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ERPを導入する目的は?流れと失敗を防ぐコツ

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最終更新日: 2026年08月10日

ERPとは企業のヒト・モノ・カネ・情報を一元管理するためのものです。ERPには生産管理や在庫管理といったビジネスに直結する分野のほか、財務・会計管理、人事・給与管理などの業務システムが幅広く含まれます。

ERPを導入する目的や導入手順、メリットなどを解説します。

ERPとは?

ERPは会計、人事、販売、生産、在庫といった基幹業務の情報を1つのデータベースで一元管理する仕組みです。Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、日本語では基幹系情報システムと呼ばれます。

業務ごとに別々のシステムを使うと、同じ取引先や在庫の情報がそれぞれのシステムに重複して登録されます。ERPでは各業務が同じデータベースを参照するため、販売部門が受注を登録した時点で在庫数と売上のデータにも反映されます。転記や数値の突き合わせが減り、経営層と各部門が同じ数字を見て判断できる状態になります。

ERPが対象とする業務領域は、次のように基幹業務の全体に及びます。

業務領域 主に扱う情報
財務、会計 仕訳、決算、債権と債務の管理
人事、給与 従業員情報、勤怠、給与計算
販売、購買 見積、受注、発注、請求
生産 生産計画、部品表、原価管理
在庫、物流 入出庫、在庫引当、出荷

どの領域まで導入するかは製品と契約によって異なります。会計を中心に始めて後から人事や販売を追加する導入もあれば、最初から全領域をそろえる導入もあります。自社に必要な範囲を先に決めることが、製品選びの出発点になります。

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ERPを導入する目的

ERPを導入する目的は、主に次の7つです。どれを優先するかによって、導入する業務の範囲や選ぶべき製品も変わります。

経営判断が的確に下せる

ERPを導入すると経営判断の材料となる数字を同じ基準でそろえられます。部門ごとにシステムが分かれていると、売上や在庫の集計方法や締めのタイミングが異なり、数字の突き合わせに時間がかかります。

ERPは各部門の実績を同じデータベースに蓄えるため、集計作業を待たずに最新の状況を確認できます。前提となる数字がそろうことで、設備投資や在庫調整の判断を根拠に基づいて検討しやすくなります。

経営スピードが向上する

ERPは状況の把握から実行までにかかる待ち時間を短くします。部門ごとに帳票を集めて集計する運用では、月次の数字がそろうまでに何日もかかる場合があります。

ERPでは入力された時点でデータが共有され、締め処理や承認も同じシステム上で進みます。承認の履歴が残るため、どの工程で処理が止まっているかも追いやすくなります。数字を待つ時間が減ることで、価格の見直しや生産計画の修正を早い段階で実行に移せます。

部署間をまたいだデータの活用ができる

ERPを使うと部門をまたいだデータの組み合わせができます。受注、生産の進捗、在庫の残数が別々のシステムに分かれていると、突き合わせのたびに手作業でデータを加工することになります。

ERPは同じデータベースに情報を集めるため、受注状況から必要な部品数や出荷できる時期をその場で確認できます。営業担当者が在庫を見て納期を回答し、購買担当者が生産計画に合わせて発注量を決めるといった連携も取りやすくなります。

本来の業務に集中できる

ERPは数字の転記作業や整合性の照合作業などの、生産性の低い業務に充てる時間を減らしてくれます。これにより担当者が本来の業務に時間を使える状態をつくります。

システムが分かれていると、経理担当者は各部門から届いた数字を入力し直し、営業担当者は在庫を電話やメールで問い合わせることになります。

ERPでは一度入力したデータを各部門がそのまま参照できるため、確認と再入力の手間が減ります。空いた時間を、数値の分析や顧客への提案など人の判断が必要な業務に振り向けやすくなります。

セキュリティの強化につながる

ERPはデータを1か所に集めたうえで、閲覧や編集の権限を役割ごとに設定できます。部門ごとにエクセルやファイル共有で数字をやり取りする運用では、誰がどのファイルを持ち出したのかを把握できません。

ERPでは権限を与えられた人だけがデータを扱い、閲覧や変更の記録も残ります。バックアップや不正アクセスへの対策も製品側の機能としてまとめられているため、システムごとに設定を管理する場合より対応漏れが起きにくくなります。

システム利用料などの費用削減を実現できる

ERPに一本化すると月々のシステム利用料を抑えられる場合があります。会計、人事、販売と業務ごとに別の製品を契約すると、初期費用と月額費用が製品の数だけ発生するためです。

ERPは複数の業務を1つの契約にまとめられるため、月額料金の支払いを一本化できます。利用人数や導入する機能の範囲によって金額は変わりますが、同じ業務範囲を個別の製品でそろえる場合と比べると、月々の支払額は抑えられやすいです。さらにシステム同士をつなぐ仕組みを個別に保守する費用も抑えられます。

内部統制の強化を図れる

ERPは申請から承認までの手続きをシステム上にそろえ、決められた手順どおりに業務が行われたかを確認できます。エクセルや紙の書類で処理していると、承認を経ずに数字が書き換えられても後から気づけません。

ERPでは金額や役職に応じた承認の流れを設定でき、誰がいつ何を変更したかの記録も残ります。監査や決算の場面で処理の経緯をたどれるため、不正や入力ミスを見つけやすくなります。

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ERPの導入手順

ERPの導入は、次の7つの工程で進めます。

  1. 現在の業務の流れと使っているシステムを洗い出す
  2. 導入の目的と対象にする業務範囲を決める
  3. 予算と稼働時期を含めた導入計画を立てる
  4. 製品を比較し、デモや見積もりで選定する
  5. 業務に合わせた設定と既存データの移行を行う
  6. テストと現場への操作研修を実施する
  7. 本稼働し、運用しながら設定を見直す

最初の3工程で成否の大半が決まります。現状を洗い出さずに製品を選ぶと、必要な機能が足りなかったり、使わない機能に費用を払ったりすることになります。

設定から本格的な運用開始までの工程では、データ移行とテストに余裕を持たせることを推奨します。既存システムの取引先名や商品コードの表記がそろっていないと、移行後に重複や誤りが残るためです。また月次や年次の締めを避けた時期から本格的な運用をはじめるのも、現場の負担を抑える上で有効です。

導入にかかる期間は、対象とする業務の範囲や既存システムの状態によって大きく変わります。製品を選ぶ段階で、導入支援の範囲と稼働までの見通しを契約前に確認しておくと、作業の抜けを防げます。

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ERP導入の注意点

ERPは幅広い業務を支える仕組みであるため、導入前に確認しておくべき点があります。次の3つは、検討の段階で見落とすと稼働後の負担につながります。

いずれも製品の問題ではなく、導入の進め方で大きさが変わります。費用の見通し、手を加える範囲、現場の準備を計画に含めておくことで、稼働後の手戻りを減らせます。

導入と運用に継続的に費用がかかる

ERPは導入時の費用だけでなく、稼働した後も継続して費用が発生します。クラウド型は利用人数や機能に応じた月額料金がかかり、オンプレミス型も保守契約やサーバーの維持に費用が必要なためです。

初期費用には、ライセンスの費用のほかに設定やデータ移行を支援してもらう作業の費用が含まれる場合があります。見積もりを取る際は、初期費用と月額費用に加えて、機能を追加した場合や利用人数が増えた場合に金額がどこまで上がるかも確認します。稼働後に想定外の支出が生まれるのを防げます。

カスタマイズをしすぎると改修に手間がかかる

ERPの導入を成功させるには、システムに手を加える範囲をできるだけ狭くすることが重要です。今の業務に合わせて機能を追加すると、その部分は製品の標準の仕様から外れ、変更のたびに個別の対応が必要になるためです。

クラウド型ではベンダーが定期的に機能を更新しますが、独自に手を加えた部分は更新の対象に含まれない場合があり、動作確認や修正を自社で行うことになります。まずは標準の機能に業務を合わせられないかを検討し、手を加えるのは自社の強みに直結する業務に絞りましょう。

現場の業務フロー変更と教育が必要

ERPを導入すると、これまでの入力の手順や承認の流れが変わります。標準の機能に業務を合わせるほど、現場が覚え直すやり方は多くなります

稼働前に、部門ごとの操作研修と手順書の準備を導入計画に組み込みます。使い方が分からないまま稼働すると、手元のエクセルで管理する運用が残り、データが一元化されない状態に戻ってしまうためです。各部門に相談窓口となる担当者を置くと、疑問がその場で解消され、定着が進みやすくなります。

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ERP導入が失敗する原因

ERPの導入がうまくいかない場合、原因は製品の機能よりも準備と進め方にあることが多くなります。代表的な原因は次の4つです。

前の2つは導入前の業務の整理不足、後の2つは進め方と稼働後の体制に関わる問題です。どれも検討の段階で手を打てるため、自社に当てはまるものがないか確認しておきましょう。

今使っているシステムがブラックボックス化している

今使っているシステムの中身を説明できないまま導入を進めると、移行の段階でつまずきます。長く使ってきたシステムは改修が積み重なり、どの処理が何のために動いているのかを把握する人が社内にいなくなっている場合があるためです。

仕様が分からなければ、移行するデータの範囲もERPで再現すべき処理も決められません。稼働中の画面と帳票をもとに、入力している項目と出力している帳票を洗い出し、現場の担当者にその処理の目的を確認します。開発を依頼した会社に仕様書や改修の履歴が残っていないかも、早めに問い合わせます。

今の業務をそのまま再現しようとする

今の手順をそのまま再現しようとすると、導入の目的であった効率化が進みません。部門ごとの例外的な処理をそのまま持ち込めば、二重の入力や部門間の引き継ぎの手間も一緒に移行されるためです。

現場からは慣れた画面や帳票をそのまま使いたいという要望が出やすくなります。要望を集める際は、その手順が必要な理由を確認し、取引先との取り決めや法令で決まっているものと、社内の慣習で続いているものを分けて整理します。後者は業務を見直す候補として扱います。

上層部や情シス部門が強硬的に導入を進めてしまう

経営層や情報システム部門だけで製品を決め、導入を主導してしまうと、稼働後に使われないシステムになりがちです。日々の業務でどの情報が必要になるかは、実際に入力や確認を行う担当者しか分からないためです。

要件の確認に現場が加わらないと、必要な項目が抜けたまま設定が固まり、不足分をエクセルで補うことになります。選定の段階から各部門の担当者を検討の場に加え、なぜ導入するのか、どの業務がどう変わるのかを先に共有します。反対の意見が出た場合も、決定の理由を説明しながら進めると協力を得やすくなります。

導入後の運用体制を決めていない

稼働した後に誰が何を管理するのかを決めていないと、ERPは徐々に使われなくなります。運用を始めた後も、権限の変更や取引先の登録、機能の更新への対応といった作業が継続して発生するためです。

担当が決まっていないと、異動や退職のあとも古い権限が残り、取引先や商品の登録の仕方も部門ごとにばらつきます。稼働前に、権限と登録データを管理する担当者、現場からの改善要望を受け付ける方法、ベンダーへ問い合わせる窓口を決めておきます。集まった要望は定期的に見直し、設定の変更に反映させます。

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ERPを選ぶポイント

導入する目的と対象にする業務の範囲が決まったら、次の3つの視点で製品を絞り込みます。

前の2つは製品の形式に関わる選択、最後の1つはベンダーとの関わり方に関わる選択です。機能の多さだけで比較すると、使わない機能に費用を払うことになりかねません。自社の体制と予算に合うかという視点で確認しましょう。

クラウド型かオンプレミス型か

提供形態によって、費用の出方と運用の負担が変わります。主な違いは次のとおりです。

比較項目 クラウド型 オンプレミス型
初期費用 抑えやすい 高くなりやすい
主な支払い 月額料金のみ ライセンスの買い取りと保守費用
使い始めるまで 短い 長い
サーバーの管理 ベンダー 自社
機能の更新 自動で反映 自社で計画
独自の作り込み 制限あり 自由度が高い

情報システムにさける人員が限られており、早く使い始めたい場合はクラウド型が向いています。サーバーの運用をベンダーに任せられるためです。

一方で、自社の設備内でデータを保管する必要がある場合や、業務に合わせた作り込みが避けられない場合はオンプレミス型が候補になります。どちらか迷うときは、運用にあてられる人員と、標準の機能では対応できない要件の数を見て判断します。

統合型かコンポーネント型か

統合型は基幹業務を1つの製品でまとめて扱う形式です。コンポーネント型は会計や人事といった業務単位を選んで組み合わせます。

比較項目 統合型 コンポーネント型
導入する範囲 基幹業務の全体 必要な業務のみ
初期の費用 大きくなりやすい 抑えやすい
導入の期間 長い 短い
データのつながり 標準で一体 連携の設定が必要
向く場面 全社の刷新 段階的な導入

今あるシステムを一度に置き換えたい場合や、部門をまたいだデータの活用を重視する場合は統合型が向いています。最初から同じ仕組みの上で情報がつながるためです。

予算や人員の都合で範囲を絞りたい場合は、コンポーネント型で優先度の高い業務から始める方法があります。この場合は、後から業務を追加するときに既存の範囲とデータがつながるかを、契約前に確認しておきます。

導入支援などのサポート体制

導入時や運用時の支援を、どの範囲までベンダーに依頼できるかを契約前に確認します。設定やデータ移行を自社だけで進めるのは難しく、支援の範囲によって社内で抱える作業量が大きく変わるためです。

確認しておきたい項目は次のとおりです。

  • 初期設定とデータ移行の代行範囲
  • 操作研修や手順書の提供の有無
  • 稼働後の問い合わせ窓口と受付時間
  • 障害が起きた場合の連絡方法と復旧の手順
  • 法改正や機能更新への対応

これらの支援が月額料金に含まれるのか、別途の費用になるのかも確かめます。同じ製品でも、ベンダーから直接契約する場合と販売代理店を通す場合とで、支援の内容が異なることがあります。見積もりの段階で支援の範囲を書面で示してもらうと、製品ごとの比較がしやすくなります。

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