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【税理士監修】雑費で計上できる経費はいくらまで? 消耗品費との違いは?

最終更新日: 2019年12月25日

個人事業主の必要経費の中には、「雑費」という勘定科目があります。単純にこまごました経費や金額の少ない経費を計上するというだけではなく、いくつかの注意点があります。いくらまでの経費が雑費に計上できるのか、またどのような経費が雑費に計上できるかを理解し、正しく計上することで正確で信用ある決算書を作ることができます。それでは見ていきましょう。

雑費とは

雑費とは
雑費とは

国税庁のホームページでは、雑費とは、「事業上の費用で他の経費に当てはまらない経費」と説明されており。主に1年のうちに1回しか発生しない費用や、金額が少なく他の勘定科目に分類することが難しい費用が計上されます。ここからは青色申告決算書に記載されている他の勘定科目を確認しながら、雑費の定義を見ていきます。

雑費とは

雑費とは、以下の17の勘定科目に当てはまらない経費をいいます。内容によっては他の勘定科目と重なるものもありますが、取引の重要性や発生頻度により雑費に計上することが妥当であると判断されることもあります。

勘定科目 内容
租税公課 事業税、固定資産税、自動車税、印紙税などの税金・商工会議所などの会費又は賦課金
荷造運賃 販売商品の包装材料費、荷造りのための賃金、運賃
水道光熱費 水道料、電気代、ガス代、灯油の購入費
旅費交通費 電車賃、バス代、タクシー代、宿泊代
通信費 事業用として使用した電話料、切手代、電報料
広告宣伝費 新聞などの広告費用、チラシ、折込み広告の費用広告用カレンダーなどの費用
接待交際費 事業関係者との飲食費など
損害保険料 火災保険料、自動車の損害保険料
修繕費 店舗、自動車、機械、器具備品などの修理代
消耗品費 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
減価償却費 減価償却資産の減価償却費
福利厚生費 従業員の慰安など費用・事業主が負担すべき従業員の健康保険、厚生年金、雇用保険など
給料賃金 給料、賃金、退職金など
外注工賃 修理加工などで外部に注文して支払った場合の加工賃・建設業などの下請工事
利子割引料 事業用資金の借入金の利子や受取手形の割引料
地代家賃 店舗、工場、倉庫等の敷地の地代や店舗、工場、倉庫等を借りている場合の家賃
貸倒金 売掛金や未収入金、貸付金などについて、得意先の事情により回収不能となった金額

次に類似する勘定科目との違いや、計上できる金額について説明します。

雑費として計上できる経費はいくらまで?

雑費として計上できる経費の金額は、明確に法律などで定められていません。しかし、あまり大きい金額を雑費として計上してしまうと、事業の実績を正確に反映できない決算書になりかねないため、できるだけ他の勘定科目で計上することをおすすめします。

雑費と雑損失の違い

雑損失とは、災害、盗難、横領によって資産に受けた損失額をいいます。上記で述べたとおり雑費は、必要経費のうち他の勘定科目に当てはまらない経費をいうため、雑損失とは性格が異なります。科目名が似ていますが、混同しないように注意しましょう。

雑費と消耗品費の違い

雑費と消耗品費の違い
雑費と消耗品費の違い

必要経費の中で、特に雑費と混同してしまいがちなのは消耗品費です。しっかりと違いを理解せずなんとなく仕訳をしていると、同じ内容の経費が雑費にも消耗品費にも計上されてしまっている。なんてことも起こってしまいます。ここでは、それぞれの勘定科目の性格や具体例を紹介しています。それぞれの違いを理解し、適切な仕訳を心がけましょう。

消耗品費とは

消耗品費とは、

  1. 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費             
  2. 使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費

などがあり、主に事業に使用する消耗品全般の購入費が該当します。取得価額が10万円以上の資産は、基本的には固定資産に該当し、減価償却費により年々経費に計上されるため、消耗品費には該当しない点に注意してください。

青色申告なら30万円までの資産を経費にすることができる

青色申告を行っている個人事業主の場合、特例により取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から令和2年(2020年)3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、全額事業に使用した年の経費に計上することが可能です。なお、この特例は1年間の取得価額の合計が300万円に達するまでの固定資産につき適用が認められます。

消耗品費に当てはまる経費

消耗品費の具体例として下記の物品の購入などがあります。

  • 文具
  • 事務用机
  • 椅子
  • 本棚
  • ロッカー
  • 工具
  • 機械部品
  • ガソリン
  • 掃除機
  • エアコン
  • パソコン

なおパソコンなどの家電については、購入金額が10万円未満(特例を適用する場合は30万円未満)のものは消耗品費に計上が可能ですが、その金額以上の場合は固定資産として計上される点に注意してください。

雑費として計上できる経費の例

雑費として計上できる経費の例
雑費として計上できる経費の例

ここでは、実際にどのような経費が雑費として計上ができるのか、どのような仕訳になるのかを紹介します。また、雑費についてはさまざまな内容の経費が計上されます。その際に一つ一つの経費について消費税の区分を確認する必要があります。消費税区分の具体例についても触れているので、参考にしてください。

雑費の例

雑費に計上される経費として次の経費があります。雑費として計上する経費の中には、個人的な費用と混同してしまうものが多くあります。混同している場合には事業に使った部分を経費に計上するように注意してください。

  • ごみ処理代
  • クリーニング代
  • 引越代
  • 振込料などの手数料
  • 書籍代
  • 税理士などの報酬費用
  • 安全協力費などの会費
  • 市区町村の区費

雑費の仕訳例

上記の例から引越代についての仕訳をご紹介します。

:個人事業主が自宅を引っ越すこととなり、引越代50,000円を現金で支払った。なお、50,000円のうち事業に使用する荷物に対する引越代は25,000円である。

借方 雑費  25,000円  貸方  現金 50,000円
事業主貸 25,000円

雑費の消費税区分

雑費として計上される経費の多くの消費税区分については、課税仕入れに該当します。しかし、上記の例のなかの「安全協力費などの会費」や「市区町村の区費」などのその性格が会費としての性格を持つ経費については、不課税仕入れに該当します。課税仕入れと不課税仕入れが混同して、区分が難しい場合には消費税区分によって勘定科目を分けて計上することも検討しましょう。

個人事業主が雑費で経費計上するときの注意点

個人事業主が雑費で経費計上するときの注意点
個人事業主が雑費で経費計上するときの注意点

雑費は、他の勘定科目に該当しないものを計上するため、どの勘定科目で仕訳をするのか分からない経費も雑費が使って仕訳ができるという点では便利な勘定科目です。しかし、雑費を多用しすぎたり、高額な経費を雑費に計上すると問題が生じるおそれもあります。いくつかの注意点を確認していきましょう。

雑費を使いすぎない

雑費を使いすぎると、下記の問題が生じる可能性があります。

  • 事業実績を適切に把握できない
  • 決算書の信頼性が低くなる

問題発生の原因としては、雑費を使いすぎることにより、決算書を見ても自身の事業で経費の種類ごとにいくらかかっているのかを把握できなくなります。これは、事業実績の現状を把握できないだけでなく、今後どの経費を削減していくのか、また事業を拡大していくなかでどの経費がいくら増えていくことになるかなど計画を立てる際にも支障をきたします。

さらに、雑費ばかり計上されている決算書は、不明確な要素が多い決算書になってしまうため、税務署や銀行に対してあまりいい印象の決算書とはいえません。雑費を多用せず、きちんと経費を分類し、自身の事業の内容がしっかり反映されている決算書作りが重要です。

上記の雑費の具体例のなかにも、金額が高額な場合や取引が頻繫な場合には、その他の勘定科目が適切な場合もあります。

具体例

  • 書籍代         → 「図書費」
  • 安全協力費などの会費  → 「諸会費」
  • 振込料などの手数料   → 「支払手数料」

高額な支出は雑費にしない

高額な支出は、事業を営むなかで重要度が高くなります。これを雑費に計上することも、雑費を使いすぎる場合と同様に決算書に適切に事業の内容を反映できないことに繋がります。また、10万円以上の支出の場合には、固定資産に該当する可能性もあり、経費に計上される金額自体が誤ってしまう可能性もあるので、高額な支出は雑費には計上せずに、その内容をしっかりと確認して適切な勘定科目を使いましょう。

よく使うものは新たに勘定科目を設ける

仕訳していくなかで、「頻繫にある支出だけど決算書に記載されている勘定科目に当てはまるものがない」といったケースもあります。この場合には、新たに自分で適切な勘定科目を設けることもできます。雑費に計上してしまうとどの支出が計上されているかが分かりませんが、別の勘定科目に計上すると一目で把握できるので、頻繫な支出は新たに勘定科目を設けて仕訳をすることをおすすめします。

所得税青色申告決算書の様式
所得税青色申告決算書の様式

上記の図の赤枠のように青色申告決算書には、勘定科目の空白部分があります。この空白部分に新たに勘定科目を設けることができます。収支内訳書にも同様に空白部分があり、新たに勘定科目を設けることができます。

例えば、ここに新たに「図書費」の勘定科目を設けて書籍代や資料代を仕訳していくことができます。

「雑費」を理解して適切な仕訳を

ここまで、雑費について説明してきましたが、大きくは次の5つのポイントが重要です。

  • 雑費はあくまでも少額で、頻度の少ない経費を計上するための勘定科目
  • 他の勘定科目と混同しないように注意(特に雑損失・消耗品費)
  • 雑費を使いすぎない
  • 高額な支出は雑費にしない(特に10万円以上の支出には注意)
  • 頻繫な支出には適切な勘定科目を使用する

たかが雑費と思いがちですが、注意すべき点をしっかりと理解したうえで適切な仕訳をおこなってください。確定申告をおこなううえでどの勘定科目で計上した方が良いか、またどのようにすれば分かりやすい決算書を作れるかなど確定申告や記帳に関することは、税理士に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスにより安心して申告・経理をすることができます。

鈴木美帆税理士事務所 - 神奈川県小田原市城山

雑費を多用せず経費をきちんと区分しておくことは、その区分の経費が毎年どのぐらいかかるのかを予想する事が出来るようになります。経費の予想が出来れば利益計画を立てられるようになります。 事業を伸ばしていきたいのでしたら、売上と経費の関係をしっかりと把握しましょう。税理士の中には税金の事だけでなく、利益計画についても相談できる人もいます。
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この記事を監修した税理士

鈴木美帆税理士事務所 - 神奈川県小田原市城山

税理士の鈴木美帆です。 私は以前勤めていた会社が資金繰りに失敗して会社が解散し、社長が自宅を借金で失い、心労で社長の奥様が亡くなられた事にショックを受け、このような悲劇を繰り返したくないという思いで、10年前にこちらの業界に転職しました。 このような経験がきっかけとなっていますので、経営者の皆様が正しい判断をしていただけるお手伝いを迅速に親身に行いたいと考えています。 また、起業創業支援にも力を入れており、創業前からのきめ細かいサービスを提供しています。起業セミナーの講師や勉強会の幹事をいたしております。 さらに関連する士業とも強い連携が有り、会社設立、相続、給与計算、労務問題、家族信託などのご要望にもお応えできます。 まずは、お気軽にご相談ください。
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