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ERPとは?基礎知識をわかりやすく解説

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最終更新日: 2024年04月17日

企業の基幹業務を統合して業務効率化を図れるERP。この記事では「ERPって何?」と疑問を持つあなたに向けて、ERPの概要や基本についてわかりやすく解説します。

ERPとは

ERPの仕組みをあらわす図解
基幹業務のデータとシステムをひとつに統合できる

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の頭文字を取った略語で、直訳すると「企業資源計画」を意味します。現在では「会計」「生産」「販売」「物流」「人事」といった基幹業務を統合する、「基幹系情報システム」のことを指すことが多いです。

つまり、ERPは企業が保有する経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を効率的に計画・活用するための経営理念や手法のことを表すといえます。

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生産管理の手法「MRP」の考え方が元

ERPの概念は生産管理の分野で発達した「MRP(Material Resource Planning)=材料所要量計画」の考え方を源流としています。

MRPでは、生産現場で使用する部品や原材料の適正な所要量を計画的に把握し、適切なタイミングで調達・投入することで、無駄のない効率的な生産が可能となります。ERPはこのMRPの考え方を企業の経営資源全体に拡大適用し、最適な資源配分を目指すものです。

ERPは企業の経営資源を有効活用するための計画・手法の総称

経営資源全体を無駄なく効率的に扱うERPは、企業の経営資源を有効活用するための計画・手法の総称であり、それを実践するためのITインフラであるといえます。

ERPではデータベースに企業のあらゆる情報資源を集約・一元管理します。そして、経営資源の最新状況を正確に把握・分析することで、スピーディーな意思決定と適切な資源配分を可能にします。

会計・生産・販売・物流・人事の基幹業務を統合する

ERPは企業の基幹業務となる「会計」「生産」「販売」「物流」「人事」の5つを統合し、情報の一元化を通じて業務効率化を実現するシステムとして提供されています。

各分類の業務を各システムと各データベースでバラバラに管理するのではなく、ひとつのシステムとひとつのデータベースに情報を統合することで、正確な情報へタイムリーにアクセスすることが可能になります。

各業務ごとの部分最適ではなく、企業単位での全体最適を通じて業務効率化を推進できるのがERPなのです。

ERPが重要な理由

パソコンを操作するスーツスタイルのビジネスパーソン

企業がERPを導入する最大の理由は、従来の企業活動における情報の分散と非効率な運用の問題を解決することにあります。過去には、企業の経営に関わる情報が部門ごとにバラバラに管理されていたため、企業全体として経営資源を正しく把握することが難しく、意思決定の遅れや生産性低下、無駄な経費の発生などの非効率が生じがちでした。

ERPはこうした問題を根本的に解決するため、企業の全ての情報を一か所に集約し一元的に管理するシステムとして機能します。ERPにより基幹業務データがリアルタイムでくまなく収集・蓄積されれば、経営陣が常に最新の状況を把握できるようになり、スピーディーかつ的確な経営判断と資源の最適配分が可能になります。

また、ERPは部門間の縦割りを排除し、企業組織をシームレスにつなぐ役割も担っています。個別最適ではなく企業全体の総合的な最適化を目指すERPを導入することで、業務プロセスの改革や企業文化の変革も促されることから、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けた重要な基盤ともなり得ます。

ERPと基幹システムの違い

オフィスでパソコンを操作するチームメンバー

ERPと基幹システムの違いは、対象とする業務分野の幅にあります。

基幹システムとは、企業の主要な業務活動を支える中核をなすITシステムの総称を指します。会計システム、販売管理システム、人事・給与システムなど、個別の業務分野を支えるシステムが基幹システムに該当します。

一方、ERPは企業における複数の基幹システムをパッケージングし、連携・統合したITシステム基盤そのものを指します。つまり、ERPは個々の基幹システムを包含した大枠のソリューションであり、個別の業務領域の効率化を目的とした基幹システムとは一線を画しています。

ERPは経営資源の分散や非効率を解決するためのシステムであり、個々の基幹システムをつなぐ役割を担っています。全体最適を実現するITインフラであるERPと、個々の業務の効率化を図る役割を持つ基幹システムとの違いを認識する必要があります。

ただし、両者は密接な関係があり、ERPの中核には各種の基幹システムが統合されているのが一般的です。ERPを導入することで個別の基幹システムをまとめ上げ、企業の基幹業務データを一元化・共有化できるようになる構造です。

ERPの種類と特徴

パソコンと情報

ERPは次の4種類に大きく分けられます。

  • 統合型ERP
  • コンポーネント型ERP
  • 業務ソフト型ERP
  • クラウド型ERP

統合型ERP

統合型ERPは「会計」「生産」「販売」「物流」「人事」といった基幹業務のシステムが、1つのパッケージにオールインワンで統合されたソリューションです。企業の全ての機能領域をカバーしており、フロントからバックエンドまで幅広い基幹業務がつながっているのが特徴です。

統合型ERPはデータの一元管理と業務プロセスの自動化がスムーズに行えるメリットがある一方、システム自体が大掛かりになるため導入コストが高価になる傾向にあります。基幹業務が多岐にわたる、製造業の大手企業向けに多く採用されています。

コンポーネント型ERP

コンポーネント型ERPは、会計、生産管理、販売管理、購買管理などの必要な機能ブロックを自由に組み合わせて構築できるタイプです。基幹業務システムを独立したモジュールとして用意し、ユーザー企業が必要なコンポーネントを選択して統合するスタイルを取っています。

コンポーネント型ERPには、既存の基幹システムとの連携がしやすく、段階的な機能拡張も可能というメリットがあります。しかし、個々のコンポーネントをつなぐ際の連携に課題が残ることがあり、統合型ERPほどデータの一元管理が徹底されないというデメリットもあります。

製造業や医療・福祉など、特定業務の管理を重視する業種で導入が進んでいます。

業務ソフト型ERP

業務ソフト型ERPは、財務会計、販売管理、人事・給与といった単一の業務領域にフォーカスした製品です。特定の基幹業務に特化しているため、その分野での機能の深さとカスタマイズ性に優れていることが特徴です。

一方で他の業務領域との連携が困難であり、データの一元管理が難しいというデメリットがあります。規模が小さく特定業務の効率化が最優先の企業には適していますが、複数業務にまたがる大手企業には不向きな製品といえます。

クラウド型ERP

近年はクラウドコンピューティング技術の発達を受けて、ERPをクラウド上のサービスとして提供する製品が増えてきています。従来はオンプレミス(自社所有)のサーバー環境にERPを構築するのが一般的でしたが、クラウド型ERPではユーザー企業が自社のハードウェアリソースを保有する必要がありません。

インターネット経由でERPにアクセスするだけで済むため、初期費用を大幅に抑えられるのがクラウド型ERPの最大のメリットです。ユーザー企業はサーバーの調達や運用管理、システムメンテナンスなどの手間も大幅に削減できます。

ただし、企業の重要データをクラウド上のサーバーに預けることになるため、セキュリティ上のリスクが指摘されがちです。自社のデータセンターと比べるとセキュリティ水準が劣るとの懸念もあり、クラウド型ERPを導入する際はデータ保護対策が不可欠となります。

ERPのメリットとデメリット

ERPの種類の一つにクラウド型ERPがあります。

ERPのメリットとデメリットは以下の通りです。

〈ERPのメリット〉

  • リアルタイムな経営情報の可視化による迅速な意思決定の実現
  • データの一元管理による業務効率の改善
  • 業務プロセスの最適化と生産性の向上
  • コスト削減と利益率の改善
  • 内部統制の強化とコンプライアンス対策
  • 部門間連携の最適化と欠品リスクの低減
  • システム統合によるIT運用コストの削減
  • 業務変更への迅速な対応とシステム保守の効率化

〈ERPのデメリット〉

  • システム選定が非常に困難
  • 導入・保守費用が高価
  • 全社活用に向けた業務フローの見直しが必要

ERPは企業内のあらゆる情報を集約することで、多くのさまざまなメリットをもたらします。しかし多種多様なソリューションが提供されていることから、自社に合った製品を選ぶのが困難な側面もあります。また影響範囲が広いことから、導入・保守費用は他のシステムと比べて高価です。

以下の記事ではERPのメリットについて、それぞれ詳しく解説しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。

ERPの導入プロセス

ERPシステムの導入は企業にとって重大な経営判断を伴うプロジェクトであり、しっかりとしたプロセスを踏んで進める必要があります。一般的なERPの導入プロセスは以下の手順で進められます。

  1. プロジェクト準備
  2. 要件定義
  3. ERPパッケージの選定
  4. ギャップ分析と設計
  5. 構築と移行
  6. テストと本番稼働
  7. 本番運用とメンテナンス

プロジェクト準備

プロジェクト準備段階では経営層主導の下で導入目的を明確化して、プロジェクトの推進体制やスコープ、予算、スケジュールなどを決定します。この際、経営企画部門と情報システムが中心となり調整を行います。

要件定義

次に現状の業務プロセスや課題感を洗い出し、ERPに求められる機能要件を整理する「要検定義」を行います。この作業を経て、複数の候補からユーザーニーズにあったERPへと絞り込みを進めます。

ERPパッケージの選定

要件が定まったら、いよいよ製品の選定です。複数の候補を視野に入れつつ、企業のニーズに合った製品を選びましょう。

ギャップ分析と設計

選定したERPパッケージと自社要件とのギャップを分析して、必要に応じてカスタマイズやデータ移行の設計を行います。ベンダーによって対応範囲が異なるので、チェックしておくとよいでしょう。またERPの機能に合わせて業務を変えていく柔軟性も時には必要です。

構築と移行

設計が完了したら、システムの構築と既存環境の移行作業に移ります。

テストと本番稼働

移行後はテスト運用を行い、システムの安全性や業務の継続性を確認します。問題がなければ本格始動へ移行します。

本番運用とメンテナンス

本格的に運用を始めた後もシステムのメンテナンスと継続的な改善を続けます。

まとめ

オフィス街を歩くビジネスマン

ERPの概要を中心に、基礎知識を解説しました。ERPは企業のさまざまな経営資源を一元管理するシステムで、企業活動の効率化と経営の最適化を実現するための重要な基盤となります。

昨今のデジタル化の潮流を受けて、ERPの導入は企業にとって避けては通れない経営課題となっています。競争力の向上やスピーディーな意思決定、適切な資源配分などを実現するためには、ERPの導入は有力な選択肢だといえるでしょう。

一方で、膨大な初期費用の負担や導入作業の難易度の高さ、セキュリティ面での懸念など、ERPを導入するうえでの障壁も少なくありません。そのため企業はERPのメリットとデメリットを見極め、自社のニーズに合った製品を選定し、適切な体制を整えたうえで導入プロジェクトを慎重に進める必要があります。

ERPシステムの導入は企業経営の根幹に関わる重大な意思決定であり、単なるITシステムの更新では済まされない重みがあります。しかしながら、DXを実現し企業の持続的な成長を図るうえで、ERPはいまや必要不可欠なインフラとなっていると言っても過言ではありません。

ERPの導入を通じて、企業のさらなる可能性に向けた第一歩を歩み始めてみてはいかがでしょうか。

次の記事ではおすすめのERP各製品の特徴や機能を比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。

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