記帳代行に強い税理士の選び方のコツ、ご存知ですか?チェックリストで確認していきましょう。
本記事では他にも、税理士に記帳代行を依頼するメリット、サービス料金の相場、依頼する時に準備すること、税理士探しの方法について解説します。
記帳代行を安心して任せられる税理士を見分け、本業に集中できる環境をつくりましょう!
記帳代行とは
税理士への記帳代行を検討するにあたって、記帳代行と業務の流れをおさらいしましょう。
記帳代行とは
そもそも「記帳」とは、会社や個人事業主の日々のお金の動きを帳簿に記録することです。「いつ・何に・いくらお金を使ったか?」を明確にし、経費計算の根拠にするのです。
そして「記帳代行」とは、記帳業務を税理士や代行業者にアウトソーシングすることをいいます。
記帳の目的を一言で言うと、税金を正しく申告するためです。
もし申告内容にミスがあり、過少申告(実際よりも少ない納税額を申告すること)とみなされると、追加で税金を取られることもあります。
申告期限に間に合わなかった場合にも、納付するまでの日数に応じて利得に相当する延滞税が課されます。
<記帳代行が適切に行われなかった場合の追徴課税>
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このように、故意に不正申告した場合に限らず、期限に間に合わなかった場合や書類作成ミスによっても追徴課税が課される可能性があります。
記帳代行業を行う税理士、行政書士、代行業者の違い
記帳代行「のみ」を依頼するのであれば、行政書士や代行業者でも問題ありませんが、税務署類の作成や税に関する相談といった税理士業務を行うことができるのは税理士のみです。
非税理士が税理士業務を行うことは法律で禁止されています。
<業務可能範囲>
記帳代行のみ | 税務書類作成代行 | 税務相談 | |
税理士 | 可 | 可(独占業務) | 可(独占業務) |
行政書士 | 可 | 不可(違法) | 不可(違法) |
記帳代行業者(非税理士) | 可 | 不可(違法) | 不可(違法) |
帳簿付けだけでなく、決算書や申告書の作成まで任せたい場合や、税務関連のアドバイスを受けたい場合は、税理士に代行を依頼しましょう。
記帳代行に強い税理士の選び方【チェックリスト】
記帳代行を税理士に任せるということは、月次決算や確定申告などの税務処理もしてもらうことがあります。ノウハウや実績だけでなく、レスポンスの速さやビジネスパートナーとしての相性も気になりますよね。
税理士選びに時間をかけすぎないよう、人選に迷った時に覚えておきたい10のポイントがあります。
1. 記帳代行をはじめとする経理に関するノウハウや実績があるか |
2. 記帳代行・経理代行の相場が高額すぎないか |
3. 記帳代行の手数料などの料金や業務範囲についての説明が明確か |
4. 月次決算や確定申告などの税務処理をしてもらえるか |
5. レスポンスが早く、訪問にも対応してくれるか |
6. 他の経営者からの評判がいいか |
7. 自分の業種に強い税理士か |
8. 相性がよく、コミュニケーションがとりやすそうか |
9. IT環境の整った事務所か |
10. 税理士事務所の情報がオープンになっているか |
各項目について詳しくみていきましょう。
1. 記帳代行をはじめとする経理に関するノウハウや実績があるか
記帳代行をはじめとする経理業務は会社のお金の流れを記録する作業ですので、言うまでもなく重要な業務です。具体的にどのようなノウハウや実績があるかは事前に確認しましょう。最近はホームページに明記している税理士も増えていますので、参考にできます。
2. 記帳代行・経理代行の料金が高額すぎないか
ノウハウや実績が豊富だとしても、相場と比較して料金が高額すぎないかも要確認です。費用は依頼する作業範囲、売上高、仕訳数によって変動します。料金表を参考にするだけでなく、面談で具体的な見積もりを提示してもらいましょう。
3. 記帳代行の手数料などの料金や業務範囲についての説明が明確か
費用内訳や業務範囲についての説明が明確かどうかも確認項目です。質問に対して曖昧な回答しかしてくれない場合、後々料金にまつわるトラブルに発展してしまうことがあります。手数料や業務範囲は費用に直結します。疑問点があれば必ず契約前に解消しましょう。
4. 月次決算や確定申告などの税務処理をしてもらえるか
記帳代行だけでなく、月次決算や確定申告などの税務処理をしてもらえるかどうか、そのノウハウや実績があるかどうかも確認しましょう。
月次決算は、会社が儲かっているのか損をしているのか、何に経費がかかっているのか、財務状況はどうなっているかを確認する作業です。
5. レスポンスが早く、訪問にも対応してくれるか
面談日を決める際のレスポンスや、月に何度訪問してくれるかの質問に対するレスポンスの早さは、今後の業務スピードにも関係します。税金や税務署類に関するややこしい質問や相談事が生じたら、直接面談したほうが話がスムーズに進むこともあります。レスポンスや訪問に迅速に対応してくれる人選をしましょう。
6. 他の経営者からの評判がいいか
実際に取引をしている他の経営者の声を聞く機会があれば参考にしましょう。ホームページに記載されている情報からは得られない貴重な口コミです。ただ、他の経営者から評判が良い税理士が自分にとっても良い税理士とは限りません。評判はあくまで参考程度にとどめ、自分との相性を見極めましょう。
7. 自分の業種に強い税理士か
税理士にも得意な業種と苦手な業種があります。単に記帳代行だけでなく経営アドバイスや非課税制度や控除制度を含む節税対策に関するアドバイスも求める場合は、自社の業種に関する知識や実績が豊富な税理士を選びましょう。
8. 相性がよく、コミュニケーションがとりやすそうか
お金の面でも経営面でも力になってくれる税理士は、いわばビジネスパートナー。仕事上の付き合いとはいえ、人と人との関係です。相性が良さそうか、ささいなことでも相談しやすいか、専門用語を多用せず噛み砕いて説明してくれるかなど、コミュニケーション力の有無も確認しましょう。
9. IT環境の整った事務所か
近年、会計ソフトや納税システムにおいてオンラインツールの普及が加速しています。2020年からは個人事業主の確定申告書を電子申告(e-Tax)で提出すると税額が有利になる法改正もなされました。背景にはe-Taxの浸透を促進する狙いがあります。将来的に個人事業主や中小企業の電子申告が義務化される可能性もあります。
このように、経理業務や納税手続きにおけるIT化の動きは拡大しています。税理士選びにおいても、会計ソフトの操作方法に詳しいかどうか、IT環境の整った事務所かどうかを確認しましょう。
10. 税理士事務所の情報がオープンになっているか
情報をオープンにしていなくても優れた税理士はいますが、後から「イメージと違った」「認識のズレがあった」というすれ違いやトラブル防止対策として、なるべく情報をオープンにしている税理士を選びましょう。最低でも、依頼内容ごとの料金と経営方針を明示しているところが好ましいです。
税理士との契約から記帳代行依頼の流れ
記帳代行をしてもらう前に、どうやって税理士と契約するのかわからない人もいると思います。そこで、今回は大まかに契約の流れをご説明します。
税理士契約
- 会社の経理状況の把握
- 税理士を探す
- 必要書類を揃える
- 税理士と打ち合せ、方針決め
- 契約成立
税理士契約で最初にやることは、自社の経理状況を把握することです。現状を理解し、何に困っているのか確認しましょう。現状把握が出来たら、税理士を探します。上記で述べた選び方のチェックリストをもとに、自社に合った税理士事務所を見つけてください。最適な税理士事務所を見つけるためには、なるべく複数の税理士事務所に問い合わせましょう。
税理士を絞れてきたら、記帳代行に必要な書類を揃えます。具体的には定款や借款、決算書、申告書、伝票等です。そして、実際に税理士と打ち合わせをして記帳代行の方針や見積、条件を検討しましょう。双方で内容に合意出来たら契約成立です。
ちなみに、ミツモアを利用すれば、優秀な税理士から一度に見積もりを受け取ることができます。
記帳代行の流れ
税理士事務所と契約が成立したら、記帳代行をしてもらうわけですが、記帳代行の流れはどうなっているのか気になりますよね。税理士事務所によって細かい部分は違いますが、大きな流れは同じです。どのような流れで記帳代行をしてもらうのか確認していきましょう。
①【送付資料を準備する】
資料を税理士事務所に送付する場合が多いため、送付資料を準備します。以下の資料はどこの税理士事務所でも必要になるでしょう。
- 預金通帳のコピー
- 領収書
- 売上請求書
- 仕入れ・外注先からの請求書・領収書
- 交通費・飲食代など経費の請求書・領収書
- 給与明細書
これらの資料を事務所に郵送します。
②【毎月の記帳作業】
税理士が送ってもらった資料をもとに記帳作業を行います。送付資料に不足があった場合は、税理士事務所から連絡がくるので問題ありません。記帳が終わったら、月次決算報告書や損益売上推移表などが納品されます。
③【納税予想と決算処理】
税理士事務所や契約内容にもよりますが、毎月の記帳データをもとに納税予想や決算書作成、法人税等の申告書作成を行ってくれる事務所もあります。また、それらを税務署に提出してくれる事務所もあります。
契約の際にどのような契約内容があるのか確認してみましょう。
記帳代行のメリットとは?
税理士に記帳代行してもらうメリットについて、自計化との比較でみていきましょう。
記帳代行を自計化と比較しよう
記帳とは、会社のお金の流れを記録していくこと。税金を正しく申告するために必須の業務で、具体的には日々の取引や経費の計算をおこないます。
記帳業務は、自社で経理を雇う場合(自計化)と、外部の税理士に委託する場合(記帳代行)があります。
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それぞれのメリットとデメリットをみていきましょう。
自計化のメリット・デメリット
自計化の場合、経営状況がリアルタイムで把握できます。直近の経営状況が把握できているということは、銀行融資を受ける際に必要な試算表などの書類がスピーディーに準備できる、資金繰りや経営方針を決定しやすいということ。
コスト面でも自計化にメリットがあります。外部の税理士に業務を依頼するより、自社で総務、財務、経理担当などに一括して任せれば、外注の費用が別にかからなくて済みます。
一方、デメリットは自計化には経理業務に時間や労力が削られてしまうことです。また、社内の経理業務を一任していた経理職が退社することになった場合、引き継ぎがうまくいかず業務に支障が出る危険性もあります。
メリット | デメリット |
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記帳代行のメリット・デメリット
記帳代行を税理士に依頼するメリット・デメリットは、自計化で見てきたものの裏返しとなります。
まず、自社で経理を処理するより記帳代行は費用が別途かかります。また、経営状況を把握するタイムラグが発生する点もデメリットです。
一方メリットは、経理業務に割く時間や労力を本業に向けられること。特に、開業して間もない頃は、本業以外に割く時間を少しでも減らして経営を軌道に乗せたいはずです。
また、税の専門家である税理士に自社の経理業務を任せることで、節税対策や客観的な経営アドバイスが受けられます。いくつかデメリットがあることを踏まえても、記帳代行を選ぶメリットは大きいと言えるでしょう。
メリット | デメリット |
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税理士による記帳代行サービスの料金は?
記帳代行のメリットが分かったところで、気になってくるのは料金だと思います。
料金は記帳代行のみを依頼するのか、税務書類作成や確定申告まで依頼するのかや仕訳数によって異なります。一般的な料金相場を確認しましょう。
税理士による記帳代行の法人/個人事業主での相場
税理士による記帳代行の料金は、一般的に仕訳数に比例して高くなります。そのため、法人よりも、仕訳数が少ない個人事業主のほうが、安く設定されていることが多いです。
あくまで目安としてですが、仕訳数に応じた記帳代行の費用相場は、次のとおりです。
1ヶ月の仕訳数 | 月額費用相場 |
100以内 | 10,000円 |
101〜300 | 15,000〜20,000円 |
301〜400 | 25,000円 |
401以上 | 30,000円〜 |
帳簿から記帳するのか領収書から記載するのかを確認
税理士に記帳代行を依頼する際は、記帳の範囲を確認しましょう。税理士のホームページに記帳料金が掲載されていても、帳簿からの記帳か領収書からの記帳かによって料金が変わってくる可能性があるためです。帳簿から記載することが前提の料金設定の場合、帳簿がないと料金が上がる可能性があります。
契約料金の内訳もしっかり確認
料金の内訳としては、記帳代行料・決算料・申告量・登録料などがあります。契約時点で内訳に含まれていないものは後から別に請求される恐れがあるため、「どこまで依頼できて、この料金か?」ということは予め確認しましょう。
記帳代行を依頼するときに準備すること
いざ税理士に記帳代行を依頼すると決めたら、事前に準備すべきことや揃えておくべき書類があります。
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ひとつずつ確認していきましょう。
税理士に依頼したい内容・依頼に関する条件
依頼したい内容や依頼に関する条件を可能な限り具体的に書き出しておきましょう。そうすることでより具体的な見積書を提示してもらえますし、認識のズレによる後のトラブルを未然に防止できます。
顧問料として想定している予算の範囲
税理士の報酬は、税理士ごとに異なります。一概にいくらといった報酬規定がなく、各税理士や税理士事務所が自由に決定できるためです。だからこそ相場を確認しつつ、自社の予算範囲を伝えておくことが大切です。
顧問税理士としての契約をいつ頃から開始したいか
希望する契約開始時期を伝え、期限に間に合うかどうかを確かめましょう。また、もし解約したい場合「何ヶ月前に申し出が必要か」もあわせて確認しましょう。
【準備する資料1】定款、謄本
定款や謄本は自社の事業の基本情報(業種など)を説明するために必要です。これらの書類を事前にきっちり揃えておくことで、会社の信用を示すことができます。
【準備する資料2】過去3期分程度の決算書、申告書
自社の事業の売上高や予算を説明するために、過去3期分程度の決算書と申告書をそろえておきましょう。顧問料を具体的に見積もるために必要です。
【準備する資料3】伝票
記帳代行を依頼する場合、1ヶ月にどれくらいの領収書が出るかを伝えるために伝票を準備しましょう。口頭で伝えた数と実際の数に大幅な違いがあると、見積もり後に顧問料が上がってしまうことがあります。
記帳代行をする際の注意点
記帳代行を依頼する際は、いくつかの注意点を留意しておく必要があります。
違法業者に注意しましょう!
決算申告ができる人は、法律上「納税者本人」か「税理士」のみとなっています。
業者の中には、税理士資格を持っていないのにも関わらず、税務申告書類を作成しているところも存在します。このような場合は、違法になるので注意して税理士を選びましょう。
また、税理士の署名捺印が事実上ただの名義貸しである場合も、書類作成者が税理士資格のない業者の場合、これも違法行為になりますので、ご注意ください。
価格設定に注意!
一見、リーズナブルな価格設定であったとしても、オプションや仕訳数によって、価格が大きく変動するので注意が必要です。自社の希望を一度業者に伝えて、価格の見積もりをしてもらうことをお勧めします。
契約内容に注意!
記帳代行を業者に依頼する際に注意点が以下の2つあります。
①契約期間があるかどうか
②守秘義務について契約書に明記してあるか
契約期間の設定がある業者に依頼した場合は、契約期間中に他社に乗り換えることができないので注意しましょう。
また、記帳代行サービスは会社の重要な機密事項を所有することになります。税理士は法律で守秘義務が定められているのに対し、業者は義務が法律上明記されていません。業者との契約時に、守秘義務について確認しておくことをお勧めします。
税理士探しの方法
記帳代行に強い税理士の選び方が分かったところで、どういった方法で税理士を探すと良いのでしょう?4つの方法と、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
電話・インターネットで自分で探す
1つ目は、電話やインターネットを使い自分で探す方法です。ホームページに実績や料金をのせている税理士も多いので、条件に合ったところを自由に探すことが出来ます。
しかし、情報量が膨大なため、時間と労力がかかってしまいます。客観的な評価や、自分との相性が推し量りづらいのもデメリットです。
知人・友人からの紹介
記帳代行を税理士に依頼している知人・友人・同業者が身近にいれば、彼らから紹介してもらう方法もあります。レスポンスの速さや実績についてなど、生の声を聞くことができる点はメリットです。
ただ、紹介してもらった税理士と自分との相性が良いとは限りません。また、自社の業種や依頼内容によっては知人・友人の評価があてにならないこともあります。
銀行や保険会社等からの紹介
銀行や保険会社等、外部の金融機関や会社から紹介してもらう方法です。中立的な第三者を挟むので安心できるかと思いきや、そうとは限りません。紹介された税理士事務所と、紹介した銀行・保険会社との間に利害関係がないかどうかを確かめる必要があります。
税理士のマッチングサービスを利用
最後は、税理士のマッチングサービスを利用して、記帳代行に強い税理士を探す方法です。依頼したい内容や予算に合った税理士を探すことができ、自分で探す手間や労力を削減できます。
ミツモアで税理士を探そう!
税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。
そんな税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。
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ミツモアなら簡単な質問に答えていただくだけで2分で見積もり依頼が完了です。
パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことが出来ます。
最大5件の見積りが届く
見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。
チャットで相談ができる
依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。
税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?