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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?向上のメリットや成功事例も紹介

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最終更新日: 2024年06月28日

顧客満足度や企業のブランド力確保のためには、CXの向上を意識したマーケティング施策の実行が欠かせません。

この記事では基本事項や向上のメリット、企業の成功事例を通じて「CXとは何か?」をわかりやすく解説します。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは

ベッドでパソコンを使う女性

CXとは「カスタマーエクスペリエンス (Customer Experience)」の略で、商品やサービスの購入前から利用後までのあらゆる体験のことです。日本では「顧客体験」とも訳されている考え方です。ビジネスシーンでは「CX (シーエックス)」と略称で呼ばれることが多いです。

顧客が自社の商品・サービスを実際に利用することで得られる体験を評価・分析し、顧客にとってより魅力のある商品開発や、有効なマーケティングを行うための指針といえます。

商品やサービスを通じて顧客が体験したもの全て

自社の商品やサービスを通じて、顧客が体験したもの全てがCXの対象となります。

CXを改善するためには商品を購入するに至った状況から購入後のサポートまで、顧客が自社とのやり取りの中で感じる価値にフォーカスして、さまざまな施策を打ち出していきます。

顧客一人ひとりに最良の体験をしてもらうことで、リピート購入や自社の企業ブランドの向上などにつなげるのが主な狙いです。

そのためには顧客の多様化したニーズに合わせて柔軟な対応をする「One to Oneマーケティング」にCXの考え方を取り入れるのが効果的です。

関連記事:One to Oneマーケティングとは?実践方法や効果を解説|ミツモア

CSやUXとの違い

CXと似た概念にCS「カスタマーサティスファクション (Customer Satisfaction)」や、UX「ユーザーエクスペリエンス (User Experience)」があります。

CSは日本では「顧客満足度」と呼ばれており、企業のマーケティングのさまざまなシーンで頻繁に使われています。企業の提供する商品・サービスの質をはじめ、接客態度やサポートなど、一つひとつの要素が顧客にとって満足のできるものかを測る指標です。

そしてUXは顧客が自社の商品やサービスに触れたときに感じる価値を指します。CXと混同されるケースも少なくありませんが、UXの方がより狭い概念です。

UXは顧客が自社の提供する商品に触れた段階、あるいはアフターフォローを受けた段階など、購入前から購入後に至る一つひとつの要素にフォーカスして分析・評価の対象とする傾向があります。

一方、CXは顧客の商品購入前からアフターフォロー、リピート購入に至るまで、顧客と自社とのやり取りを一連のプロセスと考えて、より広い視点から顧客の体験を評価する考え方と言えます。CXはUXを内包した概念と捉えておくとよいでしょう。

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CXの向上がもたらす4つのメリット

お金

CXの向上は企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。企業がCXの改善に力を入れる理由はさまざまですが、リピーターの獲得や競合他社との差別化、ブランド力の向上などの効果が期待できます。

リピーターの獲得

顧客が満足するぴったりの価値を提供することができれば、リピーターの獲得につながります。

そのためには自社との関わりによって得られた体験を通じて感動を与えることが求められ「また同じ商品・サービスを利用したい」と思ってもらうことが大切です。

熱心なリピーターは長期的な売上を確保するうえでも欠かせない存在といえるでしょう。企業の利益の多くは得意客からのリピート購入でもたらされるため、CXの向上で自社のファンを増やすことができれば、ビジネスを安定化させられるでしょう。

差別化とブランド力の向上

競合に対する差別化や自社のブランド力の向上を目指して、CXに取り組んでいる企業もあります。

商品・サービスの質によって差別化を図りづらくなった現代では、顧客に自社の企業理念や文化、社会への価値提供の方法などに共感してもらうのが有効とされています。

そういった企業の無形資産は他社にとって模倣しづらい部分なので、CXを通じて自社の理念を理解してもらえれば、結果的に競合他社への差別化やブランディングにつながるでしょう。

口コミなど顧客による宣伝効果

CXを向上させ、多くのリピーターを獲得できれば、そこから口コミによってさらなる集客が期待できます。

特に近年はSNSに顧客が商品の評価や体験を書き込むケースが多いため、良い顧客体験を提供することで、顧客自身が最良のプロモーターになってくれるでしょう。

企業のプロモーションよりも、友人や知り合いの評価を参考にする人が多いので、成約率の高いリード(見込み顧客)を効率的に集められます。

顧客離れの防止

顧客は商品やサービスの質に対して正直な反応を取ります。購入前から購入後の段階のいずれかで「満足できなかった」という気持ちを抱かせてしまえば、顧客離れに直結するのです。

CXの改善は顧客の満足度を向上させ、場合によっては離脱防止だけでなくリピート顧客の獲得にもつながります。

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CX向上のために必要なこと

お会計する人

顧客によって望んでいる体験は異なるため、できるだけ一人ひとりの顧客に寄り添いながら、相手の視点に立って複数のCX施策を組み合わせるのが有効です。以下で詳しく見ていきましょう。

目に見えない価値を意識したアプローチ

CXでは目に見えない価値(非物質的価値)に重きを置いたアプローチが有効です。

商品・サービスの価格や質といった目に見える価値も重要ですが、それ以上に感覚的な価値や心理的な価値にフォーカスすることで、他社に真似のできない顧客体験の提供が可能になります。

例えば店舗での接客やコールセンターでの受け答えなどは、工夫次第で顧客の期待を上回ることができるはずです。社員のちょっとした行動で、その企業のファンになる人は少なくありません。

顧客がどういう状況で快適さや居心地の良さを感じるか、どうすれば顧客の自尊心を満たせられるか、といった部分に注目してみましょう。

IT技術やデータを活用しニーズを把握

顧客に最良の体験を提供するには、データの裏付けがなければいけません。

闇雲にCXの施策を連発しても的外れに終わってしまう可能性が高いので、IT技術やビッグデータを活用するなどして、事前に顧客ニーズを正確に把握する必要があります。

そのためにはDX(※)を推進して、さまざまなデータを効率的かつ有効に活用できる体制を構築しましょう。CXの向上を主眼に置いてDXを考えることが重要です。

【DX (デジタルトランスフォーメーション) とは】

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術やさまざまなデータを活用しながら、顧客や社会のニーズを満たすために製品やサービス、あるいはビジネスモデル自体を変革し、競争優位を確立することを指す概念のこと。CXの重要な手段の1つとされる。

企業全体での一貫した取り組み

CXは顧客が商品を購入する前からアフターフォローに至るまで、購入のプロセス全体で最良の顧客体験を提供する取り組みとも言えるでしょう。したがって特定の部署だけが行うのでは不十分で、企業全体で一貫した方針のもと取り組む必要があります。

顧客との一部の接点だけが優れていたとしても、他の部分が疎かになっていては、十分な成果を上げられないでしょう。

長期的な視点から顧客とどう向き合うのか企業全体で共有し、各部署が協力して横断的・体系的にCXの施策を実行することが重要です。

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CX改善のための3つのステップ

パソコンを操作するビジネスウーマン

CXを向上させるためには、次の3つのステップに沿った動きが求められます。

  1. 顧客が抱える課題の把握
  2. 顧客評価の調査による課題の可視化
  3. 仮説検証と改善のサイクルを実施

顧客が抱える課題の把握

まずは顧客が抱える課題を把握しましょう。

このとき「カスタマージャーニーマップ」を作成すれば、顧客との接点が整理されてわかりやすくなります。

顧客の購買行動における認知から購入後までの一連の流れを時系列順に並べれば、どの段階で商品との接点がどのように顧客体験に影響を及ぼしているのかどうかがひと目でわかります。

顧客接点が生まれる場所やタイミング、顧客行動や思考・感情を実際の顧客情報からまとめて整理しましょう。

カスタマージャーニーマップの作成方法や事例については次の記事で詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。

関連記事:カスタマージャーニーとは?マップの作り方やメリットを徹底解説|ミツモア

顧客評価の調査による課題の可視化

作成したカスタマージャーニーマップや整理した顧客情報を元にして、顧客評価を調べていきます。たとえば、次のような手法を取るとよいでしょう。

  • サイトのアクセス解析
  • 口コミやレビュー内容の抽出
  • ソーシャルリスニング
  • 問い合わせ内容の参照

さまざまな顧客情報を広い角度から検証・分析して、顧客が現在抱えているであろう課題を可視化していきます。

たとえばアクセス解析の結果、商品購入ページの情報入力フォームで離脱が多く発生しているとしましょう。このとき口コミでも「情報の入力が手間だった」という情報があれば、フォームの複雑さがCXを損ねているという仮説が立てられます。

このように数ある情報を多角的に分析して、ユーザー行動に即した形で課題を抽出していきましょう。

仮説検証と改善のサイクルを実施

抽出した課題から仮説を立てた後は、アンケートやインタビューを実施するなどして解像度をさらに高めていきます。

課題がはっきりとしたら、解決のための施策を立案して実行に移しましょう。施策の実行後は振り返りを行い、施策が正しいものであったかどうかの仮説検証を実施します。

たとえば「情報入力フォームの項目数減による離脱率の改善」をテーマとしているのであれば、実際に項目数を減らすとどのくらい離脱率が下がったのかを調査します。

仮説に基づいた施策のブラッシュアップをしながら改善を続けていくことで、CXの断続的な向上が期待できるようになるでしょう。

企業のCXが向上した成功事例

売上高の改善グラフ

CXの向上を重視する企業は年々増えてきています。ここでは、CXの向上により顧客獲得やブランド力の強化に成功した企業事例を紹介します。

スターバックス

有名コーヒーチェーンのスターバックスはCXの向上に成功した結果、自社のブランド力を確固たるものとしました。

スターバックスではコーヒーの提供を通じて顧客が心躍る瞬間を「スターバックス体験」と定義し、各店舗のパートナー(従業員)がそれぞれ主体となって実現のために動きます。

店舗での接客対応はもちろん、顧客それぞれにあわせた声掛けの実施、季節ごとのドリンクの提供やキャンペーンの実施など、実施している内容は多岐にわたります。

また店舗でかかるBGMや内装など、コーヒーを楽しむ環境も顧客体験のひとつとしてレイアウトされています。

おいしいコーヒーを楽しんでもらうだけでなく「自分の居場所だ」と感じてもらえる体験を提供することで、根強いファンと顧客の獲得に成功しているのです。

ナイキ

スポーツ用品メーカーのナイキは、アプリと実店舗を連携させたサービスでCXの向上に取り組んでいます。

もちろんアプリがなくてもショッピングは可能ですが、店舗内でアプリのチェックインをすれば、さまざまな機能が使用可能に。

  • 店舗内でもアプリ上で決済が完結
  • 試着したい商品をアプリでスキャンすれば、スタッフが試着室まで持参
  • アプリを使った取り置き

店舗内で実物を確認しつつECの操作性や利便性も実現できるので、顧客は新しいショッピング体験を感じられるようになりました。これまでにない革新的な体験が、顧客の満足度向上につながっている事例といえます。

優れたCXはビジネス成功の要

画面を見る男性

優れたCX (カスタマーエクスペリエンス) はリピートの獲得やブランド力の向上につながります。

そして高いCXを実現するためには、顧客の抱えているニーズや課題をデータから正しく抽出して、適切な情報提供などのアプローチを取る必要があります。

つまり、顧客の悩みに真に寄り添い、その課題を企業と顧客が共に解決していく姿勢が、CX向上のために求められるものといえるでしょう。

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