の書き出し | 「なんとなく便利そうだから」で導入すると定着しません。 「在庫のズレをなくしたい」「請求書作成時間を半分にしたい」など、具体的な数値目標や課題を書き出しましょう。 |
| 無料プランの制約チェック | 候補のERPが、STEP1の課題を解決できるか確認します。 特に無料版では「ユーザー数」「データ保存期間」「サポートの有無」に制限が多いため、実務に耐えられるか入念にチェックしてください。 |
| テスト環境での試運転 | いきなり全社導入せず、まずは管理者やリーダーだけでテスト利用します。 実際のデータを入力し、「入力画面は使いやすいか」「必要な帳票が出力できるか」を確認します。 |
| マニュアル作成と社内説明 | 使い方が分からないと現場は使いません。 無料ERPはサポートがない場合が多いため、自社用の簡易マニュアルを作成し、従業員への説明会を行いましょう。 |
| 並行運用からの切り替え | 導入初月から完全に切り替えるのはリスクがあります。 1〜2ヶ月間は「従来のExcel管理」と「新ERP」を並行して運用し、数値にズレがないか検証してから完全移行しましょう。 |
自社サーバー構築が必要な場合
オープンソース型など、自社でサーバーを用意する必要がある製品の場合、「サーバー構築」や「セキュリティ設定」などの専門作業が発生します。
社内に専門エンジニアがいない場合は、設定不要ですぐ使えるクラウド型(SaaS)の検討をおすすめします。
無料で利用できるERP以外の選択肢
ここまで紹介した通り、完全無料のオープンソースERPは「自社でトラブル対応できる技術力」が必須です。
サーバー代やエンジニアの人件費(保守コスト)を考えると、結果的に「月額制のクラウド型ERP」の方が安く済むケースも少なくありません。
「エンジニアはいないけれど、コストは抑えたい」という場合は、無理に無料版にこだわらず、初期費用が安くサポートも充実しているクラウド型製品も視野に入れて検討してみてください。
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