「両切りスイッチと片切りスイッチの見分け方が分からない」という方は多いのではないでしょうか。電気工事士を目指している方も、つまずくポイントの1つですよね。
実はスイッチの裏側には「両切りスイッチ」か「片切りスイッチ」かを見分ける図が表示されています。
こちらでは両切りスイッチと片切りスイッチの構造や見分け方・交換方法などを解説します。安全に適切な電気スイッチの交換が行えるように、ぜひ参考にしてください。
「両切りスイッチ」と「片切りスイッチ」とは?仕組みを解説
基本的な電気回路は以下の3つで構成されています。
- 「電源(電気を供給する部分)」
- 「スイッチ」
- 「負荷(電球などの電気を消費する部分)」
今回解説する「スイッチ」とは電気を流したり止めたりするための装置のことで、電源と負荷の間に設置されています。
私たちが普段操作しているスイッチの裏側には、2本の配線が繋がっています。電源から負荷へ向かうプラスの線(ライブ)と負荷から電源へ戻るマイナスの線(ニュートラル)の2本です。
2本の線に設置されているスイッチの位置や数の違いによって「両切りスイッチ」なのか「片切りスイッチ」なのかが決まっています。それぞれ以下のような仕組みになっています。
スイッチの種類 | 仕組み |
両切りスイッチ | ライブとニュートラル両方の配線にスイッチがある。スイッチを操作すると、内部の2つのスイッチのON/OFFが同時に切り替わる。 |
片切りスイッチ | ライブ側の配線だけにスイッチがあり、ニュートラル側の配線にはスイッチがない。スイッチを操作すると、内部のライブ側のスイッチだけON/OFFが切り替わる。 |
名前のとおり両方の配線の電気の流れを切るスイッチを「両切りスイッチ」、片方だけを切るスイッチを「片切りスイッチ」と言います。
両切りスイッチと片切りスイッチは、裏側の回路図で見分けられる
両切りスイッチと片切りスイッチは形状がほとんど同じなので違いが分かりづらいですが、裏側に書いてある回路図で見分けられます。どちらも裏側の中央付近に小さく回路図が書いてあります。
「両切りスイッチ」とは?特徴や使われている場所を解説
両切りスイッチの特徴を知ることで、どのような場所に使われるのかを理解できます。
両切りスイッチの特徴は?安全でも配線が複雑
両切りスイッチのメリットとデメリットをまとめると、以下のとおりです。
メリット | ・スイッチをOFFにすると電流が完全に遮断されるので安全性が高い
・200V系にも使用できる |
デメリット | ・部品が高い
・配線の手間が多い |
両切りスイッチはOFFにすると電流が完全に遮断されるので、安全性に優れています。しかし配線の手間が多く、部品価格も高いというデメリットがあります。
両切りスイッチはどこに使われている?
両切りスイッチは主に以下の場所で使われています。
- 配線用ブレーカー
- エアコン
- IH調理機器
- 風呂場や台所などの水回り
- 200V系の回路
両切りスイッチは最近のエアコンやIH調理機器などの高い電圧がかかる回路や、風呂場や台所といった漏電の危険性がある水回りで使われています。
200Vの回路は片切りスイッチを使うとOFFにしても高電圧がかかる場合があるので、2つの回路を切断できる両切りスイッチを使用します。
「片切りスイッチ」とは?特徴や使われている場所を解説
片切りスイッチは両切りスイッチと対照的な特徴があります。片切りスイッチがどこに使われているのかも併せて解説します。
片切りスイッチの特徴は?安価で最も多く使われているスイッチ
片切りスイッチのメリットとデメリットをまとめると、以下のとおりです。
メリット | ・部品が安い
・配線の手間が少ない |
デメリット | プラグを逆向きに接続した場合に、負荷に漏れ電流が流れたり感電したりする恐れがある |
片切りスイッチは部品が安価で接続が簡単なので、住宅の電気スイッチの中で最も多く使われています。ただしプラグを逆向きに接続してしまうと、スイッチをOFFにしても負荷に電圧がかかります。その結果、触ったときに感電したり漏れ電流が発生したりといったデメリットがあるのです。
片切りスイッチはどこに使われている?
片切りスイッチは電圧が低く漏電の可能性が低い場所で使用されています。主な場所は以下のとおりです。
- 照明器具
- 換気扇
「両切りスイッチ」と「片切りスイッチ」の構造や特徴を比較
両切りスイッチと片切りスイッチの違いをまとめました。
両切りスイッチ | 片切りスイッチ | |
内部回路の構造 | ライブとニュートラル両方の配線にスイッチがあり、スイッチ操作で同時にON/OFFされる | ライブの配線のみにスイッチがあり、スイッチ操作で片側だけがON/OFFされる |
主に使用されている場所 | ・配線用ブレーカー
・エアコン ・IH調理機器 ・風呂場や台所などの水回り ・200V系の回路 |
・照明器具
・換気扇 |
見分け方 | 裏側の回路図で判断できる
(2つのスイッチが開いている) |
裏側の回路図で判断できる
(1つのスイッチが開いている) |
メリット | ・スイッチOFFで電流を完全に遮断できるので、安全性に優れている
・高負荷・感電の恐れがある回路に使用できる |
・部品価格が安い
・配線の手間が少ない |
デメリット | ・部品価格が高い
・配線の手間が多い |
接続状況によっては、感電したり漏れ電流が発生したりする恐れがある |
両切りスイッチと片切りスイッチは見た目が似ていますが、内部の構造が大きく異なります。裏側の回路を確認すれば見分けることができるので、それぞれの特徴を理解して適切な場所で使うようにしましょう。
電気スイッチの取り付け方は?交換手順を解説
電気スイッチの交換手順を解説します。まずは以下のものを用意してください。
- 新しいスイッチ
- プラスドライバー
- マイナスドライバー
- はさみ
手順①:ブレーカーを落とす
感電しないように、スイッチ交換作業に入る前に必ずブレーカーを落とします。
手順②:交換するスイッチを外す
まずは化粧カバーを固定するネジを、ドライバーで緩めて外してください。中にある金属の枠を固定するネジをドライバーで緩めると、枠とスイッチが外れます。スイッチ裏の配線をマイナスドライバーを差し込んで外します。
手順③:新しいスイッチを取り付ける
外した配線をストリップゲージ(スイッチ裏に書いてある長さの目安)に当てて、絶縁被膜を外します。配線を差し込み穴に入れて固定したら、外したときと逆の手順で取り付けていきましょう。金属の枠と化粧カバーをネジで固定すれば、スイッチの交換作業が完了です。
スイッチは自分で交換できない?「電気工事士」の資格が必要
「電気スイッチの交換をDIYでやってみたい」という人も多いのではないでしょうか。しかし、電気スイッチ本体やコンセントの工事をするためには「電気工事士」という国家資格が必要です。
無資格者が行うと罰則の対象となるので、安易にスイッチを外したり交換したりしないようにしてください。誤った手順で行うと感電の危険性もあります。資格がない人や経験が少なく自分で交換する自信がないという人は、無理せずプロにお任せしましょう。
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