「自分は税務調査の対象になるのだろうか」「税務調査なんか受けたくない」と考える方も多いのではないでしょうか。
税務調査はすべての納税者にやってくる可能性がありますが、脱税や申告漏れが起きやすいと思われる納税者は、特に調査対象になりやすいです。
この記事では、税務調査の対象になりやすい事業の特徴や対策方法を解説します。
ポイントを押さえて、税務調査を受けないで済むようにしましょう。
この記事を監修した税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
【個人事業主】税務調査の対象になりやすい特徴と対策
税務調査は法人や個人を問わず、すべての納税者が調査の対象になります。
ただし膨大な数の納税者に税務調査を実施するのは、物理的に不可能です。
そのため脱税や申告漏れの疑いが高いとみなされる個人事業主が、税務調査の対象になりやすいです。
【税務調査の対象になりやすい事業者の特徴】 |
税務申告をしていない
税務申告をしていない個人事業主は、税務調査の対象となりやすいです。第三者からの情報提供や取引先とのやり取りによって税務申告を行なっていないことが発覚するケースが多いです。
事業所得がありながら税務申告をしていないので、所得税の納税義務を果たしていない可能性が高いと疑われます。税務調査は脱税の阻止や申告の是正を目的に実施されるため、納税していない可能性のある個人事業主は注目されやすいです。
税務調査への対策として、とにかく早急な税務申告が必要です。延滞税や無申告加算税といった罰則は、早いうちに申告・納税をするほど軽くなります。税務調査の対象になってから税務申告をすると罰則が重くなる恐れが大きいため、早急な対応が大切です。
売上が大きく増加している
売上が大きく増加している個人事業主も、税務調査の対象になりやすいです。特に売上は増加しているのに所得額は変わらない場合、実態を確認するために税務調査が実施される可能性が高いです。
売上が大きく増加している場合は、会計処理や税務申告が正しいか確認しましょう。売上に対して所得が小さい場合は、経費が大きい理由を明確に説明できれば大丈夫です。
税務調査の対象になったときに備えて、会計資料を揃えた上で、しっかり説明できるようにしましょう。
売上が1,000万円前後もしくはそれ以上の場合は注意
税務調査の対象となりやすい売上として、1,000万円は1つの基準となります。売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となるため、売上を1,000万円より小さくしようとする事業主が少なくないからです。
「不当な売上調整をしていない」「消費税を正しく納付している」といった場合は、税務調査が入っても問題ありません。売上1,000万円前後もしくはそれ以上の場合は、税務調査の対象になりやすいと認識しつつ、必要な対応を行い堂々とすることが大切です。
申告内容に不審な点がある
申告内容に不審な点がある場合、税務調査の対象となりやすいです。
<主な不審な点>
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不審な点が原因での税務調査を避けるには、明瞭でわかりやすい確定申告書の作成が大切です。
申告書と一緒に提出する青色決算書の「本年中における特殊事情」で、金額のズレや変動の理由などを説明するのが効果的です。一見不審と思われる点でも、税務署の方に問題ないことが伝われば、税務調査の対象となる可能性が低くなります。
起業・開業後3年以上が経過している
起業・開業から3年以上が経過している個人事業主も、税務調査の対象となりやすいです。長い事業の中で誤った会計処理を続けていないか、気の緩みが起きていないかなどを確認したいのでしょう。また「税務調査は過去3年に遡って調査できる」というのも理由の1つです。
開業から1〜2年で税務調査が入るケースもあれば、10年以上税務調査が入らないケースもあるため、一概にはいえません。しかし税務調査の対象となる可能性が上がるのは事実のため、過去の会計書類や申告書などを改めて確認すると安心です。
海外投資やシェアリングエコノミーに関連する売上が多い
海外投資やシェアリングエコノミーに関連する売上が多いのも、税務調査の対象になりやすい特徴の1つです。
海外投資は資産の隠蔽や税金の回避などに使われやすい手法といえます。シェアリングエコノミーは比較的新しい経済活動であり、届出や会計処理の是正に力を入れている分野の1つです。申告漏れや誤りが起こりやすいため、税務調査の対象になってしまいます。
税務調査の対象となったときに上手く対応・説明できるよう、十分な会計資料を揃えておく必要があります。
現金商売をしている
現金商売をしている個人事業主も、税務調査の対象となりやすいです。
現金商売は売上の隠蔽がしやすく、証拠が残りにくいため、税務署の警戒が強い傾向にあります。
現金商売を対象とした税務調査は、事前の連絡なく行う無予告調査のケースが多いです。予告なく店舗に訪問し、その場で現金監査を行う、もしくは事前に内偵調査を実施します。いきなり税務調査が来たら慌ててしまうかもしれませんが、違法行為をしていなければもちろん問題ありません。売上を適切に管理し、売上と現金がしっかり合う状態にすることが大切です。
申告漏れの多い業種である
申告漏れの多い業種を営む個人事業主は、ほかの業種に比べ税務調査の対象となる可能性が高いです。
脱税の防止や申告の是正により大きな成果を出しやすい業種でもあるため、税務署から疑われやすくなっています。
<申告漏れの多い業種>
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特に売上や所得が小さい場合、売上の隠蔽など不正を疑われ、税務調査の対象となる可能性が高くなります。適切な会計処理および申告を行い、万が一税務調査に入られてもしっかり説明できるだけの準備をすることが大切です。
インターネット取引を行っている
インターネット取引を行う個人事業主も、税務調査の対象となりやすいです。実際に税務署は、インターネット取引を行う個人に対して、積極的な調査を実施していると公表しています。
インターネット取引は複雑なケースが多く、不正や誤りが起きやすいため、税務調査の対象になりやすいです。実際に平成30事務年度に実施された税務調査において、1件あたりの申告漏れ所得金額が1,205万円、総額で14億円強という結果でした。
<インターネット取引の例>
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インターネット取引は複雑なものが多いため、会計資料を揃える手間が大きく、処理の誤りが起きる可能性も高いです。税務調査の対象になっても慌てないよう、日ごろから資料をこまめに揃えつつ、税理士などのサポートを受けながら適切な会計処理を行う必要があります。
政府のインターネット取引に対する取り組みをくわしく知りたい方は、次の記事を参照してください。
参考:Ⅱ 主な取組|国税庁 |
【持続化給付金の受給者】税務調査の対象になりやすい特徴と対策
持続化給付金の受給者は税務調査の対象になりやすい」という情報を目にした方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、持続化給付金が理由で税務調査の対象となるケースは十分に考えられます。しかしすべての受給者が税務調査の対象となるわけではなく、持続化給付金を受給した前後の動きが関係してきます。
【税務調査の対象になりやすい受給者の特徴】 |
無申告のまま持続化給付金を受給した
これまで無申告だった個人事業主が持続化給付金を受給した場合、税務調査の対象となる可能性が高いです。
前提として持続化給付金の受給には、前年度の確定申告書が条件となっています。そのため長年無申告で事業を展開していた事業主が、持続化給付金の要件を満たすために前年度分のみ確定申告をし、受給申請を行うケースがありました。このような個人事業主が持続化給付金を受給した場合、税務調査の対象となりやすいです。
個人事業主は持続化給付金として、最大100万円を受給できます。しかし税務調査で過年度分の無申告を指摘されると、100万円を遥かに超える税金を課される恐れが大きいです。
追徴課税の負担を小さくするために、税務調査で指摘されるより前に申告するようにしましょう。
給付金を受けるために確定申告の内容を偽っている
給付金を受けるために確定申告の内容を偽っている場合も、税務調査の対象になりやすいです。
偽って申告した確定申告の内容には、不自然な箇所が多く発生します。そのため税務署の目に留まりやすく、税務調査の対象となる可能性が上がります。
前年度の確定申告について内容を偽っていた場合は早いうちに修正申告を行う必要があります。
新型コロナウイルスの影響がないのに受給した
新型コロナウイルスの影響がないのに持続化給付金を受給した場合も、税務調査の対象となる可能性が高いです。
持続化給付金は、新型コロナウイルスが原因で売上が減少した個人事業主を対象としています。売上への影響を証明するため「前年同月と比較して、売上が50%以上減少している月がある」という要件を満たす必要があります。
しかし新型コロナウイルスの影響を受けていないのに、帳簿を不当に操作して、売上減少要件を満たしていると見せかけるケースが多く発生しました。このような不正受給の疑いが強い事業主は、税務調査の対象となりやすいです。
税務調査の対象から外れるには、持続化給付金の自主返還をしましょう。それでも税務調査の対象となる可能性は高いため、会計書類などをしっかり揃えておく必要があります。
前年度の確定申告はしているが受給後から無申告である
前年度の確定申告はしているが受給後から無申告である場合も、税務調査の対象になりやすいといえます。
持続化給付金を受給した事業主は、税務署からの注目度が高い状態です。受給後から無申告というのは、廃業していない限り不自然であり、税務署に疑われてしまいます。
税務調査の対象となる可能性を少しでも下げるには、少しでも早く修正申告を行いましょう。
【相続のやりとりをしていた方】税務調査の対象になりやすい特徴と対策
個人の税務調査対象は、所得税や消費税などの事業に関連する税金だけではありません。相続税についても、税務調査が入るケースがあります。
相続税は個人に課される税金のなかでも、ちょっとした影響で金額が大きく変わりやすいものです。そのため目立つ特徴や不審な点がある場合、税務調査の対象になりやすいと考えられます。
【相続について税務調査の対象になりやすい方の特徴】 |
相続額が大きい(2億円以上である)
相続額が大きいほど、税務調査の対象となる可能性は高いです。特に相続額が2億円以上になると、税務調査が入る可能性が一気に上がると考えられます。
相続額が大きいほど、ミスや漏れのリスクが高いです。単純な計算ミスや記入ミスだけでなく、資産額の評価ミスや財産の計上漏れなども有り得ます。財産が多い場合、財産の隠ぺいを疑われるケースもあります。
相続額が大きい場合はどうしても税務調査の対象になりやすいため、資料などの入念な準備が大切です。相続の段階から税理士など専門家のサポートを受ければ、正確な申告ができる可能性が上がり、税務調査もスムーズに進みやすいです。
相続財産に預貯金・現金が多い
相続財産に預貯金や現金が多いと、税務調査の対象となる可能性が高いです。
不動産のように評価の算定が複雑な財産は、解釈の違いにより金額が左右されやすいため、申告漏れの発見や指摘が容易ではありません。美術品や骨董品なども同様です。
一方で預貯金・現金は額が明確なため、漏れやミスを正確に指摘できます。また相続税対策として生前の移転も発生しやすいため、疑いを持たれやすい財産であり、税務調査の対象となりやすいのです。
相続財産に預貯金や現金が多い場合、相続段階から専門家のサポートを受け、適切な相続対応や申告を行うと安心です。税務調査の対象になっても、正しく相続されていると証明できれば、一切問題ありません。
多額の借入金があるのにそれに見合う相続財産がない
多額の借入金があるのにそれに見合う相続財産がないと、税務調査の対象となる可能性が上がります。
金融機関などから高額な借入を行うには、一定以上の財産が必要です。多くの場合は、不動産や事業用の設備などが担保になります。このような財産がない場合、多額の借入金が存在することを不審に思われ、税務調査の対象になると考えられます。
税務調査の対象となっても問題がないよう、相続財産が存在しないか入念に確認する必要があります。多額の借入金がありながらも不動産などの相続財産がない場合は、その事実や正当な理由を説明できれば大丈夫です。必要な作業が複雑になりやすいため、専門家に依頼しましょう。
名義預金や暦年贈与が多い
名義預金や暦年贈与が多い場合、税務調査の対象となる可能性が高いです。
名義預金や暦年贈与は、相続財産に該当しないという証明・説明をする必要があります。ケースによって必要な対応が大きく異なるため、専門家のアドバイス・サポートを受けると安心です。
名義預金とは「被相続人が別名義で開設した預金口座」
名義預金とは被相続人が別名義で開設した預金口座のことであり、配偶者・子供・孫などの名義が多いです。もし印鑑・通帳を被相続人が管理しており、名義人の自由な入出金に制限がある場合、実態としては被相続人の財産とみなされます。これも相続税申告の対象となるため、注意が必要です。
暦年贈与とは「生前から毎年少しずつ贈与を行うこと」
暦年贈与とは生前から毎年少しずつ贈与を行うことを指し、毎年110万円までは非課税です。しかしこの仕組みを利用して、長年暦年贈与を行うと「最初から多額の贈与をするつもりだったが、税を逃れるために少額に分割していた」と判断される可能性があります。結果として、一括贈与と同じだけの贈与税が求められるケースがあるのです。
相続人名義の証券口座に残額が多い
相続人名義の証券口座に残額が多い場合も、税務調査の対象になりやすいと考えられます。
たとえ相続人名義であっても、実質は被相続人の財産とみなされてしまうと、相続税の申告が必要です。相続対策として相続人名義の証券口座を利用するケースが多いため、税務署の警戒も強いのです。相続人の収入に見合わないほどの残額がある場合、税務調査の対象になりやすいと考えましょう。
証券口座が被相続人の財産ではなく、名実ともに相続人のものと説得できるだけの証拠が必要です。被相続人による利用は避けるようにしましょう。もし配当金受け取りや入出金の事実があれば、最初から相続財産として扱うのも1つの手段です。
海外資産が多い
海外資産が多い場合も、税務調査の対象になりやすいです。
近年は海外取引が一般的になりつつあり、税務署による調査や対応も活発になっています。また海外への入出金が1回あたり100万円を超えると、金融機関から税務署に情報が送られます。金額のズレが把握されやすく、不審な点が見つかれば税務調査の対象となるのです。
海外資産は管理・把握が難しいですが、日ごろから十分に資料を用意しておく必要があります。海外資産に詳しい専門家のサポートを受ければ、税務調査の対象となった際も、十分な説明がしやすくなります。
生前に不動産所得や株式譲渡などがあったのに、申告額が少ない
生前に不動産所得や株式譲渡などがあったのに、申告額が少ない場合も、税務調査の対象になりやすいです。
不動産や株式で一定以上の利益が上がれば、確定申告が必要です。しかし相続税の申告額が少ない場合、利益が上がっていたのに申告していないケースが考えられます。実際に不動産や株式の利益は、特に申告漏れが発生しやすい内容の1つです。
生前の不動産所得や株式譲渡が理由で税務調査の対象となった場合、申告額に問題がないと証明する必要があります。もし利益の申告漏れが発覚したら、なるべく迅速な修正申告が大切です。
家族の資産が多い
家族の資産が不自然に多い場合も、税務調査の対象になる可能性が高いです。
家族の資産が多い場合、相続税対策としての生前贈与が疑われます。生前贈与には贈与税が課せられますが、贈与税は申告・納税漏れの多い税金です。税務署の警戒も強いため、収入に対して預金残高が大きすぎる場合や財産が多いと考えられる場合、税務調査の対象となりやすいです。
資産の多さが理由で税務調査の対象となった場合、自身の資産であると適切に説明する必要があります。
また生前贈与を受けた場合でも、贈与税の申告を正しく行っていれば問題ありません。もし贈与税の申告漏れが発覚したら、期限後申告とはなりますが、速やかな申告・納付が必要です。
被相続人の社会的地位が高い
被相続人の社会的地位が高い場合も、税務調査の対象になりやすいと考えられます。
被相続人が上場会社の役員や、難関資格を有していた場合、社会的地位・収入ともに高いです。このような人物は財産が大きいと予測されるので、税務署の関心が強く、厳しいチェックが行われます。
被相続人の社会的地位が高い場合、どうしても税務署から注目されやすいため、税務調査を避ける対策は難しいです。税務調査の対象となっても問題ないよう、資料や説明準備をしっかり整える必要があります。
無申告である
無申告である場合も、税務調査が入る可能性があります。
相続が発生しても控除や特例の活用により、相続税がゼロになるパターンは多いです。相続税がゼロであれば、相続税申告の必要もありません。
しかし、実は「控除・特例の対象外であった」「相続財産の計算ミスがあった」などの理由により、相続税の対象となるケースもあります。このような理由による納税漏れを防ぐため、無申告の場合も税務調査の対象とされやすいのです。
無申告で税務調査の対象となった場合、相続税がゼロだと適切に説明できるだけの準備をする必要があります。なお万が一相続税の発生が明らかになった場合、早めの申告・納税が大切です。
【法人】税務調査の対象になりやすい特徴と対策
頻繁に税務調査を受けている法人もあれば、滅多に税務調査の対象とならない法人もあります。すなわち税務調査が入りやすい法人が存在するのです。
税務調査の対象になりやすい法人の特徴および対策をおさえておけば、調査が入っても慌てずに対応できます。
【税務調査の対象になりやすい法人の特徴】 |
事業規模が大きい
事業規模が大きい法人は、税務調査の対象になりやすいです。
事業規模が大きいほど、納める税金の額も大きくなります。そして税額が大きいほど、ちょっとしたミスや漏れによる税額への影響も強いです。そのため、税務署は事業規模が大きい法人を優先的に税務調査の対象にすると考えられます。
税務調査の対策には、何よりも適切な税務申告が大切です。また経営者や上層部が、財務状態や経営成績を適切に把握することも求められます。
売上や利益が大きく変動している
売上や利益の変動が大きい法人も、税務調査の対象となりやすいです。
法人税の額は、売上や利益に大きく影響されます。そのため税務署は売上・利益の変動に特に注目しやすいです。
もし売上や利益に大きな変動があり、税務署側がその理由を理解できなければ、申告内容が不審とみなされる恐れがあります。結果として、税務調査の対象となる可能性が高まるのです。
売上や利益の変動が大きい場合、事前に決算書の特殊事項欄に、変動の理由を記載しておくのがおすすめです。もし税務調査の対象となった場合でも、変動理由を適切に説明できれば問題ありません。
不正が多い業種である
不正が多い業種の法人は、税務調査の対象となる可能性が高いです。
税務調査の目的は、脱税の防止や申告の是正です。不正が多い業種は税務調査による成果が出やすいと考えられるため、税務署の調査も積極的になります。
【不正が多い業種】
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もちろん不正が多い業種とはいえ、申告内容が適切であれば問題ありません。日々適切な会計処理および申告を行うことが大切です。
過去の税務調査で指摘を受けている
過去の税務調査で指摘を受けている法人は、税務調査の対象になりやすいと考えられます。
過去に税務調査で問題があった場合、税務署はその後も不正や誤りを疑いやすいです。また税務調査での指摘事項を正しく守り、以降の会計処理・申告に反映させているかも、税務署は強く関心を寄せます。したがって税務調査で指摘を受けた経験のある法人は、どうしても税務調査の対象になりやすいです。
もし税務調査の対象となった場合、現在は正しく会計処理・申告を行っていると説明する必要があります。その後の申告に問題ないと認識してもらえれば、やがて税務調査の対象となる可能性は低くなっていくはずです。
同業他社より所得率が低い
同業他社より所得率が低い法人は、税務調査の対象となりやすいです。
所得率は企業によって多少の差はあるものの、同じ業界・業種であれば似た数値になりやすいです。しかし所得率が低い場合、同業他社に比べて経費などが大きいことを意味します。経費の水増しなどの不正を疑われ、税務調査の対象になる可能性が高くなるでしょう。
所得率が低い法人は、理由を十分に説明できるだけの会計書類を準備しておくと安心です。決算書の特殊事項欄を使い、経費の大きさを説明する方法もあります。税務調査の対象になっても、理由をしっかり説明できれば問題ありません。
ここ数年赤字が続いている
数年にわたって赤字が続いている法人も、税務調査の対象となる可能性が高いです。
法人税は利益に対して課されるので、赤字の法人は法人税の納付が必要ありません。この仕組みを利用して、業績が好調にも関わらず、帳簿を調整して赤字にみせる悪質な企業が存在するのです。したがって赤字が続く法人も、税務調査の対象になる可能性を考慮する必要があります。
もちろん申告内容が正しければ、税務調査の対象になっても特に問題ありません。会計資料や証拠書類の適切な管理、必要に応じて十分な説明を行える状態を準備すれば安心です。
副業をしているサラリーマンも税務調査の対象になる
税務調査は本業としての個人事業主や法人だけが対象ではありません。副業をしているサラリーマンに税務調査が入る可能性もあります。
【税務調査の対象になりやすい副業者の特徴】 |
1年間の収入が20万円前後の方は注意が必要
副業における1年間の収入が20万円前後の場合、税務調査の対象となる可能性があるため、注意が必要です。
所得税の確定申告は、給与以外の所得が20万円を超える場合に必要となります。もし給与以外の所得が20万円を超えるのに確定申告をしていない場合、何らかのきっかけで税務調査が入る可能性があります。
もし所得が20万円を超えているのに確定申告をしていない場合は、今すぐに確定申告をしましょう。税務調査の対象になってから確定申告をすると、罰則が重くなる恐れが大きいため、早急な対応が大切です。
無申告の場合は金額に関わらず税務調査の対象となりやすい
無申告の場合、金額に関係なく税務調査の対象となりやすいです。
税務署は給与以外の所得があるにも関わらず無申告の個人を、重点的に税務調査の対象とします。個人口座の入出金履歴や、取引先の税務調査から芋づる式に発覚すれば、税務署から着目される可能性が高いです。
副業で金額が小さいからといって油断せず、税務調査の対象になり得ると認識する必要があります。もし税務調査が入った場合でも落ち着いて対応できるよう、日ごろから会計資料を整理しておくと安心です。
特定の取引や不審な点がある場合も調査対象になりやすい
特定の取引や不審な点がある場合も、税務調査の対象になりやすいです。
税務署はインターネット取引や海外投資などを行う個人に対する調査を積極的に実施していると公表しています。これらの取引はミスや申告漏れが起きやすく、税務署が注目している内容です。また利益率の低さや売上の大きな変動など、不審な点がある場合も、税務調査の対象になりやすいです。
税務調査の対象となっても問題ないよう、資料や説明準備をしっかり整える必要があります。
参考:Ⅱ 主な取組|国税庁 |
税務調査の連絡が来たら行うべき3つのこと
税務調査は多くの場合、当日いきなりの実施はされません。税務調査の告知が来てから実施日までにはある程度の余裕があります。
その間に、税務調査に向けて最低限行うべきことは次の3つです。
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税理士に立ち合いを依頼する
税務調査の連絡が来たら、早めに税理士への立ち合い依頼が必要です。
税務調査では、専門的な内容を質問される場面も多いです。不慣れな状況のなかで上手く受け答えするのは困難なため、税理士に対応を任せるとスムーズになります。
顧問税理士がいる場合は直ちに連絡しましょう。税務署からの連絡時に税務調査の日付を決定しますが、その場では回答せずに税理士と調整するのがおすすめです。
顧問税理士がいない場合は、税務調査に向けて新規に依頼を行います。顧問税理士を依頼する余裕がない場合、税務調査の立ち会いのみの依頼も可能です。税理士を探す際は、無料で探せるWebサービスを利用すると便利です。
確定申告書などの必要書類を準備する
税務調査に向けて、確定申告書など必要書類の準備も進める必要があります。
税務調査の連絡が来たら、少なくとも過去3年分の資料準備が必要です。より昔の分も調査が必要と判断された場合は、最大で7年前の分まで調査される可能性があります。税務調査に向けて、過去7年分の資料を準備しておくと安心です。
税務調査に必要な書類は、調査税目によって異なります。必要書類を表にまとめました。
対象税目 | 法人税/所得税 | 相続税 |
必要書類 |
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※所得税の場合、雇用関係書類など存在しない資料も多いはずです。上記表のうち、存在する資料のみ用意すれば問題ありません。
書類に不備がないか確認する
税務調査までに、書類に不備がないかの確認が必要です。
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余裕があれば、資料と帳簿の内容が一致しているかまで確認できるのが理想です。
必要書類の準備・確認まで完了したら、以降に必要な準備はそれほど多くありません。担当の税理士から指示があれば、必要に応じて対応します。
税務調査で困っても税理士に相談すれば大丈夫
税務調査の対象となった場合、不安に感じてしまうのは自然です。しかし税務調査に対して必要以上に恐れる必要はありません。もし困ったことがあっても、税理士に相談すれば大丈夫です。
税理士は所得税や法人税をはじめ、税金に関する専門知識を有するプロです。税務調査に関する知識があるのはもちろん、立ち合い経験のある税理士も多くいます。税務調査に向けて必要な準備や対策などを適切に指示してもらえるため、安心して税務調査に臨めます。
税務調査に関して困ったことがあれば、気軽に税理士へご相談ください。
監修税理士からのコメント
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
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この記事の監修税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川