4K対応テレビだけでは、4K放送が見られないことをご存じでしょうか?4Kテレビと4K対応テレビの違いや製品の選び方を解説します。
圧巻の映像美を楽しめる4Kとは
フルハイビジョンの4倍の画素数
そもそも「4K」とは「4000」の意味であり、「K」は1000画素を意味する言葉です。具体的には、「横×縦」の画素数が4000×2000前後の高い解像度を持つ映像規格のことをいいます。
2018 年の12月1日から4K放送が開始され、それに伴い4Kに対応したテレビが普及し始めています。4Kは現在主流である2K(フルハイビジョン)の約4倍もの画素数であるため、その分鮮明な映像を楽しめるのです。
「2Kのフルハイビジョンテレビから買い替えるべきか」「2021年の時点で買っても意味がないのでは」と悩んでいる方はこちらの記事をご覧ください。
狭い部屋でも迫力の大画面を楽しめる
4Kの映像は高精細で、画面に近づいても映像に粗を感じにくいです。狭い部屋でテレビ画面との距離が近くても映像がきれいに見えるので、大画面で楽しむことができるでしょう。
テレビ本体の大きさを変えたくない人や、他の家具との調和を考えて50インチ以下のテレビにしたい人でも、4Kテレビの導入で迫力の大画面を楽しむことが可能です。
4Kテレビと4K対応テレビの見分け方
4Kに興味がある方に知っておいて欲しいのは「4Kテレビ」と「4K対応テレビ」の違いです。どちらも「4Kの映像を視聴できるテレビ」ではありますが、その違いはとても重要です。詳しく説明します。
チューナーが内蔵されているかどうか
4Kテレビと4K対応テレビの違いを一言でいえば、4K放送の受信に対応したチューナーが内蔵されているかどうかです。
4Kテレビ
4K放送のチューナーが内蔵されており、外付けのチューナーなしで4Kの映像を楽しむことができます。
4K対応テレビ
4K放送のチューナーを内蔵しておらず、別途外付けの専用チューナーの購入が必要です。あくまでも「4K映像に対応できるテレビ」という括りです。
今から買うならチューナー内蔵型を
これから4K映像を楽しむためのテレビを購入するなら、チューナー内蔵型の4Kテレビをおすすめします。その理由は2つあります。(おすすめのチューナー内蔵型4Kテレビ)
余計な配線の必要がない
内蔵型のテレビは余計な配線の必要がなく、チューナーを置く場所を考えなくてもよいです。テレビまわりをすっきりさせたい方におすすめです。
種類が豊富
2018年に4K放送が本格的に開始されてから発売されたテレビは、どのメーカーでも4Kチューナー内蔵型がほとんどです。種類が豊富なので、自分に合ったテレビを見つけることができるでしょう。
すでに4K対応テレビを持っている人は?
すでに4K対応のテレビを所持しており、これからも使い続けたい人の場合は、外付けの4Kチューナーを購入する必要があります。(おすすめの外付け4Kチューナー)
どのチューナーも4K放送の受信は問題ありませんが、そのほかの地デジやBSなどのチューナーを搭載している製品と、そうではない製品があるので注意しましょう。
テレビメーカーがリリースしている4Kチューナーならば、地デジやBS放送、CS放送のチューナーを搭載しているのでおすすめです。
4Kテレビの必要性
近年のテレビ市場では4Kテレビが台頭してきています。まだフルHDでの放送が多くても、4Kテレビに買い替えた方がよいのでしょうか?4K放送が始まった経緯も併せて見てみましょう。
大画面化に伴い始まった4K放送
ブラウン管テレビから薄型テレビが主流となり、画面の大きい機種が市場に出回るようになったのが4K放送を始めた理由です。フルHDの画素数では、写し出される画面が大きくなると粗が目立ってしまいます。
例えばA4用紙に書いたものをA2サイズに拡大コピーをすると、印刷された画像が粗く見えるのと同じ原理です。画像の再現度は画素数が大きくなるほどよりリアルに近づき、大きく映し出しても粗くなりません。
フルHDはデジタル放送が開始されてから開発が進みましたが、4Kの場合は順番が逆です。ユーザーが大画面のテレビを好むようになったため、4K放送が開始されました。
4K放送への対応は必須?
4K放送は一部有料チャンネルのみで見られていましたが、2019年末からはBSで4K放送が始まっています。現状ではまだフルHD放送が主流ですが、4K放送のチャンネルは今後増えていくでしょう。
ただアナログ放送が地デジに変わったときと違い、フルHDのテレビだと視聴できなくなるわけではありません。今から高画質の4Kに対応するのか・まだフルHDでよいのかは、個人の価値観によって判断が分かれるところです。
また4Kに対応すると一口にいっても、どの程度4K放送を楽しみたいかでも必要な設備は変わってきます。BSで放映されている放送だけ見られればよいなら、従来のBS/CSアンテナと4K対応テレビ・4Kチューナーがあれば十分です。
しかしすべての4K放送やさらに画質の高い8K放送まで見たい場合には、専用の4K8Kアンテナも設置しなければなりません。
4Kテレビの選び方
それでは4Kテレビ(チューナー内蔵型)の選び方を解説します。選択のポイントは人によってさまざまですが、特に注目して欲しい点をお伝えします。
4Kテレビの中でも画質に差がある
現在販売されているテレビは「液晶パネル」と「有機ELパネル」のふたつのモデルがあります。特徴は以下の通りです。
液晶パネル | 有機EL | |
---|---|---|
映像のきれいさ | 普通 | とてもきれい |
料金 | 安い | 高い |
さらに4Kの液晶テレビは「直下型液晶ディスプレイ」と「エッジ型液晶ディスプレイ」の2種類があります。液晶テレビの中でも画質のよさを求めるならば、直下型の液晶ディスプレイがおすすめです。
直下型はバックライトのLEDが全体に配置されているため、画面に明るさのムラが出にくく、高コントラストで精度の高い映像を見られます。
高画質順に並べると、有機EL > 直下型液晶 > エッジ型液晶ディスプレイ です。
アップコンバート搭載なら地デジもきれい
テレビで地上波しか視聴しないため、特に4Kテレビは必要ないと考えている人も少なくないでしょう。
しかし、アップコンバート機能を持った4Kテレビならば、地デジの映像でもフルハイビジョンのテレビより高精度な映像を視聴できます。アップコンバートの特徴は以下の通りです。
機能 | 4Kではない映像を4Kに近い解像度に変換する。 |
---|---|
メリット | フルハイビジョンより綺麗な映像を視聴できる。疑似的に4Kを楽しめる。 |
注意点 | 格安の4Kテレビや、パソコン用の4K対応モニターには、アップコンバート機能が実装されていない場合がある。 |
対応するVODサービスをチェック
インターネット上で配信されている動画を4Kテレビで視聴したい場合は、対応しているVODサービスもチェックしましょう。
近年ではパソコンやスマートフォン、タブレット端末で楽しむストリーミングサービスを、テレビでも視聴できるストリーミングデバイスが多数リリースされています。
Amazon Prime VideoやNetflixなど、4K画質対応のサービスも提供され始めています。テレビによって視聴できるVODサービスに差があるので、自分が見たいサービスに対応した製品を選ぶことが重要です。
スポーツ観戦には倍速駆動モデルがおすすめ
スポーツ観戦など、激しい動きのある映像を楽しみたいならば、倍速駆動(機能)モデルの4Kテレビがおすすめです。
倍速駆動とは、本来は60フレームの動画を2倍の120フレームに変換する機能のことで、一つひとつのフレームの間に補完的にフレームを挿入する技術です。
これによって動画の残像感を低減し、より滑らかで躍動感のある映像を楽しめるようになります。
音質重視派が見るべきポイントは?
映像はもちろん、テレビの音質を重視する人もいるはずです。音質にこだわる人は以下のポイントに注目してみてください。
本体スピーカーが「ドルビーアトモス(Dolby Atmos)」に対応しているか
ドルビーアトモスとは、 テレビ本体のスピーカーから立体音響を実現できる技術で、映画館のような立体音響を体感できます。
本体スピーカーの向きにも注意
低価格の4Kテレビの中には、薄さを重視するためにスピーカーの向きが後ろ向き、あるいは下向きになっている製品もあります。
スピーカーからの音が壁や床にぶつかり、音がこもってしまう原因になるので、購入の際にスピーカーの位置を確認しておきましょう。本体スピーカーが前向きに設計してある製品がおすすめです。
4K放送用のアンテナも忘れずに
チューナーが内蔵されている4Kテレビは、本体のみで4K映像を視聴できますが、テレビだけあれば必ず4K放送を受信できるわけではありません。
4K衛星放送は、従来の地デジやBS放送など区別された新しい放送であるため、4Kに対応したアンテナが必要になるケースがあるので注意が必要です。
従来のBSアンテナとの違い
放送衛星から送られる放送用電波は螺旋(らせん)上に回転しています。これまでのBSデジタル放送やCS放送など右旋(うせん)の電波を使っていました。
しかし、日本で使用できる衛星放送用の周波数は全て使用されているため、4K衛星放送は反対側の左施(させん)が使用されることになっています。
そのため、4K放送を受信するには、家庭にあるアンテナが左施に対応している必要があります。右旋と左旋では視聴できる放送やチャンネルが違うのです。
※右旋・左施とは 放送衛星から発信される電波の回り方のこと。進行方向に向かって右回りに回転する電波が右旋であり、左回りに回転する電波が左旋と呼ばれる。 |
従来のアンテナで見られるのは一部番組のみ
アンテナ | 代表的な放送局 | |
---|---|---|
右旋の4K放送 | 従来のBSアンテナで視聴可 | NHK BS4K、BS 日テレ4K、BS フジ4K |
左旋の4K放送 | 4Kアンテナが必要 | WOWOW、ザ・シネマ 4K、スターチャンネル 4K |
従来のBSアンテナは右旋に対応する放送のみ視聴できるので、新しく左旋で放送される4K映像を受信することはできません。
4Kアンテナであれば、右旋放送と左旋放送のどちらも視聴できます。左旋放送を視聴したい人はアンテナを取り付けましょう。
なお、右旋4K放送の中で4Kの撮影用機材で制作されたテレビ番組を見られるのは、現状ではNHKのみとなっています。ほかの民放BS5局は、BS番組を4Kのレベルに変換処理して放送しているようです。
こちらの記事にあるBS放送の番組一覧表は、右旋放送と左旋放送に分けてまとめられているのでわかりやすいですよ。
設置にかかる費用の相場
4K放送を受信するアンテナは家電量販店やネットショッピングで購入でき、安いものだと5,000円台から買えます。設置費は業者により違いますが、1台のテレビで4K放送を視聴できるように工事をした場合は15,000円くらいが相場です。
アンテナ本体と工事費を合わせると、4Kアンテナを家に取り付けるにはトータルで25,000円以上かかります。家中すべてのテレビで4Kが見られるようにする場合は工事費だけで50,000円以上かかり、基本より3倍もの費用が必要です。
また設置するアンテナで8Kまで対応させる場合は、5,000円程度の追加費用がかかります。8K対応させないと、一部有料放送を含む左旋チャンネルが視聴できません。
4Kアンテナに交換で助成金がもらえる?
左旋の4K放送を見るには、対応するアンテナを設置しなければいけません。しかし一定の条件を満たせば、アンテナ設置工事のための補助金を受け取れる場合があります。
補助金を利用するには3つの条件があります。
- 2017年5月11日以前に、BS・110度CSアンテナが設置されていること
- 対象となるアンテナ設置業者(登録事業者)に依頼すること
- 一般家庭であること
申請する流れは以下の通りです。
- 登録事業者から補助金申請に必要な書類を受け取る
- 必要事項を記入して登録業者に提出する
- 申請が通れば補助金の確定金額が記載された通知が届く
- 本来の工事費用から補助金を差し引いた金額で、アンテナを設置してもらう
おすすめの4Kチューナー内蔵テレビ
おすすめの4Kテレビ(チューナー内蔵テレビ)を紹介します。ほとんどの4KテレビはUltra HD Blu-rayという高画質のブルーレイに対応しています。
ソニーのブラビアシリーズの「KJ-55A8H」は、非常に高精細な映像を楽しむことができ、躍動感のある映像を滑らかに表現できるのが特徴です。
画面のタイプ | 有機EL |
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設置タイプ | 壁掛け |
搭載機能 |
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明るいシーンでは明るく鮮明な表現を、暗いシーンでは明暗のメリハリをつけた表現が可能で、深い黒色と鮮やかな色彩のコントラストを楽しめます。
画面のタイプ | 有機EL |
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設置タイプ | 角度調整可能な回転式のスタンド |
搭載機能 |
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