Youtuberはさまざまなコンテンツで視聴者を楽しませてくれますが、動画内の企画で使ったものを「どこまで経費にできるのか」気になる方も多いのではないでしょうか。
動画投稿のために使うものであれば経費として計上することができ、場合によっては家や車の一部も経費にすることが可能です。
本記事では経費として計上できるもの・できないもの、確定申告が必要になるYoutuberの条件やそのやり方を解説します。
この記事の監修税理士
越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山
YouTubeの動画投稿のために購入したものは経費にできる
事業として売上をあげるために直接使った費用は「必要経費」として認められます。YouTuberの場合は動画投稿が事業となるため、動画投稿のために購入したものは経費計上が可能です。
そこで、経費として認められるには以下の3要素を満たさなければなりません。
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YouTuberの活動と関係があると考えられる場合でも、第三者が納得できるような証拠がなく説明ができないものは、経費計上が認められないので注意が必要です。
YouTuberが経費として計上できるもの
YouTuberは以下に当てはまる支出を経費として計上できます。
- 撮影用機材
- 企画で購入したもの
- 家賃
- 車
- 衣装代
- 水道光熱費
- 通信費
- 交際費
- 広告宣伝費
- 移動交通費
- 外注費
- 出演者への報酬
- その他動画撮影に必要な費用
撮影用機材
YouTuberとして活動する場合、動画投稿には撮影用機材が必要が必要です。そのため撮影用機材はなければ事業ができない、すなわち必要経費であると認められるでしょう。
【撮影用機材の例】
- 編集用のパソコンやソフト
- 動画撮影用カメラ
- マイクやヘッドホン
<ゲーム実況者の場合>
またゲーム実況を行うYouTuberの場合、以下の機材も経費に計上できる可能性が高いです。
- ゲーム機
- ゲームソフト
企画で購入したもの
企画で購入したものYouTuberとして投稿している動画の内容によって、経費として認められる範囲が変わります。
動画撮影用の企画で購入したものは経費として計上できます。
【企画購入品の例】
- 大食い企画でトマト100個
- 夢のような食べ物企画でバケツプリンを作る
- おバカ企画で1トンの花火に一斉に火をつける
- 駄菓子を1万円分買ってみた
- ガチャ企画で100個分購入した
このように、youtubeの企画として購入した食材や材料は経費にすることが可能です。しかし、確実にすべて100%経費にできるというわけではありません。
特に、高額なブランド品などのレビュー動画などは消耗品ではなく資産として残ります。経費計上の際には指摘の対象となる可能性があるため注意しましょう。
家賃
自宅で動画の撮影や編集を行う場合、自宅が仕事場になるので、家賃も経費として認められるケースがあります。
その際には「家事按分」で算出します。家賃の場合、時間ではなく「広さ」で求めた方が良いでしょう。
例えば、家賃12万円1R(25㎡)の半分のスペースを動画撮影・編集だけに使っているとします。その場合は次のような計算で経費を算出すると、月6万円を経費として計上できることになります。
120,000円×50%=60,000円 |
動画の撮影・編集以外にプライベートでも利用する場所だと経費として認められないこともあるので、家賃を経費計上したい場合は仕事とプライベートの場所をしっかり分けるとよいでしょう。
車
動画撮影に車を使用する必要がある場合には、以下の費用も経費にすることが可能です。
【車両費の例】
- 自動車税
- 損害保険料
- 車検代
- ガソリン代
- 駐車代
これらの費用は、自動車の走行距離の割合で算出します。
例えば年間5,000㎞を走行し、そのうちの60%である3,000㎞を動画撮影のための移動で走ったとします。
年間のガソリン代が100,000円であった場合、上野の計算式によって年間60,000円を経費として落とすことができるのです。
10,000円×60%=60,000円 |
衣装代
YouTuberの場合、動画のために用意した衣装やメイクにかかった費用が、経費として認められる可能性が高いです。
洋服代はほとんどの場合、経費になりません。事業のためにスーツや靴を購入した場合でも、経費計上できないのが一般的です。プライベートでも使用するものと判断されるため、多くの場合は税務署に却下されてしまいます。
しかし動画のために購入した衣装、たとえばコスプレ衣装や動画のみで使う特別なデザインの衣装などは、必要経費と考えられます。動画のためにプロのメイクを受けた場合も、経費として計上可能です。
ただし動画とプライベート両方で使う服の場合、YouTuberでも経費として認められない可能性が高いので注意しましょう。
水道光熱費
水道光熱費は家事按分して経費を算出します。
自宅が仕事場であるyoutuberは経費として計上することが可能ですが、水道やガスなどは動画投稿と直接関係がない場合が多く、認められても割合は少ないでしょう。
一方で、電気代は動画を編集したり投稿したりするのに直接必要なので、1日の仕事時間で算出すれば認められやすい傾向にあります。
通信費
動画を投稿するためにネット環境は必須なので経費として認められる可能性が高いですが、プライベート部分とは分けなければなりません。
家事按分で経費を算出し、通信費の場合は仕事をしている時間で決めます。
1日のうち2時間を動画撮影、4時間を動画編集に費やすとします。月額10,000円の通信費を払っている場合は以下の計算式にて、月2500円を経費として落とせることができるのです。
10,000円×25%(=2/24+4/24)=2500円 |
交際費
交際費とは外部との付き合いに際して支出した費用を意味します。
【交際費の例】
- 関係者やYouTuberの仲間などと動画の企画会議を行う際の飲食費
(飲食店ではなく会議室などの場所を借りて打ち合わせをした場合も、会議のために購入した食べ物の費用が計上可能) - 案件を受けるクライアントとの会食や打ち合わせ時の飲食費
- YouTuber活動の関係者と良好な関係を維持するために贈るプレゼント代
動画投稿に関する打ち合わせや接待にかかる費用は、交際費として経費に計上ができます。
経費として確実に認めてもらうため、領収書の裏側に相手の名前や打ち合わせ内容などをメモすると安心です。
広告宣伝費
YouTuber活動の広告・宣伝に要した費用は、広告宣伝費として経費に計上できます。
【広告宣伝費の例】
- YouTube内の動画広告
- Googleのリスティング広告(検索連動型広告)
- TwitterやInstagramなどSNS広告
- 街のビジョン広告
広告宣伝費は間接経費と呼ばれるもので、収入にどれほど影響を与えたか判断が難しい経費になります。しかしYouTuberとして活動するために支出した費用のため、経費計上が可能です。
移動交通費
YouTuber活動のためにかかった移動交通費は経費として認められます。
【移動交通費の例】
- 動画の撮影場所へ移動するためにかかった交通費
- 打ち合わせ場所に向かうための交通費
電車やタクシーなどの交通機関に限らず、自家用車で移動した場合の費用も経費にできます。具体例としてガソリン代や駐車場の利用料金などが挙げられます。
なお電子マネーを利用した場合、通常は証拠が残らないため、経費としての証明が困難です。切符の購入や領収書の発行、電子マネーの利用明細などを用意すると、経費証明がしやすくなります。
外注費
YouTuberとして必要な作業を外部に依頼した場合の報酬は外注費として経費計上が可能です。
【外注費の例】
- 動画撮影・編集の依頼にかかる費用
- 動画で使用する画像・素材の用意にかかる費用
- 動画企画関連の依頼費用
また税理士への確定申告代行報酬など動画制作に関する支出以外でも、事業関連なら経費計上できるケースが多いです。
出演者への報酬
動画の出演者へ支払う報酬も経費にできます。相手が普段からYouTuberとして活動しているかは特に関係ありません。出演者へのお礼・報酬として支払った代金は経費となります。
なお出演者への報酬を経費計上する際は、証拠書類として請求書を発行してもらうと安心です。
その他動画撮影に必要な費用
これまでに紹介した支出以外にも、動画撮影に必要な費用は経費として計上できます。
【その他費用例】
- 撮影場所を装飾するための小道具・大道具
- 撮影用スタジオのインテリア代
- 撮影道具のDIY代
- 動画の企画に関連する取材費
- 勉強・研究のために購入した書籍などの資料代
合理性・客観性・証拠が揃っており、動画撮影に必要な支出だと明確であれば経費となります。
Youtuberの経費に計上できないものとは?
YouTuberが経費として計上できない支出として、以下の例が挙げられます。
【経費にできないものの例】
- 動画と直接的な関係のない飲食代
(仕事の関係者が相手であっても、打ち合わせ目的でないプライベートな食事は経費対象外) - 動画と関係のない相手の贈答品・会食費
- プライベートでも使用する服やメイク道具
(動画のためだけに購入したとはいえないため、経費計上が不可能) - プライベートがメインの旅行代
(動画撮影のために行う移動・宿泊なら経費計上ができるものの、プライベートな旅行のついでに動画撮影を行う場合、経費計上が認められない可能性が高い)
YouTuberとしての活動と関連性が薄い支出や、プライベートの利用割合が高い支出については、経費計上を避けるのが無難です。
経費として計上する際に気を付けるべき3つのポイント
YouTuberが経費計上をする際に気をつけるべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 10万円を超えるものは減価償却
- プライベートでも使うものは家事按分
- 領収書やレシートはとっておく
以上のことに気を付けて、正しく経費計上を行いましょう。
10万円を超えるものは減価償却
購入単価が10万円を超えるものは、購入した年に全額を経費計上することができません。減価償却の処理が必要です。
減価償却とは時間の経過・使用により価値が減少する資産の取得価額を、耐用年数に応じて費用計上する処理をいいます。購入時は資産として計上し、会計期末に費用として振り替えます。
たとえば取得価額50万円・耐用年数5年の撮影機材を購入した場合、減価償却費は以下のとおりです。
50万円÷5年=10万円 |
その年の経費として計上できるのは、減価償却費10万円のみとなります。なお耐用年数が過ぎるまで、もしくは処分するまで毎年、減価償却費の計上を行います。
プライベートでも使うものは家事按分
YouTuber活動と関係する支出であっても、プライベートでも使うものは家事按分が必要です。家事按分とは事業とプライベート部分を合理的に分け、事業部分のみを経費として計上する会計処理を意味します。
YouTuberの支出のうち、家事按分が必要とされやすい費用の例を紹介します。
【家賃】
6万円×10/60=1万円 |
【電気代】
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YouTuber活動に使用している分を合理的に説明できない場合、経費と認められない可能性が高いため、計上を避けた方が良いでしょう。
領収書やレシートはとっておく
領収書やレシートなど、YouTuberとして経費計上した支出の証拠書類はとっておく必要があります。
単にとっておくだけでなく、領収書・レシートの裏に作業内容や企画などをメモしておくと、経費としての信ぴょう性が高まります。
確定申告が終わったあとも、一定期間の保管が必要です。保管期間は確定申告の方法によって、以下のように異なります。
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YouTuberに限らず、個人事業主は上記の期間、資料の保管が必要です。
確定申告が必要なYoutuberの条件
YouTuber活動をしている人のすべてに、所得税の確定申告が必要なわけではありません。YouTuberとしての所得が一定額を超える場合に、確定申告が求められます。
所得条件は本業・副業のどちらで活動しているかによって異なります。具体的な金額は以下のとおりです。
- 本業:所得が48万円を超える
- 副業:所得が20万円を超える
本業と副業、それぞれの場合における条件について解説します。
【本業】所得が48万円を超える
本業の場合、YouTuber活動での所得が48万円を超えたら確定申告が必要です。より細かい条件は以下のようになります。
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この場合は本業YouTuberとして判断されるため、確定申告が必要です。またYouTuberとしての所得は、事業所得として取り扱われます。
【副業】所得が20万円を超える
YouTuber活動を副業として行っている場合、所得が20万円を超えたら確定申告が必要です。正確には以下の条件を満たした場合に、副業YouTuberとして所得税の確定申告が求められます。
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また所得が20万円以下であっても、以下いずれかの条件に当てはまる場合は確定申告が必要です。
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Youtuberは青色申告で節税対策!
確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。このうち青色申告はさまざまな優遇や特例が受けられるため、節税対策に効果的です。
青色申告の6つのメリットや、青色申告で確定申告を行うための手続きについて解説します。
青色申告の6つのメリット
所得には複数の種類がありますが、青色申告ができるのは事業所得と不動産所得のみです。YouTuber活動で得た所得は事業所得に該当するため、青色申告が可能です。
青色申告のメリットとして、以下の6つが挙げられます。
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青色申告はメリットが多く、節税効果が非常に高い方法なのです。
確定申告の手続き
青色申告の際の確定申告は次の順序で行っていきます。
- 必要書類の準備
- 書類の記入・作成
- 確定申告書の提出
確定申告の提出期限は申告年度の翌2月16日~3月15日なので、期日内に提出できるように早めの準備をしていきましょう。
①必要書類の準備
確定申告に必要な書は以下の通りです。
【必要書類】
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所得や控除の内容によって必要書類が増えるケースがあるため、事前に確認することが大事です。
②書類の作成
青色申告をする際には「青色申告決算書」「確定申告書」を作成し、また必要に応じて「控除証明書」を添付しなければなりません。
それぞれの用紙は、税務署の窓口か国税庁のホームページからダウンロードすることが可能です。直接紙の書類に記載する以外にも、確定申告書等作成コーナーで入力して作成する方法もあります。
【青色申告決算書】
青色申告決算書は損益計算書、売上の内訳、減価償却の計算、貸借対照表の計4枚で構成されています。
損益計算書と売上の内訳は年間の経費、年間でどれだけ稼いだかを示す書類で、帳簿を元に作成します。
30万円以上の減価償却資産がある場合、その資産を期間に分けて計上するための書類です。
貸借対照表は自分の資産と負債を記載する書類で、資産は左側、負債と純資産は右側に記載します。
【確定申告書】
また、確定申告書は以下の書類です。
【控除証明書の添付書類】
さらに、社会保険料や生命保険などの控除を受ける場合には添付書類が必要になります。専用書類があるので以下に貼り付けましょう。
③確定申告書の提出
確定申告の提出期間は申告年度の翌2月16日~3月15日、算出された所得税の納付期間も同様です。3月15日が土日と被っている場合、翌月曜日が期日となります。
例えば2022年分の確定申告は、2023年の2月16日~3月15日が期日です。
確定申告を提出する方法には次の3つがあります。
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期日に遅れることがないよう、余裕を持って作業を進めましょう。
難しい場合は税理士に相談しよう
経費を申告する場合には「客観性」「合理性」「証拠」をきちんと揃えて提出してください。
また、youtuberにとってもお得な青色申告ですが、自分で経費を算出するの複雑です。不安な場合には一度税理士に相談してみるのもよいでしょう。
監修税理士からのコメント
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