マーケティングの手法ひとつにエンゲージメント・マーケティングがあります。顧客を囲い込むため、多くの企業が工夫を凝らした方法や媒体を利用して行っているマーケティングです。エンゲージメント・マーケティングの必要性やメリットを解説します。
エンゲージメント・マーケティングとは
エンゲージメント・マーケティングとは見込み客との接点を増やし、関係性を強化するマーケティング手法です。「エンゲージメント」とは「つながり」や「関与度」を意味します。
世間に広く広告を打ち出す「マスマーケティング」とは異なり、見込み客とのつながりを重視したものです。
例えばブランドの発展や進化に参加してもらうべく、コールセンターを充実させたりウェブサイトのコメント欄を充実させたりするなど、手法はいくつかあります。
一般的に「BtoB」の商品であれば、顧客が購入に至るまでの道のりは長くなる場合も多く、よい関係を構築するプロセスは重要です。エンゲージメント・マーケティングは大衆向けの商品に、同じ手法を用いるものと考えられるでしょう。
インターネットの浸透で注目されるように
スマートフォンが普及する前は、テレビCMや新聞などが広告を打つ主な舞台でした。当時は消費者が接する機会が多い媒体だったのです。企業が大衆に向けて一方的に宣伝するマスマーケティングが、消費者にしっかりと届いていた時代といえます。
しかし現在はパソコンやスマートフォンを用いて、インターネット上でさまざまな情報を収集できます。さらには決済まで完了できる時代になりました。
そのため適切なタイミングで適切な情報を与える必要があり、それを実現する手法のひとつが「顧客との接点」を強めることなのです。
エンゲージメント・マーケティングの実践方法
顧客との接点を強化する方法としてはいくつかあります。どれもスマートフォンを巧みに利用し、効果が期待できる手法です。エンゲージメント・マーケティングを実践する方法を紹介します。
オウンドメディア
「オウンドメディア」とは企業が運営する自社メディアのことです。ブログなどを用いて読者に有益な情報を発信し、顧客との接点を増やします。
有益な情報とは見込み客が抱えていそうな課題や悩みを解消するものです。オウンドメディアを訪れる見込み客のニーズを満たし、商品やサービスに対する理解を促します。
自社の商品を深く知ってもらうことでファンになってもらい、最終的には商品やサービスの購入につなげるマーケティング手法です。見込み客がオウンドメディアに訪れるたびに愛着を強く持ってもらい、エンゲージメントの向上を図ります。
メール配信
見込み客にとって有力な情報を提示する代わりに、メールアドレスを登録してもらうのも、エンゲージメント・マーケティングのひとつの手法です。
見込み客の行動履歴から求めているニーズや趣向の特徴を予測し、入手したメールアドレスへ適切な情報を送信します。これにより開封率やクリック率を上げ、発信した情報を読んでもらうのが狙いです。
個人にカスタマイズしたメールを送ることで、効率よくエンゲージメントを高められます。見込み客に合わせたウェブサイトに誘導すれば、より強い接点を作れるでしょう。
SNSの運用
X(旧Twitter)やLINEなどのSNSは利用する人口が多く、接点を築くのに有効な媒体です。SNSごとにそれぞれ特徴が異なります。
Xは情報を拡散する効果に優れています。新商品や刷新したサービスを広く認知してもらうために効果的なSNSです。LINEは開封率が高いので、リンクをクリックしてくれる確率が高いといったメリットがあります。
SNSは見込み客から「フォロー」や「いいね!」などを押してもらうことでサービスを与えるなど、エンゲージメントを高める仕組みが作りやすいのが特徴です。
エンゲージメント・マーケティングの実例
エンゲージメント・マーケティングによって本当に顧客との接点を強められるのでしょうか。有名企業が実際にエンゲージメント・マーケティングを実施した例を見ていきましょう。
スターバックスの事例
コーヒーで有名なスターバックスには、実は接客のマニュアルはありません。レシピなどには厳しい決まりがありますが、接客は従業員の自由なホスピタリティに任せています。
これにより従業員のエンゲージメントを高め、従業員を通して顧客のエンゲージメントも強化しているのです。
コーヒーを提供するカップにメッセージや絵を描くといった行為は、あくまでも従業員自らの発案による顧客を喜ばせるアイデアであり、上司からの指示に従っているものではありません。
エンゲージメントの高い従業員が、顧客においしいコーヒーと居心地のよい空間を与えることで、ファンを増やしている実例です。
アップルの事例
アップルのiOSやmacOSは、Windowsのようにあらゆるデバイスに搭載されているわけではありません。
自社のパソコンやスマートフォンのみに使用し、ほとんどがアップルストアに行かないと手に入らないものばかりです。かつては他社が作った互換機にもOSを搭載していましたが、自社の商品にのみ搭載するという決断を下しました。
ウェブサイトでも購入できますが、実際に商品を触ったり、説明を聞いたりできるのはアップルストアに限られます。高級感あふれる空間で顧客に特別な印象を与え、満足度だけでなくエンゲージメントも高められると考えたからです。
その結果として新商品が発売される日に多くの顧客が店舗の入り口に並ぶように、熱狂的なファンを獲得しています。
施策の効果を高めるポイント
効果的なエンゲージメント・マーケティングを行うためには、いくつかポイントがあります。より効果を高める手法やコツを紹介しましょう。
MAツールによる顧客分析
エンゲージメント・マーケティングに欠かせないツールのひとつがMA(マーケティングオートメーション)です。マーケティングにまるわる業務の効率を自動化により高めます。
顧客の基本情報の収集はもちろんのこと、集客や見込み客の育成などマーケティングに効果的な活動を支援してくれます。
具体的にはまず設定されたペルソナから、「カスタマージャーニー」を把握し、それに沿ったメールを配信します。これに対する顧客の反応を記録し分析すれば、顧客の動向を把握できるのです。
得られた結果から次に行うべき施策を検討します。ほとんど自動化されているため、人の稼働を削減でき、効率のよいエンゲージメント・マーケティングが実施できます。
次の記事ではおすすめのMAツールを紹介しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
「one to oneマーケティング」の実施
顧客とのエンゲージメントを向上させるには、顧客それぞれの異なるニーズを捉えた最適なアプローチが必要です。
例えば商品を紹介するサイトへ誘導したい場合は、同じ商品でも顧客の性別や年齢に応じて、見せ方の異なる複数パターンのサイトを準備するとよいでしょう。
その上で言葉遣いや接客は丁寧かつ誠意ある対応が求められます。メールやメディア上の文章でも同様です。
またデジタルの世界に閉じるだけでなく、イベントやキャンペーンを実施し、顧客と企業が直接コミュニケーションを取れる場を設けるのも、エンゲージメントを高める手法として有効となります。
顧客分析の解像度を上げる
エンゲージメントの向上を狙うには、顧客ニーズをより正確に理解することが重要です。的外れなアプローチをしても、強い関係性は築けないでしょう。
顧客分析は顧客1人あたりの「ライフタイムバリュー」を向上させるのに欠かせない要素です。サブスクリプションで提供しているサービスであれば、解約率を低下させる効果があります。
顧客ニーズをしっかり把握し、新商品やサービスを改善することで、「アップセル」や「クロスセル」も狙えます。
サービスや商品の改善は、アンケートを取ったり電話などで直接確認することにより、課題が見えてくるでしょう。
顧客のエンゲージメントをいかに高めるかが重要
購買経路の選択肢が増えた消費者には、個々のニーズに合ったアプローチが求められます。そのためには顧客とのつながりを強化する、エンゲージメント・マーケティングが重要です。
このマーケティング手法にはSNSやオウンドメディアなどを駆使するのが効果的とされています。またMAの導入や顧客分析を徹底することで、さらに効果に期待が持てるでしょう。
スターバックスやアップルのように、顧客の立場に立ったサービスや対応が何よりも重要といえます。顧客との接点を大切にするエンゲージメント・マーケティングは、今後さらに必要とされるものでしょう。
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