エクセルを使って会計帳簿を作成する方法について解説します。エクセルは多くの企業が導入しているソフトウェアであり、コストを抑えて会計帳簿を管理したい場合におすすめです。
しかし一方で、会計ソフトの利用が主流となっている昨今において、エクセルを使うデメリットや注意点もたくさんあります。
そこで本記事では、会計帳簿をエクセルで作成する方法を解説するとともに、会計帳簿をエクセルで管理するメリットやデメリットもわかりやすくまとめました。
「会計帳簿をエクセルで作成する方法を知りたい」
「会計帳簿をエクセルで管理したいが、実際に運用できるだろうか」
このような悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
エクセルで帳簿を作成する方法
まずは、エクセルで帳簿を作成する方法から見てみましょう。エクセルで帳簿を作成するには、以下の4つのステップを踏むとスムーズに進められます。
〈エクセルで帳簿を作成する4つのステップ〉
- 業務に応じたフォーマットを作成
- 勘定科目と書く見出しを設定
- 計算式を設定
- 運用を開始
1.業務に応じたフォーマットを作成
まず、どのような帳簿を作成するかを決め、業務に適したフォーマットを考えます。
総勘定元帳や現金出納帳、売掛帳など、必要な帳簿をリストアップし、既存のテンプレートをアレンジして活用するのもおすすめです。
エクセルの魅力は、業務内容や必要なデータに合わせて入力項目をカスタマイズできる点です。多くのフォーマットが展開されているため、自分の業務に合ったものを選んでカスタマイズしてみるのも良いでしょう。
2.勘定科目と書く見出しを設定
次に、帳簿に記載する勘定科目を設定します。例えば現金の総勘定元帳を作成する場合、以下のような見出しを作成することが一般的です。
日付 | 取引の生じた日付 |
相手科目 | 取引の相手方の勘定科目(売上や売掛金など) |
借方 | 借方に記載する金額 |
貸方 | 貸方に記載する金額 |
残高 | 現金の残高 |
摘要 | 取引の詳細内容や理由 |
上記のような項目を設定しながら、エクセルのシートを構成していきます。
3.計算式を設定
次に、エクセルの計算機能を利用して、残高を自動的に計算できるようにします。残高の列には次のような数式を設定します。
〈数式の設定例〉
= 前回の取引残高 + 今回の取引における借方金額 – 今回の取引における貸方金額
これにより毎回手動で計算する手間が省け、帳簿の残高と実際の残高を簡単に照らし合わせられるようになります。
4.運用を開始
エクセルでの準備が整ったら、実際に帳簿を運用します。運用開始後は毎月の区切りで記入内容を確認し、正確性を保つことが大切です。
特に、総勘定元帳の内容を定期的にチェックし、必要に応じて修正を加えましょう。
エクセルで帳簿をつけるメリット
ここからは、エクセルで帳簿をつけるメリットをご紹介します。エクセルで帳簿をつけるメリットは主に以下の通りです。
- 費用を抑えられる
- カスタマイズ性が高い
- データの互換性が高い
費用を抑えられる
エクセルは多くの企業で導入しているソフトウェアであり、すでに導入済みであれば新たにソフトウェアを購入する必要がありません。
会計ソフトを導入する場合は初期費用や月額料金が発生しますが、エクセルを使えばこうした導入コストが発生しません。ライセンス料や初期投資が不要で、既存のパソコン環境を活かして帳簿をつけられます。予算の少ない小規模事業者にとっては、大きなメリットであるでしょう。
カスタマイズ性が高い
カスタマイズ性が高いこともエクセルならではのメリットです。
エクセルでは業務のニーズに応じて自由にフォーマットを変更できます。たとえば、特定の取引に必要な列を追加したり、独自の計算式を設定したりすることができます。企業ごとに異なる会計ルールや業務プロセスに合わせて、帳簿のレイアウトや内容を調整できます。
そのため、一般的な会計ソフトでの処理が難しい場合はエクセルを検討してみても良いかもしれません。
各事業者の特色を反映させやすく、必要な情報を一目で把握できる点がエクセルの魅力です。
データの互換性が高い
エクセルはメジャーなソフトウェアであり、多くのシステムとの互換性があります。そのため、他のデータベースやツールとの連携がしやすいこともメリットです。
たとえば、売上データを他のシステムからエクセルにインポートしたり、エクセルから別のフォーマットのデータにエクスポートしたりすることが可能です。
データを社内外で共有する際も、エクセルファイルをメールで送るだけで簡単に共有できます。また、新しいパソコンに買い替える際も、エクセルファイルであれば問題なく移行できるでしょう。
エクセルで帳簿をつけるデメリット
一方で、エクセルで帳簿をつけるデメリットもいくつかあります。最近では誰でも簡単に使える「会計ソフト」の利用が主流となっています。
そのため、導入の際は以下も踏まえて「本当にエクセルで運用できそうかどうか」をじっくり検討してみましょう。
- 管理に手間がかかる
- ケアレスミスが起こりやすい
- 属人化のリスクが高い
- 法改正への対応が大変
管理に手間がかかる
エクセルはあくまで表計算ソフトであり、会計に特化したソフトではありません。そのため、必要な帳簿フォーマットを一から作成する手間がかかります。
特に複数の帳簿を管理する場合は手動での更新が必要となり、労力が増えてしまうことがあります。帳簿の数が増えるほど管理の手間がかかり、必要な情報を迅速に取得するのが難しくなるリスクがあります。
ケアレスミスが起こりやすい
エクセルを使用する場合、会計ソフトと比べると手動での入力が多くなります。そのため、計算ミスや転記ミスが発生する可能性が高くなります。
たとえば、数値を誤って入力したり、必要な計算式を忘れたりすると、会計報告書の信頼性が損なわれてしまいます。エクセルの関数を使って一部を自動化することもできますが、それでも手動での入力が必要な箇所はあるため、注意が必要です。
属人化のリスクが高い
属人化のリスクが高いこともデメリットです。
複雑な関数やマクロを使用した場合、担当者が変わった際に他の人が扱えないリスクがあります。特に経理業務に詳しくない人には難易度が高く、うまく使いこなせない可能性も。
そのため帳簿を管理する担当者が変わった場合、引き継ぎがスムーズに行えないリスクがあります。また、担当者が不在の際には、帳簿の運用が止まってしまうかもしれません。
法改正への対応が大変
帳簿をエクセルで運用する場合、法改正への対応が大変です。税制や会計ルールの改正があっても、エクセルで作った帳簿は自動的にはアップデートされません。
自社で計算式の修正を行わなければならず、設定変更に大きな手間と労力がかかります。法改正が頻繁に行われる場合は帳簿の更新も改正後の内容に合わせる必要があり、業務が煩雑になりがちです。
長年エクセルを使い続けていると、「エクセルのマクロを組み直す必要があるが、前任者が退職済みで修正方法がわからない」といった状況に陥るリスクもあります。
会計・帳簿の管理はエクセルよりも会計ソフトがおすすめ!
エクセルの帳簿作成はカスタマイズ性が高いところが魅力ですが、労力を踏まえると会計ソフトがおすすめです。
最近では低価格で使えるクラウド型のソフトも増えているので、費用相場を踏まえて検討してみることをおすすめします。
料金だけでなく、人件費や費用対効果を踏まえて検討することがポイントです。
- 個人事業主向け会計ソフトの費用相場
- 法人向け会計ソフトの費用相場
個人事業主向けのものと法人向けのものに分けて解説するので、参考にしてみてください。
個人事業主向け会計ソフトの費用相場
個人事業主向けの会計ソフトの費用相場は、クラウド型の場合で、月額1,000円から4,000円程度となっています。一方、インストール型の初期費用は1万円から5万円程度です。
コストを抑えたい場合は、月額1,000円前後のものや、初期費用が1万円前後のものを選ぶとよいでしょう。
無料の会計ソフトもありますが、金融サービスとの連携機能や請求書発行機能などが欠けていることが多く、動作が遅くなる傾向があります。月額1,000円程度の有料会計ソフトであれば金融サービスとの連携が可能で、操作性も高い製品が多いです。
業務効率化を図りたいのであれば、有料ソフトを導入することをおすすめします。
法人向け会計ソフトの費用相場
法人向けの会計ソフトの費用相場は、クラウド型で月額2,500円から数万円程度。インストール型の場合、初期費用は3万円から十数万円かかります。
中には月額10万円以上、初期導入費用が数百万円に達するものもありますが、どちらかというとERPに近い機能を持つことが多いです。
法人向けのソフトは、業種や連携サービス、利用するユーザー数によってプランが異なり、費用も変わります。ここでは小規模法人から中小企業向けの会計ソフトに焦点を当てていますが、それでも月額3,000円程度は見込んでおくべきです。
エクセルの帳簿に関するよくある質問
最後に、エクセルの帳簿に関するよくある質問をまとめました。
- エクセルで現金出納帳を作成できる?
- エクセルは会計ソフトの一種?
エクセルで現金出納帳を作成できる?
エクセルを使用して現金出納帳を作成することは可能です。必要な項目を入力して、期首残高を記入し、差引残高の計算式を設定することで作成できます。ただし、エクセルと帳簿に関する知識がなければ、使いこなすことは難しいかもしれません。また、エクセルで管理する場合、会計ソフトのようなレポート機能はないため、定期的に見直すようにしましょう。
エクセルは会計ソフトの一種?
エクセルは表計算ソフトであり、会計専用のソフトではありません。会計専用のソフトとは、会計業務に必要なフォーマットが初めから含まれたソフトのことです。エクセルで会計を管理する場合、管理表を一から作成する必要があります。
エクセルでの帳簿が大変だと感じる場合は会計ソフトがおすすめ
エクセルにおける帳簿の管理方法について解説しました。エクセルによる帳簿作成はコストがかからない点やカスタマイズ性が高い点が魅力です。しかし、手間や負担が大きく、ミスのリスクも高いです。
エクセルでの帳簿管理が大変だと感じる場合は、会計ソフトの導入を検討すると良いでしょう。会計ソフトを利用すれば入力作業が自動化され、リアルタイムで簡単にデータを共有できます。業務が効率化され、従業員はより生産的な業務に集中できるようになります。
次の記事ではおすすめの会計ソフト各製品の特徴や料金を比較しています。会計ソフトの導入を検討するなら、ぜひあわせて参考にしてください。
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