ミツモア

「産後パパ育休」で男性の育休制度はどう変わる?新たな義務にも注意

ぴったりの労務管理システムをさがす
最終更新日: 2024年03月07日

育児・介護休業法の改正に伴い、2022年10月1日から産後パパ育休が始まります。新たに義務化されたルールがあるため、会社として対応できるようにしておかなければなりません。産後パパ育休制度の概要や、会社としてすべきことを解説します。

「産後パパ育休」とは

新しく始まる産後パパ育休とは、どのようなものなのでしょうか。まずは制度の概要や特徴について解説します。

新たに創設された育休制度

産後パパ育休(出生時育児休業)は男性が育休をより取得しやすくなるように、育児・介護休業法の改正時に新設された制度です。

厚生労働省の調査結果によると、男性の育休取得が最も多い時期は、出産後8週以内です。男性の育休取得がなかなか進まない中、最もニーズがある時期に、育休をより柔軟に取得できるよう、法改正で新たに産後パパ育休制度が設けられました。

産後パパ育休の大きな特徴は、「分割取得」と「休業中の就業」です。従来の制度にはなかった仕組みを取り入れることで、育休を取得しやすくしています。

参考:令和4年10月から育児休業給付制度が変わります | 厚生労働省
参考:男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集 P4 | 厚生労働省

取得可能日数を2回に分けて取得できる

産後パパ育休制度の対象期間は、子どもが生まれてから8週間以内です。最長4週間の育休を、2回まで分割して取得できます

従来の制度では、出産直後の育休を1回しか取得できませんでした。しかし制度開始後は、例えば出産後1・2週目と、7・8週目のように、時期を二つに分けて休めます。

4週間続けて職場を離れられないケースでも、分割して取得すれば、柔軟な対応が可能です。ただし育休の分割を希望する場合は、あらかじめその旨を申請しておかなければなりません。

休業中も働くことが可能

産後パパ育休制度では休業中の就業が可能です。「休んでいる間に、1日だけ仕事をしたい」といったケースでも働けるため、分割取得と組み合わせれば、より柔軟に休めます。

育休中に就業できるのは、労使協定を締結している場合のみです。所定の手続きを踏んだ上で、最終的に会社側が提示した条件に、労働者側が同意することで、休業中も働けます。

休業中の就業可能日数には、上限が定められており、何日でも仕事ができるわけではありません。「休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分」といったルールが決められています。

ソフトウェア比較のイメージイラスト

社員情報の管理や就業規則の整備を効率的に進められるソフト選びなら、ぜひミツモアをご利用ください。従業員数や欲しい機能などの各項目を画面上で選択するだけで、ぴったりの製品を最短1分で自動診断。理想の労務管理システムが見つかります。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

育休期間中の給付金と社会保険料は?

産後パパ育休で支給される、お金について解説します。保険料が免除される点も押さえておきましょう。

雇用保険から給付金が支給される

産後パパ育休では一定の条件を満たせば、雇用保険から給付金が支給されます。支給要件は次の通りです。

  • 賃金支払基礎日数11日以上の月が育休開始前2年間に12カ月以上ある
  • 休業中の就業日数が10日以下

給付金の支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算できます。休業開始時賃金日額は原則として、育休開始前6カ月の賃金の合計を、180で割った額です。

出生日の8週間後の翌日から起算して、2カ月後の月末まで給付申請が可能です。原則として会社がハローワークに申請します。

健康保険料と厚生年金保険料は免除

産後パパ育休の期間中は、一定の要件を満たすことで、自己負担分・会社負担分の健康保険料と厚生年金保険料が、免除されます。

社会保険料の免除が適用されても、健康保険の給付は通常通り受けることが可能です。厚生年金保険料に関しても、免除された期間分は、将来の年金額に反映されます。

賞与にかかる保険料についても、免除の対象ですが、賞与月の末日を含む、連続した1カ月を超える育休を取得した場合に限ります。

保険料の免除手続きは、会社が行わなければなりません。「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書」または「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を、年金事務所か健康保険組合に提出します。

参考:育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します P7 | 厚生労働省
関連記事:産休・育休に心強い味方 社会保険料免除の制度

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

他の育休制度はどうなる?

育児・介護休業法の改正では、産後パパ育休以外にも、さまざまな制度が変更されています。他の育休制度がどうなるのか確認しましょう。

産後パパ育休以降の育休も分割取得が可能に

出産後の育休は、産後パパ育休の対象期間後も取得できます。原則として子どもが1歳になるまで、育休を取得することが可能です。

現行制度では産後パパ育休後の育休は、1回しか取得できません。しかし2022年10月1日以降は、2回まで分割して取得できるようになります。産後パパ育休期間を含めれば、子どもが1歳になるまでの間、育休を最大4回まで分割取得できるのです。

妻の育休も2回まで分割できるため、出産後1年間は、夫婦が育休を交代できる回数を増やせます。

1歳以降の育休に関しても、現行制度では開始できるタイミングが1歳または1歳6カ月時点に限られていますが、2022年10月1日からは、開始時点を柔軟に決められます。

「パパ休暇」は廃止される

現行の法律では「パパ休暇」と呼ばれる制度が設けられています。出産後8週間以内と、8週を過ぎた後の期間に、それぞれ1回ずつ育休を取得できる制度が、パパ休暇です。

産後パパ育休の開始に伴い、パパ休暇は廃止されますパパ休暇で取得できる2回の育休を、産後パパ育休では、さらに2分割して取得できるイメージです。

パパ休暇では休業中に働くことは不可能ですが、産後パパ育休では、働きながら育休を取れます。ただし保険料免除の条件は、産後パパ育休の方が厳しめです。

「パパ・ママ育休プラス」は継続

「パパ・ママ育休プラス」とは夫婦の両方が育休を取得する場合に、一定の条件を満たせば、子どもが1歳2カ月になるまで、育休期間を延長できる制度です。

例えば妻が出産1年後に職場復帰するケースで、夫が出産1年2カ月後まで休むことで、妻の職場復帰がスムーズになります。妻の職場復帰後のみ、夫が育休を取ることも可能です。

2022年10月1日以降も、パパ・ママ育休プラスは継続されます。ただし、「出生日以後の産前・産後休業」「産後パパ育休」「育児休業」の合計は、1年間が上限です。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

育休取得促進のために会社がすべきこと

改正育児・介護休業法では、「雇用環境整備」と「個別周知・意向確認の措置」が義務化されます。会社が育休取得促進のためにやるべきことを、押さえておきましょう。

雇用環境の整備

男性社員が産後パパ育休や、通常の育休を取得しやすくなるように、会社は雇用環境を整備しなければなりません。次のうちいずれかの措置を講じることが、義務づけられています。

  • 育休取得に関する研修の実施
  • 育休取得に関する相談体制の整備
  • 自社の育休取得事例の収集・提供
  • 育休制度と育児休業取得促進に関する方針の自社従業員への周知

育休を申し出た男性社員に対する、減給や降格などの、不利益になる取り扱いも禁じられます。育休取得を妨げる雰囲気にならないよう、企業風土改革に着手する必要もあるでしょう。

制度の周知と休業の取得意向の確認

本人または配偶者が、妊娠・出産したことの報告を受けた場合、会社は育休制度があることを個別に知らせた上で、休むかどうかの意向確認を行わなければなりません

周知事項として定められているのは、「制度の内容」「申し出先」「給付に関すること」「社会保険料の取り扱い」の四つです。個別周知や意向確認の方法は、面談・書面交付・FAX・メールが認められています。

妊娠・出産の申し出を受けた際に、育休取得を控えさせるような内容の話をするのは、禁止されています。取得を促進する方向で、やりとりを行わなければなりません。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

男性社員の育休取得を支援しよう

産後パパ育休は出産後8週以内の育休取得について、定めた制度です。分割して休めるようになる上、休業中の就業も可能になります。

企業は男性社員が育休を取りやすくなるように、義務化されたルールを守らなければなりません。2022年10月1日の制度開始までに、自社ですべきことをきちんと行っておきましょう。

ぴったりの労務管理システム選びはミツモアで

ミツモアロゴ

労務管理システムは製品によって特徴や機能もさまざま。「どの製品を選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。

そんなときはミツモアにおまかせ。最短1分の自動診断で、ぴったりの労務管理システムが見つかります。

ぴったりの労務管理システムを最短1分で無料診断

従業員数や欲しい機能などの項目を画面上で選択するだけで、最適な労務管理システムを最短1分で自動診断。もちろん費用はかかりません。

ぴったりの料金プランも一緒にお届け

希望条件に沿った料金プランも製品と一緒に診断します。概算金額を見積もりからチェックして、理想のプランを探してみましょう。

診断結果は最大5製品!比較・検討で最適な労務管理システムが見つかる

最大で5製品の診断結果をお届けします。検討していた製品だけでなく、思わぬ製品との出会いもあるかもしれません。

ミツモアなら、ぴったりの労務管理システムがすぐに見つかります。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

サービス提供事業者さま向け
ミツモアにサービスを
掲載しませんか?
ミツモアにサービスを掲載しませんか?

ミツモアは依頼者さまと事業者さまをつなぐマッチングサイトです。貴社サービスを登録することで、リードの獲得及びサービスの認知度向上が見込めます。 さらに他社の掲載サイトとは違い、弊社独自の見積システムにより厳選されたリード顧客へのアプローチが可能です。 もちろん登録は無料。 ぜひミツモアにサービスをご登録ください。