エアコンを購入したときの取り付け工事は業者に頼むことが一般的で、作業費の相場は10,000~20,000円です。決して安い金額ではないので、節約のために自力で取り付けを試みる人もいるでしょう。


そこで気になるのが、エアコン取り付けに特別な資格が必要かどうかです。
エアコン取り付けで資格が必要な作業や自力で取り付けたときによくあるミスやトラブルを解説します。
家庭用エアコンの取り付けに資格は不要!

エアコンを取り付けて使えるようにするだけなら資格は必要ありません。エアコン取り付けの手順を理解し、工具を準備できるのなら、工事業者に依頼せずに自分で取り付けられます。
ただしエアコンの取り付け工事に関わるすべての作業が無資格でできるわけではありません。特に電気配線に関する工事は、専門知識と技術が必要で、有資格者でないと行えない作業もあります。
家庭用エアコンの取り付けに資格がいらないケースと、資格がいるケースをそれぞれ確認しましょう。
家庭用エアコンの取り付けに資格がいるケース
以下3つの条件のうちどれか1つでも当てはまった場合は、資格を持っていなければ取り付け作業ができません。
- 配管穴がない
- 取り付けるエアコンとコンセントの電圧が異なる
- アース線差し込み口がない
配管穴がない
室内機と室外機は配管を通してつながっている必要があり、正常に作動させるには配管穴が必須です。
設置したい箇所に配管用の穴がない場合は穴あけ工事が必要ですが、電気工事士の資格を持っていなければ作業ができません。
また、配管穴がすでにある場合でも、高すぎる場所にあるなどでうまく冷媒ガスや水が流れないケースもあります。配管穴の位置を調整しなければいけない場合も、資格を持っている人や業者に依頼する必要があります。
エアコンとコンセントの電圧が違う

エアコン専用コンセントは電圧とアンペア数によって4種類の差込口があります。取り付けたい箇所のコンセントとエアコンの電源プラグが合わない場合は取り付けができません。
例えば、200V20Aのコンセントに100Vの電源プラグを差し込めません。
電圧が一致しないコンセントにプラグを差し込むと故障の原因になるので、絶対にやらないようにしましょう。
アース線の差し込み口がない
アース線は、万が一電流が漏れた場合に電流を安全に流し、感電を防ぐ役割があります。漏電による事故を防ぐためにも、室内機もしくは室外機のいずれかにアース線の設置が必要です。
差し込み口がない場合は、電気工事士の資格者による工事を依頼しましょう。
3つの条件を満たしていれば資格なしでも取り付けできる
これまでお伝えした3つの条件すべて問題ない場合は、資格がなくても自分で取り付け可能です。
【資格なしでも取り付けられる条件】
- 配管穴がある
- 取り付けるエアコンとコンセントの電圧が同じ
- アース線差し込み口がある
取り付けを行う場合は、よく起こりやすいミスに気を付けて作業を進めてください。
【自力での作業】エアコン取り付けに必要な資格は電気工事士
コンセントの電圧切替や増設、アース棒の埋設などの電気工事を行うには電気工事士資格が必要です。
低圧で受電する一般家庭、商店等の屋内配線設備や小規模な太陽電池発電設備や高圧で受電する小規模なビル、工場などの電気設備の設置又は変更に係る電気工事の作業については、「電気工事士」の資格を有する者が従事することを義務づけています。
電気工事士資格は国家資格で、第一種と第二種に分かれています。一般家庭の作業は第二種の電気工事士資格があれば行えます。
電気工事士ができること
エアコン工事に特化した場合、電気工事士が行える作業は以下の通りです。
- コンセントの増設や電圧変更
- ブレーカー交換などの作業
- アース棒の埋設作業
- 電線を直接壁や天井に固定する作業
- 接続電線を相互に接続する作業
経済産業省ではエアコン設置や修理において、電気工事とそうでない軽微な作業を解説した資料を公開しています。エアコン取り付けを考えているのであれば1度目を通すことをおすすめします。
どうして資格がないとだめなの?
電気工事士の資格は、取り付け技術はもちろん、漏電などの重大事故を防ぐために存在しています。
もともと人間の体は電気を通しやすく、汗などによって皮膚が湿っているとさらに感電しやすくなります。10Vほどの弱い電圧であっても強い痛みを生じることがあります。
感電すると火傷など肉体的なケガをするだけでなく、精神面や臓器への悪影響も深刻です。漏電の規模によっては命を落としてしまうこともありえます。
何かあってからでは取り返しがつきません。ご自身で作業する場合は、必ず資格がなければできない作業を把握したうえで作業しましょう。
エアコンの取り付け時によくあるミスと対処方法
エアコンの取り付けそのものに必要な資格はないとはいえ、説明書を見れば誰でも簡単に設置できるものではありません。
自力でエアコンを取り付けた時によくあるトラブルと、対処方法の例を紹介します。
専用コンセントに合わないエアコンを購入した
先述の通り、エアコンのコンセントと電源プラグは複数種類があります。本来は面倒でも、購入時点で電圧が一致しているかを確認すると手間がかかりません。
電圧が一致していないけれど「どうしてもこのエアコンを使いたい」場合、設置したい箇所のコンセント電圧変更が必要です。この場合電気工事士の資格が必須のため、取り付けを行える業者へ連絡しましょう。
室内機の取り付けが不十分で落下してしまう
室内機がうまく取り付けられない場合は複数の原因が考えられます。
- 室内機が傾いた状態で取り付けしている
- 背板(据付板とも呼ばれる部品)の取り付けが甘い
- 取り付け箇所の壁そのものが脆くなっている
エアコンをご自身で取り付ける際は、知らず知らずのうちに傾いてしまった状態のまま固定している場合があります。この場合は水準器を使用して、水平になるように取り付けを行いましょう。
背板はエアコンの固定に直接かかわる部品のため、問題がある場合は少しの振動ですぐに落下してしまいます。設置状態を見直して、再度しっかりと固定してください。
また、取り付け箇所がエアコン設置に耐えうる強度ではない可能性もあります。不安な場合は作業を中止して、専門の業者へ相談するようにしましょう。
真空引き時に冷媒ガスが漏出する
真空引きとは、エアコン内部のフロンガスを作動させるために最も重要な工程のひとつです。
もとよりこちらはエアコン取り付け作業の中でも難易度が高く、少しのミスでたやすく冷媒ガスが漏れやすくなってしまいます。本来であれば取り付け作業も含めて、すべて専門の業者へ依頼するのが早くて確実です。
どうしてもご自身で作業を続ける場合は、真空引きに必要な道具や手順を見直した上でやり直ししましょう。
真空引きについては以下の記事で詳しく解説しています。
設置完了後も動作しない
エアコンが作動しない場合は、知らず知らずのうちに部品を破損させてしまったり配線を間違えてしまったりしている可能性があります。一度見直して、正しい状態になっているかどうか確認してみましょう。
見た目におかしな箇所がない場合は、電気工事士の資格が必要な内部に原因がある可能性が高いです。専門の業者へ依頼して原因を調べてもらいましょう。
エアコンの取り付けはプロに任せた方が安心
たとえ電気工事が必要でないエアコン取り付けであったとしても、エアコンの取り付けはプロの業者に依頼することをおすすめします。
エアコンの取り付けを自分で行う場合、工具や人手の準備が必要です。
施工中にミスがあってエアコンが故障しても補償を受けられずエアコンを買い替えることになるかもしれません。
潜在的なリスクも鑑みると、エアコンの取り付けはプロに任せる方が良いでしょう。
安くてサービスのよい取り付け業者の見つけ方
エアコン取り付け業者は全国に数多くいるので、どの業者に依頼すればいいのかすぐには分かりませんよね。
作業料金が安くサービスが充実している業者を見つけるには、相見積もりを取ることが重要です。
複数社の見積もりがあればどの業者の料金が最も安いかだけでなく、基本サービスの違いや何に力を入れているかも分かります。
料金とサービス内容を比較して、納得のいくサービスを提供している業者を見つけましょう。
また電気工事士資格は第二種と第一種の2種類がありますが、一般家庭へのエアコン取り付けであれば第二種電気工事士を取得していれば十分です。
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ミツモアでは地域密着型業者を含めた最大5社からの見積もりが届きます。
どのような工事を希望しているのか、エアコンのサイズや年式などの質問に答えるだけで適したプロからの見積もりを受け取れます。
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