税務調査の立ち会いを税理士に依頼した場合の費用相場は、1日あたり30,000円~50,000円です。
税務調査の立ち会い報酬は日当制を採用している税理士事務所が多く、日数が増えるほど報酬額も増加します。
税務調査を受けるには事前に準備をし、修正申告が必要になった場合はその対応もしなければなりません。
事前準備、立ち会い、修正申告対応すべてを税理士に依頼すると120,000円~310,000円ほどかかるケースが多いです。
税務調査の流れや税理士に立ち会いをしてもらうメリット、報酬の相場を確認して税務調査に備えましょう。
この記事を監修した税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
一般的な税務調査の流れ

- 納税額の申告内容にミスや問題がないか詳細に調査する制度
- 税務署によって行われる
- 調査の結果誤りがあった場合や申告していなかった場合は納税額の是正が求められる
税務調査は国税の法律に基づいて行なわれます。税務署の調査官は納税者に質問をし、帳簿書類などを調査、帳簿書類の提示や提出を求める権限が与えられます。
税務調査は以下の流れで行われます。
事前に通知が送られる
税務調査は、原則として納税者の同意を得て行う「任意調査」と脱税の疑いがある納税者に対し、裁判官による許可状を得て強制的に行う「強制調査」の2つのケースがあります。
任意調査は税務署から電話で事前通知をしたうえで調査が実施され、税務署と対象者との間で日程調整を行った上で調査の日付が決まります。
通知後、やむを得ない事情が生じた場合は調査日時の変更を相談できますが、正当な理由がなく調査を拒否すると罰則の対象になるため注意が必要です。
また事前に通知することなく税務調査が行われる場合もあります。その場合も税理士に相談するなど、冷静に対応するようにしましょう。
税務調査当日の進め方
税務調査の当日は、開始時間にあわせて税務署の調査官が訪問します。
税務調査では調査官に事業内容や取引の流れを説明し、経理担当者は細かい金銭の流れについて質問に答えます。
税務調査では、必要に応じて立ち会い税理士のサポートを受けられます。経営者や経理担当者のみで調査を受ける必要はないので、ご安心ください。
税務書類、帳簿のチェック
税務調査では、税務書類や帳簿の内容の確認が必ず行われます。
売上入力計上漏れがないか、経費に不自然な支出がないかなど、確定申告書と領収書、帳簿を見て矛盾がないかをチェックします。
調査官から質問がされることもあります。不適切な返答をしてしまうと追加徴税のリスクもあるので、慎重に回答しましょう。
税務署からの指摘
調査が終わると、税務調査官から矛盾や不備と思われる点を指摘されます。税理士が立ち会っていれば、必要に応じて法律に基づいた説明や指摘に対して反論してもらえます。
修正申告を行う
調査の結果は、通常1週間から3カ月程度で調査の対象者に知らされます。問題がなければ「申告是認」としてそのまま調査は終了します。
ただし、書類の不備や不適切な会計処理などが発覚した場合、修正申告の対応が必要です。また悪質なケースだと罰則を課せられる可能性があります。
税務署から「修正申告」を受けた場合、税理士に相談して正しい金額を申告しましょう。
税務調査の立ち会いをしてもらう報酬相場は?

税務調査の立ち会いを依頼する場合、税理士に支払う報酬は3つに分けられます。
税理士事務所によっては、税務調査のごとに追加料金が発生する料金体系を採用していることがあります。税理士と顧問契約をしている場合は、追加料金が発生するか必ず問い合わせることをおすすめします。
事前準備にかかる費用は1日4万円~6万円
税理士に対して税務調査の事前準備を依頼した場合、1日あたり40,000円~60,000円ほどの費用がかかります。
税理士に直接現場まで足を運んでもらうケースもあり、必要に応じて交通費や宿泊費も負担しなければなりません。
内容や事業の規模によっては、準備に数日かかることもあり、費用がかさむため注意が必要です。
税務調査の立ち会いにかかる費用は1日3万円~5万円
税務調査の立ち会い報酬の相場は、30,000円~50,000円です。日当制を採用している税理士事務所が多いです。
税務調査の立ち会いを依頼した場合、当日は調査官への説明・交渉を行ってもらえます。税理士事務所によっては、事前の提出資料をまとめた目録の作成なども税務調査の立ち会い報酬に含まれていることがあります。
立ち会い報酬やサービス内容については、税理士事務所によって様々です。複数の税理士事務所から見積をとって、サービス内容を比較しましょう。
修正申告にかかる費用は5万円~20万円
税務調査の結果、修正申告をするよう指導を受けることがあります。修正申告の代行を税理士に依頼すると、50,000円~200,000円の費用がかかります。納めるべき税金よりも多く納税していた場合は還付申請を行ってください。
修正申告の代行費用に幅があるのは、修正が必要な金額によって手間が大きく変わるためです。修正の範囲が小さければ数万円で収まりますが、大幅な修正を求める場合、数十万円単位の費用がかかることもあります。
年間売上高が高いと費用も高額になる傾向
税務調査対策にかかる費用相場は、年間売上高によって大きく変動します。
年間の売上高が高くなればなるほど、事前準備や税務調査でかかる日数が増えるため、高額な費用がかかります。
年間売上高が3,000万円で修正申告が少ない企業と、年間売上高が8,000万円で修正が多い企業と比較すると、下記の表のようになります。
| 売上高 | 事前準備費用 | 税務調査の立会い費用 | 修正申告費 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 40,000円 | 30,000円×2日分 | 50,000円 | 150,000円 |
| 8,000万円 | 60,000円×2日分 | 50,000円×2日分 | 150,000円 | 370,000円 |
税理士に税務調査の立ち会いをしてもらうメリット

税務調査では、日頃の取引から帳簿のつけ方まで税務調査官に説明をしなければなりません。税務に関する知識があり、自信をもって質問に答えられるのであれば、税理士の立ち会いは不要です。
しかし外部に記帳代行をお願いしていたり、税法に詳しくなかったりすると質問に明確に答えられず、調査官へ事情がうまく伝わらないことがあります。場合によっては、調査官とのコミュニケーションがうまく取れないことが原因で、修正申告をしなければならなくなります。
税務調査において、調査官に自社の状況を正確に伝えるには税理士の力を借りることをおすすめします。
当日の調査に備えて事前準備ができる
税務調査の対象期間は通常3年ですが、場合によっては最長7年分の調査が行われる可能性もあります。
税務調査対策を事前に税理士に依頼することで、税務書類や帳簿などを見て、どの部分が調査対象になるのかを想定したアドバイスがもらえます。
調査官から受ける質問に対する回答も練習できるため、冷静に対応できる点もメリットです。
不要な追徴課税が避けられる
税務調査に税理士に立ち会ってもらうと、不要な追徴課税が避けられる可能性が高いです。
調査官から経費の詳細について問われた際、正しく計上しているにもかかわらずあいまいな回答をすると経費計上が否認されます。その結果、本来納める所得税とあわせて重加算税や延滞税をなどを納税する必要が発生します。
税理士が税務調査に立ち会い、税法の専門家の立場から、明確な根拠に基づいて経費や書類の内容について説明することで、経費計上や申告内容が否認されるリスクを軽減可能です。
税務調査官とのやり取りを一任できる
顧問税理士がいる場合は、税務調査の前に顧問税理士にも連絡が入ります。
顧問税理士であれば税務調査の日程調査や調査当日の調査官とのやり取りなどを一任可能です。税務調査の対応を代行してもらえるため、経営者の時間や心理的負担も軽減できます。
調査官の発言の妥当性を判断してもらえる
税務調査官は税法のプロですが、調査の場において誤った解釈をしてしまうこともあります。税理士の立ち会いがなければ、調査官の発言や解釈に妥当性があるか検討できません。
税理士に立ち会ってもらえれば、調査官の発言や解釈のうち、妥当性のないものは退けることが可能です。
顧問税理士に税務調査の立会いなどを依頼する費用や注意点

顧問税理士を雇っている場合、税務調査の事前準備や当日の立会い費用、修正申告にかかる費用は変わるのでしょうか。気になる疑問を3点まとめました。
顧問税理士でも報酬料金は変わらない
税務調査の事前準備や立会い、修正申告を依頼した場合、顧問税理士も臨時で依頼をした税理士でも同等の費用を支払わなければなりません。
顧問契約には税務調査の事前準備や立会い、修正申告といった税務調査対応は含まれていないことがほとんどです。
普段から顧問料を支払っていることを考慮すれば、顧問税理士の方が全体の料金が高くつく可能性があります。
しかし、普段から税務調査でチェックされるような書類は、顧問税理士が適切な処理をしているので、税務調査が来ても慌てる必要がありません。
顧問税理士と契約するメリット
税務調査の対応にかかる費用が、顧問税理士とスポット依頼の税理士でも変わらないと知ると、顧問契約をするメリットを感じられなくなるかもしれません。
しかし顧問契約を結ぶことには3つのメリットがあります。
- 日頃から税務書類を見てもらっているので、不適切な書類がない
- 事業内容や企業の内情を詳しく把握しているので、経費の必要性を語ることができる
- 立ち会いの新規依頼をする必要がないので、慌てずに税務調査に臨める
顧問税理士を契約しておくと、企業の内情を理解した税務のプロに対応してもらえるため、追徴課税などのリスクを抑えられます。
税務調査に税理士以外は立ち会える?
税務調査に立ち会う人に関して、法的には制限はありません。ただし、調査官との交渉(主張)については、税理士の独占業務に該当するため税理士資格のない人にはできません。
税理士資格のない人が主張もしくは陳述をした場合は、税理士法に規定される「税務代理」業務に違反し、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。
税理士が税務調査に立ち会っている場合は、納税者本人は調査の場にいる必要はありません。税務調査の通知が来た場合は税理士に立ち会いを依頼することをおすすめします。
税務調査に強い税理士を選ぶポイント
税務調査の事前準備や当日の立会いなどを依頼しようとしても、どの税理士もその領域を得意としているとは限りません。以下3つのポイントをチェックして、税務調査に強い税理士を見つけましょう。
スムーズに対応してもらうためには、税務調査に強い税理士を見定めることが大切です。
豊富な経験を持っているか
税務調査の対応を依頼するのであれば、国税庁出身の税理士や、過去に何度も税務調査に対応した実績を持つ税理士がおすすめです。
国税庁の「令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要」によると、令和4事務年度に法人税の実地調査が行われた件数は6万2,000件となっているため、法人税の税務調査を対応した経験を持つ税理士も少なくありません。
可能であれば契約をする前に税務調査対応した経験の有無について聞いてみましょう。
顧客の立場に立って対応してもらえるか
税務調査の多くは納税者による「任意調査」で行われますが、担当の調査官によっては威圧的な態度をとったり、調査に関係のないプライベートに関する資料の提示を求めてくるケースがあります。そのような調査官と対峙する際に「顧客の立場に立って、意見や反論してもらえる税理士」がいれば、心強いでしょう。
調査官への交渉力があるか
税務調査では、調査官と納税者との間で事実の認定と税法の解釈を照らし合わせ、見解が異なる点についてどのように着地させるかがポイントになります。
もしも調査官からの質問に対して正確に答えられなかったり、納得できる回答ができなければ、調査官のイメージを悪くするだけです。
税務調査に強い税理士に依頼をすれば、調査官から指摘された点に対して専門知識に基づいて説明するため、論理的な交渉が期待できます。
お住いの地域の口コミ評価が高い税理士【都道府県別】
税務や会計といった経営に関する相談相手を選ぶ際は、対面でコミュニケーションを取りながら信頼関係を築くことができる「地域の税理士」を軸にして、税理士を探すことが重要です。
それぞれの都道府県で高評価を得ている税理士を、下記でご紹介しています。
実際に依頼をした方々の口コミを掲載していますので、税理士選びの参考としてぜひお役立てください。
| 北海道・東北 | 北海道|青森|岩手|秋田|宮城|山形|福島 |
|---|---|
| 関東 | 東京|神奈川|千葉|埼玉|茨城|栃木|群馬 |
| 甲信越・北陸 | 山梨|長野|新潟|富山|石川|福井 |
| 東海 | 愛知|静岡|岐阜|三重 |
| 関西 | 大阪|兵庫|京都|滋賀|奈良|和歌山 |
| 中国 | 岡山|広島|鳥取|島根|山口 |
| 四国 | 愛媛|香川|高知|徳島 |
| 九州・沖縄 | 福岡|佐賀|長崎|熊本|大分|宮崎|鹿児島|沖縄 |
監修税理士のコメント
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
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