Google社が提供しているプログラミング言語のGAS(Google Apps Script)は、同社のサービスを効率的に利用するのに役立ちます。GASの特徴や具体的にできることや、便利なスプレッドシートとの連携方法を解説します。
最終更新日: 2024年06月28日
GAS(Google Apps Script)とは？
Google Apps ScriptはGoogle社が独自に提供しているプログラミング言語で、通称「GAS(ガス)」と呼ばれています。
Googleのアカウントと、インターネット環境があれば誰でも無料で利用でき、同社以外のサービスとも連携できるので、多くのプログラマーやエンジニアが導入しています。
GASの特徴
GASは主に、Googleが提供しているGmailやGoogleドライブなど、さまざまなサービスを効率的に利用するためのツールとして、使われています。
各種サービスの自動化と、連携のためのプログラムを作成でき、開発環境の構築が不要で、すぐに開発を始められるのが特徴です。
多くの利用者がいる、JavaScriptをベースにした言語なので、すでにJavaScriptを使って仕事をしているプログラマーならば、すぐに使いこなせるでしょう。
GASの使用方法
Googleの無料アカウントとパソコン、インターネット環境があれば、すぐにGASを利用できます。
基本はブラウザ環境で動作させるので、ほぼ無料で始められるのも魅力です。Webアプリとして開発環境が提供されているので、他のプログラミング言語のように、利用環境の構築に手間はかりません。
また開発方式には「スタンドアロン型」と「コンテナバインド型」があります。前者は単独で動くプログラムなので、他のサービスと連携させる必要がない場合は、こちらを使いましょう。
一方後者はGoogleドキュメントや、スプレッドシートなどとひも付けられたスクリプトです。これらのサービスとの連携を前提としている場合は、コンテナバインド型を使用しましょう。
GASで何ができるのか？
GASを利用すれば、Googleの各種サービスの作業を自動化できるのに加えて、Webスクレイピングや、Webアプリの開発などが可能になります。それぞれ簡単に解説していきます。
Googleサービス上の作業を自動化
Googleスプレッドシートやドキュメント、Gmail、Googleカレンダーといった、人気のサービスにおいて、ユーザーの作業を自動化できます。
それぞれのサービスの連携も可能で、スプレッドシートの内容をGmailで送信したり、カレンダーの記載内容を自動で編集したりできます。
ビジネスシーンでこれらのサービスを、日常的に使っている人も多いので、GASを使ってうまく連携できれば、作業のスピードや効率性を、大幅に向上させられるでしょう。
Webスクレイピング
GASでは特定の関数を利用することで、Webスクレイピングを簡単に行えます。
スクレイピングとはインターネット上から、任意の情報を収集することで、指定したWebページを巡回し、特定の情報を取得して、利用しやすいようにCSVなどで出力するプログラムです。
スクレイピングといえばPythonを思い浮かべる人も多いですが、GASを使用すれば他のプログラミング言語を用いるのに比べて、より簡単に情報を収集できます。
Webアプリケーションの開発
GASを用いて、簡単なWebアプリケーションの開発も可能です。Googleサービス同士を連携させるプログラムや、機能を公開できる機能を持っているので、ブラウザ上で動作するアプリケーションとして公開ができます。
相応のプログラム技術を持っている人は、社内で情報共有するためのアプリケーションや、チームのスケジューリングを効率化するツールなどを、開発してみるのもおすすめです。
自社の環境に合ったものを開発すれば、組織全体の業務効率化につながるかもしれません。
GASとスプレッドシートを連携する
それではGASと、スプレッドシートを連携させる方法を解説していきます。ここではGoogleスプレッドシートからGASを開き、マクロを編集するところまでを紹介します。
GASをスプレッドシートで開く
Googleスプレッドシートを開いて、ツールバー上の拡張機能から「App Script」を選択しましょう。
スプレッドシートにひも付いた、GASのスクリプトエディタを開きます。スタンドアロン型では使えないコマンドも利用できるので、特定のシートとの連携を前提としている場合は、こちらを利用しましょう。
なおスタンドアロン型の、GASのスクリプトエディタを開きたい場合は、Googleドライブから、GASの新規ファイルを開けばOKです。他のサービスと連携させずに使用するならば、スタンドアロン型を使います。
マクロを作成・編集してみる
スプレッドシート上で定型作業を自動化するには、マクロを使用しますが、複雑なマクロの編集には、GASを使用すると便利です。
マクロを使用するには、拡張機能から「マクロ」、次に「マクロを記録」をクリックすると、マクロが記録されている旨の表記が出るので、記録したい一連の作業を実行します。
作業を記録したらマクロに名前を付けて、「保存」しましょう。ショートカットキーを割り当てることも可能です。
後は承認が終了すれば、マクロの保存ができるので、再び拡張機能から「マクロ」を選択し、表示されたダイアログから保存したマクロを選択すれば実行できます。
さらに作成したマクロを、GASで編集するには、拡張機能から「App Script」を選択すると、スクリプトエディタが表示されるので、ファイル項目の「マクロ.gs」を選択すれば編集できます。
なおスプレッドシートのバージョンによっては、細かい手順が変わってくる場合があるので、注意しましょう。
GASによるスプレッドシートの連携例
続いてGASを使った、スプレッドシートの連携例を紹介します。さまざまな使い方ができるので、自分なりにGASを使って、連携方法を考えてみると良いでしょう。
他のツールからデータの取り込みを直接実行する
GASによって他の会計ツールなどから、ダイレクトに必要なデータを取り込めるようになります。
通常他のツールからデータを取り込むには、一度CSVなどの形式にしなければいけませんが、GASを使えば、変換なしで直接データのやり取りが可能です。頻繁に会計データを更新しなければならない企業は、作業時間をかなり短縮できるはずです。
Googleカレンダーと連携させる
GASによって、スプレッドシートとカレンダーを連携させれば、スケジュールをボタン一つでカレンダーに転記するといった運用ができます。
スプレッドシートに作成した予定表の内容を、リアルタイムでカレンダー上に登録できるようになるので、入力の手間がなくなります。基本機能同士の連携が簡単にできるので、工夫次第で業務効率を大きく向上できるでしょう。
顧客管理業務を効率化する
GASを使って、スプレッドシート上で顧客データを種別ごとに分散管理する、といった運用も可能です。例えば売り上げや顧客情報、発注履歴といった項目を分散して管理しておき、それを一つのシートに集約されるように管理することもできます。
さらにスプレッドシート上のデータを、CRMに転記するプログラムも組めるので、すでにCRMやSFAなどを導入・利用している企業にも役立ちます。
GASでスプレッドシートを使いこなそう
GASの概要と使い方を解説しました。GASを使えば、さまざまなGoogleサービスを連携できるようになり、業務効率化を実現できます。
特にスプレッドシートは、マクロの作成や他ツールのデータの取り込み、転記などを自動化できるので、非常に便利です。うまく使いこなせば、業務生産性を大幅に向上できるので、いろいろな連携方法を考えてみましょう。
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