コンセントの形状・電圧にはさまざまな種類があり、国によっても異なります。日本の電化製品を海外で使うには変換プラグや変圧器が必要です。
この記事では、日本国内のコンセントの種類と海外のコンセントの種類をそれぞれ解説します。
日本のコンセント差し込み口の種類【単相100V・単相200V・三相200V】
日本のコンセントには単相100V・単相200V・三相200Vの3種類があり、それぞれ形状や特徴が異なります。
単相(たんそう)は家庭用、三相(さんそう)は業務用の電気配線に主に使われる種類。国内の電線からコンセントへの電気の送り方で区別されます。
単相 | 三相 | |
用途 | 家庭用 | 業務用 |
安全性 | 〇 | △ |
特徴 | 配線の数が少なく電圧の負荷が軽い | 少ない電流で効率的に電力を得られる |
種類 | 単相100V、単相200V | 三相200V |
また、電気の送り方や電圧の違いのほかにも、以下のようなポイントでコンセントの穴の形状が変わります。
- 定格電圧・定格電流の大きさ
- アース(接地)が付いているかどうか
定格電圧・電流は、電気回線や電化製品が耐えられる電圧・電流の上限のこと。定格電圧は通常125V、大きくて250Vであることが多いです。定格電流は通常15Aで、消費電力が大きい家電をつなぐ電気回線は20Aのことがあります。
アースは過剰な電流や漏れた電流を地面に流して逃がす設備のことです。
【家庭用】単相100V
単相100Vは、最も一般的な挿し込み口が2つあるコンセントです。
2つの挿し込み口にはそれぞれに役割があり、電圧がかかっている右側の穴に対し、左側の穴は地面につながっていて、余分な電気を外に逃がします。
アース(接地)なし | アース(接地)付き | |
15A・125V | ||
20A・125V |
アースのない15A用のコンセントは以下のような最もよく見かけるタイプ。通販サイトでも購入することができます。
ただしコンセントの交換・増設を行うには資格が必要です。資格のない人は、自宅に設置したい場合は電気工事業者に工事を依頼しましょう。
【家庭用】単相200V
単相200Vはエアコンやオーブンレンジなどのハイパワー家電用に設置されることがあるコンセントです。
電圧は電気を送り出す力を表しており、単相200Vのコンセントを通して送られる電気は、単相100Vと比べて、約2倍の圧があります。
アース(接地)なし | アース(接地)付き | |
15A・250V | ||
20A・250V | ||
30A・250V |
200V用のコンセントはパワーが大きい家電用で、水気にふれる可能性のある場所で使われることも多いので、以下のようなアース付き・20Aのものが多いです。
パナソニック (Panasonic) リファインシリーズ 15A・20A兼用露出アースターミナル付接地コンセント WKS294
【業務用】三相200V
三相200Vは工場やショッピングモールなどの業務用に特化したコンセントで、挿し込み口は3つあります。
三相200Vと家庭用の単相200Vとの違いは、電気を流す導線の数です。
単相200Vには単相3線式が採用されており、2本の電圧線と1本の中性線のうち、どれを使うかによって100Vと200Vの両方に対応できます。
対して三相200Vは、3本の電線すべてに200Vの電圧が流れているため、より大きな電力を出力することが可能です。
なお三相200Vを使用するには、家庭用とは異なる電力会社との契約が必要です。
アース(接地)なし | アース(接地)付き | |
15A・250V | ||
20A・250v | ||
30A・250V |
差し込み口の形状が異なる理由はコンセントの誤接続を防ぐためです。例えば100V仕様の電気機器に200Vを供給すると発熱が発生し機器の破損や火災につながってしまいます。
アース(接地)付きコンセントとは
コンセントと聞くと2口コンセントを思い浮かぶ方が多いと思いますが、アース付きコンセントは挿し込み口が3つあります。
アース付きコンセントとは、電気機器が生じた過剰な電圧を地面に流す役割があり、感電や漏電、静電気を防いでくれるものです。洗濯機や食洗器、電子レンジなどを利用する場合にはアース付きコンセントを取り付けるように定められています。
アース付きプラグには、穴に差し込む金属部分が3つあるプラグと、アース線と呼ばれる黄色と緑の線が付いているプラグがあります。
アース線の付け方は以下の通りです。
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関連記事:コンセントにアースがない場合は?正しい対策と注意点を解説|ミツモア |
代表的な海外のコンセント差し込み口の種類
コンセントは国ごとに種類が異なるため、海外製品を自宅で使用する場合や海外旅行に行くときは注意が必要です。特に代表的な海外のコンセントについて紹介していきます。
国名 | コンセントのタイプ |
アメリカ・日本・台湾など | タイプA |
ドイツ・スペイン・フランス、韓国など | タイプC/SE |
オーストラリア・ニュージーランド | タイプO |
イギリス、マレーシア、アラブ首長国連邦 | タイプBF |
日本と同じ【タイプA】
コンセントの形 | |
プラグの形 | |
使用されている国 | 日本、アメリカ、台湾、中南米地域 |
海外で日本の電化製品を使用したい場合、縦長の穴が2つあるタイプAであればプラグをそのまま挿すことができます。
しかし、海外の電圧は日本よりも高いため、「変圧器」が必要になることが多いでしょう。電化製品がどの程度の電圧に対応しているかは、アダプターを見て確認しましょう。
最近のパソコンやスマートフォンであれば、100~120Vと対応範囲が広く、グローバル対応している機種も少なくありません。
ヨーロッパで主流な【タイプC/SE】
コンセントの種類 | タイプC | タイプSE |
コンセントの形 | ||
プラグの形 | ||
使用されている国 | イタリア、ポーランド、ロシア、エジプト | ルクセンブルク |
ドイツ、スペイン、フランス、スイス、ノルウェー、韓国 |
タイプCとタイプSEの一番の違いは、コンセントの挿し込みピンの直径の大きさであり、タイプSEの方がやや大きいです。タイプSEのコンセントであれば、タイプCのプラグを直接挿し込むことができます。
タイプSEのコンセントは丸い形をしていることが多いです。SEだけのコンセントが普及している国はほとんどありませんが、タイプCとタイプSEのどちらも使用できる国はヨーロッパを中心に多くあります。
特殊な【タイプO/タイプBF】
コンセントの種類 | タイプO | タイプBF |
コンセントの形 | ||
プラグの形 | ||
使用されている国 | オーストラリア、ニュージーランド | イギリス、マレーシア、アラブ首長国連邦 |
挿し込み口が「ㇵの字」のタイプOのコンセントや、挿し込み口が3つあるタイプBFのコンセントなど、日本に住んでいるとなかなか見かけない特殊な形のコンセントもあります。
変圧器と変換プラグがあれば対応可能!
コンセントの種類が異なる海外で日本の電化製品を利用する場合には、変圧器と変換プラグの利用が欠かせません。変圧器と変換プラグの違いは以下の通りです。
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変圧器
変圧器は電圧を変更する機械です。電化製品とコンセントの間に接続すれば、出力を100Vに調整してくれます。
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変換プラグ
変換プラグは各国のコンセントに合わせた形状をしており、元のプラグを挿し込んで使います。コンセントのタイプが異なる国でも、持ち運んだ母国の電化製品を使用することが可能です。
持ち運びもしやすいため変圧器と変換プラグの両機能を備えている商品を選ぶとよいでしょう。
家庭で見られるさまざまな機能付きコンセント
ここまで電圧や電気回線の違いによる差し込み口の違いについて解説してきました。
家庭では、用途に応じてさまざまな機能がついたコンセントや電源タップが使われています。その中でも代表的なものを紹介します。
マルチメディアコンセント
マルチメディアコンセントとは通常のアース付きコンセントのほかにTV用コンセントやLAN用コンセントもまとめて配線可能なものです。
丸い形のコンセントはTV用、凸凹の形の方は電話やLAN用になっています。コンセントカバーに「TEL」(電話)や「LAN」という文字が記載されているので確認してみましょう。
マルチメディアコンセントを使用すればコードやケーブルを1か所から引くことができるので部屋の配線がすっきりしますし、壁も見栄えがよくなります。
テレビの周辺にインターネット配線をしたい場合などに活躍しますね。
マグネットコンセント
マグネットコンセントは磁石の力で、コンセントとプラグをつなぎます。
コンセントとプラグは通常のものより外れやすくなっているので、コードに引っかかって転倒してしまう危険性もありません。また電化製品の落下による事故も防ぐ事ができます。
そのため頻繁に人が通る自宅の廊下に設置するのがよいでしょう。また高齢者や小さなお子さんがいらっしゃる場合にもおすすめのコンセントです。
シャッター付きコンセント
シャッター付きコンセントの特徴はプラグの刃を2本とも同時に挿し込まないとシャッターが開かない点です。
小さなお子さんがいる家庭では、子どもがピンやクリップなどを挿し込んで感電してしまうという事故が起こる危険性もあります。
そこでシャッター付きコンセントを利用すれば、ピンを片方に挿し込んでしまってもシャッターが開かないので感電事故を防止することができるでしょう。
防水コンセント
屋外にコンセントを設置する場合は防水コンセントを使用します。防水コンセントは雨や風を避けるためのカバーがついているのが特徴です。
防犯カメラを設置したりイルミネーションを飾ったりする際に使われます。他にも草刈りやバーベキューの際などにあると便利なコンセントです。
床用コンセント
コンセントといえば壁に埋め込まれたものを想像する方が多いでしょう。しかし床に埋め込んで使うタイプのコンセントもあります。
床用コンセントは壁と使用したい家電の距離が遠い場合に使うとよいでしょう。わざわざ壁からコードを引っ張ってくる必要がありません。
使用しないときはしまっておけるので邪魔になりませんし、部屋にあわせて色やデザインを選ぶことも可能です。
USB充電用コンセント
USB充電用コンセントはUSBポートとコンセントプラグがセットになっており、スマホやタブレットを充電するために使われることが多いでしょう。
プラグは家庭用のコンセントにつないで利用できます。USBポートとプラグは分解できるので持ち運びがしやすく便利です。
複数のデバイスを所有していて2台以上を同時に充電したい方は、複数ポート搭載のモデルを選ぶとよいでしょう。
またA(アンペア)数が大きいほど充電できるスピードがはやいため、購入する際には確認してみてください。
注意すべきコンセントのトラブル
間違った方法でコンセントを使ってしまうと火災事故にあう可能性もあるので注意が必要です。
ここではコンセントを使う際の注意点とトラブルを起こさないための対策を紹介していきます。
たこ足配線による火災
複数の家電製品を同時に使うためにテーブルタップを使う方も多いでしょう。テーブルタップとはいわゆるたこ足配線のことです。
しかし電化製品をつなぎすぎてしまうと、もともと供給可能な電気容量を超過してしまい発熱が起こって火災につながる危険性があります。
壁に取り付けられたコンセントやテーブルタップでは最大で15Aまでの電流が利用可能です。多くの電気を必要とする電気ヒーターやドライヤーなどの家電を使うと既定の電流を超過してしまうので注意しましょう。
トラッキング現象による火災
プラグの隙間にほこりがたまり、そのほこりが湿気を吸収し発火する現象を「トラッキング現象」といいます。火災につながることもあるため注意が必要です。
特にキッチンは湿気が多いため、冷蔵庫や電子レンジ用のコンセントでトラッキング現象が起きやすいです。
火災事故を起こさないためにも定期的にコンセントを点検し、プラグにたまったほこりを取り除きましょう。
特に以下のような場所にあるコンセントはトラッキング現象が起こりやすいので注意が必要です。
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またトラッキング現象を防止することができるプラトラックコンセントを利用するのもおすすめです。
コンセントの付け替え・増設の方法は?
「古いコンセントを付け替えたい」「コンセントの数が足りないので増設したい」と思っている方もいらっしゃるでしょう。
ここではコンセントの付け替えや増設は自分でできるのかや増設できない場合の対処法を解説していきます。
コンセントの付け替え・増設は資格が必要
コンセントの取り付けは電気工事士の資格をもったプロしか行うことができません。
電気工事の資格は「電気工事1種」と「電気工事2種」があります。個人の家のコンセントを取り付けるというような小さな電気工事を行う場合は「電気工事2種」の資格が必要です。
そのため資格を所有していない方は電気工事業者に依頼しましょう。コンセントを新しく取り付ける場合の費用相場は約10,000円です。コンセントの口数を増やすだけなら費用は5,000円~10,000円と安くなります。
古くなったコンセントのコンセントカバーだけを付け替えたい場合は自分で作業することが可能です。しかし新しくカバーを付ける際には資格が必要になるので業者に依頼しましょう。
関連記事:自分でできるコンセントカバーの外し方。好みのカバーに交換しよう|ミツモア |
コンセントを増設できない場合は?
「電気工事士の資格を保有していない」「マンションに住んでおり新しくコンセントを付けられない」といった理由からコンセントの増設ができない場合もあるでしょう。
そのような場合はテーブルタップ(たこ足配線)を使うとコンセントの口数を増やすことができます。
しかしテーブルタップは使用できる電力の容量を超えると発熱し火災につながる危険性があるので注意しましょう。
また壁に取り付けられたコンセントから離れたところで電気機器を使いたいという場合は、延長コードを使う方法もあります。
関連記事:コンセント増設・新設の費用相場!工事内容ごとの内訳・安く抑える方法も解説!|ミツモア |
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コンセントの種類は日本と海外で異なるのはもちろん、国内でも種類が分かれます。安全に電化製品を使用するために、コンセントの形状や電圧をきちんと調べ、適切なプラグを挿し込むようにしましょう。
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