ミツモアロゴ
ミツモアメディア

損益計算書とは? 記載項目の意味、見方や書き方を徹底解説!

最終更新日: 2019年11月18日

損益計算書とは、会社がどれだけ儲かっているかを表す書類です。また、損益計算書では会社がどのような活動でどのくらい儲けているかも把握することができます。そのため、損益計算書は経営上必要な利益などを読み取れる便利なツールですが、その見方をキチンと理解するのは大変です。

今回は損益計算書について、見方や書き方などを徹底的に解説します。

この記事の監修税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

仙台市宮城野区岩切に事務所を構える税理士の菅野歩と申します。日々の経理業務、会計・税務業務など経営者の皆様のニーズに合わせた適切なサポートを全力で行い、わかりやすくご説明させていただきます。
ミツモアでプロを探す

損益計算書の概要

損益計算書の概要
損益計算書の概要

損益計算書(Profit and Loss Statement)とは、収益や費用、利益などから構成される経営成績を表す書類です。英語の頭文字をとってP/L(ピーエル)と呼ばれることもあります。

損益計算書は貸借対照表やキャッシュフロー計算書と併せて財務三表と呼ばれ、経営分析などには欠かすことのできない重要な財務諸表の一つです。

損益計算書とは

損益計算書とは一会計期間における経営成績を表す書類です。一会計期間とは会社の期首(会計期間開始の日)から決算日までの期間を指しており、会計期間が1年間の会社ではその1年間の事業年度における経営成績を表しています。

損益計算書の概念は以下の図の通りです。

図1 損益計算書概観図
図1 損益計算書概観図

損益計算書の借方(左側)には費用と利益が、貸方(右側)には収益が表示されています。これは、損益計算書の基となる取引の数字を記録する複式簿記の法則にしたがった結果です。

複式簿記では、取引を2つの側面から記録する特徴があり、「現金1万円で広告宣伝費を支払った」という取引の場合は「現金1万円が減った」「広告宣伝費が1万円発生した」という2つの側面を記録します。その際に、借方に費用の発生を、貸方に収益の発生を記録するという法則があります。

1:収益

収益とは、主に営業活動によってモノの販売やサービスの提供を行うことによって得られる代金です。その他には、本業以外の株式運用で得た運用益や預金などで得られたで利息、固定資産を売却したときの利益なども収益に含まれます。

つまり、営業活動やそれ以外の活動から獲得した経済的な便益は全て収益に該当します。

2:費用

収益を得るために必要な仕入や材料費、給与や広告宣伝費などは全て売上のために消費されるものなので費用に該当します。また、売上に直接関係しない町内会費のような費用も会社の維持存続に必要なものなので費用に該当します。

このように、収益獲得のために消費するものは売上に直接かかわらないものも含めて全て費用となるのが原則です。また、近年多発している災害による損失なども突発的な費用として計上することが認められています。

3:利益

損益計算書における利益は一会計期間における儲けの金額を表しています。基本的には、収益から費用を引いた金額が会社の儲けである利益となり、その数字がマイナスの場合は損失が発生している状態です。

図1のイメージでは一つの利益しか表示されていませんが、損益計算書では本業の利益を表す営業利益など様々な利益が表示されているため経営判断に役立つ書類として活用されています。それぞれの利益の詳細については後ほど詳しく説明します。

損益計算書の一般的な書式

損益計算書の一般的な書式は以下の図の通りです。

図2 損益計算書の雛形
図2 損益計算書の雛形

上記の損益計算書は「報告式」と呼ばれるもので、大手企業なども決算発表で使用するメジャーな形式です。損益決算書には「勘定式」と呼ばれるもう一つの形式もありますが、外部に公開する決算書の形式としてはあまり使用されていません。

勘定科目の解説:収益編

勘定科目の解説:収益編
勘定科目の解説:収益編

損益計算書の構成要素である収益は「売上高」と「営業外収益」、「特別利益」に区分します。まずは、損益計算書で収益に区分される勘定科目の一覧を確認してみましょう。

図3 収益の勘定例
図3 収益の勘定例

それでは、それぞれの収益について勘定科目例を挙げながら詳しく説明していきます。

売上高

売上高は本業として行う商品の販売やサービスの提供によって得られる収益です。基本的に、売上高には商品の販売やサービスの提供によって得られる代金の総額が集計されます。

しかし、売上値引や売上割戻が発生している場合は売上高から値引きや割戻の金額を控除して売上高を表示します。

損益計算書の売上高の見方で重要なポイントは、売上高の数字だけを鵜呑みにしないことです。

売上高が多く計上されていても代金回収が遅くなっている場合などは資金繰りの悪化によって黒字のまま倒産することもあります。

売上高は、あくまでも企業業績を表すもので、潤沢な資金があることを直接示すわけではありません

営業外収益

営業外収益とは、企業の営業活動以外の活動から常時発生する収益です。具体的には、預貯金や株式投資などの財務活動によって発生する受取利息や受取配当金、有価証券売却益などが該当します。

特別利益

特別利益とは、通常の経営活動では発生しないような臨時的に発生する利益です。

土地や建物などの不動産を売却したときに発生する固定資産売却益は特別利益に該当します。

また、災害時に発生した損失額よりも受け取る保険金の方が多くなる場合はその差額を保険差益として計上します。この保険差益も偶然かつ臨時的に発生する利益のため特別利益に含まれるものです。

勘定科目の解説:費用編

勘定科目の解説:費用編
勘定科目の解説:費用編

損益計算書の費用は「売上原価」「販売費及び一般管理費」「営業外費用」「特別損失」「法人税、住民税及び事業税」の5つに分けられます。損益計算書で使用される費用の勘定科目例は以下の通りです。

図4 費用の勘定例①
図4 費用の勘定例①
図5 費用の勘定例②
図5 費用の勘定例②

それでは、費用の詳細について確認してみましょう。

売上原価

売上原価とは販売する商品や製品に直接要した費用です。例えば、他社から仕入れて販売する商品の場合は仕入が売上原価となります。自社で製造する製品の場合は原材料費や製造に係る人件費や加工賃などをそれぞれ集計し、当期製品製造原価として売上原価に含めます。

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、商品などを売るために必要な販売費用と会社全般の管理業務などにかかる一般管理費用の合計額です。

言い換えると、商品の仕入や製造にかかる製造原価を除いた営業活動全般に要する費用の総称となります。そのため、販売費及び一般管理費に集計される勘定科目は無数にあり、例に挙げている勘定科目はほんの一部に過ぎません。

営業外費用

営業外費用とは、企業の本業である営業活動以外の活動に要する費用です。例えば、銀行からの借入を行う際に支払う支払利息や外貨で決済を行う際の為替差損などが営業外費用に該当します。このように、営業外費用では本業以外の財務活動などで常時発生する費用を集計しています。

特別損失

特別損失とは、通常の経営活動では発生しないような臨時的に発生する損失を集計する項目です。特別利益と同様に、土地や建物などの不動産を売却したときに発生する固定資産売却損は、通常の営業活動などと関係なく臨時的に発生する損失なので特別損失に該当します。

また、自然災害によって企業の所有している建物などの不動産が被害を受けることもありますが、このような火災や風水害などによって臨時的に生じる災害損失も特別損失です。

法人税、住民税及び事業税

法人税、住民税及び事業税はその事業年度にかかる法人税や法人住民税、事業税の合計額です。損益計算書の表記によっては単純に「法人税等」と記載することもあります。

損益計算書における利益項目の解説

損益計算書における利益項目の解説
損益計算書における利益項目の解説

損益計算書は一会計期間における利益を表す財務諸表ですが、段階を踏みながら計算される利益は5種類も存在します。

図6 利益項目
図6 利益項目

それでは、利益項目についても詳しく確認してみましょう。

売上総利益

売上総利益は損益計算書の最初に計算される利益です。

売上総利益=売上高-売上原価

売上高から商品の仕入や自社製品の製造にかかる費用を引いた利益で粗利と呼ばれることもあります。

売上総利益は販売する商品や提供するサービスがどれだけの付加価値を付けて販売されているかを表す数字のため、販売商品や提供しているサービスの競争力の高さを読み取る指標として活用できます。

営業利益

営業利益は本業によって得られた利益を表しています。

営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費

売上総利益から商品の販売やサービスの提供に必要な費用を引いた利益で、企業の本業によって稼ぐ力を表す利益です。

経常利益

経常利益は、営業利益に企業の通常の経営活動などで経常的に発生する収益や費用を加減算して求められる利益です。

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

経常利益は営業活動以外の企業運営に関わる費用や収益も考慮されているため、その企業自身の稼ぐ力を表している利益です。

税引前当期純利益

税引前当期純利益は、経常利益に通常の経営活動では発生しないような臨時的な利益や損失も含めた利益です。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

不動産など固定資産の売却に関する損益や災害による損失など経営活動以外の損益も考慮された利益で、その会計期間の様々な要因も考慮した実際の利益が表示されています。

そのため、特別損失によって税引前当期純利益が大きな損失となっている場合でも、一時的な要因で会社の経営自体には問題がないというケースもあります。

特別利益や特別損失についてはその原因をしっかり把握することが重要で、営業利益や経常利益などから企業業績を正しく読み取り総合的な判断を行うことが損益計算書の見方のポイントです。

当期純利益

当期純利益は、当期にかかる法人税などの税金を差し引いた最終的な利益です。

当期純利益=税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税

法人税などの税金を引いた後の最終的な利益のため、「最終利益」や「当期利益」と呼ばれることもあります。

貸借対照表との関連性

貸借対照表との関連性
貸借対照表との関連性

ここまで損益計算書の概要などを確認しましたが、実は、損益計算書は貸借対照表とも深いつながりのある書類です。

しかし、貸借対照表は損益計算書と違い、資産や負債などの財政状態を表す書類のためどのように関連性があるのかイメージしにくいかもしれません。

ここからは損益計算書と貸借対照表との関連性について詳しく確認してみましょう。

貸借対照表とは

貸借対照表とは決算日時点での財政状態を表す書類です。損益計算書は一会計期間における利益を計算する書類のため、根本的に貸借対照表とは作成する目的が異なる書類となっています。

貸借対照表は資産の部と負債の部、純資産の部から構成されており、損益計算書と同様に複式簿記によって記録された取引の集計結果が表される書類です。

当期純利益・繰越利益剰余金でつながる

損益計算書と貸借対照表は全く目的の異なる書類ですが、損益計算書の当期純利益と貸借対照表の繰越利益剰余金でこの2つの書類はつながります。言葉だけだと分かりにくいので以下の例で確認してみましょう。

【例1】

資本金100万円の会社(期首の資産の部:現金200万円 負債の部:買掛金100万円)が当期に100万円の商品を現金で仕入れて、その全てを現金200万円で販売した場合。

期首時点でのこの会社の貸借対照表は以下の通りです。

図7 期首の貸借対照表
図7 期首の貸借対照表

当期の損益計算書は200万円の売上高と100万円の仕入が発生しているので100万円の利益となります。

図8 当期の損益計算書
図8 当期の損益計算書

この損益計算書の当期純利益は、期末の貸借対照表の繰越利益剰余金として翌期へ繰り越されます。

図9 貸借対照表とのつながり
図9 貸借対照表とのつながり

このように損益計算書と貸借対照表は当期純利益と繰越利益剰余金でつながっています。

損益計算書の作り方

損益計算書の作り方
損益計算書の作り方

損益計算書の作り方は日々の取引を仕訳することから始まります。その後、元帳や試算表の作成を経て様々な利益項目が表示される損益計算書の完成です。ここからは損益計算書の作り方を具体的な帳簿の例なども交えながら説明します。

日々の取引を仕訳する

損益計算書を作る最初のステップは日々の取引の仕訳です。まずは、以下の例で仕訳を確認してみましょう。

【例2】

①1/1  販売するための商品を現金500円で仕入れた

②1/10 ①で仕入れた商品のうち100円分が不良品だったため返品し現金が返金された

③1/20 ①で仕入れた商品(返品したものを除く)全てを現金1,000円で販売した

④1/26 現金50円で事務所の電球を購入した

⑤2/10 現金100円で事務所の電気代を支払った

⑥2/15 預金利息10円が普通預金口座に入金された

上記の①~⑥の取引を仕訳すると以下のような仕訳帳が完成します。

図10 仕訳日記帳
図10 仕訳日記帳

既に確認したように、複式簿記では費用の発生は借方(左側)に収益の発生は貸方(右側)に記載するのがルールです。このルールは貸借対照表の資産や負債、資本とも関連があり、全ては下図のような関係にあります。

図11 取引の結合関係
図11 取引の結合関係

発生した費用の取消として1/10の返品の仕訳をしていますが、このように費用の取消は貸方に、収益の取消は借方に記載することで帳簿に反映することが可能です。

総勘定元帳に転記する

仕訳帳に仕訳を記録したら、次は仕訳帳の取引を勘定科目ごとに総勘定元帳に転記します。1月の取引を損益計算書の項目だけ転記すると以下の通りです。

図12 総勘定元帳
図12 総勘定元帳

このように累計した残高が表示される総勘定元帳を残高式元帳と言います。残高式元帳とは別に標準式元帳という形式の総勘定元帳もありますが、現在は累計残高が随時確認できる残高式元帳が主流です。

試算表を作成する

総勘定元帳を作成できたら次は全ての勘定科目を集計する試算表を作成します。上記①から⑥の仕訳例で試算表を作成すると以下の通りです。

図13 合計残高試算表
図13 合計残高試算表

試算表にも、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表という3つの形式があります。

もともと、試算表は人の手で集計していた頃に総勘定元帳へ仕訳帳の数字が正しく転記できているかどうかを確認するために作成されるものでした。

そのため、勘定科目ごとの発生金額の合計や残高を試算表に集計します。上図は合計残高試算表で、現在は会計ソフトなどに仕訳を入力することで簡単に出力することが可能です。

損益計算書を作成する

試算表が完成したら減価償却費の計算など決算整理を経て損益計算書を作成します。ここでは、損益計算書が完成するまでの流れがよく分かるように、上記①~⑥だけの仕訳で損益計算書の雛形に数字を当てはめてみます。

図14 損益計算書
図14 損益計算書

上記のように、取引の仕訳をしたものが総勘定元帳や試算表を経て収益や費用の項目ごとに集計されます。実際の会社の損益計算書を作成する場合は、取引の数や集計する勘定科目も更に多くなりますが、基本的な損益計算書の作り方は変わりません。

まとめ)損益計算書の作成は税理士に依頼しよう

まとめ
損益計算書の作成は税理士にお任せ

ここまで損益計算書の概要や見方、書き方について説明してきました。損益計算書は段階的に計算されるそれぞれの利益を正確に把握することで様々な情報を読み取ることも可能です。

しかし、損益計算書の作成には税法の判断なども必要となることから、専門家である税理士の力を借りることも有効な選択肢の一つになります。

損益計算書は税理士にお任せ!

損益計算書は見方や作り方を理解できても実際に作成するには難しい判断が付きまといます。例えば、仕訳する際の勘定科目の判定は正確に行わなければその後の集計結果に影響を及ぼすものです。

また、営業外で発生した損益は、営業外として処理するのか特別損益として処理するのかでも正確な判断が必要です。

このような場合は、プロである税理士を頼ることで適正な損益計算書作成のサポートをしてもらうことができます。最初の仕訳から損益計算書の完成までを丁寧にサポートしてくれるため、非常に心強い存在となることは間違いありません。

監修税理士のコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

損益計算書とは、一定期間の経営成績を表す決算書です。 損益計算書からは、どのくらいの収益が出たか、その収益に対してどのくらいの費用を使ったか、収益から費用を引いた純利益はいくらかといった情報を得る事が出来ます。 損益計算書における5つの利益のなかで一番大切なのは「経常利益」と言われています。経常利益は本業の経営成績に会社の財務成績を含めた利益であり、会社がどのくらい儲かっているのかを示しているからです。
ミツモアでプロを探す

ミツモアで税理士を探そう!

ミツモアでプロを探してみよう!
ミツモアで税理士を探そう!

税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。

そんな税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。

簡単!2分で税理士を探せる!

ミツモアなら簡単な質問に答えていただくだけで2分で見積もり依頼が完了です。

パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことが出来ます。

最大5件の見積りが届く

見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。

チャットで相談ができる

依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。

税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?

ミツモアで見積もってみる