「税務調査はいつ来るのだろう?」「繁忙期に調査が入るのは困る・・・」このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
税務調査の時期はある程度決まっており、主に9~12月頃にピークを迎えます。調査にかかる日数は通知が入ってから約1か月~3か月ほどかかるケースが多いです。
税務調査の時期や頻度、調査にかかる日数や事前準備について、わかりやすく解説します。
この記事を監修した税理士
京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台
税務調査の時期は主に7月~12月
税務調査は主に7月から12月の時期にかけて行なわれます。これは決算日に基づいた目安で、個人事業主や法人の多くが3月決算であることに由来します。
さらに確定申告や法人税など各種税務行政は1月から6月にかけて集中しています。このことからも各種書類の審査が7月から本格化し、会社を実際に訪問する実地調査は9月から12月にかけて行なわれるケースが多いです。
月 | 可能性 | 税務行政の状況 |
---|---|---|
1月~3月 | 低 | 年が明けると、法人の年末調整や個人納税者の所得税等の確定申告の時期になります。税務署の職員や顧問税理士も多忙になり、税務調査を行う余裕はどこにもありません。そのため、この時期での税務調査はほとんど行われません。 |
4月~6月 | 低 | 3月末を会計年度末にしている企業が多いため、この時期の税務署の職員は、法人税等の業務に追われて多忙になります。もちろん企業側でも決算処理に追われ、税務調査を受け入れる余力はありません。 |
7月~8月 | 中 | 税務署は7月に人事異動が行われます。調査チームの再編も行われるため、調査先の選定等準備作業が中心です。一方で、短期間で税務調査が済む個人事業主や小規模企業の法人を中心に調査をする傾向があります。 |
9月~11月 | 高 | 調査先の選定も終わり、税務調査が本格的に始まります。実地調査も含め、税務調査のピークの時期となります。 |
12月 | 中 | 年末年始を控え、税務署及び企業もバタバタする時期となりますので、税務調査のピークが過ぎます。 |
年明けの1月から3月にかけては税務署が確定申告の対応に集中するため、税務調査はほとんど行われません。このことから、年が明ければ少なくとも当該年度中において税務調査は入らないと判断できます。
なお法人と個人事業主で税務調査の時期に大きな違いはありません。
税務調査を受けやすい時期を避けたいなら決算月の変更を検討しよう
税務調査が入りやすい時期を避けるなら決算月の変更を検討しましょう。なぜなら、決算月が変われば税務調査が実施されるまでのスケジュールも変わるからです。
たとえば3月ではなく1月に決算すれば、税務調査が入るタイミングも2か月ぶん同様に前倒しになります。税務調査が来る時期と繁忙期のタイミングが被っている場合は、決算月の変更も視野に入れるとよいでしょう。
また1月決算の場合は税務署がスケジュールや人事異動の関係で調査時間を確保しづらく、調査対象になりづらいメリットもあります。
相続税の税務調査は1~2年後の9~12月に受けやすい
相続税の税務調査は1~2年後の9月から12月に入りやすくなっています。ややタイムラグが大きく「忘れた時期に調査はやってくる」と言われる要因のひとつです。
数年以内に相続があった場合は次の9月から12月に税務調査が入るかもしれません。
相続税に関する税務調査は4~5件につき1件程度の割合で実施されます。調査が入る可能性がかなり高いので十分な注意が必要です。
時期によって税務調査の内容が変わることはない
時期によって税務調査の内容が変わることはありません。「何月なら調査がゆるいので気楽に構えていてもよい」といったことはないので注意してください。
ただし確定申告の法定期限直後である4月から6月は、調査内容がやや簡素になる傾向があります。この時期は税務署も多忙であり、ひとつひとつの審査を効率よく終わらせる必要があるからです。
また業態が複雑な法人よりも、小規模な事業が調査対象になりやすい傾向があります。さらに税務署は7月に人事異動が控えているため、調査官は6月までに調査を終えて成果として反映させたいと考えています。
その点を汲み取りつつ調査に対して積極的な姿勢で協力すれば、スムーズに終えることが可能です。できるだけ税務調査には協力的な対応を見せて、双方が速やかに目的を果たせるように努力しましょう。
税務調査は何日かかる?調査期間について
税務調査は通知が入ってから完了するまで1か月から3か月弱かかります。
【調査日数の目安】
調査内容 | 日数 |
---|---|
①税務調査の通知を行う | 10日 |
②税務調査を実施する | 2〜3日 |
③申告内容の問題点の抽出とその検討を行う | 7〜12日 |
④誤り事項等の調査内容を調査対象へ説明する | 3〜7日 |
⑤税務署内で調査終了の決裁を受ける | 7〜10日 |
⑥調査先企業等に必要な通知を行う | 7〜10日 |
税務調査は調査官がやってきて終わりというものではありません。調査前には税務調査の実施が必ず通知されます。
調査が終わったあとも問題点の洗い出しや税務署内での手続きが必要です。調査内容が複雑だったり追加証拠などが必要となったりするなら、さらに長期化するケースもあります。
税務調査の頻度は様々!正式に決まっているわけではない
税務調査の頻度は様々です。たとえば事業規模が大きいことから、時期が来れば頻繁に税務調査を受けている企業もあれば、小さな企業であるがゆえに10年以上来ないケースもあります。10年以上調査がなかったことついて「逃げ切った」と表現するケースもあります。
そうかと思えば小さな会社が3年周期で調査されていたり、個人事業主が毎年のように目をつけられたりと法則性が不透明な部分もあります。つまり「この場合はいつまでに」と正式に決まってはいません。
下記では業種ごとでの税務調査が入る確率について解説しています。調査の有無について予測したい場合はあわせて参考にしてみてください。
事前連絡がきた!税務調査への準備や注意点
税務調査は時期が来た途端いきなり押しかけてくるものではありません。調査の前段階で事前連絡が入ります。
必要書類を揃えたり税理士に相談したりするなどして、準備を事前に整えておきましょう。
税務調査のために準備すべき必要書類
税務調査のために準備すべき必要書類としては、以下のものが挙げられます。
【必要書類の例】
|
上記の書類は、ほぼ確実に調査官から提出を求められます。時期が来るまでに準備しておいて、調査が速やかに終了するように協力しましょう。
書類は調査官が持ち帰る「留置き」が必要なケースもあります。持って帰られる場合を考慮すると、業務上必要な書類はコピーして控えておくのがおすすめです。
税務調査が来た時の注意点
税務調査が来たときは以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 不正の事実がなければ萎縮する必要はない
- 当日の対策や準備について税理士と相談しておく
- 質問されたことには簡潔に答える
- 時期にかかわらずできるだけ協力的な姿勢を見せる
特に「不正の事実がなければ萎縮する必要はない」というのが重要です。
税務調査は必ずしも不正を暴くために実施しているわけではありません。もし落ち度がないのであれば何ら恐れる必要はないわけです。
税務調査の対象になりやすい個人事業主・法人の特徴
かかるリソースを考えれば、自身が税務調査の対象になるのは避けたいところです。
以下の特徴と合致する個人事業主や法人は調査されやすい傾向にあります。税務調査の対象になる前に確認しておきましょう。
【調査対象になりやすい個人事業主・法人の例】
- 開業してからおよそ3年経過した時期
- 消費税について還付されている場合
- 不自然に赤字が続いている
- 急速に売り上げが向上した場合
- 事業内容にバーやクラブなどの運営が含まれる
- 本社ビルの建設など大きな動きがある
- 申告内容に明らかな疑問点がある
逆にいえば、上記の状況を避ければ少なくとも好んで調査対象に取られることはありません。
事業内容や売上などは避けようがありませんが、例えば「申告内容に明らかな疑問点がある」などの要因は事前に対策可能です。うかつな動きは避けて税務調査の対象とならないように対策しましょう。
監修税理士からのコメント
京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台
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この記事の監修税理士
京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台