顧客情報を用いたCRM分析を精度高く行えば、プロモーション戦略や営業活動を強化できます。
しかし「CRM分析を上手く実施できない」「分析結果の活用法が分からない」などお悩みではありませんか?
この記事では、7つのCRM分析手法のやり方や活用例、効果的に行うポイントを解説します。
CRM分析とは
CRM分析とはCRM(顧客管理システム)を活用した分析です。営業活動やマーケティングを強化する目的で行います。
性別や年代、属性ごとの購買行動の分析によって、顧客それぞれに適した施策ができるようになります。
また繰り返しの分析によって施策を評価したり、季節や流行による変化を捉えたりすることで、継続的で効果的なアプローチが可能です。
マーケティングにおける顧客分析との違い
マーケティングが実施する顧客分析とCRM分析は実施対象の点で異なります。
顧客分析 | CRM分析 | |
実施対象 | 市場 | 既存顧客 |
実施内容 |
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分析例 |
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以下の記事では顧客分析について解説しています。顧客分析を行う方は参考にしてください。
CRM分析の手法
CRMの分析手法は目的によりさまざまな方法があります。ここでは、代表的な分析手法を目的および手段、事例の側面からご紹介します。
RFM分析
RMF分析は最終購入日(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)を用いて、顧客のランク付けを行う分析方法です。グループに分けることで、それぞれに適したマーケティング施策を行えます。
優良顧客や休眠顧客を把握し、顧客それぞれに効率的にアプローチを行うために実施します。
RFM分析の活用例
- Fが高いにも関わらず、Rが低い(最終購入日から時間がたっている)顧客は離反していると判断する
- R、F、Mのいずれも高い人は、自社の売り上げに貢献するの可能性の高いロイヤルカスタマーだと考え、優先的に施策を打つ
デシル分析
デシル分析は購入金額順に10のグループに分ける分析方法です。それぞれのグループの購入金額や全体における比率を算出し、マーケティング戦略の優先順位付けを行います。
デシル分析の活用例
- 上位2グループの合計購入金額が全体の50%を超えているので、購入金額が高い層に向けた施策を実施する。
- 上位5グループの合計購入金額が全体の40%程度であるので、一人当たりの購入金額に差が少ないと判断し新規顧客の獲得のための施策を検討する
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析はニーズや属性、購買履歴など特定の条件で分類する方法です。さまざまな条件での分析によって、全体的な顧客の傾向をつかむために用いられます。
セグメンテーション分析後、細分化した市場および顧客の中から、自社の製品の性質に適合するターゲットを選定し、自社製品の伝え方を検討します。
【セグメンテーション分析の手順】
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【セグメンテーションを行う変数の例】
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CTB分析
CTB分析は、顧客がどのような商品を購入するかを予測する方法です。Category(分類)、Taste(趣向)、Brand(ブランド)の3つの指標で顧客を分類し、各グループの趣向に適切な施策を検討します。
CTB分析の目的は、RFM分析やデシル分析と同じく顧客をグループに分け、それぞれに最適なアプローチを図ることです。しかしRFM分析やデシル分析と違い、定性的な分析方法になります。
CTB分析の活用例
- Category
⇒商品を大分類(ファッション、食品など)と小分類(セーター、肉類)などにカテゴリー分けする - Taste
⇒色や形、模様、サイズなど顧客がどのような好む趣向別に分類する - Brand
⇒ファッションブランドやメーカー、キャラクターなど顧客が好むブランド別に分類する
クラスター分析
クラスター分析は属性情報をもとに、データの特徴や傾向を洗い出す方法です。そのままでは扱えない「ビックデータ」をグループ分けし、それぞれに合った施策を実施するために用いられます。
分析手法には、類似度により段階的に分類する「階層型」と、事前に分類数を定義しておく「非階層型」の2種類があります。
階層型分析では、各要素間の類似度を総当たりで計算するので計算量が多くなる点に注意が必要です。そのためビックデータのような多量のデータを扱う場合は、非階層型分析を使用するのが一般的です。
階層型のクラスター分析
階層型クラスター分析は、類似度により段階的に各セグメンテーションを分類します。クラスターに分類される過程を見ながら、クラスター数を事後に定義できる点が特徴的です。
上図の例では、類似度の高いAとBをクラスターEとして、CとDをクラスターFとして分類します。クラスターEとFでは、Eの方が類似度が高いため、右図ではFより下側に配置します。
クラスターの位置をずらすことで、類似度が視覚的に分かりやすくなります。
非階層型のクラスター分析
非階層型分析は事前にクラスター数を定義することで、各要素間の総当たり計算を省略した分析手法です。
クラスターの定義に主観が混じるため、厳密な分析はできない点に注意が必要です。
LTV分析
LTV分析はLTVを指標として、企業にとって重要な顧客を見極める方法です。LTV(Life Time Value)とは1人の顧客から生涯にわかって得られる利益です。
収益性の確認や、施策に対するLTVの変化検証などに用いられます。
以下の3つの式から目的に応じて選択し、使用します。
【LTVの計算式】
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LTVを最大化するため、上述の3つの計算式の中から目的に応じた計算式を選択し、算出するのが一般的です。LTV算出後、収益性の確認や、施策に対するLTVの変化検証などに用いることができます。
LTV分析の活用例
- CAC(新規顧客を1人獲得するためのコスト)がLTVを上回っているので改善施策を検討する
- 同一顧客のLTVが昨年より低下しているので、改善施策を検討する
CPM分析
CPM分析は4つの指標で10のグループに顧客を分け、既存顧客の購入状況を分析する方法です。購入金額は少ないが、長期間利用している顧客の把握のために用いられます。
分析後、グループの特徴に合わせたマーケティング施策の実施によって、優良顧客の人数増加を目指します。
使用する指標は「購入回数」「購入金額」「初回購入から最終購入日までの期間(在籍期間)」「離脱期間」の4つです。
これらを用いて顧客を5つのステップ(初回、よちよち、コツコツ、流行、優良)および、2つのステータス(現役または離脱)に分類します。
CPM分析の活用例
- 初回離脱客が全体に占める割合が大きいので、初回利用3日後に商品紹介メールを送る
- よちよち現役客が全体に占める割合が多いので、クロスセル(自社の他製品を紹介し単価向上を目的とする)を実施する
CRM分析の効果を上げるポイント
CRM分析の効果を上げるには、既存顧客のデータをできるだけ多く収集し、分析することが重要です。データを多く集めることで、より精緻な分析が可能になります。
情報の収集と蓄積
CRM分析では全社的な情報収集と蓄積がポイントです。会社全体で1つのシステム上にデータを集約および蓄積していくことで、顧客の性別や年齢などの属性情報から、課題感やニーズのような定性情報までを把握しましょう。
ERPの導入検討
ERPとは「Enterprise Resource Planning」の頭文字を取った略語で、直訳すると「企業資源計画」を意味します。
ERPを利用することで、社内システムの統合が実現でき、社内のあらゆるデータにアクセスできます。
ERPはCRM分析を促すだけでなく、社内業務の効率化にも期待できます。例えば、在庫および販売管理システムを連携させた場合、労力なく在庫を意識した販売計画を立てられるでしょう。
またERPにCRMシステムを連携させたうえで、BIツールを使用した場合、CRM分析の結果を多種多様なグラフで専用のダッシュボード上にビジュアライズできます。
BI機能をCRMシステムの標準機能で使用できる場合もありますが、BIツールであれば標準機能では対応できない表現をできる点が魅力的です。
既存の顧客への適応
まずは既存顧客に対してCRM分析の実施をしましょう。一般的に新規顧客を獲得するよりも、既存顧客の売上を上げる方がかかるコストが少ないです。したがって、既存顧客の売上を向上させるために分析をする方が得策といえます。
CRM内で分析ができなくなってしまう要因
「CRMシステムを導入したものの、分析がうまくできない…」という会社さんも多いのではないでしょうか。CRM内での分析ができない要因をご紹介します。
部署ごとにデータ分断されている
社内の部署単位で独自のCRMシステムを利用していると、会社全体で情報共有ができない場合があります。
CRM分析のメリットは、会社全体の情報を利用したデータの分析なので、部署ごとにデータが分断されていればメリットを享受できません。
データが古くて利用できない
利用するデータが古いため、適切な判断ができない場合があります。例えばAシステムを基幹システムとして利用しているにも関わらず、CRMシステムへの登録が刷新前のBシステムのままになっている場合です。
この場合、登録内容が正確でないため、顧客への適切なシステム改善提案などができません。登録を見直すか、対応していない場合は、別のCRMシステムの導入を検討しましょう。
営業がCRMにデータを入力しない
営業がCRMシステムに必要なデータを入力しない場合があります。この場合の課題は2つです。1つ目は入力項目数や内容が多すぎること、2つ目は入力をするインセンティブがないことです。
CRM分析をする上で必要な情報を絞り、使用用途の営業への伝達が重要です。「使うかわからないけど、とりあえずデータを取る」というのは、営業の負担を増やすだけなので避けましょう。
また営業の入力内容を定期的に全体集会で読み上げるなど、「データを入力しなければ評価を下げられる」ようなインセンティブを設けることも重要です。
また必ず入力してほしい項目には、システム側で必須項目設定にするのも有効な手段でしょう。
データクレンジングができていない
分析に使用するデータが適切な形式になっていないため、分析ができない場合があります。数値型データであるのに、テキストデータで登録されている、IDの頭に0がついているものと、ついていないものがある、などがよくある例です。
このようなデータの不整備を予防するために、データクレンジングが必要です。データクレンジングすることで、正常に分析ができるのはもちろんのこと、分析の処理速度が向上するなどのメリットが多数あります。
CRM分析が注目される背景
顧客体験を重視しなければ、企業が成長できなくなったことを背景に、CRM分析が重視されています。
世界的なビジネスモデルの転換
技術革新に伴い、企業のビジネスモデルがモノを売って完了する『モノの売り切りモデル』から、顧客との関係性を持続的に維持し、定期的に売り上げを回収する『リテンションモデル』へ転換しつつあります。
リテンションモデル台頭の背景には数多くの要因がありますが、各要因が相乗的に絡み合い押し返せない大きなトレンドとなっているため、各企業で早急な対応が必要です。リテンションモデルを後押しする要因は大別すると以下4つの社会的な変化があります。
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安価なCRMシステムの登場によりCRM分析がやりやすくなった
リテンションモデルでは、既存顧客の解約率の低下が至上命題であり、LTV(顧客生涯価値)の最大化が求められます。
LTVの最大化にはCRMシステムの活用が必要ですが、従来のオンプレ製品(自社にサーバーを構えるシステム形態)は高価格であったため、安易に導入ができませんでした。
しかし昨今では、CRMシステムのクラウド化(自社サーバを持たなくてよい)を背景に、サービスが低価格で提供されるようになりました。
LTVに必要なCRMシステムが安価に利用できるからこそ、世界中で導入が進み、効率的なCRM分析手法が模索されています。
CRM分析で顧客それぞれに適した施策を
CRM分析は顧客管理ツールを活用した分析手法です。性別や年代など属性ごとの購買行動を分析し、グループ分けを行うことでそれぞれに適した施策を打てるようになります。
また繰り返しの分析によって、施策の評価や季節や流行による変化を捉えられ、継続的で効果的なアプローチが可能になります。
CRM分析で顧客の購買行動を的確に把握し、効率的な施策を行うことで利益の最大化を目指しましょう。
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