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Salesforce(セールスフォース)は何がすごい?基本からメリットまでわかりやすく解説

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最終更新日: 2026年07月21日

世界No.1のシェアを持つと言われ、営業支援ツールの代名詞のように語られるSalesforce(セールスフォース)。とはいえ「何がすごいのか腑に落ちない」「すごいのはわかるが、高くて難しいという話も聞く」と、評判と実感のあいだで迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、Salesforceのすごさを課題解決の視点でわかりやすく解説したうえで、費用や難しさといった注意点、向いている企業・向いていない企業まで整理します。

Salesforceは強力なツールですが、すべての企業にとって最適とは限りません。自社に本当に合うツールを見極めるための第一歩として役立ててください。

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Salesforceとは

Salesforce(セールスフォース)は2つを指します。会社名と、その会社がリリースしている製品の総称です。

Salesforce社はアメリカに本社を置く企業です。米国法人の売上は、2026年5月に発表した2026年2月~4月の売上高は111億ドル(約1.6兆円)に上ります。Slackなども買収し、ビジネスツール全般の統合に力を入れています

同じ社の製品は世界で最も使われているCRM/SFAツールのひとつです。調査会社IDCの調査によると、2025年の世界CRM市場でシェア20.0%を占め、13年連続で首位となりました。国内の営業支援システム市場でも、Sales Cloud(現Agentforce Sales)が高いシェアを持ちます。

Salesforce製品は営業支援だけでなく、マーケティングやカスタマーサービスまでを同じデータ基盤でつなげられます。その点が営業支援だけを担う単機能のSFAツールとの違いです。

近年のSalesforce製品は、CRMやSFAにAI機能を組み込む方向へと広がっています。2024年に発表されたAIエージェント基盤「Agentforce」により、問い合わせ対応やデータ入力といった業務の一部をAIが自動で処理できるようになりました。顧客データを保管するだけの場所ではなく、蓄積したデータをもとに業務そのものを支援するプラットフォームへと位置づけが変わっています。

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Salesforceの何がすごい?導入メリットを解説

Salesforceは、SFA/CRMといえば真っ先に製品名が浮かぶほどの有名なツールです。Salesforceを導入することには6つのメリットがあります。

営業活動の生産性が上がる

Salesforceを導入すると、営業活動の生産性が上がります。日々の入力や記録といった付随業務を自動化し、営業担当者が商談や顧客対応に使える時間を増やせるためです。

実際に、Sales Cloudの利用で営業生産性は平均29%向上しています。全社で見ても、従業員の生産性が平均26%向上し、IT費用は平均25%削減されたという結果が同じ回答から示されています。これらは日常業務の自動化によって生まれた数値です。

営業担当者が実際に販売活動へ使える時間は、週のうち3割程度にとどまります。残りの多くを商談管理や情報入力といった付随業務が占めるため、この部分を自動化できると効果が大きくなります。

Salesforceには、営業活動に付随する業務にかける時間を減らす機能があります。

Einstein活動キャプチャ:OutlookやGmailの送受信メール、予定、取引先責任者を自動で同期し、商談や取引先などの活動履歴に記録します。担当者が画面を開かなくても記録が残るため、入力漏れや手作業を防げます。活動データの自動整理:記録された活動がタイムラインにまとまり、次にどの顧客へアプローチするかの判断に使えます。

国内企業の導入でも、生産性向上の効果が表れています。キヤノンマーケティングジャパンはSales Cloudを約1,000ユーザーで運用し、商談の受注率が20%向上しました。三越伊勢丹では、CRM導入後に「営業活動の生産性が向上したと感じた社員」の割合が2%から14%へ増えています。

さらに、AIエージェント「Agentforce」を営業活動に組み込む動きも進んでいます。営業リーダーの30%が、AIなどのデジタルワークフォースの導入で増収を実感したと回答しています。定型業務の自動化に加えてAIが次のアクションを提案することで、営業担当者は顧客との対話により多くの時間を充てられます。

営業やマーケティング、保守サポートまで幅広くカバーできる

Salesforceは、営業、マーケティング、カスタマーサービスといった複数の領域を、一つの基盤でまとめてカバーできます。用途ごとに提供される製品が、すべて同じプラットフォーム上でつながっているためです。

主な製品は、業務ごとに次のように分かれています。

  • Agentforce Sales(旧Sales Cloud):営業支援(SFA)。商談や案件の管理、売上予測を担います。
  • Agentforce Service(旧Service Cloud):カスタマーサービス。問い合わせ対応やサポート業務を管理します。
  • Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud):マーケティング。メール配信やキャンペーンを管理します。
  • Agentforce Commerce(旧Commerce Cloud):ECサイトの構築と運営を行います。
  • Experience Cloud:顧客向けポータルやコミュニティサイトを構築します。

これらはすべてCustomer 360の基盤上で連携するため、部門ごとに別々のツールを組み合わせる必要がありません。データがつながった状態のまま、営業からサポートまでを一気通貫で扱えます。

自社の営業プロセスに合わせて作り込める

Salesforceは、自社の営業プロセスや商習慣に合わせて、機能を柔軟に作り込めます。あらかじめ用意された機能をそのまま使うだけでなく、扱うデータの構造から画面、業務の自動化までを、運用に合わせて調整可能です。

作り込みの手段は、専門知識の有無に応じて段階的に用意されています。

  • カスタムオブジェクト:標準の商談や取引先だけでなく、自社独自の管理項目やデータ構造を定義できます。既存のデータとの関連づけも可能です。
  • ノーコード/ローコード開発:Flowやアプリ作成ツールのLightning App Builderを使い、入力画面や承認プロセス、自動処理をコードなしで構築できます。
  • プロコード開発:ApexやLightning Web Components(LWC)を使えば、より高度な処理や独自機能を作り込めます。

さらに、本番環境に影響を与えずに設定変更やカスタマイズを試せるサンドボックスも用意されています。作り込んだ内容を安全に検証してから本番へ反映できるため、運用中の業務を止めずに改善を続けられます。

機能を後から追加したい場合は、AppExchangeが役立ちます。Salesforce公式のアプリ市場で、4,000以上のビジネスアプリが公開されており、自社に足りない機能を選んで追加できます。開発の手間をかけずに、業務に合わせた拡張が可能です。

加えて、プロファイルや権限セット、共有ルールによって、部門や役割ごとにデータや項目単位のアクセス権を細かく設定できます。営業体制や情報管理のルールに合わせて、見せる範囲を柔軟に制御できます。

標準機能をそのまま使う段階から本格的な独自開発まで、自社の成長や業務の変化に合わせて段階的に作り込めるプラットフォームであることがSalesforceの特徴です。

最新AI「Agentforce」が業務を自律的に支援する

出典:Agentforce – Salesforce公式サイト

Salesforceは、AIエージェント「Agentforce」によって、問い合わせ対応や営業活動の一部を自律的に処理できます。あらかじめ想定した手順どおりに動く従来の自動化とは異なり、状況に応じて次に取るべきアクションをAI自身が判断して実行するためです。

これを支えるのが、Agentforceの頭脳にあたるAtlas推論エンジンです。顧客の意図や問題の範囲を理解したうえで、必要なデータや実行すべきアクションを判断し、自律的に処理を進めます。判断が難しい案件や厳格なルールが求められる場面では、人間の担当者へスムーズに引き継ぎます。

Agentforceは2024年に登場し、継続的に機能を拡張してきました。2025年10月のDreamforceでは、最新版の「Agentforce 360」が正式に提供を開始しています。会話形式でエージェントを構築できるツールや、複数のAIモデル(OpenAI、Anthropic、Google Gemini)から選べる仕組みなど、導入や運用のしやすさが高まっています。

効果は、Salesforce自身の運用でも表れています。同社のヘルプサイトでは、Agentforceが430万件以上の問い合わせに対応し、そのうち70%を人手を介さずに解決しました。問い合わせ対応の多くをAIが担うことで、担当者は複雑な案件に集中できます。

日本市場でも提供が進んでいます。カスタマーサービス向けが2024年10月、Slack向けが2025年1月、マーケティング向けが2025年3月、営業向けが2025年4月と順次日本語対応が始まり、国内でも実務で使える環境が整っています。

料金は成果に応じた体系も選べます。Agentforceが問い合わせを自律的に解決した場合にのみ課金される仕組みがあり、導入コストを成果と結びつけやすくなっています。

導入後サポートが手厚く、マルチデバイスで使える

Salesforceは、導入して終わりではなく、運用を定着させるためのサポートと学習の仕組みが手厚く用意されています。さらに、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからも使えるため、外出先でも業務を止めずに進められます。

サポートは3段階のプランから選べます。

  • Standard:無料提供されるサポートプランです。ヘルプサイトやオンデマンド動画、Webセミナーなど、自分で学んで課題を解決できるチームに向いています。
  • Premier:専門スタッフによる個別指導やより迅速なサポート対応が受けられます。
  • Signature:最上位のプランです。トラブルが発生しないよう継続して行われる見守りや専任担当者によるサポートが受けられます。

学習面では、無料のオンライン学習プラットフォーム「Trailhead」が用意されています。操作方法や活用のコツを、自分のペースで体系的に学べます。加えて、世界中の利用者が参加するTrailblazer Communityでは、疑問を質問して他のユーザーから回答を得られます。

日本語でのサポート体制も整っています。株式会社セールスフォース・ジャパンがサポートを提供し、ヘルプサイトでは日本語のAgentforceサポートが24時間365日稼働しています。導入後に困ったときも、日本語で相談できます。

外出先での利用を支えるのが、iOSとAndroidに対応したモバイルアプリです。取引先や商談、ケースの確認や更新などをスマートフォンから行えます。さらにオフライン対応の機能を使えば、電波の届かない場所でもデータの閲覧や編集ができ、再接続時に自動で同期されます。データはローカルで暗号化されるため、セキュリティ面でも安心です。

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競合製品と比べたSalesforceのすごさ

Salesforceのすごさは、数あるCRMやSFA製品のなかで、長年にわたって世界No.1の座を守り続けている点に表れています。IDCが公表した市場シェアでは、2025年の世界CRM市場で20.0%を獲得し、13年連続で首位を維持しました。営業分野では14年連続、カスタマーサービス分野では13年連続で1位となっており、北米や西ヨーロッパ、日本を含むアジア太平洋など、主要地域のすべてでトップシェアを占めています。

多くの競合製品があるなかで選ばれ続ける理由を、3つの視点から整理します。

営業からサービスまでを一つにつなぐ統合力

競合にもそれぞれ強みがあります。HubSpotは導入のしやすさ、Microsoft Dynamics 365はMicrosoft製品との親和性、Zohoは低コストが持ち味です。その中でSalesforceは、営業、マーケティング、サービス、コマースまでを同じ基盤でつなぐ統合型プラットフォームである点が際立ちます。顧客データを部門横断で統合するCustomer 360が、この統合力を支えています。

他社が短期間では築けない拡張性とエコシステム

Salesforce公式のアプリ市場であるAppExchangeを使えば、必要な機能を後から自由に追加できます。公開されている4,000以上のビジネスアプリは、他社が短期間では築けない資産です。

AIへの先行投資で一歩先を行く

SalesforceはAIエージェント「Agentforce」を戦略の中核に据えています。IDCが新設したAIエージェント関連の分野でも、最も高い成長を示した企業と評価されました。状況に応じて次のアクションを判断し、業務を自律的に支援する仕組みは、競合に対する新たな差別化点です。

市場のリーダーであり続ける背景には、統合力と拡張性、そしてAIへの継続的な投資の積み重ねがあります。

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Salesforceの導入事例

実際にSalesforceを導入したことで大きな成果を得られた企業の実例を見てみましょう。3社分ご紹介します。

営業情報の一元化で会議時間を83%短縮

SES事業と受託開発事業を行う株式会社ランステックは、営業担当者ごとに分散していた顧客情報や商談情報が原因で、営業活動における重複訪問や情報共有の遅延、さらには経営判断に時間がかかるという課題を抱えていました。

そこで、社長自らがSalesforce Starter Suiteを導入し、全ての営業データをクラウド上に一元管理する仕組みを構築。結果として営業担当者同士がリアルタイムで情報を共有できる環境が整い、従来の各担当からの報告をまとめる形式の営業会議が全体で30分に短縮されるなど、業務効率が飛躍的に向上しました。

リアルタイム営業データ活用で新規顧客獲得率を3%向上

商用車メーカーのUDトラックス株式会社では、従来使用していた他社製SFAが動作の遅さやレポート機能の不十分さから、営業会議が属人的な勘に頼る状況に陥っていました。

これに対し、Salesforce Sales Cloudへの刷新を決定し、案件数や見積金額といった営業指標をリアルタイムで可視化する仕組みを導入。データに基づいた議論により、チーム全体で合理的な顧客選定やアプローチが可能となり、結果として新規顧客獲得率が2018年の8%から2019年には11%へと向上しました。

AI活用でチャット対応の解決率を向上、有人対応も1/3まで大幅削減

交通サービス・旅行事業を営むWILLER MARKETING株式会社は、予約や運行情報など多岐にわたる問い合わせに対し、限られたオペレーターで迅速に対応する必要があったものの、従来の体制では対応負荷が非常に高い状態でした。

そこで、同社はService Cloudを活用して顧客情報を一元管理し、さらにAIチャットボットであるEinstein Botを導入することで、問い合わせ対応の自動化に取り組みました。

初めは自由入力形式で運用されていたチャットボットも、後に選択肢を提示する方式へと改善され、その結果、チャットボットの回答精度や解決率が飛躍的に向上。問い合わせの大部分がボットで即時対応されるようになり、複雑なケースのみをオペレーターが対応する体制へと変革しました。

この取り組みにより、カスタマーセンターの有人対応率は2017年の0.62%から2022年には0.23%と大幅に低下し、同時に電話応答率も65%から95~96%へと向上。限られた人員ながらも、迅速かつ効率的な顧客対応が実現され、顧客満足度の向上に大きく貢献しました。

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Salesforceのデメリット・注意点

Salesforceは高機能なツールですが、使いこなすには注意点もあります。以下4つのポイントに特に注意してください。

導入時のカスタマイズ費用とランニングコストが高額になりやすい

Salesforceは、導入時の初期費用と、導入後に払い続けるランニングコストの両方がかさみやすいです。これは裏を返せば、豊富な機能と高い拡張性を備えていることの対価でもあります。費用の全体像をあらかじめ押さえておくことが、無理のない導入につながります。

月額料金(ライセンス料)はユーザー単位の課金制です。たとえばAgentforce Salesであれば、エディションごとの料金は以下の通りです。

エディション名 1名あたりの月額料金(税抜)
Starter Suite 3,000円
Pro Suite 12,000円
Enterprise 21,000円
Unlimited 42,000円
Agentforce 1 Sales 66,000円

※ 2026年7月現在(ミツモア調べ)

利用人数が増えるほど月額料金は高額になります。閲覧が中心の担当者にも同じ料金がかかるので、注意が必要です。

初期費用(初期カスタマイズ費用)は月額料金とは別に見込んでおく必要があります。自社の業務に合わせた設定やカスタマイズ、データ移行などに、要件の複雑さに応じた費用が発生します。相場は100万円~数百万円です。要件が複雑な場合は、1000万円以上になることもあります。

開発費用はSIer(システム開発会社)によって幅があります。上記の記述はあくまで目安として捉え、複数社から見積もりを取って比較しましょう。

このほか、データ容量の追加や手厚いサポートプランなど、必要に応じたオプション費用も発生します。たとえば、専任担当者による支援が受けられるPremier Success Planは、対象ライセンス料の30%が上乗せされます。

Salesforceは比較的高額なツールですが、費用を抑えるコツもあります。Salesforce社は、必要最小限のエディションから始めて、事業の成長に合わせて段階的にアップグレードする使い方を推奨しています。

最初から上位版を選ぶのではなく、自社に必要な機能を見極めて始めることで、コストと効果のバランスを取りやすくなります。

使いこなすにはスキル・専任担当が必要

Salesforceの機能を十分に引き出すには、社内に一定のスキルを持った担当者や専任の推進役が必要です。設定の自由度が高くできることが多いため、自社に合わせて使いこなし、改善を続ける人がいないと定着しにくいです。

Salesforceの公式ガイドでも、社内に1名以上の管理者や活用リーダーを置き、定期的に現場の課題を吸い上げて設定を改善し続けることが推奨されています。導入プロジェクトが終わると同時に推進役がいなくなり、活用が止まってしまうケースは少なくありません。

社内に専任担当を置くのが難しい場合は、外部の力を借りましょう。手厚い支援が受けられるPremier Success Planや導入支援パートナーによる運用サポートを活用すれば、専門人材を自社で抱えなくても運用を進められます。

担当者のスキルを高める仕組みも充実しています。Salesforceには公式の認定資格制度があり、役割やレベルに応じて体系的に用意されています。資格は年1回の更新が必要で、最新機能に関する知識を得つつ、スキルを保てます。

学習環境や支援制度が整っているため、スキル面のハードルは、専任担当やパートナーを前提に体制を組むことであらかじめ織り込めます。人と仕組みの両面で準備しておくことが、Salesforceを活かす近道です。

成果が出るまで時間がかかる

Salesforceで成果を出すには、要件定義から設計、構築、データ移行、トレーニング、定着までのステップを踏む必要があります。あらかじめ中長期的な視点で導入計画を立てることで成果が出やすくなります

導入にかかる期間は、公式ガイドでは数週間から3か月が一般的な目安とされています。期間を左右するのは、導入する業務範囲やカスタマイズの深さ、社内の推進体制です。標準機能を中心に始める場合は短く済みますが、独自開発を伴う場合や導入支援会社に依頼する場合は2か月から6か月、大規模なカスタマイズでは6か月から12か月以上かかることもあります。

さらに稼働の開始はゴールではなく、現場に根づかせる定着のフェーズが続きます。3か月や半年、1年といったスパンで運用の評価会を開き、使われ方を見ながら設定を調整していきましょう。

こうした時間の必要性は、調査データにも表れています。日本オラクルが2023年に公表した営業DXの実態調査では、経営部門がSFAやCRMに期待する「収益性向上」について、48%が期待した一方で、達成できたと答えたのは25%にとどまりました。営業の現場でも、一部の担当者が「効率化や勝率向上への貢献をまだ実感できていない」と回答しています。

ただし、これは裏を返せば、時間をかけて運用を育てるほど成果に近づくということでもあります。短期間で判断して手を止めるのではなく、定着まで伴走する体制と中長期の視点を持つことが、Salesforceで成果を出すための鍵になります。

多機能すぎて小規模組織だと機能過剰になりやすい

Salesforceは非常に多機能なため、小規模な組織では機能を持て余してしまう場合があります。幅広い業務をカバーできるぶん、使わない機能まで含まれ、設定や入力の負担が先に立ってしまうこともあります。

多機能さが使いこなしの壁になりやすいことは、調査にも表れています。ハンモックが2021年に従業員300名以上の企業の経営者や役員305名を対象に実施したSFAの実態調査では、SFAの全機能を使いこなしていると答えた割合は27.6%にとどまりました。使いこなせない理由として最も多かったのは「使いこなすのに時間がかかる」で、52.3%を占めています。機能が豊富であるほど、習熟や入力に手間がかかる面があるとわかります。

ただし、これは大規模で複雑な業務にも対応できることの裏返しでもあります。機能過剰は選び方で十分に避けられます。小規模な組織向けには、月額3,000円のStarter Suiteや月額12,000円のPro Suiteといった、基本機能に特化したエディションを用意しており、公式にも必要最小限のエディションから始めて必要に応じてアップグレードする使い方を推奨しています。上位エディションが小規模組織にはオーバースペックになりうることを、ラインナップ自体が示しているといえます。

大切なのは、自社の規模や目的に合った機能へ絞り込むことです。最初からすべてを使おうとせず、必要な機能からスモールスタートをして段階的に広げていけば、多機能さは過剰にならず、むしろ将来の拡張余地として活きてきます。

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Salesforceが向いている企業・向いていない企業

Salesforceは高機能で拡張性に優れる一方、すべての企業に最適とは限りません。ここでは、Salesforceが強みを発揮しやすい企業と、他の製品も比較検討したい企業の特徴を、それぞれタイプ別に整理します。自社に合うかを見極める判断材料としてご活用ください。

Salesforceが向いている企業

Salesforceが特に力を発揮するのは、複数の部門や拠点で顧客情報を活用し、事業の成長に合わせて仕組みを広げていきたい企業です。豊富な機能と高い拡張性、AIまでを一つの基盤で扱えるため、扱う業務の幅が広い企業ほど恩恵を受けやすくなります。

部門や拠点をまたいで顧客情報を一元化したい企業

営業やマーケティング、カスタマーサービスなど複数の部門で顧客情報を共有したい企業に向いています。顧客データを部門横断で名寄せするCustomer 360によって、部門ごとに分断されがちな情報を一つにまとめられるためです。実際に、営業情報が担当者ごとに分散していた株式会社ランステックは、Salesforceで全ての営業データを一元管理し、営業会議の時間を大幅に短縮しました。拠点や担当者が増えても、同じ顧客像を全社で共有できます。

事業の拡大に合わせて柔軟に仕組みを広げたい企業

成長のスピードが速く、業務の変化に合わせてシステムを育てていきたい企業にも適しています。標準機能から始めて、ノーコード開発やAppExchangeの4,000以上のアプリで段階的に機能を追加できるためです。最初は小さく導入し、事業の成長に合わせて拡張できる柔軟さは、変化の大きい企業ほど活きてきます。

営業の属人化を解消し、データで判断したい企業

勘や経験に頼った営業から脱し、データに基づく意思決定へ移行したい企業に向いています。商談や案件の状況を可視化し、根拠のある判断を後押しするためです。他社製SFAの使いにくさから営業会議が属人的になっていたUDトラックス株式会社は、Salesforceで営業指標をリアルタイムに可視化し、新規顧客獲得率を高めました。営業活動の生産性向上を目指す企業にとって、有力な選択肢になります。

AIエージェントの活用を見据えている企業

問い合わせ対応や営業活動の一部をAIに任せ、生産性をさらに高めたい企業にも適しています。SalesforceはAIエージェント「Agentforce」を製品の中核に据え、問い合わせ対応や営業活動を自律的に支援できるためです。営業現場でのAI活用はすでに広がっており、日本の営業チームの80%が何らかのAIを利用しているという結果もあります。データ基盤とAIを一体で整えたい企業にとって、将来への備えになります。

これらに当てはまる企業は、Salesforceの強みを引き出しやすいといえます。

Salesforce以外も検討した方が良い企業

一方で、Salesforceがすべての企業に最適とは限りません。豊富な機能と高い拡張性は、それを活かすための費用や人材、時間を前提とするため、シンプルさやコスト、導入スピードを最優先する企業では、より軽量なSFAやCRMのほうが合う場合もあります。ここでは、他の製品も比較検討したい企業のタイプを整理します。

必要な機能が限られ、価格を最優先したい企業

顧客管理や案件管理といった基本的な機能だけで足り、費用をできるだけ抑えたい企業は、他の製品も比べてみる価値があります。Salesforceにも月額3,000円のStarter Suiteなど手頃なエディションはありますが、今後も機能を大きく広げる予定がないのであれば、必要な機能に絞った国産SFAのほうが、価格と使い勝手のバランスを取りやすいことがあります。まずは自社に本当に必要な機能を洗い出し、その範囲で複数の製品を比べてみるとよいでしょう。

運用や改善を担う人材を確保しにくい企業

設定や改善を継続的に担う管理者や推進役を社内に置きにくい企業も、慎重な検討が必要です。Salesforceは自由度が高いぶん、使いこなして育てていく担当者がいないと定着しにくい面があります。専任担当を置くのが難しく、外部パートナーの活用も想定しにくい場合は、初期設定が少なく、現場がすぐに入力できる操作のシンプルなツールのほうが、運用の負担を抑えられることがあります。

短期間で導入し、すぐに使い始めたい企業

できるだけ早く運用を始めたい企業も、他の選択肢を見ておくと安心です。Salesforceは自社に合わせた初期設計から始めるため、要件が複雑になるほど導入までに時間がかかります。設計をほとんど行わずに使い始められる製品であれば、短期間での立ち上げがしやすくなります。導入までのスピードを重視するなら、この観点でも比較しておきましょう。

大切なのは、シェアや知名度だけで選ばず、自社の規模や体制、目的に合うかどうかで見極めることです。複数の製品を比較したうえで、Salesforceを含めた最適な一つを選ぶことが、導入の成功につながります。

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Salesforceの代表的なサービス

Salesforceは、営業、カスタマーサービス、マーケティングといった業務ごとに専用の製品を用意しています。ここでは代表的な3つのサービスについて、それぞれが担う役割と優れている点を紹介します。いずれも同じ顧客データ基盤の上でつながり、部門をまたいで連携できる点が共通の強みです。

Agentforce Sales(旧Sales Cloud)

出典:Agentforce Sales – Salesforce

Agentforce Sales(旧Sales Cloud)は、営業活動を支援するCRM/SFAです。メールや商談などの活動履歴を自動で記録し、リード管理から商談管理、売上予測までを一つの基盤でまとめて扱える点が優れています。さらにAIが成約確度の高いリードを優先順位付けし、次に取るべきアクションも提案するため、営業担当者は付随業務を減らして重要な商談に集中できます。

Agentforce Service(旧Service Cloud)

出典:Agentforce Service – Salesforce

Agentforce Service(旧Service Cloud)は、カスタマーサービスを支援するプラットフォームです。メールや電話、チャットなど複数チャネルの問い合わせをケースとして一元管理し、担当者が一つのコンソールで対応できる点が優れています。ナレッジ管理やAIによる自動応答も備えるため、顧客自身による自己解決を促しながら、オペレーターの負担軽減と対応品質の標準化を両立できます。

Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud)

出典:Agentforce Marketing – Salesforce

Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud)は、マーケティングを支援するプラットフォームです。メールや広告、モバイル、Webなど複数チャネルのキャンペーンを一元管理し、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズを実現できる点が優れています。SalesforceのCRMデータとネイティブに連携するため、営業やサービスと同じ顧客データを土台に、一貫した施策を展開できます。

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Salesforceのすごさを理解し自社に合うか見極めて選ぼう

Salesforceは、営業からマーケティング、サービスまでを一つの基盤でつなぎ、AIも活用できる世界No.1のCRM/SFAです。一方で、費用や人材、成果が出るまでの時間といった注意点もあります。

強みと注意点の両方を理解したうえで、シェアや知名度だけで決めず、自社の規模や体制、目的に合うかどうかで見極めることが大切です。複数の製品を比較したうえで、自社に最適なツールを選びましょう。

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