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確定申告のときのガソリン代の勘定科目は?自家用車の場合や仕訳のポイントについても解説

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最終更新日: 2024年01月29日

車のガソリン代を費用計上することで、節税対策に大きく繋がります。しかし「ガソリン代をどの勘定科目にあてはめればよいのか」「事業で自家用車を使っている場合、費用計上をどのように計算すればよいのか」など悩むことも多いのではないでしょうか。

当記事ではガソリン代の勘定科目に関する解説に加え、記帳のポイント自家用車を使用している場合の計上方法などを解説します。

この記事を監修した税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

ガソリン代の勘定科目は自身にあったものを使用しよう

確定申告におけるガソリン代の仕訳には、決まった1つの勘定科目はありません。事業によって車の使い方や使用頻度が異なるからです。そのため個人の事業実態に照らし合わせて、以下の中から最も適した勘定科目を選択することが重要です。

  • 旅費交通費
  • 車両費(車両関連費)
  • 燃料費
  • 消耗品費

旅費交通費が適している場合

  • 地方に事業所を構えている等で、車を使用することが多い場合
  • 出張が多く、移動に係る経費をまとめて管理したい場合

旅費交通費とは「旅費」と「交通費」等の経費のことで、通常の勤務地以外へ向かうために必要な電車代やタクシー代、宿泊費などの費用を指します。

旅費交通費の科目を使用すると、車の維持費とガソリン代を区別でき、どのくらいの費用を費やしているかが明確になります。しかし電車移動が多い場合等は、ガソリン代と他の交通費が混ざりやすくなるので、地方の会社に適していると言えます。

【4,000円のガソリン代を現金で支払った場合の仕訳例】

借方 貸方
旅費交通費 4,000 現金 4,000

車両費(車両関連費)が適している場合

  • 車の使用頻度がそれほど高くない場合
  • 自動車に関する費用を一元管理したい場合
  • 事業用の車両が1台のみで、費用の重要性がそれほど高くない場合

車両費(車両関連費)とは自動車等を維持、管理するために必要な費用です。具体的には修繕費や車両整備費などが該当します。

車両費(車両関連費)での計上は、自動車関連の費用総額をまとめて管理できる点が大きなメリットです。一方で多くの車両を有し、車関係の費用割合が高い場合や、維持費やガソリン代を個別に把握したい場合は向いていません。

【4,000円のガソリン代を現金で支払った場合の仕訳例】

借方 貸方
車両費(車両関連費) 4,000 現金 4,000

燃料費が適している場合

  • 出張による宿泊費やタクシー代を別で把握したい場合
  • ガソリン代を他の燃料と同様に扱いたい場合

燃料費とは燃料となるもの全般に支払った際に使用する勘定科目で、軽油や灯油、オイル等が該当します。

燃料費を活用することで、車両の維持・管理に用意した費用と、ガソリンの購入に要した費用を別途把握できます

【4,000円のガソリン代を現金で支払った場合の仕訳例】

借方 貸方
燃料費 4,000 現金 4,000

消耗品費が適している場合

  • 車の使用頻度が少ない
  • ガソリン代の支出割合が低い

消耗品費とは10万円未満、もしくは使用期間が短い消耗性のある備品等を購入した際に使用する勘定科目です。一例を挙げると事務用品や日用品の購入費用等が挙げられます。

上記の場合に消耗品費の勘定科目を活用すると、勘定科目の量が少なくなり、帳簿がより見やすくなるでしょう。しかしガソリン代が占める割合が大きい場合は、それだけ重要な費用となるため、別途勘定科目を設けることをおすすめします。

【4,000円のガソリン代を現金で支払った場合の仕訳例】

借方 貸方
消耗品費 4,000 現金 4,000

自家用車を使用している場合のガソリン代も経費にできる

車に関わる勘定科目と仕訳のコツ
画像提供:PIXTA

自家用車を事業にも使用している個人事業主であっても、ガソリン代を経費にできます。

しかし算入できるのはあくまで事業遂行に直接必要な部分であり、自身のプライベートで使用した分を算入してはいけません。そのため事業で使用した分とプライベートで使用した分の割合通りに、費用配分をする必要があるのです。

またガソリン代を確定申告の経費に算入するには、使用の目的や移動状況等の補足情報をメモし、レシートも保存しておくことも大切である点を覚えておきましょう。

経費にできるガソリン代の計算方法

経費に算入できるガソリン代は、業務の遂行に直接必要な部分のみです。つまり全体のガソリン量に対して、どのくらいの割合を事業で使用したかを計算して配分する必要があります。このような配分を「按分(あんぶん)」といい、以下の2つの方法で計算します。

  • 使用日数から計算する
  • 走行距離から計算する

使用日数から計算する

「月に何日車を使用したか」に基いて計算する按分方法です。週間や月間における車の使用日数にムラがない場合は、この方法がおすすめです。使用した日数だけを数えれば良いため、走行距離から計算するよりも容易に按分ができます。

例えば「月30日のうち15日間のみ車を事業に使用する場合」は50%が按分割合になります。仮に年間のガソリン代が50,000円だった場合、25,000円を確定申告の必要経費として算入することが可能です。

走行距離から計算する

毎月の使用日数にムラがある場合は、走行距離から計算する方法が有効です。メーター距離を基準に計算するため、多少複雑になりますが、より正確な数字を出したい方はこちらで計算しましょう。

例えば「年間5,000km分メーターが進み、そのうち事業で使用した分が2,500km」だった場合、50%が按分割合となります。年間のガソリン代が50,000円の場合、25,000円を確定申告の必要経費として算入可能です。

ガソリン代の確定申告の仕訳や記帳のポイント

確定申告の勘定科目のポイント

事業年度の終了時点でガソリンが余った時や、レシートがない場合はどうすればよいのでしょうか?5つのガソリン代の仕訳ポイントを押さえて正しい仕訳をし、自信をもってガソリン代を経費に計上しましょう。

勘定科目は継続性の原則が重要

経理処理で1度決めた勘定科目は継続して使用することが重要です。勘定科目は何にどの程度の費用がかかっているのかを明らかにするための区分です。

勘定科目を変更すると、毎年の経費の比較がやりにくくなってしまいます。また仕訳を変更すると利益操作できてしまうので、税務署から疑われてしまうかもしれません。

そのため使用目的によって勘定科目は変えず、一度決めたら同じものを使い続けましょう。

未使用分は貯蔵品として計上する

もし事業年度終了時点で使用していないガソリンがあった場合、原則として「貯蔵品」として計上します。実際に使用していないものは、確定申告における経費として発生していないと考えられるためです。

しかしガソリン代が会社として重要でない項目の場合で「事業年度ごとに概ね一定数量取得し、経常的に消費する」場合、取得した日に属する事業年度の経費に算入ができます。

つまり「経費を前倒してまとまった量のガソリンを購入した費用」等は貯蔵品への振替が必要ですが「経常的にガソリンを消費し、毎年一定の量を購入している」場合は振り替える必要がなく、その年の費用に計上できるということです。

支払内容を証明できる書類は保存が必要

確定申告の際は、ガソリン代を支払ったことを証明できる領収書やレシートなどの証拠書類が必要となります。これらの書類は確定申告から原則7年間保存する必要があります。白色申告の場合は原則5年間ですが、帳簿の保存義務は7年間のため、一緒に7年間保存するとよいでしょう。

またクレジットカードでガソリン代を支払った際の明細書の保存も重要です。支払った経費の証明や、未払金の振替における証拠書類になります。

Web明細であれば、会計ソフトにそのまま読み込みができる場合もあるので、有効に活用して業務削減に繋げましょう。

レシートがない場合は別途記録を残すことが重要

もしガソリン代のレシートが紛失等で無い場合であっても、支払いの事実があれば確定申告で経費に算入できる場合があります。仕訳の際に金額や利用日、使用場所の記録を別途残すことで対応しましょう。

他にもクレジットカード払いの場合は、レシートがない場合でも明細書が証拠書類になる可能性があります。

レシートが無い場合に経費として認められるかは最終的に税務署が判断しますが、信憑性のある書類があると有利に働くため、必ず記録を残しておきましょう。

軽油は軽油引取税に注意!

大型車などで使われる軽油は、かかる税金がガソリンと異なります。そのためガソリン代とは、別の勘定科目で仕訳するのがよいでしょう。

  • ガソリン代:本体価格、ガソリン税、石油税、これらの消費税
  • 軽油代:軽油本体価格、石油税、これらの消費税と軽油引取税

軽油引取税とは消費税の課税対象外のものであり、消費者が納税する必要がある税金です。つまりガソリン代は「課税仕入」として仕訳できますが、軽油代と軽油引取税は、「課税仕入」と「不課税仕入」に区別してそれぞれ仕訳をしなければなりません

この仕訳を間違ってしまうと「消費税過少申告」になる可能性があります。ガソリン代と軽油代は別の勘定科目で処理することで、経理処理や確認をしやすくできるのです。経理上、どうしてもガソリン代と軽油を同一の勘定科目にする場合には、補助科目に「軽油引取税」を作成しておくと便利です。

車で通勤するサラリーマンは確定申告をして控除を受けよう

青色申告のガソリン代で仕訳や記帳で注意すること!

サラリーマンやパートの方は、ガソリン代を経費にできませんが「特定支出控除」で所得控除を受けられます。

特定支出控除とは、給与所得者が支出した「特定支出」が一定額以上になった場合に所得控除を受けられる制度です。そして特定支出には「通勤費」も該当しています。これらが給与所得控除額の50%を超える場合、超過分の金額が所得から控除される仕組みです。

特定支出控除を受けるには、確定申告の手続きが必要になります。通常会社員の場合、年末調整によって税金の清算を行うため馴染みは薄いですが、制度を活用することで還付金を受け取れる可能性があるので是非活用してください。

以下の記事では、特定支出控除の対象者や注意点、手続きの方法について詳しく説明しています。車で通勤しているサラリーマンやパートの方は確認してみてください。

関連記事:特定支出控除でサラリーマンでも経費を計上可能  計算方法や確定申告のやり方を解説|ミツモア

確定申告の経費で迷ったときは税理士に相談しよう!

確定申告の経費で迷ったときは税理士に相談しよう!
画像提供:PIXTA

さて、今回はガソリン代の勘定科目の仕訳についてお伝えしてきました。これまで述べてきたように「この品目はこの勘定科目」という唯一の理論がある訳ではありません。その会社や事業に合った最適な仕訳をするべきです。もし、確定申告をする際に経費で迷うことがあったら税理士に相談するとよいでしょう。

経費の勘定科目を迷わず仕訳ができる

今回は個人事業主でも身近なガソリン代の勘定科目と仕訳の方法について考えてきましたが、他にも経費の勘定科目を迷ってしまうものはいくつかあります。迷いやすい勘定科目で代表的なものをあげるとしたら、名刺は「消耗品費」でしょうか、それとも「広告宣伝費」でしょうか。

駐車場代は「地代家賃」「旅費交通費」のどちらが適切でしょうか。こうした勘定科目には必ずという決まりがないので、経理に慣れていない人は迷ってしまうこともあると思います。税理士に相談すれば決算書のイメージから逆算して回答をしてくれるため、最も適切な勘定科目を選んでくれるでしょう。

記帳を任せることができる

税理士に経理を委託すれば、全ての記帳を任せることができます。経営者は自身の業務に専念することができるため、検討する価値はあるでしょう。

事業にあった仕訳を提案してくれる

専門家である税理士に経理を依頼する最も大きいメリットは「その会社や個人に合った適切な仕訳をしてくれる」ということです。決算時には、全ての数字が合っているかを再確認する必要があります。その際に数値を確認しやすいようにするために、どの勘定科目が適切であるのかを提案してくれるのです。

経営者にとって納税は義務であり、正しく行われていることが当たり前です。もし不安なことがあれば、税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

監修税理士からのコメント

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

確定申告を正しく行うためには、仕訳や勘定科目といった簿記の知識が必要です。これらの知識を身につけると決算書の内容を理解することができるようになるため、少しずつでも知識を習得すると良いでしょう。一方で、経営者の皆様は本業に時間を割くことがより重要です。どうしても時間が取れないという人は、会計や税務の専門家である税理士にサポートを依頼することで、確定申告をストレスなく正確に行うことをおすすめします。

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この記事の監修税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

横浜市青葉区を拠点として、個人及び中小規模法人のお客様を中心に税務サービスを提供しております。 「小規模事務所ならではのフットワークの軽さ」「代表税理士の顔が見える安心感の提供」をモットーに、日々お客さんのお役に立てるよう業務に邁進しております。