引っ越しをスムーズに進めるためには、前日までに荷造りや冷蔵庫の水抜きといった作業を終わらせておくことが大切です。これらの作業が終わらないと、引っ越し当日にトラブルが発生する可能性があります。
引っ越し前日に済ませる作業について、荷造りが終わらないときの対処法や前日の過ごし方を含めて解説します。
引っ越し前日に済ませる5つの作業
引っ越し当日は新居への移動を含め、業者による荷物の搬出入作業やライフラインの閉栓、開通作業の立会いで忙しくなります。引っ越し前日は下記の作業を済ませた後、万全な状態で当日を迎えましょう。
前日にやること | 具体的な作業内容 |
白物家電の運搬準備 | |
エアコンの運搬準備 | 原則として引っ越し当日の4~6時間前から使用を控える |
そのほかの荷物の運搬準備 | |
鍵と退去時の確認 | |
引っ越し業者への最終確認 |
引っ越し前日に済ませる白物家電の水抜き作業
冷蔵庫をはじめ、洗濯機や食洗器といった水回りの白物家電を運び出す際、引っ越し前日までに水抜き作業が必要です。水が内部に残った状態で運搬すると、水漏れを引き起こしてしまって衣類や家具にシミができるほか、精密機器にかかって故障の原因になります。
冷蔵庫と洗濯機、食洗器の水抜き作業について解説します。
冷蔵庫の中身を取り出してから水抜き作業をする
冷蔵庫の水抜き作業を行う前に中身を空にする必要があります。アイスクリームや肉、魚といった食品や調味料はできる限り使い切りましょう。どうしても余ってしまう食材は保冷剤が入ったクーラーボックスに入れて保管しておくと安心です。
ただし夏季は暑さですぐに溶けたり、腐ったりするため、あらかじめ日時指定の冷凍宅配便を使って、引っ越し後に新居で受け取れるように発送するのもおすすめです。
冷蔵庫の水抜き作業
冷蔵庫の背面にある水受けタンク、または底面にある水受けトレイに溜まった水を排水します。製氷機がある冷蔵庫は、機内の給水タンク内に溜まった水を抜いて洗ったり、氷を捨てたりした後に水受けタンクやトレイ内に溜まった水を抜きます。水抜きの手順は下記のとおりです。
<水抜きの手順>
水受けタンクの場合
1.半日から一日前にコンセントを抜いて電源を切る
2.排水口の下に水を受ける容器、もしくはタオルや新聞紙を敷く
3.排水栓をドライバーで回して外し、冷蔵庫を少し傾けて水が出なくなるまで抜く
4.排水栓を閉める
水受けトレイの場合
1.半日から一日前にコンセントを抜いて電源を切る
2.排水口の下に水を受ける容器、もしくはタオルや新聞紙を敷く
3.排水栓をドライバーで回して外し、冷蔵庫を少し傾けて水が出なくなるまで抜く
4.排水栓を閉める
水抜き作業が終わったら、電源を切って庫内を掃除した後、勝手にドアが開かないようにテープで押さえます。あわせて電源コードも小さく束ねて側面などにテープで止めておくのも忘れないようにしましょう。
メーカーや製品によって異なるため、取扱説明書を見ながら作業することが大切です。
洗濯機の水抜き作業
洗濯機の給水ホースと排水ホースの中に残っている水を抜く作業です。ホースを取り外す際、水があふれてくるので、洗面器やタオルを用意してから作業を行いましょう。具体的な手順は以下のとおりです。
<水抜き作業の手順(縦型洗濯機の場合)>
1.洗濯機につながっている蛇口(水道栓)を閉める
2.自動スタートボタンを押し、蓋を閉めて1分ほど回して電源を切る
3.給水ホースを外して中にある水をバケツや洗面器に出す
4.電源を入れ、蓋を閉めて脱水ボタンを押し、洗濯機内部や排水ホースの水を抜く
5.洗濯機が止まったら、排水ホースを外して残った水をバケツや洗面器に出す
6.蓋を開けて乾燥させる
7.テープでドアや電源コードをまとめておく
8.運搬前にホースを外しておく
なおドラム式洗濯機の場合、給水ホースの中に溜まった水を抜いた後、糸くずフィルターの水抜き作業が必要です。洗濯機の種類やメーカーによって手順が異なるため、作業前に取扱説明書の内容を確認しておきましょう。
食洗器の水抜き作業
食洗器にはキッチンに備え付けている「ビルトイン型」と、後から取り付けた卓上タイプの「据え置き型」があります。新居へ持っていけるのは「据え置き型」で、水道から水を給水する「分岐水栓」を取り付けることができれば、設置工事なしで引っ越し先で取り付けられます。
引っ越し前日までに数回乾燥運転を行った後、食洗器内に溜まった水を排水しましょう。その後、分岐水栓のコックを閉じて電源を切ったら、分岐水栓から給水ホースを外して排水します。
ただし機種によっては、作業手順が異なる場合があるため、取扱説明書で詳細な手順を確認しましょう。
引っ越し前日にしておくエアコンの取り外し準備
新居にエアコンを持っていくとき、取り外しの直前までエアコンを使用すると、運搬中に内部に残った水分がエアコンの基盤に濡れてしまい、故障の原因につながります。
引っ越しの前日は使用しても構いませんが、できる限り取り外し工事を行う4〜6時間前から使用を控えましょう。エアコンを4~6時間停止していれば、冷媒ガスは室外機に戻って留まり、取り外し作業中にガスが漏れ出る量を抑えられます。
暑い時期は扇風機、寒い時期はセラミックファンヒーターがあれば、暑さや寒さをしのげますが、持っていない人は取り外し工事直前まで使用しても問題ありません。
ただし、当日に引っ越しまたはエアコンの工事業者にポンプダウンという作業の依頼を忘れないようにしましょう。
引っ越し前日に終わらせる荷物の運搬準備
冷蔵庫や洗濯機といった白物家電やエアコンだけでなく、そのほかの家電や荷物も引っ越し当日に問題なく搬出入作業ができるように、前日までに下記の作業を終わらせましょう。
1.暖房器具の灯油を使いきる
石油ストーブやファンヒーターを新居へ持っていく人は、引っ越しの前日までに灯油を使い切りましょう。灯油が残った状態の場合、引っ越し業者は「危険物」として取り扱うため、運んでもらえません。ポリタンクも同様の取り扱いとなります。
どうしても灯油を消費できないときは、ガソリンスタンドや不用品回収業者に買取を依頼しましょう。
2.テレビやパソコンの配線を整理する
テレビやパソコンのコード、ケーブル類を適当に梱包すると、新居で取り付ける際にどのコードやケーブルを使用すればいいのかわからなくなります。引っ越しの前日までにコードやケーブルを針金やクリップで束ね、わかるようにダンボールに梱包しましょう。
たとえば、テレビやブルーレイレコーダー、パソコンといったように関連する機器ごとにまとめておくと便利です。
3.貴重品の整理整頓を済ませる
現金をはじめ、預金通帳や有価証券、印鑑といった貴重品類は引っ越しの前日までにカバンに入れておきましょう。もしダンボールの中に入れてしまい紛失または汚れてしまっても、引っ越し業者から補償されない可能性があります。
加えて引っ越し当日、作業を開始する前に現金で引っ越し料金を支払うことが多いため、なるべく多めの金額を用意しておくと安心です。
4.引っ越し当日に詰める空のダンボールを用意する
引っ越し前日から当日まで使用する荷物があれば、ダンボールを開けた状態にして当日に詰められるように用意しておきましょう。たとえばカーテンやトイレットペーパー、まくらなどの寝具類です。
引っ越し当日に慌てないように、わかりやすいところに封をしないダンボールを置いておくと円滑に荷物を詰められます。
あわせて洗濯機の水抜きをした後、運搬や取り付けが終わるまで洗えないため、洗濯物を梱包する空のダンボールも用意しておきましょう。
引っ越し前日に済ませる鍵と退去時の確認
賃貸物件に引っ越す際、大家や管理会社に対して引っ越し当日に入退去時の手続きや現状確認、鍵の返却を行う必要があります。引っ越し前日までに確認すべき項目は、以下のとおりです。
1.旧居の鍵の返却方法
旧居の鍵の返却方法は「退去の立会い」の有無によって変わるため、引っ越しの前日までに管理会社に確認しておきましょう。立会いがある場合は、担当者に直接手渡しで返却できます。一方で立会いがないときは管理会社への郵送や、ポストに投函するなど、管理会社や大家によって鍵の返却方法が変わります。
鍵の返却が遅くなってしまうと、超過分の家賃の支払いが発生するため、注意しましょう。
2.新居の鍵の受け渡し方法
新居が賃貸物件の場合、入居前に必ず鍵交換をする必要があります。鍵の受け渡しは「契約開始日」に不動産仲介会社で手渡しにて行われることが多いです。ただし現地で直接渡したり、郵送で受け渡したりする管理会社もあるため、引っ越す前日までに確認しましょう。
3.壁や床にある傷と汚れの報告
引っ越し当日、退去に伴う立会い時に「壁や床の傷」をめぐってトラブルにならないように注意が必要です。生活をしているなかで汚したり、壊してしまった部分があれば、引っ越しの前日までに管理会社に連絡しましょう。
入居時に撮影した写真があれば、それをもとにトラブルを最小限に抑えて立ち会うことができます。
前日に済ませたい引っ越し業者への最終確認
引っ越し当日は、荷物の搬出入のほかに運搬時の養生や新居への移動といった作業が発生します。当日にトラブルを発生することなく作業を進めるためには、引っ越しの前日までに業者と最終確認を行いましょう。確認する主な項目は、下記のとおりです。
1.引っ越し日時
引っ越し当日、何時頃に旧居に到着するか確認しましょう。基本的に引っ越し業者から電話やメールで連絡がありますが、不安なときは自分から問い合わせるのも大切です。
日にちや時間帯を間違えてしまうと、引っ越しそのものの計画が崩れてしまいます。日時を確認したうえで前日から当日にかけて使用する荷物以外の梱包を終わらせておきましょう。
2.旧居と新居の住所
見積書に記載された旧居と新居の住所に誤りがないかチェックすることも大切です。間違っていると引っ越し業者が来られなかったり、間違った場所に配送したりして、トラブルの原因になります。
特にアパートやマンションに引っ越す人は、建物名と部屋番号も間違いがないか確認しましょう。
3.ダンボールや大型家具・家電の個数と配置場所
新居に運ぶダンボールの個数や家具、家電の数も確認しましょう。荷物の数は一般的に引っ越し業者が把握していますが、正確に数えられていない場合があります。積み残しや紛失だけでなく、ダンボールの数が増えただけで引っ越し料金が高くなるトラブルも発生します。特に荷物が多い人は、部屋やカテゴリーごとに番号を決めて、ダンボールに書いておくと把握しやすくなります。
あわせて、新居に冷蔵庫やベッドといった大型の家電や家具の配置場所も確認しておきましょう。
4.引っ越し料金の支払い方法
引っ越し料金は当日に現金で支払う業者が多いものの、クレジットカード払いや電子マネーに対応しているところや、前払い、後払いに対応している業者もいます。引っ越しの前日までに支払い方法やタイミングについて確認しておきましょう。
クレジットカードの場合、業者によって対応できるカード会社や支払方法が異なるほか、前払いの場合は引っ越しをする前に口座振り込みが必要です。
引っ越し前日にに荷造りが終わらないときの対処法
引っ越し作業で一番時間がかかるのが、荷造りです。引っ越しの前日までに梱包作業を終わらせないと、引っ越し当日のスケジュールが遅れ、業者や管理会社に迷惑をかけてしまいます。梱包作業は早めにスタートして計画的に終わらせるようにしましょう。
それでも仕事や家事を理由に荷造りの時間が取れず、作業が終わらないまま引っ越し前日を迎えてしまったとき、下記のような対処法を行いましょう。
1.大型の家具や家電の運搬準備を優先する
細かい荷物は後回しにして、先に大型の家具や家電の運搬準備を進めましょう。ベッドやタンス、冷蔵庫といった大型の家具や家電は重くて、業者のスタッフに搬出を依頼しないと難しいです。
先に大型の家具・家電を運び出す準備を終わらせれば、引っ越し当日は大型の荷物の搬出を依頼できます。ただし、洋服や食品などの中身は空の状態にしておきましょう。
2.業者に連絡して相談する
引っ越し前日までに荷造りが間に合わないとわかったとき、早めに引っ越し業者に連絡して相談しましょう。
事前に相談すると追加料金は発生するものの、業者のスタッフを増やしてもらい荷造りや梱包を当日手伝ってもらうなど、料金は発生しますが、追加サービスを受けられる可能性もあります。
あわせて日程を変更してもらうという方法も選択肢のひとつです。日程を延期する場合、前日に依頼するとキャンセル料金がかかってしまうため、引っ越しの3日前に連絡するなど早めの対応をしましょう。
3.引っ越し代行サービスに依頼する
引っ越し代行サービスは梱包作業を手伝ってくれるサービスです。引っ越しの前日までに荷造りが終わらないときは依頼しましょう。運搬などの力仕事は含まれないため、女性スタッフの動員も多く、一人暮らしの女性の方でも安心して依頼することができます。
4.宅配便を利用する
引っ越し代行サービスとあわせて、宅配便で新居へ運んでもらうのも選択肢のひとつです。当日になっても荷造りが終わらないと、荷造りが終わっていない荷物を残して運んでしまう可能性があります。
衣類や雑貨といったダンボールに梱包できるものなら運べますが、複数の荷物があるときは、できる限り1度にまとめて送ると配送料金を抑えられるでしょう。
5.マイカーやレンタカーで残りの荷物を運ぶ
引っ越し前日まで荷造りが終わらないとき、残りの荷物をマイカーやレンタカーで運ぶのも考えておきましょう。引っ越しや配送料金を安く済ませるほか、自分のペースで運べます。
ただし荷物を運んでいる最中に破損しても、保証されないため注意が必要です。
引っ越し当日に備えた前日の過ごし方
引っ越し前日は、当日まで使う荷物を除いて荷造りが終わっている状況のため、家事はほとんどできません。引っ越し当日にトラブルなく搬出入作業を行うためにも、前日は下記のように過ごしましょう。
1.早めに入浴して掃除を済ませておく
引っ越し前日は早めに入浴を済ませた後、掃除をしておくのがおすすめです。新居へ移動する時間帯や荷物の量によっては、搬出入作業や荷ほどきに時間がかかることがあり、入浴やお風呂掃除の時間がありません。
家の近くに銭湯があれば、前日に利用するといいでしょう。
2.食事は外食または弁当で済ませる
調理器具や食器はダンボールに梱包しているほか、冷蔵庫は水抜き作業が終わって電源を切っている状況のため、食事は外食かお弁当で済ませましょう。
ただし弁当の場合、ゴミが出てしまいます。自治体のルールに基づいて引っ越し当日に出すか、新居に持っていった後、処分するようにしましょう。
3.洗濯したいときはコインランドリーを利用する
「4.引っ越し当日に詰める空のダンボールを用意する」で説明したとおり、洗濯機の水抜き作業の後に洗濯物を洗おうすると、再度ホースをつなぐ必要があります。
どうしても洗濯したいときは、水抜き作業を行う前に済ませておきましょう。家の近くにコインランドリーがあれば、前日までに利用するのもおすすめです。
4.早めに就寝する
引っ越し当日は荷造りや立ち会い、荷解きなど、やることが多いです。引っ越し前日は早めに布団に入って休みましょう。
寝具は普段使っているものを使用し、床などで就寝するのはおすすめしません。
不安なく引っ越し前日を迎えるためにも早めの準備を
引っ越しの前日には荷造りはもちろん、冷蔵庫や洗濯機の水抜き作業や新居への入居準備など、やるべき作業は多々あります。前日までにやるべき作業をやっておかないと、当日にトラブルが発生する可能性があります。引っ越しの日程が決まった段階で早めに荷造りをはじめるのと同時に、引っ越し業者を決めましょう。
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