勤怠管理における不正打刻を防ぎたい、セキュリティを強化したいと考えているならば、生体認証に対応した勤怠管理システムがおすすめです。
本記事では、指紋認証をはじめ生体認証に対応した勤怠管理システムの種類やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
おすすめの製品についても紹介するので、導入検討にお役立てください。
生体認証対応の勤怠管理システムとは
生体認証対応の勤怠管理システムとは、個人によって異なる身体的特徴を使って打刻を行うシステムです。指紋や静脈、顔などの生体情報のデータをシステムに事前に登録し、打刻時に照合します。
ICカードのように紛失したり忘れたりするリスクもなく、生体認証で打刻した勤怠情報はシステム上で管理され、労働・残業時間を自動で把握、給与計算ソフトとの連携もできるなど、勤怠管理業務の効率化にも役立ちます。
PC打刻やICカード打刻に比べ高度なセキュリティ環境を実現できるため、金融機関や医療機関などを中心に導入が進んでいます。
また顔認証などを用いれば、手袋をしていたり両手がふさがっていても打刻できるため、建設業などでも利用されています。
指紋認証から進化する生体認証
生体認証といえば、真っ先に指紋認証を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?実際、スマートフォンをはじめ多くの場面で活用されており、認知度も導入率も他の生体認証よりも高い割合を占めています。
しかし、生体認証は指紋認証だけではありません。指紋よりも精度の高い静脈認証や、さらには「虹彩」(=眼球の色がついている部分)を用いて本人認証を行う方法も登場しています。
そんな生体認証ですが、2024年に「少ないサンプル数で評価できる新しい生体認証精度評価方法」がISOなどの国際規格として発行されました。この規格により、短いサイクルで生体認証装置の性能改善が行えるようになり、今後はさらに精度の高い生体認証装置を利用できることが期待されます。
生体認証対応の勤怠管理システムを導入するメリット
生体認証対応の勤怠管理システムを導入するメリットを紹介します。
代理打刻など不正を防止できる
生体認証なら、代理人による不正な打刻をほぼ100%防げるので、正確な勤怠管理が可能になります。
タイムカードやICカードの場合、本人に代わって別の者が打刻するケースが決して少なくないのが実態です。しかし近年は働き方改革や労働基準法の改正などもあり、厳密な勤怠管理が求められるようになっています。
不正打刻に対してより厳格に勤怠を管理したい場合は、生体認証対応の勤怠管理システムが適しています。
忘れ物や紛失のリスクがない
ICカードによる打刻の場合、ICカードを忘れると打刻できなかったり、紛失したりするリスクがあります。
また、パスワード認証であれば、パスワードを忘れてしまうことも。
このような場合「打刻ができない」というだけではなく、ICカードの盗難やパスワードの漏洩によって情報が外部に漏れてしまう可能性もあります。
生体認証であれば、ICカードやパスワードのように管理の心配をする必要がありません。
生体認証の種類
生体認証には、大きく分けて4つの種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
指紋認証
指紋認証はスマホの画面ロック解除などでも活用されている認証方法です。
比較的安価で導入が可能ですが、 手荒れや乾燥、また手が濡れていたりするなど状況によっては読み取れない場合があります。
【メリット】
- 設置機器が比較的安価で小型
【デメリット】
- 接触(タッチ)での認証のため不衛生
- 手荒れなど皮膚の状態によっては読み取り不可
- 偽造リスクが相対的に高い
【おすすめの企業】
- コストを抑えて生体認証を使いたい
静脈認証
静脈認証とは、近赤外線を透過させて静脈の血流パターンを読み取り、照合を行う方法です。
【メリット】
- 偽造が困難
- 認証精度が高い
- 非接触で使える
【デメリット】
- 設置機器が高額になりがち
【おすすめの企業】
- コストがかかっても高いセキュリティで勤怠管理を行いたい
- 指紋認証の感覚で非接触で認証を行いたい
なお、静脈認証には、指先の静脈で行う「指静脈認証」と、手のひらの静脈で行う「手のひら静脈認証」の2つのパターンがあります。
指静脈認証は指紋認証と比べ、認証精度が高く手荒れなどの皮膚の状態にかかわらず読み取ることができます。また、指の第二関節部分での認証になるため、機器が小型です。
手のひら静脈認証は、指に比べて静脈の数が多いため、さらに高精度な認証が行えます。また、認証速度も高いのもポイントです。
顔認証
顔認証は、利用者の顔情報をシステムに登録し、打刻時に顔を撮影して認証します。スマホのロック解除などでも使用しているケースもあるので、イメージがしやすいでしょう。
【メリット】
- スマホやタブレットを使えば専用の設置機器が不要
- 非接触で使える
- 従業員の心理的抵抗が少ない
【デメリット】
- 認証に時間がかかるため、大人数での利用には不向き
- 暗い場所では使用できない
【おすすめの企業】
- 出退勤時の打刻が混み合わない(少人数・従業員によって出退勤の時間差がある)
- 専用機器ではなくPCやタブレットなどを使いたい
虹彩認証
虹彩認証とは、人間の「虹彩」(=眼球の色がついている部分)を用いて本人認証を行う仕組みです。虹彩は2歳からずっと変わることがなく本人性を担保できることから、虹彩認証は「最もセキュアな生体認証技術」とも言われています。
【メリット】
- 認証精度が高い
- 非接触で使える
【デメリット】
- 設置機器が高額になりがち
- カラーコンタクトなど虹彩を覆ってしまうと使用不可
【おすすめの企業】
- セキュリティ・不正打刻の防止が最優先
生体認証機能を利用する際の注意点
生体認証機能を利用する際の注意点を3点紹介します。
外出先や出張先からの打刻はできない
専用機器で打刻を行う必要があるため、基本的に外出先や出張先からの打刻ができません。社員の外出や出張の多い企業、在宅ワーク・テレワークなどを導入している企業は、勤怠管理の仕方を工夫しなければいけません。
例えば勤怠管理システムには、スマートフォンやタブレット端末で打刻できるものが多くあります。これらと生体認証を組み合わせることで、ある程度は勤怠管理の正確性を保つことができるでしょう。
近年はモバイル端末から、生体認証ができるシステムも登場しています。環境に合ったシステムを柔軟に選ぶことが大事です。
他の打刻方法に比べてコストが高い
生体認証に対応した勤怠管理システムは、タイムカードやICカードに比べ、初期にかかるコストが高くなりがちです。生体認証の種類にもよりますが、設置機器は1台数万円程度かかります。
当然、導入する拠点が多ければ、それだけ初期費用はかさむことになります。
「生体認証は使いたいけど、コストで躊躇してしまう」という方は、タブレットのレコーダーアプリによる顔認証を検討してみるのもおすすめです。内蔵カメラを用いるため導入費用は安価で済みます。
従業員への丁寧な説明が必要
生体認証はコンプライアンスやセキュリティに優れていますが、従業員の中には心理的な抵抗を感じる方もいるかもしれません。
特に自身の生体情報をシステムに登録することは、プライバシーの観点から敏感になりがちです。
自社・製品のセキュリティ環境を確認したうえで、従業員にも丁寧に説明することを心がけましょう。
生体認証対応の勤怠管理システムおすすめ5選
生体認証に対応しているおすすめの勤怠管理システムを5製品紹介します。
製品名 | 指紋認証 | 静脈認証 | 顔認証 | 虹彩認証 |
KING OF TIME | ◯ | ◯ | ◯ | ‐ |
Touch On Time | ◯ | ◯ | ◯ | ‐ |
RecoRu | ◯ | ◯ | ‐ | ‐ |
コレクトタイムナビ | ‐ | ◯ | ‐ | ‐ |
ICタイムリコーダー | ‐ | ‐ | ‐ | ◯ |
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※株式会社ヒューマンテクノロジーズ(2024年4月時点)
初期費用 | 0円 |
基本料金 | 月額330円/人 |
指紋認証 | 2万0,900円/台 |
指静脈認証 | 3万6,300円/台~ |
顔認証 | 7万7,000円/台~ |
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※株式会社デジジャパン(2024年4月時点)
初期費用 | 0円 |
基本料金 | 月額330円/人 |
指紋認証 | 10万4,280円/台 |
指静脈認証 | 4万1,250円/台 |
顔認証 | 月額110円/人 |
RecoRu
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RecoRu(レコル)は月額一人110円という低価格で全機能を利用できます。追加費用なしでバージョンアップや新機能を受けられ、運用・サポート費用も不要です。電話やメールでの無料サポートも提供しており、導入から運用まで安心です。
ICカード、スマートフォン、生体認証、PCやタブレットを利用した打刻など、多様な方法で勤怠管理が可能です。外出先や現場からの打刻も可能で、Slack経由での出退勤管理もできるため、さまざまな働き方に柔軟に対応します。
クラウド人事労務ソフトや給与計算ソフトなどとAPIやCSVファイルを介してデータ連携が可能です。これにより、手作業によるデータ入力から解放され、利用者の作業効率が大幅に向上します。
初期費用 | 0円 |
基本料金 | 月額110円/人 |
指紋・指静脈認証 | 23万1,000円 |
コレクトタイムナビ
- 手のひら静脈認証で不正打刻を防止
- 1秒で打刻可能、行列を防げる
- オプションで体温測定も同時に
コレクトタイムナビは製造業・工場に最適な、手のひらの静脈認証で打刻する勤怠管理システムです。本人確認により不正打刻を防げ、静脈のスキャンにかかる時間は1秒と短時間で打刻できるため、始業・終業時の行列を防げます。
またオプションを付ければ打刻と同時に手首で体温測定もでき、体温が一定以上ならアラートが表示され、管理者は検温結果の確認も可能です。手のひらをかざす部分には抗菌・抗ウイルス加工が施され、ICカードなどが不要のため、物を持ち込めない製造業・工場におすすめです。
初期費用 | 11万円(設置費) |
基本料金 | 月額5,000円(固定)+220円/人~ |
手のひら静脈認証 | 3万8,500円 |
ICタイムリコーダー
- 虹彩認証が使える数少ない製品
- 防止やメガネ着用でも打刻できる
- 1兆分の1の本人を認識することが可能
クラウド型の勤怠管理システムであるICタイムリコーダーは、虹彩認証システム「イリアス」を使って虹彩認証での打刻が可能です。
帽子やメガネ、顔が覆われた作業着を必要とする現場でも、瞳の虹彩で特定の人物を判別できるため、現場作業や医療機関などにおすすめ。
なお両目での虹彩認証は、1兆分の1の本人を認識することが可能なので、不正打刻などセキュリティ・コンプライアンス強化も期待できます。
初期費用 | 0円 |
基本料金 | 月額200円/人~ |
虹彩認証 | 要問合せ |
生体認証で、正確な勤怠管理の実現を
生体認証に対応している勤怠管理システムの導入は、不正な打刻の防止や勤怠管理にかかる時間や手間の削減など、多くのメリットがあります。
タイムカードやExcelでの勤怠管理に比べるともちろんコストがかかりますが、正確な勤怠管理とより働きやすい職場の実現には欠かせません。
生体認証に対応している勤怠管理システムの注意点をしっかりと把握し、自社に合った勤怠管理システムを導入しましょう。
以下の記事では生体認証をはじめ、おすすめの勤怠管理システムを一挙に紹介しています。勤怠管理システムの詳しい選び方も解説していますので、あわせてご覧ください。
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勤怠管理システムは製品によって特徴や機能もさまざま。「どの製品を選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。
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