日頃使用している電気は、毎日の暮らしに欠かせないインフラです。電化製品は国や地域ごとに設定されている電圧に合わせて製造されますが、国内では主に2種類に大別されます。
電気を便利に使いこなすために、電圧の基礎を学んでおきましょう。
電圧とは?
電化製品を使用する際に、たいていコンセントにプラグを差して電気を通します。その際に適切な電圧に設定されていないと、正常に作動しません。
よく耳にする電圧という言葉ですが、改めてその意味を考えてみると、的確に理解できていない人も少なくないものです。まずは基礎的な部分をおさらいしておきましょう。
電圧と電流と電力の違い
「電圧」を一言で表すならば、「電気を送り出すために必要な力の量」となります。通常「V(ボルト)」という単位で示されますが、その数値が大きくなるにつれて、強い力を発揮するのです。
「電流」という言葉もよく聞きます。「電気が実際に流れている量」のことで、「A(アンペア)」という単位を用いて表します。示す数値が大きくなるほど流れている量も多いのです。
加えて「電力」は、「電気によってできる仕事の量」を示すもので、使用する単位は「W(ワット)」です。そして電圧・電流・電力の関係を式にすると、以下のようになります。
電力(W)=電圧(V)×電流(A)
分かりやすく理解するためには
「聞き慣れない単位や式で説明されてもよく分からない」、そのように感じる人もいるでしょう。そこで荷物を積んだ車が通る道路を例に、解説します。
その際電圧は、道路を走る車における「制限速度」ととらえられます。制限速度が高いことは「電圧が大きい」ことに当たりますが、速いスピードを出せるため、時間あたりの通行量を多くできるのです。
電流は「車の台数」だと考えます。電圧が大きければ速いスピードを出せますが、実際に通行する車の量を増やすことで、たくさんの車の移動を実現できるのです。
そして電力は「車で運んだ荷物の量」といえます。一定の距離を、速いスピードで数多くの車が通れば、それだけ運んだ荷物の量は増えるでしょう。
一般家庭における電圧
現代の暮らしは電気なしには成り立ちません。そして国内の電気も、当然電圧が設定されています。
ところで国内で流通する全ての電化製品が、必ず自宅のコンセントで使用できるとは限りません。電圧をより深く理解するために、二つの電圧について知っておきましょう。
日本の電圧は100Vが基本
日本の電圧は「100V」が基本です。一方例えばユーロ圏では、220〜240Vが一般的です。数値を見れば分かる通り、日本よりも高く設定されています。
諸外国の電圧が高い背景には、送電線に関する技術力の違いがあります。電気が普及し始めた1880年代のアメリカやヨーロッパでは、当時の送電技術は未発達でした。電圧が低いと、家電を作動させるに十分な電力を、各戸に供給できなかったのです。
対して日本では、高い送電技術を開発することに成功しました。国内の電圧が他国と比べて低い理由には、日本の技術力の高さがあるのです。
200Vに変更することも可能
100Vが主流の日本ですが、では国内で購入した電化製品ならば確実に使用できるかといえば、そうとも限りません。電子レンジやエアコンといった一般家電にはじまり、業務用の大型電化製品などでは、200Vでしか作動しないものもあります。
あるいは大きな電力を必要とする家電を同時使用していると、頻繁にブレーカーが落ちるという現象にも見舞われることもあるでしょう。そのため「100Vでは不便」と感じる家庭も出てきます。
そのような場合は家庭の電圧を200Vへと変更することも可能です。業者に依頼すれば簡単な工事で電圧のアップを図れます。
200Vに変えるとどうなる?
電圧の変更に当たって、「200Vにすると電気代が上がるのでは?」と考える人もいます。しかし一概にそうとはいえません。電気料金は電圧、使った電気の量である「W(ワット)」で計算するからです。
電圧を大きくすることを水道に当てはめると、蛇口から出る水の勢いがよくなることだと考えられます。スピードやパワーにゆとりが生まれるイメージです。
チョロチョロと少しずつ出る水では、バスタブにお湯を張るときに時間がかかります。同様に、電圧が高ければ早くご飯を温められるのです。
空調能力の高いエアコンを使用する場合などでは、強い電圧が求められます。家電の性能を十分に引き出すにも、余裕ある電圧が有効なのです。
工事を依頼するときのポイント
電圧変更の工事に当たり、留意しておくべき点はどこにあるでしょうか。依頼時のポイントについてまとめました。
工事費用の相場
家庭の電圧を100Vから200Vにする場合、標準的な工事費用の相場は8,000~1万円になります。
一般的な住宅では、分電盤まで2本の単相3線式の電圧線と、1本の中性線の合計3本の電線が通っています。200Vのコンセントを、分電盤から設置場所まで通すだけと比較的簡単な工事です。
しかし室外から引き込む場合や、コンセントの増設を数カ所同時に行う場合などは、費用が高くなります。確実な工事費については、事前の見積もりで確認しましょう。
工事の大まかな流れ
それでは電圧変更工事について、専門業者が行う大まかな流れを確認してみましょう。
- 電線から200V電源の引き込み:単相式でない住宅では、屋外からの電線の引き込みが必要です。電力を供給する幹線ケーブルの容量が不足する場合も、電線の張り替えを行います。
- 電力量計の交換:200V対応のものに付け替えます。
- 200V用ブレーカーの設置:屋外対応用のブレーカー設置であれば、既存の分電盤が使用可能です。屋内設置だと、既存の分電盤の空きスペースや、分電盤の横に増設します。
- 配線:ブレーカーの状態に合わせて各コンセントに配線します。場所によっては、床下や天井裏などに通す工事が必要です。
業者の選び方
ネットで検索すると、自宅から近い業者を複数見つけられるでしょう。その場合にはできるだけ施工実績の多い会社だと安心です。
近所の人におすすめの業者を紹介してもらうことも一案です。地域の人の口コミは信頼度の高い情報といえます。
ネットを使うことで、複数の業者から一括で見積もりを取り寄せるサービスの利用もおすすめです。最大5件の見積もりを比較可能なプラットフォームである「ミツモア」なら、面倒な対面交渉などをせずに、的確な情報を入手できるでしょう。
電圧を理解して生活に役立てよう
電気を有効かつ適切に使用するためには、電圧への理解が役立ちます。電圧が大きいと、急な不具合なども防げるのです。
余裕ある電圧で家電を使用すると、ゆとりを持って稼働させられることから、電化製品の寿命を延ばす効果もあります。電圧への知識を備えて、暮らしに生かしましょう。
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