現場からは「勤怠と工数を2回入力するのは無駄だ」という不満が上がり、一方で経営層からは「プロジェクト別の正確な原価を出せ」「IPOに向けて労務管理を厳格化せよ」と求められる。管理部門にとって、この板挟み状態を解消することは急務です。
しかし、安易なシステム導入は現場を混乱させるだけです。重要なのは、自社の成長フェーズと管理レベルに合わせて「統合型」か「連携型」かを正しく選択することです。特に2025年は育児・介護休業法の改正により、柔軟な働き方の管理義務化が進むため、システムの対応力は法的リスクに直結します。
本記事では、IPO準備企業から成長ベンチャーまで、自社に最適なシステムが見つかる比較・選定ガイドを提供します。
貴社に最適なのは?タイプ別診断チャートとおすすめシステム比較表
最適なシステムは、自社が抱える課題の内容と、既存システムを維持したいかどうかによって明確に分かれます。以下の基準で、貴社が進むべき方向性を確認してください。
【タイプ別診断チャート】
- 既存の勤怠管理システム(King of Timeなど)に満足しており、継続利用したいですか?
- Yes → タイプ3:API連携・特化型 へ
- No → 次の質問へ
- プロジェクト原価管理に求める精度はどのレベルですか?
- 「1円単位」の整合性とIPO監査レベルの統制が必要 → タイプ1:オールインワン(ERP)型 へ
- 「ざっくり」とした工数把握とコストパフォーマンスを重視 → タイプ2:オプション機能型 へ
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【全13製品】工数管理もできる勤怠管理システム比較表
| タイプ | 製品名 | 価格感(月額/人) | 原価管理精度 | 現場入力負荷 | 特徴・強み |
| 1. ERP型 | TeamSpirit | 600円〜 | ◎ (完全整合) | ◎ | IPO準備の定番。内部統制と原価計算を完全自動化 |
| 1. ERP型 | 奉行Edge | 390円〜 | ◎ (給与連携) | ○ | 経理・給与計算とのシームレスな連携 |
| 1. ERP型 | COMPANY | 要問合せ | ◎ (人事連動) | ○ | 大手向け。複雑な人事制度にノーカスタマイズ対応 |
| 1. ERP型 | e-works | 要問合せ | ◎ (個別対応) | ○ | 大規模・独自就業ルールへの柔軟なカスタマイズ |
| 2. オプション型 | ジョブカン勤怠管理 | 300円〜 | ○ (階層管理) | ◎ | コスパ最強。2025年リニューアルで分析機能強化 |
| 2. オプション型 | AKASHI | 400円 | ○ (可視化) | ◎ | UIが秀逸。工数グラフの自動作成で状況把握 |
| 2. オプション型 | 楽楽勤怠 | 要問合せ | ○ | ◎ | サポート手厚い。ラクス製品との連携で業務効率化 |
| 2. オプション型 | follow | 要問合せ | △ (記録のみ) | ○ | NTTグループの信頼性。シンプルで堅牢な管理 |
| 2. オプション型 | スマレジ・タイムカード | 0円〜 | △ (タスク) | ◎ | 店舗・シフト管理特化。タブレット×顔認証 |
| 3. 連携/特化 | KING OF TIME | 300円 | △〜◎ | ○ | シェアNo.1。TimeCrowd等とのAPI連携で拡張性抜群 |
| 3. 連携/特化 | CC-BizMate | 要問合せ | ◎ (分析) | ○ | 人事評価・生産性分析に特化。プロセス可視化 |
| 3. 連携/特化 | MITERAS | 要問合せ | ○ (実態把握) | ○ | PCログ突合で「隠れ残業」を抑止。コンプラ特化 |
| 3. 連携/特化 | ちゃっかり勤太くん | 要問合せ | ○ (現場特化) | ○ | 現場主導のカスタマイズ。変形労働や特殊シフトに対応 |
工数管理と勤怠管理を一元化する3つのアプローチと選び方
勤怠管理と工数管理を統合する方法は、大きく分けて3つのアプローチが存在します。それぞれのメリットと、適している企業の特性を解説します。
アプローチ1:オールインワン(ERP)型
勤怠、工数、経費、稟議などを単一のデータベースで統合管理するスタイルです。
- 特徴: 勤怠データと工数データが完全に連動するため、データの不整合が原理的に発生しません。
- メリット: 月次決算を待たずにプロジェクトごとの損益(PL)をリアルタイムに可視化できます。IPO審査における労務デューデリジェンス(監査)にも耐えうる、強固な内部統制を構築可能です。
- 適している企業: システム開発、コンサルティングなど人が原価のビジネスモデルであり、IPO準備中または管理会計を高度化したい企業。
アプローチ2:オプション機能型
標準的な勤怠管理システムに、工数入力機能をオプションとして追加するスタイルです。
- 特徴: 1つのシステム内で完結するため、マスタ管理の手間が少なく、スムーズに運用を開始できます。
- メリット: 導入コストが安く、スモールスタートが可能です。「まずはどの業務に何時間使っているか把握したい」というニーズに対し、現場に過度な負担をかけずに導入できます。
- 適している企業: 創業期〜拡大期のベンチャー企業や、コストパフォーマンスを重視しつつ業務改善を図りたい企業。
アプローチ3:API連携型
既存の勤怠システムと、工数管理専用ツールやプロジェクト管理ツールをAPIで連携させるスタイルです。
- 特徴: 各分野の最高のツールを組み合わせて利用します。
- メリット: 現場が使い慣れた勤怠システムやタスク管理ツールをそのまま活かせます。開発部門は高機能なプロジェクト管理ツール、バックオフィスは安定した勤怠システムといった使い分けが可能です。
- 適している企業: 既存の勤怠システムの運用を変えたくない企業や、エンジニア主体の組織でツールへのこだわりが強い企業。
厳密な原価管理・IPO対応のオールインワン(ERP)型4選
システム開発やコンサルティング業など、人件費が原価の大部分を占める企業にとって、正確な原価管理は経営の生命線です。ここではデータの完全整合性を担保できる4製品を紹介します。
TeamSpirit(チームスピリット)
Salesforce基盤上で動作する働き方改革プラットフォームであり、IPO準備企業のデファクトスタンダードとして知られます。勤怠、工数、経費精算、電子稟議が完全に統合されており、出退勤データと工数データの不整合をシステムレベルで防ぎます。
最大の強みは、現場のUXと経営の数値を高次元で両立している点です。現場社員はカレンダーへのドラッグ&ドロップで工数入力を完了でき、経理部門はそのデータを元に、プロジェクト別の労務費や採算状況をリアルタイムで算出できます。2025年の法改正やインボイス制度への対応もプラットフォーム側で迅速に行われるため、常に最新のコンプライアンス環境を維持できます。
奉行Edge 勤怠管理クラウド
基幹業務ソフトの老舗であるOBCが提供し、特に経理・総務部門からの信頼が厚いシステムです。「勘定奉行」や「給与奉行」との連携は極めてスムーズで、勤怠データの収集から給与計算、原価計算への流し込みを自動化します。
法令対応の確実性が高く、複雑な就業規則や変形労働時間制にも標準機能で対応可能です。管理部門主導でシステム導入を進める場合、バックオフィス全体の業務プロセスを標準化する最適解となります。
COMPANY(カンパニー)
大手企業向け統合人事システムの代名詞であり、数千名規模の組織運用に特化しています。最大の特徴は、大企業特有の複雑な人事制度や出向・兼務といった特殊な要件に対し、「ノーカスタマイズ」で対応できる点です。
工数管理機能は人事評価データとも連動可能で、プロジェクトごとの収支だけでなく、タレントマネジメントや生産性分析の基盤として活用できます。無償のバージョンアップにより、長期利用でもシステムが陳腐化しません。
e-works
大規模組織や独自性の強い業務ルールを持つ企業に適した、柔軟なカスタマイズ性が特徴のシステムです。パッケージ製品では吸収しきれない特殊な原価配賦ロジックや、業界特有の就業規則にもパラメータ設定やカスタマイズで対応できます。
Webブラウザベースでありながら高速な処理を実現しており、全社員が一斉にアクセスする始業・終業時の高負荷にも耐えうる堅牢なインフラを備えています。
コスパ重視・スモールスタート対応オプション機能型5選
「まずはざっくりと業務時間を把握したい」「コストを抑えて導入したい」という企業には、勤怠システムに工数管理機能が統合されたタイプが適しています。
ジョブカン勤怠管理
必要な機能を選んで契約できるモジュール形式を採用し、圧倒的な低コストで導入できるシステムです。2025年のリニューアルにより工数管理機能が大幅に強化され、従来のフラットな管理から、「プロジェクト」と「タスク」といった階層構造での管理が可能になりました。
スマホやPCからカレンダー形式で直感的に入力できるため、現場の負担を最小限に抑えられます。LINEでの打刻連携など、ITリテラシーに依存しない定着のしやすさも魅力です。2025年1月から3月末にかけて工数管理プランの無料キャンペーンを展開するなど、導入のハードルを極限まで下げています。
AKASHI
マニュアル不要で使える洗練されたUI/UXが特徴です。プレミアムプランには工数管理機能が内包されており、入力されたデータは自動的にグラフ化され、誰がどの業務に時間を割いているかを視覚的に把握できます。
直感的な操作性は、システムへの抵抗感が強い現場でもスムーズな定着を促します。ドラッグ&ドロップによるシフト作成機能なども充実しており、管理者の作業負担も軽減します。
楽楽勤怠

「楽楽精算」で知られるラクスが提供する、中堅・中小企業向けのシステムです。IT専任者がいない企業でも安心して運用できるよう、導入初期のサポートや稼働後のフォローアップが手厚く設計されています。
シリーズ製品とのデータ連携が強力で、勤怠データを給与計算や経費精算へスムーズに連携できます。工数入力画面も日々の入力負荷を軽減する工夫が凝らされており、プロジェクトごとの稼働時間集計や想定人件費の算出も容易です。
follow(SaaS版)
NTTグループが提供する、信頼性とシンプルさを兼ね備えたシステムです。工数管理オプションを追加することで、日々の勤務実績と紐づいた作業時間の記録が可能になります。
過度な多機能さよりも、基本機能の使いやすさとセキュリティの堅牢さを重視する企業に適しています。スマートフォンやタブレットからの打刻・申請にも標準対応しており、安定的かつ低コストな運用を実現します。
スマレジ・タイムカード
店舗ビジネスやシフト制の職場に特化したシステムです。iPadなどのタブレット端末をタイムレコーダーとして利用でき、顔認証による不正打刻防止も可能です。
プロジェクト管理機能を有効にすれば、シフト作成と連動してタスクごとの予算管理や実績確認が行えます。小売・飲食チェーンなど、店舗運営と本部業務が混在する事業形態において、一元的な管理基盤を提供します。
既存システム活用・現場特化ならAPI連携型・特化型4選
「今の勤怠システムは変えたくない」「エンジニアには専用の高機能な工数管理ツールを使わせたい」という場合、API連携や特化型ツールが解決策になります。
KING OF TIME
市場シェアNo.1を誇るクラウド勤怠管理システムです。特筆すべきは圧倒的なAPI連携数で、TimeCrowdやJiraといった外部の工数管理・プロジェクト管理ツールとシームレスに連携します。これにより、現場は使い慣れたツールで作業時間を記録し、バックオフィスはKING OF TIMEで正確な勤怠データを管理するという「いいとこ取り」が可能です。
標準機能の「補助項目」を使えば簡易的な工数記録も可能ですが、真価は外部ツールとのハブとして機能する点にあります。2025年の法改正にも迅速に対応し、フレックスや変形労働時間制など多様な働き方を支えます。
CC-BizMate
人事評価や生産性分析に主眼を置いたシステムです。工数管理機能「Performance Finder」は、誰がいつ何をしていたかを細かく分析し、その結果を人事評価へと繋げる機能が豊富です。
単なる時間の記録にとどまらず、業務内容別の生産性推移を可視化できるため、働き方改革の実効性を高めたい企業や、成果に基づく評価制度を構築したい企業に適しています。
MITERAS勤怠
「隠れ残業」の抑止とコンプライアンス遵守に特化したシステムです。最大の特徴は、PCのログオン/ログオフログを自動収集し、勤怠打刻データと突き合わせる機能です。乖離がある場合はアラートを出し、理由の入力を強制します。
IPO準備企業や監査対応が必要な企業において、「労働時間の客観的把握」を証明するための強力なツールとなります。2025年の育児・介護休業法改正で求められる、柔軟な働き方の実態把握においても、確実な記録を残すことができます。
ちゃっかり勤太くん
現場主導で必要な機能を組み上げることができる、カスタマイズ性に優れたシステムです。変形労働時間制や複雑なシフトパターンが多い医療、建設などの現場において、パッケージ製品では対応できない細かな運用ルールをシステム化できます。
工数管理においても、現場の実情に合わせた入力項目の設定が可能で、リアルタイムでの損益管理と作業報告を実現します。
失敗しないための比較・選定の重要ポイント
システム選定で失敗しないためには、カタログスペックだけでなく、運用時につまづきがちな部分を直視する必要があります。
ポイント1:勤怠時間と工数時間の整合性レベル
自社が求める管理レベルを明確にしましょう。管理方法は以下の2つがあります。
- 完全整合(エラー制御)型
- 目安一致(アラート)型
会計システムと連携して厳密なプロジェクト別損益を出したい場合は、TeamSpiritのような完全整合(エラー制御)型が必須です。
一方で、まずは業務改善のために大まかなリソース配分を知りたいだけであれば、多少のズレを許容する目安一致(アラート)型のほうが、現場の心理的・実務的負担は軽くなります。
厳しすぎる管理は、現場の疲弊と入力拒否を招くリスクがあります。
ポイント2:現場の入力インターフェース(カレンダー連携)
多機能なシステムであっても、入力が面倒であればデータは集まりません。特にエンジニアやクリエイターにとって、GoogleカレンダーやOutlookの予定をドラッグ&ドロップでそのまま工数として取り込める機能があるかどうかで、定着率が大きく変わります。
トライアル時は、管理者ではなく現場の社員に操作させ、「毎日入力できるか」を確認してください。
ポイント3:レポートの柔軟性とAPI連携
蓄積したデータを経営判断にどう活かすかを確認します。
プロジェクト別予実管理や部門別採算が、ワンクリックでグラフ化されるダッシュボード機能は必須です。また、2025年の育児・介護休業法改正により、企業は多様な働き方(時短、テレワーク等)の管理義務を負います。
これらの複雑な勤務形態ごとの生産性を分析できるレポート機能や、人事システムとのAPI連携能力は、将来的なコンプライアンス対応の要となります。
導入を成功させる「定着化」のステップ
システムは導入して終わりではありません。現場の反発を防ぎ、正確なデータを収集するために、以下のステップで定着を図ります。
Step 1: 目的の合意形成
現場に対して監視強化ではなく、適切なリソース配分による過重労働の防止や評価の適正化が目的であると明確に伝えます。工数管理が自分たちを守るためのものであるという合意形成が、正確な入力の土台となります。
Step 2: 粒度のコントロール
最初から「15分単位」や「タスク単位」での詳細な入力を求めると、現場は疲弊し、形骸化します。導入初期は「プロジェクト単位」のみなど、荒い粒度からスタートし、入力習慣が定着してから徐々に詳細化していくのが鉄則です。
Step 3: フィードバック
集計されたデータを現場にフィードバックします。「Aプロジェクトに負荷が偏っているため人員を追加する」「無駄な会議時間を削減する」など、データに基づく改善アクションを即座に示すことで、現場は「入力すれば業務環境が良くなる」と実感し、協力的な姿勢へと変わります。
まとめ:貴社のフェーズに合わせて「攻めの管理」へ転換を
工数管理と勤怠管理の一元化は、単なるバックオフィスの効率化ではありません。それは、人件費という最大のコストを「投資」として捉え直し、利益を生むための経営基盤を構築するアクションです。
2025年の法改正や市場の変化に対応するためにも、まずは自社のフェーズに合った「タイプ」を特定し、無料トライアルで「現場の入力しやすさ」を確認することから始めてください。正確なデータに基づく経営判断が、貴社の成長を加速させます。
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