自社の組織力を高めたいなら、ピープルマネジメントの導入を検討するのがおすすめです。上司と部下が信頼関係を構築しやすくなるため、エンゲージメントの向上を期待できるでしょう。ピープルマネジメントのメリットや成功に導くポイントを解説します。
ピープルマネジメントとは?
近年注目を集めているピープルマネジメントの概要を紹介します。従来型マネジメントとはどのように違うのかについても理解しておきましょう。
個人の成功に関与するマネジメント手法
ピープルマネジメントとは、企業として従業員個人の成功に関わっていくマネジメント手法です。従来型のマネジメントとは考え方や手法が異なります。
仕事そのものや成果だけでなく、人と向き合いながらモチベーションやエンゲージメントを高めて、組織力の強化を図ることが目的です。
価値観の多様化や雇用の流動化を受け、企業が重視するマネジメント手法にも変化が見られます。ビジネス環境の変化に対応するためには、ピープルマネジメントに対する理解を深めておくことが重要です。
従来型マネジメントとの違い
従来型のマネジメントでは、「タレントマネジメント」と呼ばれる手法が重視されていました。従業員の能力や実績を生かすために、戦略的な育成や配置を行う手法がタレントマネジメントです。
一方のピープルマネジメントではマネージャーが部下に伴走し、個々の可能性を引き出すことに重点が置かれています。マネージャーの役割は、部下と向き合うことです。
従来型マネジメントとピープルマネジメントには、いずれも組織の成果を最大化するという同じ目的があります。ゴールに向かうための考え方や具体的な施策など、アプローチの仕方が大きく異なっているのです。
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ピープルマネジメントが注目される理由
なぜ今ピープルマネジメントが注目されているのでしょうか。ピープルマネジメントが重視されるようになった主な理由について解説します。
価値観の多様化
今後の働き手は「ミレニアル世代」や「Z世代」と呼ばれる新しい価値観を持つ世代が増えていきます。従来型マネジメントではこれらの世代の共感を得たり、やる気を高めたりするのは困難です。
行動原理も今までの働き手とは大きく異なるため、管理コストが高くなる恐れもあります。場合によっては企業との相性が合わず、離職してしまうケースもあるでしょう。
しかし個人に寄り添うピープルマネジメントなら、従業員の行動原理や価値観が異なっても対応しやすくなります。価値観を矯正するのではなく、価値観を尊重したアプローチができるためです。
雇用の流動化
年功序列や終身雇用を重視してきた時代が終わり、現在は転職が当たり前の時代です。どの企業でも雇用の流動化による従業員の定着率低下が懸念されています。
このような状況において重要視され始めているのがピープルマネジメントです。従業員のエンゲージメント向上を期待できるピープルマネジメントなら、人材の定着率向上を図れます。
自分のスキルや経験を高く評価してくれる企業への転職が、今後はますます増えていくでしょう。優秀な人材をできるだけ長く自社に引き留めておくためにも、ピープルマネジメントの重要性が高まっています。
ビジネス環境の変化
先行きが不透明で将来の予測が困難なVUCA時代に突入し、これまでのトップダウン型組織では変化に対応しにくくなっています。ピープルマネジメントで従業員の考える力や主体性を引き出し、感知力や適応力を高めることが求められているのです。
テクノロジーの発展による業務のAI化についても、意識しておかなければなりません。多くの仕事を自動化できるようになると「今の仕事を自分がやる意味は、何なのか」と感じる従業員が増えていきます。
ピープルマネジメントで人と向き合い、人だからこそできる仕事を任せることで、エンゲージメントの低下を抑えられるでしょう。ビジネス環境が変化していく中、企業も従業員へのアプローチ内容を変えていく必要があります。
ピープルマネジメントの実践でえられる効果
ピープルマネジメントを導入するとマネージャーの役割が大きく変わります。従業員と関わる機会が増えたり、従業員のエンゲージメントが向上したりするのもポイントです。
求められるマネージャー像が変化する
従来型のマネジメントでは、強いリーダーシップで従業員をけん引するマネージャーが求められていました。しかしピープルマネジメントにおいては、理想とされるマネージャー像が異なります。
部下に向き合い、伴走者としての役割を果たせる存在となるのが、ピープルマネジメントで求められるマネージャー像です。困ったときに頼りになる近寄りやすいマネージャーを目指す必要があります。
企業が掲げる経営目標を、すべての従業員が理解しているわけではありません。ピープルマネジメントではマネージャーが企業のビジョンを理解し、同じ目標に向かっていけるように従業員をサポートする役割が求められます。
従業員と関わる機会か増える
人との関わりを重視するピープルマネジメントでは、マネージャーと部下が関わる頻度が必然的に増えます。能力を最大限に発揮してもらうために対話を積み重ねて、従業員の働き方や意欲を把握しなければなりません。
ピープルマネジメントで部下と関わる際に、効果を発揮するのが「1on1ミーティング」です。1対1で対話を重ねる機会を増やせば、本音を引き出しながら信頼関係を構築しやすくなります。
ピープルマネジメントで重要な目標の設定や管理についても、マネージャーと部下が密に関わっていけば、より質の高いやりとりを進められるでしょう。マネージャーが一方的に指示を出すのではなく、従業員の主体性を引き出すのがポイントです。
従業員の自律性・エンゲージメントが向上する
ピープルマネジメントでは部下が自分で考え、行動する必要があります。マネージャーはあくまでもサポート役であり、実際に目標を決めたり決断したりするのは部下自身です。
自律型の人材が増えれば、自分で考えて行動するようになるため、上司からの指示待ちが減り、経営のスピード感が増します。時代の変化に対応するために、自分でスキルアップに励むようになる点もメリットです。
ピープルマネジメントでマネージャーと部下の距離が縮まれば、エンゲージメントの向上にもつながります。帰属意識や会社への愛着が強くなるため、定着率の低下も抑えられるでしょう。
ピープルマネジメントを構成する3要素
人と向き合う以下の3要素を最適化することで、企業にピープルマネジメントを定着させやすくなるでしょう。それぞれの具体的な内容を紹介します。
目標の設定と管理
ピープルマネジメントでは最初に従業員ごとの目標を設定しなければなりません。目標は上司が指示するのではなく、主体性を持って決めることが重要です。
目標設定時にマネージャーが意識すべきポイントは「成功の定義」「成長視点の注入」「目標達成の支援」の三つです。適切な目標が設定されるよう、これらの要素を重視しながら従業員をサポートする必要があります。
個人目標に関する進捗や達成度合いを管理することも重要です。目標管理は従業員の評価に直結する他、フィードバック時にも活用します。従業員とマネージャーが一緒に目標を管理する意識を持つことが大切です。
1on1ミーティング
ピープルマネジメントのカギとなる要素が、1on1ミーティングです。上司と部下が1対1で対話することでより強固な信頼関係を築けます。
1on1ミーティングで重要なのは、従業員の成長と企業の経営目標をひもづける点です。従業員に成長を実感してもらいながら、最終的に組織として成果の最大化を目指していきます。
1on1ミーティングで適切に対応するためには、マネージャー自身もミーティングスキルを高めなければなりません。マネージャーがピープルマネジメントへの理解を深めておくことも重要です。
リアルタイムフィードバック
ピープルマネジメントでは頻繁にフィードバックを行うことも重要です。マネージャーが即座に対処するリアルタイムフィードバックなら、課題をすぐに修正できます。
フィードバックの回数が少ない場合、期間が空きすぎて課題発生時と現状の乖離が生じてしまうでしょう。例えば半年に一度のフィードバックでは、半年間の努力が無駄になりかねません。
従業員が納得感や満足感を得にくくなる点も、フィードバックの回数が少ないデメリットです。1on1ミーティングとリアルタイムフィードバックを上手に組み合わせながら、ピープルマネジメントを進めていきましょう。
ピープルマネジメントを成功に導くカギ
ピープルマネジメントをうまく進めていくために、意識したいポイントを解説します。実際にピープルマネジメントを行う際の参考にしましょう。
目標の質を高める
ピープルマネジメントで部下が設定する目標は、上司がトップダウンで決めるのではなく、部下に主体性を持って決めてもらうことで質が高まります。
前もって従業員に目標を決めてもらい、マネージャーとすり合わせていくように設定するとよいでしょう。目標の内容はできるだけ従業員の意向を反映しつつ、企業の目標とかけ離れたものにしない点が大切です。
目標を決める際は、フレームワークを活用するのもおすすめです。「SMART」や「OKR」、「HARDゴール」といった目標フレームワークを用いれば、目標の質をより高められるでしょう。
個々の目標をきちんと理解する
部下が主体的に決めた目標は、マネージャーがきちんと理解しておかなければなりません。個々の目標を正確に把握できれば、目標を達成するためのサポートをしやすくなります。
目標と併せて、部下のキャリアビジョンも把握しておきましょう。最終的なゴールに到達するためには、短期的な目標達成の積み重ねが必要であり、部下のキャリア形成をサポートする上でも、短期目標の設定や管理を支えることが重要です。
個々の目標を深く理解するためには、頻繁な面談の実施が欠かせません。マネージャーとして部下の考え方や、価値観を引き出すためのスキルも必要です。
3要素を高頻度の周期で回す
従来型のマネジメントでは、目標設定・1on1ミーティング・フィードバックを年1~2回程度の頻度で行うのが一般的でした。しかしピープルマネジメントの場合は、より高頻度の周期で回さなければ効果を高められません。
目標設定は3カ月に1回、1on1ミーティングとフィードバックは月2回の頻度を目安にするのがおすすめです。それぞれの回数を増やせば、従業員のパフォーマンスを最大化できます。
ただし回数だけを増やしても、中身が伴わなければ意味がありません。実際にピープルマネジメントを進めながら、会社の実態に合った最適な頻度を模索しましょう。
従業員と向き合って組織力を高めよう
個人の成功に関与するピープルマネジメントを導入すれば、従業員の自律性やエンゲージメントの向上を図れます。定着率が高まり、優秀な人材の流出も防げるでしょう。
ピープルマネジメントで重要な要素は「目標の設定・管理」と「1on1ミーティング」「フィードバック」です。支援ツールも有効活用し、従業員と向き合いながら組織力を高めていきましょう。
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