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【税理士監修】取締役とは?複雑な会社構造を徹底解説!

最終更新日: 2019年12月25日

会社の中の「社長」「CEO」「取締役」「役員」などの呼び名は法的な根拠があるものとそうでないものがあり、法律的な権限と社内だけの権限がある肩書きが入り混じっているので会社の構造は非常に複雑です。

取締役が会社の中でどんな役割を持ち、社長やCEOとの関係性について解説します。取締役の役割や権限を理解することで、複雑な会社構造を明確に理解できるようになりましょう。

この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

 
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取締役・代表取締役とは?「社長」「CEO」との違い

取締役とは?

取締役や代表取締役は会社法で定められた法的な根拠を持つ役員です。一方、社長やCEOなどは法的な根拠はありません。つまり社長やCEOは会社の中で定められた肩書きというだけで、法律の中に「社長」や「CEO」という文言はないのです。

社長=代表取締役と捉えらることもありますが、実は必ずしもそうではありません。まずは、取締役の法的な権限を理解して、社長やCEOなどの肩書きとの違いが分かるようになりましょう。

取締役とは

取締役とは、会社法に定められた肩書きです。会社法第326条には以下のように記載があります。

株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。

また、会社法第348条には以下のような決まりがあります。

1 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。

2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する

つまり、会社法によって取締役を設置することは義務付けられており、株式会社における取締役は1人または2人以上の設置をしなければならない役員なのです。複数の取締役がいて取締役会がある場合にはその構成員でもあります。

また、会社法第348条にあるように、取締役は業務執行と決定権があるので、会社の重要事項を設定し執行する権限がある法的拘束力のある立場になるのです。

さらに会社法第349条では代表取締役について以下のように規定されています。

1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
4 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

株式会社は取締役の互選か株主総会決議の中から代表取締役を選任することができ、代表取締役を定めた会社は代表取締役が会社の代表となるのです。

また、専務取締役や常務取締役という肩書きも存在しますが、専務や常務や会社内部の肩書きであって、会社法では専務や常務という文言はありません。

代表取締役を補佐する取締役という意味合いで肩書きが与えられていることが多いようです。

代表取締役とは

会社法第349条に規定されているように、株式会社は代表取締役を定めることが可能です。

代表取締役は株式会社を代表し、株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する(会社法第349条4)とされています。

代表取締役の権限は大きく会社の代表権つまり最終意思決定権とされています。

代表取締役は法律によって、会社の最終意思決定権を持つことを保証された地位になれるのです。

必ずしも「社長」=「代表取締役」ではない!?

「社長」=「代表取締役」と捉えられることもありますが、実際には「社長」=「代表取締役」ではありません。両者の違いは以下の通りです。

  • 代表取締役=法律で定められた肩書きであり、法的に株式会社の最終意思決定権を持つ
  • 社長=社員の中の代表という「法的効力のない」肩書き

社長、専務、常務などは会社内部の肩書きで法律によって定められているわけではありません。また、社長の上に会長を置いている会社もあり、この場合には「代表取締役会長」の肩書きを持っている人も少なくありません。

会社内部で「社長」という肩書きがある人が、法的に代表権のある「代表取締役」であるかどうかということは会社によって異なるのです。必ずしも「社長」=「代表取締役」ではありません法的に代表権があるのは会長や社長ではなく「代表取締役」であると理解しておきましょう。

なぜ「社長=代表取締役」だと勘違いしやすい?

社長は代表取締役であると一般的に考えている人が多いようです。これは「代表取締役社長」といった代表取締役で社内で「社長」という肩書きを持つことが実際には多いからと言えます。また、社長(社員の中の代表)が決定権を持つことを法的に裏付けるために「代表取締役」という役職を持つと考えれば分かりやすいかもしれません。

いずれにせよ、一般的には会社内部の肩書きの中で最も偉い人が法的に会社の代表権を持つことから、社長や会長が「代表取締役」になっているケースがほとんどと言えるでしょう。そのため、多くの人が「社長」=「代表取締役」と勘違いしていることが多いのです。

法律で定められてる肩書きは?

私たちが普段会社の中で目にする肩書きの多くは法律的な根拠のない会社内部の肩書きです。ここで、法的な肩書きと社内の肩書きにはどのようなものがあるのかについて詳しく見ていきましょう。

法的な肩書き

会社法に定められた法的な肩書きは以下の通りです。

  • 代表取締役:取締役会または株主総会で選任される役員の代表。会社の最終意思決定権をもつ
  • 取締役:株式会社の業務執行と決定権をもつ。取締役会のメンバー
  • 会計参与:取締役等と共同して計算書類等を作成する機関
  • 監査役・監査法人:取締役及び会計参与の業務を監査する機関

基本的に会社法に定められて、法律によって権限が規定されているのは上記4つの肩書きです。

形式上の肩書き

形式上の肩書きには様々なものがあり、会社によって設置されている場合と設置されていないものもあります。

主な肩書きとしては以下のようなものです。

  • 会長:第一線を退いた創業者。名誉職や相談役的な立場として存在している場合が多い。意思決定の権限を持っている場合もある
  • 社長:会長がいない会社は最も権限が大きい
  • 副社長:社長の補佐的な役割
  • 専務:社長や副社長の補佐的な役割を行う
  • 常務:専務よりも1つ下の立場であることが多い。日常業務から経営まで幅広い業務をこなす
  • CEO(最高経営責任者):「Chief Executive Officer」の略。日本語では「最高経営責任者」。会社の経営方針や事業計画など経営事項の責任を負う。社長の位置付け
  • COO(最高執行責任者):「Chief Operating Officer」の略。日本語では「最高執行責任者」。現場で社員たちの統制を取るなど、目の前の業績を担当する役割であることが多い。専務や常務の位置付け

このように、会社によって様々な肩書きが存在します。ただし、これらの肩書きを持つ人は一般的に「代表取締役」や「取締役」という法的な肩書きを持っていることが多いようです。

「代表取締役会長」「代表取締役社長」「取締役専務」「取締役常務」「最高経営責任者取締役」などです。肩書きに「取締役」などとある場合は、会社法上の役員ともなります。

引用元:会社法 – e-Gov法令検索

会社の構造ってどうなってるの?役員って?

会社の構造はどうなっている?

株式会社の構造は法律によって定められています。株式会社の中には取締役を設置する必要があり、取締役会などを開き、決定しなければなりません。

会社組織の中には取締役などの他に執行役員などを置いている会社もあるので、組織が複雑になっている場合もあるでしょう。このパートでは基本的な株式会社の構造を解説します。自分の会社に当てはめて組織の構造を理解できるようになりましょう。

株式会社の構造ってどうなってるの?

株式会社の構造を簡単で図で解説すると以下のとおりです。

株式会社の構造

株主総会が役員と監査役を選任し、取締役会で代表取締役が互選されます。取締役会で決まった方針や指示を社内の各部署や社員に伝えるという構造です。また、監査役は取締役会が株主の利益に反する行為をしていないかなどということをチェックします。

「役員」とは?

会社法で規定されている役員は以下の4種類です。

  1. 取締役
  2. 会計参与
  3. 監査役
  4. 執行役

取締役、会計参与、監査役については前述した通りです。執行役については会社法第402条で以下のように規定されています。

1 指名委員会等設置会社には、一人又は二人以上の執行役を置かなければならない。

2 執行役は、取締役会の決議によって選任する。

指名委員会等設置会社は執行と監督を分離する目的の会社形態です。指名委員会等設置会社の場合には、取締役会の決議によって選任された執行役が必ず置かれることになります。

「執行役」は役員、「執行役員」は役員ではない!

執行役と似た言葉に、執行役員という役職があります。しかし、執行役と執行役員は別物で、執行役員は役員ではありません。執行役とは指名委員会等設置会社で置かれる法的な役員です。

一方、執行役員は法的な根拠がありませんが、取締役会の監督の元、役員が定めた業務の執行・指揮には責任を持ちます(権限は会社によって異なる)。

しかしこの責任はあくまでも社内での責任で法的な役員ではないので、執行役員の身分はあくまでも一般の社員と同じです。社員の中のトップという位置付けで考えておけば分かりやすいでしょう。

そもそも「経営者」、「CEO」ってなに?

経営者やCEOなどはあくまでも会社内部の肩書きです。基本的に経営者や社長やCEOというのは、会社の将来の方向性や重要な意思決定などに責任を持つ立場になります。これはあくまでも会社内部のルールに基づく立場です。

会社の中には、会社の権限は全て会長が握っていて社長には何も権限がない「名ばかり社長」も存在します。

社内のルールの中で、「誰が」「どんな権限を持っているのか」を決めるための肩書きが「社長」や「CEO」という言葉です。通常、会社の中で最高の権限を持っている人が、法的にも代表権を持つべきであるため、社長やCEOを「代表取締役」とすることが多いでしょう。

あくまでも法的には会社の意思決定や業務の責任を負うのが、「取締役」であり、取締役の中から選任された人が「代表取締役」となります。法的な立場と社内の肩書きを兼任して「代表取締役社長」や「代表取締役CEO」などとなるのです。

取締役に関するルール

取締役にはどんなルールがある?

取締役を設置している会社は、会社法によって組織の構造や任期や解任などのルールが詳細に定められています。法律に逸脱して、会社運営のルールを定めることはできません。取締役に関してどのようなルールが設けられているのか、詳しく見ていきましょう。

取締役会を設置している会社のルール

会社法第第327条には以下の会社は取締役会を設置することが義務付けられています。

  • 公開会社
  • 監査役会設置会社
  • 監査等委員会設置会社
  • 指名委員会等設置会社

上場企業などには取締役会を設置する義務があると法律で決められています。

また、ここに規定されていない会社であっても取締役会を任意で設置することが可能です。

取締役会を設置している会社には以下のようなルールが定められています。

  • 決議事項
  • 取締役会の開催・招集権限
  • 議決方法

決議事項

会社法で定められている取締役会の決議事項としては以下のようなものがあります。

  • 取締役会設置会社の業務執行の決定
  • 取締役の職務の執行の監督
  • 代表取締役の選定及び解職
  • 重要な財産の処分及び譲受け
  • 株主総会の招集
  • 取締役の競業取引の承認
  • 取締役の利益相反取引の承認
  • 計算書類等の承認
  • その他、重要な各種契約締結の承認

これらの重要事項においては取締役会の議決を得なければなりません。

取締役会の開催・招集権限

開催や招集権限に関することにもルールがあります。

  • 取締役会は3ヶ月に1回以上は開催しなければならない
  • 取締役会の招集は各取締役が行うことができる。ただし、取締役会を招集する取締役を定款または取締役会で定めている場合はその取締役が招集する
  • 取締役会の1週間前に取締役及び監査役に対して取締役会開催の通知を行う

取締役会は最低でも3ヶ月に1回以上は開催する必要があり、招集は各取締役が行うことができます。また、開催の1週間前までには開催を通知しなければなりません。

議決方法

取締役会の議決方法についても、詳細な決まりがあります。

  • 取締役の過半数が出席する必要がある
  • 出席した取締役の過半数の賛成で決議となる
  • 原則的に書面での議決はできない

取締役会は過半数の取締役の出席がなければなりません。そのため、全員の出席がなくても取締役会の開催は可能です。

また、取締役会は議論による議決を前提としているので、原則的に書面で決議に参加するということはできません。決議に参加するためには取締役会への出席が必要になります。

取締役は3人以上!

会社法第331条5には以下のように規定されています。

取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。

このため、取締役会を設置する場合には、最低でも3人以上の取締役を置かなければなりません

また会社法第362条の3には以下のように規定されています。

取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。

取締役会を設置する会社は取締役の中から代表取締役を選定しなければなりません。また、代表取締役は全ての責任を負うため、代表取締役のみが最終意思決定権をもつことになります。一方で、代表取締役は1名しか選定してはならないという決まりはないので、複数選任することも可能です。

ただし、会社の実印を共有することはできないので、複数選任することによって混乱の方が多くなりメリットはあまりありません。代表取締役は1人としている会社はほとんどです。

取締役会を設置していない会社のルール

一方、取締役会を設置していない会社であれば、取締役は1人でも問題ありません。

個人事業主から法人成りする場合には、1人で会社を設立することもありますが、このような場合は取締役は1人であることが多いです。

また、取締役会を設置せずに、取締役が複数いる場合には全ての取締役に最終意思決定権である代表権があります。

会社法第349条には以下の通りです。

1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。

このように、取締役が2人以上の場合には各自会社を代表することが可能です。

しかし、「他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。」との記載通り、代表取締役を定めた場合には、代表取締役のみが会社の代表権を持ち、最終意思決定の権限を持つことになります。

取締役の任期は?

取締役の任期については会社法第332条において以下の通りです。

1 取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。

2 前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。

会社法では、取締役の任期は原則2年です。ただし、公開会社ではない場合には、定款で10年以内に延長することができることになっています。

また委員会等設置会社では「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。」と決められており、任期は1年以内です。

取締役の任命・解任はどうやって決まるの?

会社法第341条に取締役の任命・解任についての定めがあります。

役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。

過半数の株主が出席した株主総会で、出席した株主の過半数の賛成があった場合のみ、取締役の任命と解任を行うことができます。なお、定款で定めた場合には、「3分の1以上の出席」で、「過半数以上の賛成」があった場合でも取締役の任命や解任を行うことが可能です。

「3分の1未満の出席」「過半数未満の賛成」で取締役の任命と可決ができるということを定款で定めたとしても無効になります。あくまで定款で定めた場合のみ、3分の1以上の出席で良いということです。

原則は過半数以上の出席で、過半数以上の賛成が必要になります。

取締役=役員なので「役員報酬」を受け取る

取締役は株式会社の役員であるので、一般の従業員のように会社独自で給与規定を設けて自由に報酬を受け取ることはできません。

会社法第361条には取締役の報酬について以下のような決まりがあります。

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

「次に掲げる事項」というのは以下のようなものです。

  1. 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
  2. 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
  3. 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

つまり、定款に報酬についての決まりがない場合には株主総会の決議を経なければなりません。なお、役員報酬の決め方については以下の記事に詳細な解説がありますので、ぜひご覧ください。

監修税理士からのコメント

進藤崇 - 東京都中野区新井

取締役などの役員は大きな権限を有する反面、訴えられるリスクも有しています。役員就任の依頼を受ける場合には、この点にも注意が必要です。
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この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

2017年10月に独立・開業いたしました。会社の税務顧問・記帳代行はもちろんのこと、個人の確定申告、相続税の相談申告を承っています。 また、ファイナンシャル・プランナーの資格もありますので、個人のライフプランニングについてもご相談ください。
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