ジョイントボックスは電線の分岐や保護で用いる部材です。配線の施工で必要となりますが、一般の人でも扱ってよい代物なのか疑問を抱く人も少なくないでしょう。
ジョイントボックスの役割と施工前の注意点を中心に紹介します。
ジョイントボックスとは?
「ジョイントボックス」は野外の電灯設備やコードの配線に欠かせない電材部品です。
まずはジョイントボックスの概要や役割、そして一般の人が施工して問題ないのか詳しく解説していきます。
電気配線の接続部分を保護する
ジョイントボックスは、電線を保護・結線・分岐させるための中継地点に使われます。
もう少しわかりやすく説明しますね。建物に電気を引き込む際には1本のケーブルで屋内まで引き込み、屋内で照明用、コンセント用、などにケーブルを分岐させます。この分岐点ではケーブルが裸になってしまうので、ジョイントボックスをかぶせて保護するのです。
電気工作物の設計や施工などの技術的事項をまとめた「内線規程」では、電線が露出しないよう接続箱(ジョイントボックス等)を使うよう規定されています。
このように、ジョイントボックスは屋内配線工事に使われます。家を建てる過程では内装をする前に配線工事を完成させてしまうので、ジョイントボックスは大抵、壁の裏や天井裏に置かれています。
ジョイントボックスはどんな時に使う?
- 新しいコンセントを設置したい
- 庭に照明器具を置きたい
- 部屋に新しく照明器具を取り付けたい
以上のような場合には電気配線ケーブルを分岐させる必要があるので、ジョイントボックスが必要になります。
- 照明器具が点灯しないときの点検・修理
というケースにもジョイントボックスが役立ちます。どのケーブルがどの照明器具につながっているかが一目瞭然なので、メンテナンスや修理の際にジョイントボックスを見れば、配線のどこに原因があるのかを特定しやすいのです。
施工には「電気工事士」の資格が必要
ジョイントボックスは一般の人でも購入可能ですが、施工には「電気工事士」の資格が必須です。
電気工事士は電気工事の従事者には欠かせない資格で、「第2種」「第1種」が存在します。一般家庭の配線には第2種が必要になり、仮に資格を持たずに施工すれば法律に触れることになるでしょう。
第2種電気工事士の受験資格には制限がありませんので、自分で施工を行いたい人は挑戦してみるのも悪くありません。しかし電気工事を定期的に行う予定のない人は、資格を持った専門業者に施工をお願いするのが、効率的で確実な方法です。
ジョイントボックスは他のボックスとどう違う?
ジョイントボックスは、広義では「アウトレットボックス」と同じ意味で使われます。ケーブルの接続・分岐を行う部材という意味です。
狭義では「VVF用ジョイントボックス」のことを指します。VVFケーブルとは、ビニル被覆の外側をビニルシースで覆っただけの単純な構造をしたケーブルのことです。屋内配線に多く使われています。
プルボックス
用途はアウトレットボックスと同じくケーブルの分岐・接続部分を保護するための部材です。しかしアウトレットボックスにはJIS規格がありますが、プルボックスにはJIS規格がありません。プルボックスにはさまざまなサイズがあるということですね。その分だけ、アウトレットボックスよりも幅広い場面で使うことができます。
コンクリートボックス
こちらも用途はアウトレットボックスと変わりません。コンクリート打ち込み専用のボックスであるという点がコンクリートボックスの特徴です。自動火災報知設備など、感知器の取り付けに使われていることが多いです。
ジョイントボックスの使い方
ジョイントボックスは電線の結線・分岐だけではなく、保護の役割を担っています。そのため屋内・屋外など、設置する場所に合わせた使い方も重要です。
室内と屋外、それぞれの使い方の例を紹介していきます。
屋内で使う場合
室内においてジョイントボックスは「電線の引き出し」「コンセント・スイッチ・照明器具の取り付け」「電話配線の取り出し」など、さまざまな用途で用いられます。
住宅ではVVFケーブルが一般的なため、VVF用ジョイントボックスを用いるのが一般的です。
例えば1階の分電盤から、2階にある5箇所のコンセントに電線を配線する場合、ジョイントボックスを使って分岐させれば、余計な電線を使わずに施工ができます。
屋外で使う場合
門柱のインターホンや庭園灯の設置のため、屋外に電線を引く場合は防雨性の優れたジョイントボックスを選びましょう。屋外のジョイントボックスは家の外壁に設置するのが一般的で、雨水に晒されるリスクが高いためです。
またVVFケーブルを覆うシース(外部被覆)は紫外線に弱いため、配線の際は電線保護材を使うのも忘れないようにしましょう。シースが劣化すると雨水が内部に侵入し、感電や漏電などを引き起こす原因になります。
さらに照明器具のワット数や設置場所など、条件によってトランス電源も必要になってきます。例えば自宅から離れた所に庭園灯を設置する場合には電圧降下の可能性があるため、トランス電源を設置して電圧の降下を防ぐ必要があります。
ジョイントボックスの一例を紹介
設置環境や条件に合わせたジョイントボックスが、各メーカーから販売されています。屋内外に合わせた商品を一例として紹介します。
カワグチ「ジョイントボックス ナイスハットH 伸縮型」
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透明でシンプルな見た目が特徴の屋内用のジョイントボックスです。
結線部をすっぽりを覆うだけの簡易的な構造ですが、結線の大きさに合わせて無段階にサイズを調整できるのが便利なポイントです。
また非収縮の標準型は、あらゆる方向から結線できる汎用性の高さと使いやすさから、定番のジョイントボックスとされています。
初めての配線で新しいコンセントの設置など、屋内での施工を検討している人は、本商品をまず試してみましょう。
パナソニック「ハーネスジョイントボックス WJ5293G」
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フリーアクセスフロア(OAフロア)に適したジョイントボックスで、結線が正しくされているか目視できるのが特徴です。
OAフロアとは二重の床のことで、間の配線空間ができるため電線による転倒や機材の落下を防止できます。床下に電線を隠してスッキリした部屋を実現できるため、オフィスだけではなく一般住宅での需要も増えています。
電線の接続・分岐をする工事では、誤結線がでる可能性があるものです。しかしハーネストジョイントボックスであれば、電線が完全に差さっているとピンが下がる仕様になっているため、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
パナソニック「スマート防雨形ジョイントボックス WJ4613S」
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シンプルなデザインと防雨対策が特徴の、屋外専用ジョイントボックスです。
丸みを帯びたカバーが電線の接続部を雨水から守ってくれるので、庭に照明器具を設置するときなどに向いている商品です。
シルバーやブラックなど、控えめなカラーも魅力の一つでしょう。家の外観を損なうこともないので、外壁に設置しても違和感になりません。
ジョイントボックスは配線に不可欠な部材
屋内外問わず配線工事の際には、ジョイントボックスが欠かせません。
しかしジョイントボックスを設置するためには電気工事士の資格が必要なので、ちょっとした照明器具の設置だけを検討している人は専門業者にお願いした方が効率的です。
設置環境に合わせたジョイントボックスが各メーカーから販売されているので、紹介した商品を参考に業者と相談してみましょう。
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