「勤怠データと現場日報がバラバラで、月末のExcel突合が大変」「複数月平均80時間の残業上限規制を管理するのは限界」工事原価のための工数管理や時間外労働の上限規制をはじめ、建設業界が直面する勤怠の課題は複雑です。
業界の商習慣にあわせた勤怠管理システムは、スマホのGPSや顔認証による打刻に対応可能です。日報実績を給与計算や原価管理ソフトと連携すれば、正確な原価計算をタイムリーに実現できます。
日々の勤務状況も可視化され、残業超過の恐れがある従業員や有給休暇の未取得者へアラートで注意を促せる点も魅力です。建設業向けの勤怠管理システムについて、選び方や注意点を含めて紹介します。
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建設業向け勤怠管理システム比較表
建設業向けの勤怠管理システムを選ぶ際、自社の課題が打刻漏れの解消、原価管理の精度向上、費用の抑制なのかを明確にすることが大切です。主要な勤怠管理システムについて、下記の比較表に整理しました。
| 製品名 | 初期費用(税込) | 月額費用(税込) | 無料期間 | GPS打刻対応 | 工数管理 | 残業・有給取得アラート |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 現場勤怠 | 要問合せ | 9,000円〜/5名 | 2週間 | ○ | × | 要問合せ |
| Touch On Time | 0円 | 330円/名 | 30日間 | ○ | × | ○ |
| ジョブカン勤怠管理 | 0円 | 220円〜/名 | 30日間 | ○ | ○(独自の管理項目も設定可能) | ○ |
| MOT勤怠管理 | 3万4,650円 | 4,378円~(20名まで) | 要問合せ | ○ | ○(外部システムとの連携) | ○ |
| 使えるくらうど建設勤怠 | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | ○ | △(日報入力のみ、現場別労務費を自動集計) | ○ |
| UC+キンタイ for PROCES.S | 要問合せ | 440円〜 / 名 | 要問合せ | ○ | ○(基幹システムとの連携) | ○ |
| 勤CON管 | 要問合せ | 要問合せ | 30日間 | ○ | ○(現場や工種単位) | ○ |
| 勤怠管理パック(建設業編) | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | ○ | ○(パッケージ構成にあわせて) | ○ |
| KING OF TIME | 0円 | 330円/名 | 30日間 | ○ | ○(オプション機能) | ○ |
| HRMOS勤怠 | 0円 | 110円/名(30名以下無料) | 1ヶ月間(30名以下は永年無料) | ○ | × | ○ |
| ジンジャー勤怠 | 要問合せ | 330円〜/名 | 1ヶ月 | ○ | 要問合せ | ○ |
| freee人事労務 | 0円 | 1,650円〜 / 月 | 1ヶ月 | ○ | ○(原価管理キットとの連動) | ○ |
※ミツモア調べ(2026年6月現在)
打刻漏れ対策に役立つ建設業向け勤怠管理システム4選
現場の職人や施工管理スタッフがストレスなく打刻でき、直行直帰時も漏れなく記録できるおすすめの4製品を紹介します。
現場勤怠(株式会社陽だまり)
現場勤怠は、現場への直行・直帰の多い建設業向けに、シンプルさを追求した勤怠管理システムです。最新のスマートフォンやタブレットのみならず、いわゆる「ガラケー(フィーチャーフォン)」の専用ページからの報告にも対応しています。
本製品の強みは、メールを送信するような手軽さで日報報告と勤怠管理を完結できる点です。携帯電話の専用画面から現場名や作業内容、出退勤時刻を選択して送信するだけで、データがクラウド上に自動蓄積されます。
蓄積されたデータはリアルタイムに自動集計され、CSV形式で出力して主要な給与計算ソフトと連携することが可能です。管理部門における月末の入力作業も効率よくできるため、現場監督による日報の回収や整理といったアナログな事務作業から解放できるでしょう。
Touch On Time(株式会社デジジャパン)
Touch On Time(タッチオンタイム)は、専用の打刻端末を使った勤怠管理システムです。事務所がない現場や、手が汚れやすい作業環境でも、ICカードや生体認証によって瞬時に正確な打刻が行えます。
スマホを所持していない作業員がいる場合でも、この専用端末を現場の入り口に設置するだけで、2026年の厳格な調査基準に合致した客観的な労働時間記録の徹底が可能です。GPS機能によるモバイル打刻にも対応しており、複数の現場を移動する技術者の直行直帰管理もスムーズに行えます。
費用は、初期費用0円で、1人あたり月額330円です。30日間の無料トライアル期間が用意されており、実際の現場環境で専用端末の使い勝手や通信状況を検証できます。
ジョブカン勤怠管理(株式会社DONUTS)
ジョブカン勤怠管理は、株式会社DONUTSが提供するクラウド型の勤怠管理システムです。初期費用0円かつ月額220円からという低価格設定ながら、GPSやLINEのトーク画面、顔認証打刻といった現場向けの機能が充実しています。
工数管理も充実しており、工事名や工種、フロア・区画といった独自の管理項目を無制限に作成・設定可能です。特化型システムのように現場ごとの稼働時間を正確に集計し、原価管理の基礎データとして活用できる環境が手に入ります。
MOT勤怠管理(株式会社バルテックITソリューションズ)
MOT勤怠管理は、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる「顔認証」と「外部システム連携」に強みを持つ、現場完結型の勤怠管理システムです。従業員のスマホに専用アプリを入れることで、会社のビジネスフォン(内線)になるのと同時に、位置情報付きの勤怠打刻ができます。
定時を過ぎても退勤打刻がない従業員に対し、システムが自動で本人のスマホに電話をかけて音声で通知する仕組みも構築可能です。作業内容をスマホに入力できる日報機能も搭載されており、工事ごとの労務費をリアルタイムに集計できるため、管理部門における原価の「予実管理」を劇的に効率化する効果もあるでしょう。
工数管理と給与計算に強い建設業向け勤怠管理システム4選
給与計算のための「労働時間」だけでなく、工事原価を算出するための「現場ごとの工数(日報)」まで同時に、かつ正確に集計できる建設業向け勤怠管理システムは、下記4製品です。
使えるくらうど建設勤怠(アサクラソフト 株式会社)
使えるくらうど建設勤怠は、日報の入力で社員の勤務時間管理と労務費管理を同時に実現できる、建設業向けのクラウド勤怠管理システムです。従業員が日報を登録するだけで、システムが自動的に現場別の勤務時間と労務費を集計するため、従来のようなエクセルへの二重入力が不要になります。
管理部門は月末の膨大な集計作業から解放され、転記ミスによる給与計算の誤りを避けることが可能です。残業や休暇の申請・承認フローも電子化されるため、現場監督は事務作業のために事務所へ戻る必要がなくなり、本来の施工管理業務に集中できます。
UC+キンタイ for PROCES.S(株式会社内田洋行ITソリューションズ)
UC+キンタイ for PROCES.Sは、建設業ERPシステム「PROCES.S」と連携し、工事別・工種別の労務管理を効率化する勤怠管理システムです。誰がどの現場で何の作業をしたかの情報を、モバイル端末から基幹システムへ直接記録できます。
大きな特徴は、入場や退場の打刻にあわせ、QRコードを活用した現場登録や工種別の作業時間を管理できる点です。GPSの位置情報とともに記録した打刻データは、PROCES.Sへリアルタイムに同期できるため、従来は分断されがちだった勤怠集計と工事原価計算のプロセスを、ひとつのデータで完結します。
二重入力の完全な排除と、複雑な工事形態における労務費も透明化することが可能です。特にJV(共同企業体)案件や大規模な工事現場など、複数の企業や膨大な工種が入り乱れる環境においても、正確な出面管理と労務費配分を自動化できます。
勤CON管(あさひシステムズ株式会社)
勤CON管は、建設・工事業界に特化し、現場ごとや作業ごとの詳細な工数管理が可能な勤怠管理システムです。複雑な現場移動をカバーする打刻と詳細な工数管理の連動に強みがあり、スマホでの打刻時にGPS位置情報を記録し、従事した工事名や工種をその場で登録できます。
勤怠データはリアルタイムに自動集計され、36協定アラートや変形労働時間制といった法規制にも標準機能で対応することが可能です。ユーザーインターフェースが極めてシンプルであるため、IT操作に不慣れな高齢の職人でも入力ミスが少なく、現場への定着がスムーズに進められます。
管理部門は月末の工数計算や手作業での集計から解放され、正確なデータに基づいたリアルタイムな原価分析も可能です。
勤怠管理パック(リコージャパン株式会社)
勤怠管理パック(建設業編)は、リコージャパンが提供する勤怠管理システムとモバイルデバイス管理、そして手厚い導入支援を一つにまとめたコンサルティング型のパッケージソリューションです。建設現場特有の複雑な勤務実態を「客観的な証跡」として記録できるのが特徴で、現場作業員はPCやタブレット、スマホといった多様な端末から打刻ができます。
あらかじめ設定された36協定の基準に基づきリアルタイムで集計され、上限時間を超過する恐れがある場合には自動でアラートを通知します。これにより、多忙な現場監督の手を煩わせることなく、企業全体のコンプライアンス水準を一定に保つことが可能です。
現場ごとにバラバラだった勤怠データがクラウド上で自動集計されるため、月末の転記作業や差異の確認といったアナログな事務作業は不要です。リコーの専任スタッフが初期設定から運用開始後のサポートまでをトータルで引き受けるため、システム導入時にありがちな「設定が複雑で使いこなせない」という挫折のリスクを最小限に抑えられます。
残業時間の上限規制に強い建設業向け勤怠管理システム4選
2024年の働き方改革関連法に基づく時間外労働の上限規制適用で、より厳格な運用と実態把握が求められています。「単月100時間未満」だけでなく、「2〜6ヶ月平均で80時間以内」という建設業を最も悩ませる複雑な36協定・法規制を、高度な自動計算とアラート機能で完全にコントロールできる4製品は、下記のとおりです。
KING of TIME(株式会社ヒューマンテクノロジーズ)
KING OF TIME(キングオブタイム)は、月額330円/名という低価格ながら、給与計算システムとの連携機能を備えたクラウド型勤怠管理システムです。GPS機能によるスマホ打刻はもちろん、顔認証や指紋・静脈認証といった生体認証、既存のICカードの活用など、現場の通信環境やセキュリティレベルに応じて最適な方法を選択できます。
建設業の労務担当者が頭を悩ませる「2〜6ヶ月の複数月平均で残業80時間以内」という基準を、システムがバックグラウンドで常に自動計算することが可能です。残業時間の超過状況を検知し、本人・上長(現場監督)・総務へ段階的に自動メール通知します。
日跨ぎの夜勤や変形労働時間制、直行直帰などが現場ごとに混在し、自社の複雑な就業規則に対応したい建設業者に最適です。
HRMOS(ハーモス)勤怠 (株式会社ビズリーチ)
HRMOS(ハーモス)勤怠は、株式会社ビズリーチが提供するクラウド型勤怠管理システムです。利用者30名以下であれば期間制限なく「永年無料」で利用でき、有料プランも1人あたり月額110円からと費用を抑えられます。
36協定の上限や残業時間の進捗状況が、管理者だけでなく従業員のマイページにもリアルタイムで分かりやすい「グラフ」として表示されるのが特徴のひとつです。アラート機能でリアルタイムに残業超過を通知できるため、管理者は是正勧告リスクを未然に防げます。
総務担当が一人ひとりの残業時間を監視して注意して回る運用に限界を感じており、現場サイドに当事者意識を持たせたい建設事業者におすすめです。
ジンジャー勤怠(jinjer株式会社)
ジンジャー勤怠は、jinjer株式会社が提供するクラウド型勤怠管理システムです。1ヶ月間の無料トライアル期間が設けられており、費用は1人あたり月額330円から、初期費用については企業規模や要件に応じた個別見積もりとなります。
建設現場のマネジメントにおいて特に効果を発揮するのが、スマホを活用したGPS打刻とリアルタイムのアラート機能です。管理者は現場作業員がいつどこで打刻したのか即座に確認でき、残業時間が36協定の上限に近づくと自動的に本人と管理者へアラートが通知されるため、法改正後の厳格な上限規制を確実に遵守できる体制を構築できます。
現場監督が移動中にスマホから部下の休暇申請や打刻修正を承認できるワークフロー機能は、事務作業のために現場を離れる時間を削減し、施工管理の本業に集中できる環境をもたらします。
freee人事労務 勤怠管理(フリー株式会社)
freee人事労務は、勤怠管理から給与計算、会計処理までをひとつのシステムで完結できるバックオフィス特化型の製品です。建設業向け原価管理キットは、建設業界の商習慣に対応しており、出退勤の記録や現場ごとの労務費を自動で集計します。
2024年4月施行の時間外労働の上限規制にも対応しており、残業超過の兆候を自動で検知し、アラートを通知します。是正勧告のリスクを最小限に抑えつつ、正確な給与の振り込みまで一括で処理する仕組みです。
万が一、上限規制内で残業が発生した場合でも、その時間がそのまま1分単位で給与計算へ連動することが可能です。建設業で間違いやすい深夜労働や休日出勤の「割増手当計算」がシステム側で完全自動化されるため、法改正に伴う給与計算ミスのリスク(未払い残業代リスク)を防げるでしょう。
| 勤怠管理システムをもっと比較したい方はこちら▶勤怠管理システム比較46選!おすすめ製品を最短1分で自動診断|ミツモア |
建設業向け勤怠管理システムの選び方
建設業向けの勤怠管理システムを現場で定着させるには、下記のポイントを踏まえて選ぶことが大切です。
自社の導入目的が法対応を含めた労務管理か、日報や原価管理か
建設業者が勤怠管理システムの移行によって何を解決したいのか、事前に明確な基準を定めましょう。残業の上限規制といった法改正への対応を優先する場合、複雑な就業規則の自動計算機能が欠かせません。
複数月平均の残業アラート機能に優れた『KING OF TIME』や『ジンジャー勤怠』が選択肢に挙がります。現場ごとの原価管理や日報入力を特に重視するなら、現場別の労務費配賦機能が必要です。
日報連動が標準実装されている建設特化型の『使えるくらうど建設勤怠』や『勤CON管』が有効です。基幹連動型の『UC+キンタイ for PROCES.S』を選んでも、月末の突合業務が劇的に軽減されます。
多彩な打刻手段を選べるか
直行直帰の多さや現場の電波状況、作業員の年齢層を考慮し、現場の環境にあわせられる製品を選びましょう。ガラケーの利用者が多い職場や高齢の職人が集まる現場には、音声通話の打刻に対応している『現場勤怠』が重宝します。
スマホを活用する事業者の場合、LINEのトーク画面からワンタップでGPS位置情報付きの打刻ができる『ジョブカン勤怠管理』が便利です。退勤打刻がないとスマホに自動で電話がかかってくる物理アラート機能を備えた『MOT勤怠管理』も、打刻漏れ対策として高い効果を発揮します。
既存の給与計算や原価管理ソフトに転記なしでCSVデータを渡せるか
既存のソフトを継続して使用したいとき、そのフォーマットにあわせて出力できる製品が必須です。管理画面からCSVの項目や並び順を自由にカスタマイズできるか確かめましょう。
データ連携や周辺のIT環境構築を一括サポートしてもらえる『勤怠管理パック(建設業編)』がおすすめで、マウス操作で配列を並び替えられる『KING OF TIME』も有力な候補です。
会計や原価管理まで一気に自動化したい場合は、確定した勤怠がそのまま給与や仕訳まで全自動で繋がる『freee人事労務』が適しています。建設業専用ERPとあらかじめ完全同期しているガリバーと連携した『勤CON管』を選べば、面倒な転記作業は発生しません。
建設業向け勤怠管理システム導入前の注意点
建設業向け勤怠管理システムを導入するにあたって、下記3点に注意が必要です。
一部の現場や部門で無料トライアルを利用してみる
全社へ一斉に勤怠管理システムを導入すると、現場特有のトラブルが頻発します。電波が悪くて打刻できない、職人が操作を覚えないという事態は珍しくありません。
ITリテラシーが比較的高い現場を選び、無料トライアルを行いましょう。本契約前に実際の環境でテスト運用を行うと、動線上の問題や職人の心理的抵抗感を事前に洗い出せます。
スモールスタートで懸念点を一つずつ潰す手法が、全社展開時の混乱を防ぐ確実なステップです。
曖昧な社内ルールを明文化する
勤怠管理システムは明確なルールしか処理できません。長年、阿吽の呼吸で済ませてきたグレーな慣習は、導入後にエラーの山となって総務に跳ね返ってきます。
検討すべきは、始業前の朝礼やラジオ体操を労働時間に含めるか、事務所から現場への移動時間をどう扱うかという点です。雨天中止で午前解散になった日の給与控除や休業手当の基準も定めます。
就業規則や運用ルールを事前に明文化し、システムに落とし込める状態にしておく作業が導入成功の大前提です。
CCUSやグリーンサイトとの二重打刻対策を行う
多くの建設現場、特に大手元請けの現場では、国交省が推進する「CCUS(建設キャリアアップシステム)」や、グリーンサイトでの入退場記録が義務付けられています。対策を怠ると、職人から打刻に関して強い不満が出かねません。
選定するシステムが就業履歴データを取り込める仕様かどうかの確認が不可欠です。自社の正確な給与や原価管理のために別途打刻が必要であると、現場にあらかじめ納得してもらう手もあります。
運用の着地点を定め、現場の心理的負担を和らげる対策を講じましょう。
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