個人事業主から法人への転換、事業形態の変化や税理士からの勧めなど、さまざまな理由から会計ソフトを乗り換えるユーザーは少なくありません。
乗り換える際は、適切なタイミングでデータの取り扱いに注意しながら作業を進める必要があります。そこで、この記事では会計ソフトの乗り換え方法や具体的なデータ移行手順、乗り換えしやすいソフトの詳細情報について解説しました。
会計ソフトの乗り換えで迷っていることがあれば、ぜひ参考にしてださい。
会計ソフトを乗り換える適切なタイミング
会計ソフトを乗り換える理由は人や企業によって異なりますが、適切な乗り換えのタイミングとしては以下のような事項があったときとされています。
個人事業主が法人化するとき
個人事業主から法人化する際は、必要な会計ソフトの機能が大きく変わるため、乗り換えのタイミングとして適切です。
法人会計では法人税や消費税の申告方法や財務諸表に記載する事項が異なっています。そのため、個人事業主向けの青色申告に特化したソフトでなく、複雑な税務処理や全体の決算処理がしやすい法人向け会計ソフトが必要になります。
法人なりする前に担当税理士と相談して、取引先を引き継げたり、自社の使っている金融サービスと連携できたりするソフトを探して乗り換えると、その後の記帳や会計処理がスムーズになるでしょう。
今まで使っていたソフトのサポートが終了したとき
使用している会計ソフトのサポートが終了すると、今後の更新やサポートが受けられなくなるため、問題が起こったときに対処の術がありません。
過去のデータや財務諸表を適切に管理できなくなってしまうと、将来的にトラブルが発生する可能性があります。そのため、サポート終了前に早く新しいソフトへの乗り換えを検討すべきでしょう。
サポート終了時は従来まで使っていた会計ソフトのメーカーが、乗り換えを推奨できるソフトを紹介していることが多いです。
税制・法改正や会計基準が変更されたとき
消費税率や会計基準が変更されたときも、乗り換えにちょうどよいタイミングです。基準が変わるため、従来までのソフトもアップデートが必要であり、費用や手間の兼ね合いから新しい会計ソフトに移行した方がお得になることがあるからです。
とくにインストール型の会計ソフトを使っていた場合、税制・法改正のタイミングでクラウド型に乗り換えるユーザーが多いです。
インストール型の会計ソフトで、法改正や機能の追加アップデートをおこなうと数万円程度の費用が掛かります。クラウド型は自動で税制・法改正に対応し、伴う費用も掛からないため、クラウド型に移行した方が法改正対応に掛かる費用は安く済みます。
クラウド型に移行したいと考えていたユーザーにとって、乗り換えやすいタイミングとなります。
事業の成長や変化で求める機能が変わったとき
事業成長に伴い会計ソフトに求める機能が変わる場合があります。事業規模が拡大し、管理会計の重要度が増した場合、より複雑な指標管理機能やレポート機能を備えたソフトが必要になるでしょう。
また異種業種への進出や合併などで業種が変わることでソフトに求める機能が変化することもあります。会計ソフトのなかには、特定の業種に特化しているものや連携できるサービスが豊富なものもあります。
従来まで使っていたソフトだと事業の変化、成長に対応できないと考えた場合、求める機能や連携サービスがある会計ソフトに乗り換えるのは自然なことです。乗り換えに最適なタイミングといえるでしょう。
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会計ソフトを乗り換える3つの方法
会計ソフトを乗り換える方法としてはおもに以下の3つが挙げられます。
担当の税理士や会計士へ移行を依頼する
会計ソフトの乗り換えの際、担当の税理士や会計士にデータ移行や導入支援を依頼する方法があります。
税理士は税制に精通し、さまざまな会計ソフトの知識を備えているため、スムーズに移行作業を進めることが可能です。また、税務申告に必要なデータの整合性を確認し、エラーを未然に防ぐこともできます。
別途料金が掛かりますが、自社の要件やこれまでの経理事情を把握した上で作業を進めてくれます。移行作業に自信がない、時間がないユーザーは担当税理士に確認してみてもいいでしょう。
乗り換え先のソフトのサポートを利用する
会計ソフトメーカーには乗り換えを支援するサポートサービスを置いているメーカーがあります。このサポートを利用するのも一つの方法です。
サポート内容は開始残高の登録やデータのインポートまでの作業を代行してくれるものから、電話によるトラブルシューティングを受け付けているものまでさまざまです。
また、依頼するユーザーが個人事業主か法人か、規模が大きいか小さいか、どこまでサポートが必要かによって、かかる料金や対応範囲が異なります。
税理士や代行サービスに依頼するよりも手軽なうえに、サポート範囲によっては無料で頼むこともできます。一部作業を代行して欲しい、トラブルがあった時に頼れる先が欲しい場合、お勧めの方法です。
自力でデータを出力・入力して移行する
多くの会計ソフトはデータ移行、乗り換えの手順についてホームページ内で説明しています。そのため、自力でデータを出力して移行する方法をとってもいいでしょう。
ただ、インポート、エクスポートの作業や勘定科目の調整などにどれくらいの時間が掛かるか?工数や人員が必要か?を確かめてから作業を進める必要があります。
しっかり計画だてて乗り換え作業を進めることができれば、余計な費用や間に挟まる人もいないため、最も手軽な方法といえるでしょう。
会計ソフトを乗り換える際の注意点
会計ソフトはソフトの種類やどのようなタイミングで乗り換えるかによって、注意するポイントが変わっていきます。乗り換える際は以下の点に注意しましょう。
乗り換え予定のソフトはデータ互換性があるか?
会計ソフトを乗り換える前に、現在使用中のソフトと新しいソフトがどれくらいデータ互換性をもっているかは重要です。そのままデータをインポートできる互換性の高い会計ソフトであれば、移行作業がスムーズに進められます。またフォーマットに合わせた加工が必要な場合でも、乗り換え先のサポートやガイドに加工方法がまとめてあれば比較的かんたんにインポート形式にできる筈です。
互換性のないソフトでもデータ変換システムを使ったり、手入力で新しい会計ソフトに仕訳データを入力したりといった方法を取ることは可能です。ただ、どうしても時間や手間などが掛かってしまうため、どの程度のデータ互換性があるかは注意が必要です。
税理士とデータ連携できるソフトか?
税理士との連携は、日々の会計業務や税務申告を円滑に進める上でかなり重要な事項です。新しい会計ソフトが担当税理士との情報共有や、データ連携ができる製品か確認しておきましょう。とくにクラウド型の会計ソフトはリアルタイムでデータを共有できるため、連携できる製品であれば税務申告や帳簿管理がスムーズになります。
顧問税理士や担当先の税理士事務所に、乗り換え予定の会計ソフトと連携できるか?推奨している会計ソフトはあるか?など相談してから、乗り換え作業を進めるといいでしょう。
決算前、決算後のどちらに乗り換えるのか?
会計ソフトの乗り換えタイミングも大きなポイントです。決算前に乗り換えるのか、決算後にするかによって移行の難易度や影響が変わります。
一般的には、年度末や四半期決算終了後に乗り換えをおこないます。システムを乗り換える際、過去の残高データが確定している方がデータの整合性を保ちやすいからです。ただ、決算とシステム移行が重なるため、経理の現場が忙しくなる可能性も高いです。
そのため繫忙期を避けて乗り換えたい場合、あえて決算時期でないタイミングに移行するケースもあります。自社の状況から、乗り換えタイミングを計りましょう。
乗り換え費用や工数はどれくらいかかるか?
会計ソフトの乗り換えには、新しいソフトの購入費用や移行作業に要する人件費などの費用が掛かります。特に別途、乗り換え代行サービスを依頼する場合、その費用も計上しなければなりません。
また、データ移行にかかる時間も考慮が必要です。短期間での移行を試みると、作業ミスが発生する可能性があります。通常業務との兼ね合いや、並行して記帳する場合の作業時間を含めて計画をたてないと、作業効率が著しく落ちたり、余計な費用が掛かってしまいます。
かけられる費用や工数をあらかじめ決め、スケジュールに注意しながら乗り換えることを勧めます。
会計ソフトの乗り換え・データ移行手順【インポート・エクスポート】
会計ソフトを乗り換える際に詰まりがちなデータのエクスポート、インポートなどデータ移行の手順について解説します。
会計ソフトのデータ移行手順
- データの移行準備をおこなう
- 古い会計ソフトのデータをエクスポートする
- 移行データを加工・調整する
- 新しい会計ソフトにデータをインポートする
- 勘定科目や設定、ルールを合わせる
- 古い会計ソフトのデータ保管方針を決める
1.データの移行準備をおこなう
基本設定をする
乗り換える予定の新しい会計ソフトとプランを選定できたら、データ移行前にすぐに作業できるように、アカウント登録や初期設定を済ませておきましょう。会計年度や科目、税区分などを設定します。銀行口座やカードの連携設定なども済ませてから、移行作業に移ります。
当期の開始残高資料と要件の確認
移行先の新しい会計ソフトでサポートされているデータ形式や項目を確認します。データの加工や編集の必要可否を認識してから、作業を進めましょう。また当期開始残高の設定が必要なため、前期残高試算表や当期貸借対照表などの資料も準備するといいでしょう。
2.古い会計ソフトのデータをエクスポートする
エクスポート形式の選択
移行元の古い会計ソフトからエクスポートする際は、インポート先の形式に合わせてCSVやExcelなどで出力します。書式などは基本的には汎用形式を選びます。加工する際はいったん加工しやすい形式でエクスポートしてもいいでしょう。
必要データの選択
新しい会計ソフトに移行できるデータを選びましょう。エクスポートできるデータとしては「勘定科目」「補助科目」「開始残高」「仕訳データ」などがあります。新しい会計ソフトの対応形式によって必要なデータは異なるため、仕訳データのみ移行対応している場合は必要なデータだけエクスポートします。
3.移行データを加工・調整する
フォーマットの調整
エクスポートしたデータが新しい会計ソフトに適合するよう、必要に応じてフォーマットを調整します。サンプルファイルを利用して、列の名前や順序、必須項目を確認し、数字なども取り込める方式に加工します。こちらは互換性があり、特に編集の必要が無ければ省いてもいいです。
未登録項目の登録
仕訳データの項目のうち、新しい会計ソフトに未登録の項目があれば、登録しておきましょう。勘定科目など、新規登録が必要になることがあります。
4.新しい会計ソフトにデータをインポートする
開始残高や仕訳データを取り込む
次は新しい会計ソフトのインポート機能を使って、先ほどエクスポート、加工したデータを取り込みます。税額の扱いや取り込む項目を選んで確認し、処理や実行のボタンを押すとデータがインポートされます。仕訳データなどは何期分かに分けてインポートします。
適切にインポートできたか確認
インポート後はエラーメッセージが出ていないか、各種項目ごとにデータが正しく表示されているかチェックします。不備がある場合は再度インポートを行うか、手動で調整しましょう。
5.勘定科目や設定、ルールを合わせる
インポート作業が終わったら、乗り換え先の会計ソフトの設定や移行したデータに誤りがないか確認します。
特に勘定科目や補助科目、取引先の設定などが間違って登録されていることが多いです。合計額や残高、内訳をしっかりとチェックし、適切な内容に修正して設定しましょう。事前に用意した資料なども参考にするといいでしょう。
6.古い会計ソフトのデータ保管方針を決める
乗り換えが完了したら、古い会計ソフトのデータに対する保管方針を決定しましょう。会計データは一定期間を保持することが求められます。これは法令に基づく義務でもあり、将来的な監査や確認のためにも大切です。
データの保管期間や管理方法を明確にし、チーム全体で理解を共有しておくことが安心につながります。過去のデータはCSVとしてダウンロードしておくか、これまでの会計ソフトに残しておくかなど方針に沿って管理します。
乗り換え・データ移行しやすいおすすめ会計ソフト3選
データ移行・乗り換えがしやすいおすすめ会計ソフトを紹介します。移行サポートの情報や互換性のあるデータも掲載しているのでご参照ください。
「マネーフォワード クラウド会計」互換性のある会計ソフト数が多く、自力での乗り換えがしやすい
マネーフォワード クラウド会計は、外部システムとの連携が豊富にとれる会計ソフトです。銀行だけではなく、クレジットカードや電子マネーなど、2,300社以上の金融機関と連携することができます。
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乗り換え代行サポート | ◯(有料) |
移行対象データ | 勘定科目、開始残高、仕訳データ (仕訳データ以外は移行できないソフトもあり) |
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乗り換え代行サポート | – (電話サポートやFAQはあり) |
移行対象データ | 勘定科目、仕訳データ |
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freee会計は、54万社以上の導入実績を誇る信頼度の高い会計ソフトです。他ツールと連携して、業務を効率化できる機能が豊富に搭載されています。
誰でも簡単に操作できるだけではなく、自動入力機能も備わっているため、経理や簿記の知識がない方でも決算書を作成することができます。また、通帳などからソフトへの転記作業がなくなるため、転記ミスを防ぐこともできます。
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データ互換性のあるソフト | 弥生会計、A-SaaS会計、弥生販売、かんたん!販売仕入、販売王、商奉行、売上じまん、わくわく販売管理、Excelや表計算ソフトなど |
乗り換え代行サポート | ◯(1顧問先につき1期分、1回限り無料、以降は有料) |
移行対象データ | 勘定科目、補助科目、開始残高、仕訳データ、固定資産データ (仕訳データ以外は移行できないソフトあり) |
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