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財務諸表とは|財務三表の基本や特徴をわかりやすく解説

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最終更新日: 2024年11月12日

企業の決算書である財務諸表は、財務状況や企業の成長性などを示す重要な資料です。

会計分野が専門の人にとってはなじみがありますが、言葉は聞いたことがあっても、どのような内容かを説明できない人も多いのではないでしょうか。

この記事ではそんなあなたのために、財務諸表の基本や特徴をわかりやすく解説します。

財務諸表とは

電卓

財務諸表とは企業の1年間の財務状況や損益などをまとめた資料のことで、一般的には決算書」と呼ばれています。

投資家などのステークホルダーに対して情報を提供するもので、企業の現状を知るのに最適です。

代表的な財務諸表は「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」の3点で、これらを総称して「財務三表」と呼びます。

利害関係者に対する情報開示が目的

決算書は株主や投資家、債権者などに企業の現状を公開することを主な目的としています。

財務諸表を確認すれば、企業がどれぐらいの利益を上げており、資産や負債がどの程度あるのかもわかるため、株主や投資家などの重要な意思決定材料となります。

企業の資産と負債のバランスを確認するのに最適な資料といえるでしょう。上場している企業の場合は、有価証券報告書で決算書の内容が確認できます。

財務諸表の中でも重要な財務三表

一言で決算書といっても、その内容や種類はさまざまですが、なかでも「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」は「財務三表」と呼ばれ、特に重要視されています。

財務三表をチェックすれば、企業の財政状況や損益の状態を確認でき、現金の流れを追えるようになります。

会計業務に携わっていないビジネスパーソンでも、これらを読めるようになると企業の収益性や生産性の分析が可能になるので、ぜひ読み方を覚えておきましょう。

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貸借対照表(B/S)の概要

書類

「貸借対照表(B/S)」は企業の資産と負債を一度に確認できる表で、決算日時点の企業の財産状況を確認できます。

英語で「Balance Sheet」(バランスシート)と呼ばれているため、「B/S(ビーエス)」と略して呼ばれる場合も少なくありません。

貸借対照表の記載項目

貸借対照表は次の3つの項目から構成されます。

項目 内容
資産 現金や売掛金などの流動資産と、土地や特許権などの固定資産、開発費や開業費などの繰延資産
負債 1年以内に支払期限が来る買掛金や手形などの流動負債と、長期にわたって返済する必要のある借入金や社債などの固定負債
純資産 会社法によって積み立てが義務付けられている株主資本(資本金、資本準備金など)や有価証券の評価差額金など

資産は貸借対照表の左側(借方)に記載され、負債と純資産は右側(貸方)に記載されます。

資産と負債および純資産は常にバランスが取れており、必ず合計金額が一致していなければなりません。

貸借対照表の特徴

貸借対照表は左側の資産の部と、右側に記載される負債の部の合計額が同じになり、負債の額が小さくなるほど純資産の額が相対的に大きくなります。

つまり、返済の必要がない資本(自己資本)の比率が大きいことになるため、自己資本比率をチェックすれば、その企業の安全性を把握できるわけです。一般的には、自己資本比率が40%以上の企業は、財務が健全で安定していると判断されます。

※自己資本比率:企業の負債と純資産の合計金額(総資本)における純資産の割合。「(純資産÷総資本)×100」の計算式で求められ、比率が大きいほど企業の財務が健全であると判断される。逆に、自己資本比率が低い企業は経営が不安定だとみなされ、投資家などから信用されにくい傾向がある。

貸借対照表の読み方や書き方については次の記事でくわしく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

関連記事:貸借対照表とは? 見方や作り方を徹底解説|ミツモア

損益計算書(P/L)の概要

電卓

「損益計算書(P/L)」は企業の収益から費用を差し引いた利益を確認するための資料です。企業がどれぐらいの売上を上げており、どの程度の費用がかかっているのかをチェックできます。

英語では「Profit&Loss Statement」と表現されるため、略して「P/L(ピーエル)」と呼ばれる場合もあります。

損益計算書の記載項目

損益計算書には、主に次の項目が記載されます。

項目 内容
売上総利益 いわゆる「粗利益」と呼ばれる項目。自社の商品やサービスの売上金額を把握でき、売上高から売上原価を差し引いた金額を記載する。(※「売上総利益=売上高-売上原価」)
営業利益 自社の営業によって得られた利益。売上総利益から「販売費および一般管理費」を差し引いた金額を記載する。(※「営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費」)
経常利益 自社の本業以外の収益や費用をまとめた項目。営業外収益から営業外費用を差し引いた金額を営業利益に加えて算出する。(※「経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用」)
税引前当期純利益 法人税などの税金を納付する前の利益額。経常利益に特別利益を加え、そこから特別損失を差し引いて算出する。(※「税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失」)
当期純利益 決算期における最終的な利益で、この金額がマイナスなら赤字となる。税引前当期純利益から法人税や法人事業税などを差し引いた金額を記載する。(※「当期純利益= 税引前当期純利益-法人税等」)

上記それぞれの利益に注目すれば、企業がどのような事業を中心にどれだけ利益を上げているかを把握できます。

さらに、費用項目を変動費と固定費にわけて分析すれば、当該企業の損益分岐点も確認できるでしょう。経営状態を正しく評価するための重要な指標となります。

損益計算書の特徴

損益計算書に記載される売上や費用は、現金が出入りするタイミングとは異なるため注意しましょう。損益計算書では収益を「実現主義」で、費用を「発生主義」で計上するのが特徴です。

  • 実現主義:収益が実現された時点で計上する考え方。商品の引き渡しやサービスの提供に対して、対価(現金や売掛金など)を取得したタイミングで確定する。
  • 発生主義:現金の出入りに関係なく、取引が発生した時点で計上する考え方。

たとえ代金が未回収であっても、商品を販売した事実があれば収益として計上されるため、実際の現金の動きと帳簿上の収益に差異が生まれるわけです。

損益計算書の見方や作り方については次の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧になってみてください。

関連記事:損益計算書とは? 記載項目の意味、見方や書き方を徹底解説!|ミツモア

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キャッシュフロー計算書(C/F)の概要

色鉛筆

キャッシュフロー計算書とは、その名の通り、企業のキャッシュの流れを把握するための書類で、貸借対照表や損益計算書と並んで、重要な財務諸表の一種です。

キャッシュフローとは、企業に入ってくるお金(キャッシュイン)から、企業が支払ったお金(キャッシュアウト)を差し引いた額で、キャッシュフローの算出によって企業のお金の流れが明らかになります。

キャッシュフロー計算書については、以下の記事で詳しく解説しております。併せてご覧ください。

関連記事:キャッシュフロー計算書とは?現金の流れを把握して経営分析しよう|ミツモア

財務諸表で分析可能な項目

付箋

財務諸表を分析すれば、企業の「収益性」「生産性」「安全性」「成長性」「効率性」などを確認できます。

経営者にとっては自社の状況を客観的に理解でき、株主や債権者などにとっては、企業の業績を把握して今後の投資活動に役立てられるでしょう。それぞれの分析指標を簡単に解説していきます。

収益性

損益計算書の売上総利益や経常利益、当期純利益など、計算書に記載される利益が黒字になっているかを確認すれば、企業の収益性の高さをチェックできます。よく使われる指標としては、総資本利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)などが挙げられるでしょう。

  • 総資本利益率(ROA):自社の資本を利用して、どれぐらいの利益を挙げられたかを示す。「当期純利益÷総資産×100」で算出される。
  • 自己資本利益率(ROE):自己資本に対する純利益の割合を示す。「当期純利益÷自己資本×100」で算出される。

他にも、売上高に対する純利益の割合を調べることで収益力を測る場合も多いです。

生産性

企業が持っている経営資源(ヒト、モノ、カネ)が効率よく活用されているかも、重要な分析項目です。

主に付加価値労働生産性と呼ばれる指標が用いられる場合が多く、社員一人ひとりが企業にどれだけの付加価値をもたらしているかを分析します。

また、社員が生み出す「付加価値に対する人件費の割合」を計測する労働分配率などの分析指標もよく用いられます。

安全性

自己資本比率や流動比率、固定比率などをチェックすれば、企業の安全性を判断することが可能です。企業にどれぐらいの支払能力があるかを確認できれば、投資先として妥当であるかを判断できるでしょう。企業の資金繰りが悪ければ倒産につながるため、株主や投資家としては確実にチェックしておきたい項目といえます。

成長性

売上高や純利益、総資産の増加率などを分析して、企業の成長性を判断する場合もあります。毎年右肩上がりに成長している企業ならば、その後も継続して成長し続ける可能性が高いでしょう。

ただし、成長率は高ければよいわけではなく、前年比で成長率が150~200%以上といった急激に成長している企業は、市場の変化や借入金の増加などによって、安定した経営ができなくなる可能性もあります。

効率性

総資産の回転率や棚卸資産の回転率などを調べることで、企業が債権や在庫などを効率的に活用できているかを確認できます。

在庫が少なければ、効率的に経営資金を活用できており、売上債権の回転率が高ければ債権回収までの時間が短く、安定したキャッシュフローを生み出せていると判断できるでしょう。

特に近年は、キャッシュフロー重視の経営が注目されているため、債権の回転率のよさは投資家へのよいアピールとなるはずです。

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財務諸表を読み解いてマネジメントに活かす

グラフ

財務諸表の基本的な知識と、貸借対照表や損益計算書、そしてキャッシュフロー計算書の具体的な記載項目を紹介しました。

財務諸表を分析すれば、企業の安定性や成長性、収益性などが確認できます。経営者はもちろん、株主や投資家にとっても欠かせない資料といえるでしょう。

財務三表を中心にそれぞれの決算書を読み込むことで、多角的な経営分析ができるだけでなく、ビジネスで重視すべきポイントもわかってきます。将来的に企業経営に関わりたい人は、この機会に財務諸表の読み方や具体的な分析方法を覚えておくとよいでしょう。

財務三表の作成は会計ソフトの利用もおすすめです。次の記事ではおすすめの会計ソフトを紹介して比較しているので、ぜひあわせて参考にしてください。

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