時代とともに効果的なマーケティング手法は変化します。これからはますます個々の消費者に合わせたアプローチが重要です。顧客の満足度を高めるOne to Oneマーケティングの基礎知識や実践方法を紹介します。有名企業の実例も見ていきましょう。
最終更新日: 2024年06月28日
One to Oneマーケティングとは
One to Oneマーケティングとは、顧客ひとりひとりに最適化されたアプローチを行うマーケティング手法のことです。すべての顧客に対して画一的なマーケティングを行わず、それぞれの顧客が持つ興味・関心にあわせた施策を実行します。
消費者はそれぞれ属性や好みが異なります。購買履歴などからニーズを読み取り、適切なコミュニケーションを行う必要があるのです。
例えばニーズに合った販促メールやDMを送ることで、消費者の購買意欲を効率よく刺激します。1人ずつ異なるクーポンを送ることも効果的でしょう。
このように顧客の年齢や性別に加えて、趣味嗜好などから仮説を立ててアプローチしていきます。
次の記事ではOne to Oneマーケティングを効率的に進められる、おすすめのMAツールを紹介しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
マスマーケティングとの違い
マスマーケティングとはテレビCMやラジオなどを通し、大衆に向かって企業が一方的に広告や情報を提示する手法です。広範囲に情報を発信できるため、さまざまな人にアプローチできるメリットがあります。
しかしこの手法ではすべての人に有効であるとは限りません。かえって効率が悪い可能性があります。
One to Oneマーケティングでは個人のニーズに合わせた情報を提示するため、すべての人が興味を抱く可能性があるのです。事前準備や戦略は複雑になるものの、広告がムダになる可能性はマスマーケティングよりも低くなるでしょう。
One to Oneマーケティングのメリット
マスマーケティングと比べOne to Oneマーケティングは、売上アップだけでなく、複数のメリットがあります。One to Oneマーケティングのメリットを紹介します。
顧客とより深い信頼関係を築ける
One to Oneマーケティングを機能させるためには、顧客のことをよく知ることがスタート地点です。そのためイベントやキャンペーンなどを通じ、顧客とコミュニケーションを取りながら関係性を強化する必要性があります。
また顧客に有益な情報を送り続ければ、自社への印象も改善できるでしょう。顧客と深い信頼関係が築ければ、「アップセル」や「クロスセル」につながりやすくなります。
購入した商品の満足度が高かったりアフターフォローの対応がよかったりすれば、リピート率も向上するでしょう。
コストパフォーマンスを高められる
マスマーケティングのような大量広告には、莫大な費用がかかる場合がほとんどです。しかもすべての人に効果があるわけではないので、コストパフォーマンスが低くなってしまうこともあります。
One to Oneマーケティングによるアプローチは、メルマガやDMでも可能です。テレビCMなどと比べコストが低く、ムダにならない可能性が高いといえます。
両者を見比べるとOne to Oneマーケティングの方が、明らかにコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。またメール配信やサイト表示などのアクションは自動化できるため、効率よく宣伝できるのです。
One to Oneマーケティングの手法
One to Oneマーケティングの手法はITを使ったものがほとんどです。テレビCMを活用するといったマスマーケティングと比べ、コストや手間を抑えた手法で一定の効果が見込めるでしょう。
One to Oneマーケティングの手法を紹介します。
リターゲティング広告
「リターゲティング広告」とはブラウザのCookie情報を使用したマーケティング手法です。顧客の自社サイトでの行動を追跡し、他社サイト上にも自社広告を表示させます。
リターゲティング広告には買い忘れ防止効果やリマインド効果があり、サイトの閲覧者が今欲しがっているモノやサービスに関連した情報を表示させるものです。
インターネットを利用していてサイトの上部やサイドに、一度見たことのある商品の広告が表示された経験があるのではないでしょうか。
これこそターゲティング広告によるもので、よく使われる身近な手法です。
レコメンデーション
リターゲティング広告と同様に「レコメンデーション」も、ブラウザのCookie情報を利用します。これはECサイトで「あなたが興味を持つかもしれない情報」を表示させるマーケティング手法です。
一度購入した商品の類似品やそれに関連する商品など、サイト閲覧者が興味を抱く可能性のある情報を提示します。
例えばECサイトでパソコンを購入したとしましょう。一度購入するとマウスやキーボードなどパソコンに関連する商品情報が、いたるところに表示されます。
それぞれの顧客に関心があるかもしれない情報を見せることで、効率よくアップセルやクロスセルが狙える手法といえるでしょう。
メールやDMの配信
顧客に関するある程度の情報が分かるのであれば、メールやDMを送るのも効果的です。ニーズに合ったリンクを案内するなど直接営業できます。
お得なクーポン情報やキャンペーン情報を案内するなど、顧客が喜びそうなアプローチで関係を強化することもできるでしょう。
メルマガを登録してもらえれば、毎日決まった時間帯の情報発信が可能です。本文の作成以外はほぼ自動化されている場合が多いので、発信に大きな手間はかかりません。
毎日商品を紹介するのではなく、顧客にとって有益な情報を送り続け、自社に対する印象を高め商品を紹介するパターンもあります。
LPO(ランディングページ最適化)
検索して顧客が最初に訪れるページを「ランディングページ」といいます。ランディングページの最適化は、訪れた顧客の「コンバージョン率」を高める手法です。
顧客の属性や想定されるニーズをもとに、同じランディングページでもサイトのデザインや表示の仕方を変え、最終目的まで行動するよう導きます。
例えば同じ旅行サイトでも、シニア層には優雅な風景や情緒ある景色の写真を中心にサイトを構成します。若年層にはテーマパークや商業施設を中心に紹介するなど、世代ごとにニーズを意識した内容を作るのです。
One to Oneマーケティングの成功事例
One to Oneマーケティングはコストを抑え、効率よく顧客にアプローチできると紹介しました。しかし実際はどうなのか気になるところでしょう。
One to Oneマーケティングの成功事例を紹介します。
クーポン・キャンペーン精度が向上した事例
「すかいらーく」が経営する飲食店「ガスト」は、POSデータを活用してOne to Oneマーケティングを成功させました。
2014年上半期に広告費を前年比10%削減し、同じく前年比3%の売上向上を達成しています。ガストはどの商品がいつどのくらい売れたのかといった、レジに蓄積されたPOSデータを活用しました。
このデータとクーポン配信セグメントを合わせた結果、アプリのダウンロード数が300万を超え、売上増につながったのです。
既存のデータ活用によって成功した事例ひとつといえるでしょう。
メルマガ配信を効率化した事例
ガスコンロやファンヒーターなど人々の暮らしを支える商品を発売している「リンナイ」は、これまで実施していたメルマガ配信の方法を変え、売上増につなげる成果を出しました。
リンナイは既にメルマガ配信に取り組んでおり、マスマーケティングのように、すべての顧客に同じ内容を配信していました。
そのため人によっては不要な情報であったり押しつけがましい印象を与えたりしてしまったのでしょう。退会する顧客も少なくなかったのです。
その状態から顧客のデータベースをもとに、個々に合ったメルマガ配信に切り替えました。特定の商品に興味のありそうな顧客のみに絞って配信した結果、開封率が3.7倍に増加し、購買率は12.6倍もアップしました。
One to Oneマーケティングで顧客満足度の向上を
かつては主流だったマスマーケティングはあまり機能しなくなりつつあります。広告媒体や決済方法の多様化により、消費者の選択肢が増えたためです。
顧客それぞれに合ったアプローチであるOne to Oneマーケティングは、これからの時代に有効なマスマーケティング手法のひとつといえるでしょう。One to OneマーケティングはITを利用した手法がほとんどです。コストを抑え効率よく実施できます。
まだ自社で取り組んでいないのであれば、One to Oneマーケティングで顧客満足度を高めてみてはいかがでしょうか。
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