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傷病手当金は確定申告する必要がある? 扶養についても解説

最終更新日: 2019年12月03日

事故に巻き込まれたり、病気になってしまったりした場合などに、給付金として支給できる傷病手当金。この手当金があれば、急に仕事ができなくなってしまっても安心ですね。

しかし、傷病手当金を受け取ったときに気になるのは「受給した傷病手当金は確定申告する必要はあるのかどうか」ということ。

今回は、傷病手当金の支給条件や傷病手当金の確定申告での取り扱いの他に、傷病手当金を受給した時の扶養はどうなるのかなどを解説していきます。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

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傷病手当金とは

傷病手当金を受給するために必要な条件等を説明するためのお金の画像
傷病手当金とは

傷病手当金とは、社会保険の給付金の1つです。万が一の場合に働けなくなっても生活できるようにするための制度なので、どのような場合に受給可能なのかを理解しておくと、いざという時にも安心です。

では、傷病手当金とはどのようなものか、支給を受ける条件や期間まで詳しく見ていきましょう。

傷病手当金とは

対象となるのは、社会保険の被保険者である会社員などです。業務外の怪我や病気などで療養中となり、仕事ができない状態の時に支給される給付金を「傷病手当金」と言います。傷病手当金は、協会けんぽや健康保険組合から支給されます。

近年では、うつ病などの精神疾患で仕事ができなくなった場合にも支給可能です。もしもの時、請求できるように支給条件を確認していきましょう。

傷病手当金の支給条件

傷病手当の支給を受けるためには、以下の4つの条件全てに当てはまらなければなりません。

  • 業務外でケガや病気をし、仕事ができない状態
  • 連続3日を含む、4日以上の療養のため仕事ができない状態
  • 労働不能(仕事に就けない)と判断される
  • 休み中の給与の支払いがない

労働不能の判断基準は、医師の意見や業務内容などを考慮して協会けんぽや健康保険組合といった健康保険の保険者が判断します。

なお、通勤途中や業務上のケガや病気は、労働災害保険(労災)の給付金の支給対象となるので注意が必要です。

傷病手当金の支給金額

傷病手当金の1日あたりの支給額は、賞与を含まない1日あたりの給与額(標準報酬日額の2/3)です。計算式は、以下のようになります。

  1. (※)各月の標準報酬月額の平均金額÷30日×2/3=1日あたりの傷病手当金
  2. 1日あたりの傷病手当金×傷病手当金の支払い期間=支払総額

※傷病手当金の支給を開始した日以前の、継続した12ヶ月分が必要

では、以下のようなケースを想定して実際に計算してみましょう。

〈例〉

支給開始日前6ヶ月:月給40万円

上記以前の6ヶ月:月給35万円

療養期間:1年(有給利用なし)

  1. (40万円×6ヶ月+35万円×6ヶ月)÷12ヶ月÷30日×2/3=8,333円
  2. 休業期間365日ー待機期間3日間=362日間
  3. 8,333円×362日=3,016,546円(支払総額)

上記の場合、傷病手当金の総支払額は、3,016,546円となります。なお、支給条件の1つである「仕事に就けない3日以上連続する期間(待機期間)」は、傷病手当金の支給期間からは除外されるため、注意が必要しましょう。

傷病手当金の支給期間

上記でも注意点として少し説明しましたが、傷病手当金の支給は、3日間の待機期間後に支払われます。つまり、療養期間が短く、休んでから3日目に会社へ出勤した場合には、支給対象から外れます。

3日間の待機期間後である、4日目から傷病手当金の支給が開始となり、「最長1年6ヶ月」の期間支給を受けることが可能です。

参考:社会保険の傷病手当金とは 支給条件や申請方法まで徹底解説!|ミツモア

傷病手当金は確定申告する必要はある?

傷病手当金は確定申告する必要はあるかどうかについて説明するための画像
傷病手当金は確定申告する必要はある?

傷病手当金を受給すると、「確定申告をしなければならないのか?」と疑問に思う人は多いでしょう。また、医療費控除から差し引く必要があるのかどうかも気になるところだと思います。

ここでは、傷病手当金は確定申告する必要はあるのかや医療費控除との関係について説明します。

確定申告の必要はなし

傷病手当金は、いくら受給しても収入に入らず非課税所得となります。そのため、所得税がかかりません。つまり、確定申告の必要はないということになります。

ただし、前年度所得から計算して徴収している住民税は、前年度所得があれば支払うことになるので注意が必要です。

傷病手当金と医療費控除

1年間に支払った医療費が高額になった場合に、控除を受けることができる医療費控除。通院や入院をすることになってしまった場合には、利用したい制度です。

この医療費控除の申告の際に、保険金を差し引く必要があるのですが、全ての保険金が対象というわけではなく、傷病手当金も医療費から差し引く必要はありません。

つまり、医療費控除の申告に傷病手当金は関係ないということです。

確定申告を行なった方がいい場合

退職をした場合でも還付金が戻ってくる可能性があることを表している画像
傷病手当金の年末調整・確定申告を行なった方がいい場合

傷病手当金を受給した場合は、基本的に確定申告の義務はありません。しかし、場合によっては年末調整や確定申告を行なうことで、還付金を受け取ることができることもあります。

在職中、退職した後、それぞれのケースについて解説します。

在職中に傷病手当金を受け取っている場合

在職中に傷病手当金を受給している場合は、勤務先での年末調整の対象になります。傷病手当金を受給した場合でも、源泉徴収により、1年間の所得を見込んで事前に給与から所得税を差し引かれています。

そのため、年末調整をすることで、還付金として払いすぎた所得税が戻ってくることが多いです。その場合は確定申告の必要はありません。

傷病手当金を受給中に退職した場合

傷病手当金を受給中に退職した場合、再就職するかしないかで確定申告が必要かどうか変わってきます。

退職したその年に療養を終え、再就職する場合には、再就職先に源泉徴収票を提出することにより、年末調整を受けることができます。退職後も再就職しない場合には、給与所得の確定申告が必要です。どちらも還付金が戻ってくることが多いです。

傷病手当金を受け取った場合の扶養は?

傷病手当金を受け取った場合の扶養、家族の扶養を表している画像
傷病手当金を受け取った場合の扶養は?

仕事ができない状態になった場合に、傷病手当金がなければ自分の生活や家族を守ることができません。とても便利な制度ですが、傷病手当金を受給していても配偶者控除や扶養控除を受けることはできるのでしょうか?

また、社会保険の扶養から外れてしまわないかどうかも気になるところです。

社会保険の扶養、家族や配偶者の扶養控除との関連性について見ていきましょう。

配偶者控除や扶養控除

納税負担を軽くするために利用できる「控除」。「配偶者控除」「扶養控除」どちらの場合も、納税者と生計を一にしているということが第一条件です。

傷病手当金は税務上の収入とはみなされないため、退職をした場合に受給していても、税務上の収入の額が大きく下がることになります。税務上の収入が減るので、配偶者控除や扶養控除の対象となる可能性が高いですが、それぞれその年の合計所得金額で対象が定められているため注意が必要です。

以下の条件に当てはまる場合、それぞれの控除対象となることが可能です。

区分 年間合計所得 給与収入
配偶者控除 13〜38万以下(※) 103万円以下
扶養控除 38万円以下

※納税者の合計所得金額により、条件が異なる。

配偶者控除と扶養控除の、詳しい区分や条件については以下の記事で説明しています。

参考:ミツモア│【税理士監修】所得税に扶養控除を賢く利用するために

社会保険の扶養

傷病手当金を受給することで、仕事ができなくなっても安心ですが、療養が長い場合などは、個人で社会保険に入っているのは大変です。

社会保険の扶養の条件は以下の通りです。

  • 年間収入130万円未満、かつ被保険者の半分未満の収入
  • 障害者または60歳以上の場合、年間収入180万円未満

注意しなければならないのは、税制上では傷病手当金は収入として扱わない一方、社会保険制度では傷病手当金を収入として扱うことです。

まとめ

傷病手当金を受給できる療養中の男性の画像
まとめ

業務外での急なケガや病気に、給付金を受給できる傷病手当金は、きちんと条件を把握しておくことが大切です。基本的に、確定申告の必要はありませんが、受給中に退職する場合には、申告すると還付金が返ってくる可能性があります。

療養代にお金もかかるので、税金関係で損をしないように、傷病手当金について正しく理解しておきましょう。

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

病気になった際にもらうことができる傷病手当金。これに税金は掛かりませんので、確定申告の必要はありません。 療養中は治療に集中された方が良いですので、税金面の心配をしないで良いように事前に知識をつけておきましょう。
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この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬) 1987年 香川県生まれ 2008年 公認会計士試験合格 2010年 京都大学経済学部経営学科卒業 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。
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