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キャッシュフロー計算書とは?現金の流れを把握して経営分析しよう

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最終更新日: 2024年11月12日

貸借対照表や損益計算書と並び、キャッシュフロー計算書は企業の経営状況の確認に欠かせません。会計に詳しくない人にとっては、なじみがないかもしれませんが、企業の支払い能力の把握に必要な資料です。この機会に具体的な記載項目を知っておきましょう。

キャッシュフロー計算書とは

電卓

キャッシュフロー計算書とは、その名の通り、企業のキャッシュの流れを把握するための書類で、貸借対照表や損益計算書と並んで、重要な財務諸表の一種です。

キャッシュフローとは、企業に入ってくるお金(キャッシュイン)から、企業が支払ったお金(キャッシュアウト)を差し引いた額で、キャッシュフローの算出によって企業のお金の流れが明らかになります。

手元の資金量の推移を把握する財務諸表

企業の手元にある資金量を把握するのが、キャッシュフロー計算書の役割です。企業の経営状態を定量的に表したのが財務諸表であり、一定時点での財政状態を表す貸借対照表と、一定期間における業績を示す損益計算書が代表例です。

それに加えてキャッシュフロー計算書は一定期間(会計期間)の現金の流れを示し、その時点で企業にどの程度のキャッシュがあるのかを確認できます。

そもそもキャッシュとは何を指すのか

一般的に「キャッシュ」といえば現金のことだと思われがちですが、企業会計におけるキャッシュとは現金や預金に加えて、換金性が高く、すぐに現金に変えられる資産も含まれます。

換金性の高い資産とは、具体的には3カ月以内に満期を迎える定期預金や投資信託などです。これらはすぐに現金に変えられるのに加えて、換金可能なおおよその金額がわかっているため、現金や預金と同じように扱ってもよいとされています。

ただし定期預金や投資信託などの資産を持たず、現金や預金だけをキャッシュとして運用している企業も多いため、キャッシュを現金や預金だと認識していても、特に問題はないでしょう。

キャッシュフロー計算書の重要性

従来、企業の経営実態を把握するのに必要とされてきたのは、主に貸借対照表と損益計算書でした。事実、日本では2000年の3月期から、上場企業に対してキャッシュフロー計算書の作成が義務付けられましたが、それ以前はあまり重視されていなかったのです。

しかし、いわゆる黒字倒産をしてしまう企業が増えたことや、帳簿上は赤字を計上していても実際はキャッシュを豊富に持っていて、経営状態が安定している企業もありました。

そのため、事業の実態を正しく把握するために、キャッシュの流れを追うことも重要だという認識が広がり、貸借対照表と損益計算書に加えて、キャッシュフロー計算書も作成されるようになったのです。

企業は赤字でもすぐには倒産しませんが、手元のキャッシュがなくなれば、黒字状態でも簡単に倒産してしまいます。株主や投資家にとってみれば、企業の支払能力を確認し、安定性を確かめるのに欠かせない資料といえるでしょう。

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キャッシュフロー計算書の3つの項目

メモを取る女性

では、キャッシュフロー計算書に記載される項目を確認しましょう。大きく「営業によるキャッシュフロー」「投資によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つのカテゴリーにわけられます。

営業キャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローとは、企業の本業の活動によって、1年間にどれぐらいキャッシュが増減したかを記載する項目です。要はメインの事業によって「いくらキャッシュを得たか」を示すものなので、営業のキャッシュフローがプラスであれば、業績が好調なことを意味します。

逆に、マイナスの場合は、事業を運営するのに必要なキャッシュの不足を意味します。何期も連続でキャッシュフローが赤字だった場合、たとえ損益計算書で黒字であっても、資金が底を突きかけている可能性があり、危険な状態かもしれません。

なお、営業活動におけるキャッシュフローを記載する方法として、直接法と間接法の二つがあります。前者は取引ごとのキャッシュの総額を示す方法で、後者はキャッシュの動きにのみ注目して計算する方法です。多くの企業は間接法で計算していますが、経営状況を正確に把握するには直接法のほうが優れています。

投資キャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローとは、事業を維持するために必要な資金を獲得するために、企業が資産や株式、債権などを取得あるいは売却した場合の、キャッシュの流れを示す項目です。

事業のために固定資産を取得すると、キャッシュフローはマイナスになり、逆に固定資産を売却すると、投資キャッシュフローはプラスの状態になります。

企業にとって、建物や工場、生産のための機械などを購入するのは必要な行動です。そのため、投資によるキャッシュフローがマイナスでも、一概に悪い状態とはいえません。成長著しい企業や、投資家から評価の高い企業は、投資キャッシュフローがマイナスになっているケースは少なくありません。

財務キャッシュフロー

財務活動におけるキャッシュフローとは、借入金や借金の返済によるキャシュの増減を示す項目です。

事業の継続のために借りたお金を返済したり、株主に対して配当金を支払ったりすると、財務キャッシュフローはマイナスになります。逆に、新規事業のために資金を借り入れたり、社債を発行して資金調達を行ったりした場合はプラスになります。

財務キャッシュフローに関しても、マイナスだから悪い状態とは必ずしもいえません。特に成長企業は、設備投資のために資金を借り入れなければならない場合もあるでしょう。

ただし、優良企業は財務キャッシュフローがプラスになっている場合が多いようです。借入金はいずれ返済しなければならず、利息も支払う必要があるので、借入金が多すぎる企業は、投資家から経営状態が危険だとみなされる可能性もあります。

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キャッシュフロー計算書を経営分析に活用

お金と電卓

キャッシュフロー計算書の記載項目を確認したところで、キャッシュフロー計算書を経営分析に活かすためのポイントを解説します。企業の過去の業績や他の財務諸表との関係から、企業の状態を総合的に判断する必要があります。

フリーキャッシュフローの把握が大切

キャッシュフロー計算書を分析するうえでは、企業のフリーキャッシュフローがどれぐらいあるかを確認することが重要です。フリーキャッシュフロー(FCF)とは、企業が事業活動をして得たキャッシュのうちで、自由に使える分がどの程度かを示したものです。

具体的には「営業活動のキャッシュフロー」から「投資キャシュフロー」を差し引いたもので、企業の借入金の返済や配当、新規の投資などが可能かどうかを把握できます。自由に使えるキャッシュが多いほど、その企業の経営状態がよいと判断できるでしょう。

実際、フリーキャッシュフローを最大化することを、事業活動の目標にしている企業も少なくありません。

過去のキャッシュフロー計算書と比較しよう

過去のキャッシュフロー計算書と比較することで、現状を把握するのも大事です。たとえば、過去に資金調達を行って財務キャッシュフローがプラスになったとしても、今期はその返済のために財務キャッシュフローがマイナスになっているかもしれません。

あるいは、投資のために一時的にキャッシュフローがマイナスになっていたとしても、その投資が適切であれば、来期から営業キャッシュフローが増加し、自由に使えるフリーキャッシュフローも増える可能性があります。

特定の時期だけの状態を確認しても、企業の経営状況を正確に把握するのは困難です。キャッシュの状態が何を意味するのかを正確に把握するためには、複数年度のキャッシュフローをチェックする必要があるのです。

ほかの財務諸表と組み合わせて読み解く

貸借対照表や損益計算書など、ほかの財務諸表と組み合わせて読み解くことも必要です。たとえば、損益計算書には、その会計年度の売上高が記載されますが、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローを売上高で割ると、「営業キャッシュフロー・マージン」が計算可能です。

これは、企業の売上からどれぐらいのキャッシュが生み出されたのかを確認する指標で、比率が高ければ、売掛金や売上債権を効率よく回収できているのが分かります。

あるいは、営業キャッシュフローを貸借対照表に記載される流動負債で割ると、「営業キャッシュフロー対流動負債比率」を計算できます。1年以内に返済しなければならない負債(流動負債)を、営業活動からのキャッシュフローでしっかりと賄えているかを確認する指標です。

こういった比率を計算することで、企業の経営実態をより正確に把握できるようになります。

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