税務調査の事前通知は予告なく届きます。顧問税理士を付けていない個人事業主の場合、正しく確定申告をしていても税務調査にどう対応すべきかと不安に思われる人がいらっしゃるかもしれません。
しかし今回ご紹介するマニュアル通りに対応をおこなうことで、安心して税務調査を迎えられるでしょう。
税務調査の対応を個人事業主はどうするべきか・税務調査の流れや実際に調査官が来る前後の対応・注意点などについて詳しく解説します。
この記事を監修した税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
税務調査について知りましょう
税務調査は納税者に不公平が生まれないよう、脱税や法令違反をしている会社に対して正しい経理をおこなうよう調査官が確認・指導することを言います。
個人事業主でも確定申告を問題なくできるのであれば、顧問税理士をつけずに活動していても不安はないでしょう。ただし税務署が申告内容に不明点を感じた時は、税務調査で質問されるので自分でしっかり対応しなくてはいけません。
まずは税務調査の基礎を知るために、調査の時期や対象になりやすい人を確認しておきましょう。
税務調査には2種類ある
税務調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類があり、それぞれ調査方法が異なりますので見ていきましょう。
任意調査は税務署や国税局の調査部、資料調査課がおこない、申告内容に不備がないか確認する前の「準備調査」と、帳簿と申告内容が正しいかなどを調査官立ち会いの元でおこなう「実地調査」があります。
強制調査は国税局の査察部が実施し、悪質な不正申告や多額の脱税があると判断した時におこなう調査です。捜査令状を持って調査に訪れる映像をニュースで見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。
税務調査の約8割は任意調査で、その多くは事前通知があります。しかし中には事前連絡なしの現状調査(任意調査)もあるので、「個人事業主だからといって少しくらいの不正申告は大丈夫」とは言えないのです。
税務調査の時期や対象になりやすい人は?
税務調査の時期は9月~11月が多いと言われています。
税務調査の対象になりやすい個人事業主は、不正申告が見つかりやすい「風俗業、キャバレー、プログラマー、畜産農業、防水工事」の上位5つの職業です。所得金額の高さのほか、経費として認められる部分が曖昧な職業は税務調査されやすい傾向にあります。
税務調査の時期や対象になりやすい人についてもっと詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
税務調査の流れ
税務調査の期間は小規模であれば1日、複数人の調査官が担当する場合は3日程度で終了です。税務調査は一般的に任意調査の一般調査でおこなわれ、次のような流れで進められます。
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税務調査の日程は調査官側ではなく、個人事業主や法人側の都合に合わせられます。仕事が忙しく対応できない場合などは2週間先などにお願いすることも可能なので相談してみましょう。
税務調査で修正申告の必要がない申告是認となれば、税務調査の流れ5の段階で終了となります。
税務調査前の対応
税務調査の日程は融通が利きますが、状況により税理士に立ち会いをお願いするケースもあります。一度税務署側の希望日を聞いて、日程を保留にしておくのが安心です。
税務調査がおこなわれるまで総勘定元帳や事業用の通帳、売上や仕入れなどの領収書や請求書など、必要書類を用意しておきましょう。税務調査に必要な書類などは、次の記事を参考にしてください。
税務調査では「事業に関係ない交際費ではないか?」などと質問・指摘されるケースが多いと言われています。税務調査の対応をスムーズにするためにも、受け答えを考えたり事前に見つけたミスは修正申告したりしておくと困りません。
税務調査当日の対応
税務調査の対応は対応方法などの注意点をマニュアル的に覚えておけば、当日焦らずに対応することができるでしょう。
個人事業主になって初めて税務調査の事前通知が来ると不安かもしれませんが、調査官だけではなく個人から質問をしても問題ありませんので疑問に思うことは素直に聞くことも大切です。
ここからは税務調査当日の対応をポイント別に確認しておきましょう。
真摯な対応を心がけよう
税務調査は納税者が申告した内容に不備・不正がないかの確認です。もし自分にとって予想外な指摘等を受けた場合なども、挑発的な発言や横暴な態度を取るのはやめましょう。
税務調査での対応により「不正があるのでは?」と思われてしまい、不正したつもりがなくても徹底的な調査により指摘・指導される可能性があります。調査官に疑われるような態度はくれぐれも気をつけましょう。
おかしいと思ったら交渉する
調査官による税務調査の指摘対応がすべて正しいとは限りません。調査官にだってミスはあり、間違った指摘や指導をするケースも考えられます。正しく申告しているのであれば、調査官に指摘された間違いや気になる部分は質問しましょう。
また何年か自分で確定申告をしていると、税務関係の知識も自然と身につきます。税務署の意見に不明点がある時は追徴課税される前に確認しましょう。
追徴課税について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
食事を用意する必要はない
少しでも税務調査の対応を良くしようと食事を用意する人もいるそうです。しかし実際は食事を用意する必要はなく、税務調査した相手から食事をもらうことは国家公務員法の規定により禁止されています。
さすがになにも出さずに税務調査を対応するのは申し訳ないと感じるのであれば、お茶くらいは用意しておいても良いでしょう。
税理士が立ち会っていると安心
税務調査で間違いを指摘された場合、個人事業主側も指摘に対して質問することができます。しかし相手は税務署職員なので、個人事業主であるこちらより知識があると言えるでしょう。指摘に対して質問していくうちに話す内容がわからなくなってしまい、結果的に追徴課税されるケースも珍しくありません。
税務上のプロである税理士が一緒に立ち会っていると、税務処理の対応も安心しておこなえます。また税務調査に訪れた調査官による指摘に対しての交渉もスムーズにおこなえるでしょう。
税理士に税務調査の立ち会い依頼について、詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
税務調査後の対応
税務調査の対応は調査官が訪れて終了ではありません。税務調査後の対応は申告内容が①間違いがなかった場合や②間違いがあった場合、③税務調査の結果に不服がある場合で大きく異なります。
税務調査の対応にすべて承諾して修正申告を完了させてしまうと、不服申し立てをすることができなくなります。こちらに言い分がある際はもう一度詳しく説明してもらい、納得しない場合は修正申告しないなどの対応をしましょう。
申告内容に誤りがない場合
税務調査の結果が問題なければ、税務署から申告是認通知が届きます。ただし税務調査の対象者はすべての個人事業主からランダムに選ぶのではなく、申告した内容で確認したい部分がある人が選ばれます。税務調査に対応した人の多くは申告内容になんらかの不備があることが多く、申告是認が届くのは非常に稀なケースと言えるでしょう。
また「申告是認通知が届いたらすべて完了」とは限りません。通知書には「現在までの調査結果」と記載されているため、再調査により修正申告が必要になる可能性もあります。税務調査は脱税など不正申告を防ぐためにおこなわれるため、少なからず税務調査の対象外の人より徹底的に調査されることは間違いないでしょう。
申告内容に誤りがある場合
税務調査の結果、申告内容に誤りがあると「修正申告」か「更生処分」どちらかの対応を取ることになります。修正申告は税務調査で指摘された通り再申告すると完了ですが、後から不服申し立てはできません。修正申告は「間違いを認めた」という形になるため気をつけましょう。
更正処分は税務調査の結果に応じない場合に、税務署が納税額の修正処分の手続きすることです。税務調査の結果に納得せず、修正申告に対応しない人がたくさんいます。このような状況が続くと税務署も困るので、間違いを指摘する通知の更正処分で手続きを終わらせるのです。
税務調査の結果に不服がある場合
税務調査の結果に納得できない時、更正処分の通知を受けてから3ヵ月以内に「再調査の請求」または「審査請求」の手続きをおこなうことが可能です。再調査の請求では税務署長や国税局長に対して、税務調査の結果に納得できない旨を伝えて税務調査の結果を見直してもらうことができます。
審査請求は国税不服審判所長へ処分の見直しをしてもらう手続きで、再調査の請求より処分の修正を認めてもらいやすいのが特徴的です。税務調査の対応に誤りがなく、税金の払い過ぎに気づいた場合は更正の請求をすると、払いすぎた税金が戻ってくるのでよく考えて手続きしましょう。
税務調査に不安があれば税理士にご相談を!
顧問税理士を付けてない個人事業主でも、挑発的な態度ではなく誠実に対応することで問題なく調査は終了します。とはいえ税法をあまり知らずに税務調査の対応をしてしまうと、調査官の言いなりになってしまうケースもあるので、納得のいかない部分を交渉するのも節税につなげるポイントのひとつです。
税務調査の対応に不安がある場合には税理士に相談すると心強いでしょう。
税理士にお願いできること
税理士ができる業務は大きく分けて3つで、「税務代理」「税務書類の作成」「税務関係の相談対応」です。税務に関することはほぼすべて相談・対応してくれるため、個人事業主にとって税理士はとても心強いと言えます。
税務調査の対応によって、節税できる部分などが税理士目線で見えてくることもあるでしょう。税理士の利用はコスト面の心配があるかと思いますが、税務調査の立会いだけを依頼することも可能です。一時的な相談や依頼もできるので、信頼できる税理士を見つけておくと安心です。
顧問税理士と契約するメリットとデメリット
個人事業主が顧問税理士と契約すると、次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
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デメリット
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顧問税理士と契約すると経理の時間が削れて事業に専念することが可能です。金融機関から融資を受ける際や取引先からも信頼が得られるため、業績アップに関するメリットが高いでしょう。
一方で税理士は相性の問題も出てくるため、見つけるのに時間がかかるのはデメリットです。契約費用などもあるので、顧問税理士を見つける時は数人の税理士に費用を相談して比較すると失敗しにくいでしょう。
監修税理士のコメント
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
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この記事を監修した税理士
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