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従業員が入退社する際に求められる手続き。システム導入で効率化を

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最終更新日: 2024年03月07日

業務を効率化するには、システムの導入が有効です。入退社に伴う手続きもシステム化を行えば、今よりもっと簡単に実施できます。入退社に伴う手続きを今一度確認し、どのような業務がシステム化できれば、業務が楽になるのか、イメージしてみましょう。

入社の際に必要な公的手続き

入社に伴う手続きでは、まず保険や税に関する手続きをクリアにする必要があります。企業規模や入社する従業員の状況に合わせ、行うべき手続きが変わります。

労働条件の明示

新しく従業員を雇ったとき、まず必要になるのが「労働条件の明示」です。「絶対的明示事項」については、書面などではっきりと記載し、通知しなければなりません。

一般的には従業員を雇い入れたときか、内定を出したときに「労働条件通知書」を渡す形で、明示します。

労働条件の明示で、従業員に伝える必要がある事項のうち、いくつか例に挙げてみましょう。

  • 労働契約における雇用期間
  • 仕事をする場所
  • 担当する業務の内容
  • 始業時間と終業時間
  • 残業の有無
  • 休日や休暇の日数

なお2019年3月末までは、明示方法は書面のみと決められていました。同年4月に施行された「労働基準法施行規則の改正」により、一定の条件を満たせば、メールやビジネスチャットツールのメッセージ機能などでも、行えるようになっています。

参考:厚生労働省 労働基準 よくある質問  

労働基準法施行規則等の一部を改正する省令について |厚生労働省

健康保険と厚生年金への加入

健康保険と厚生年金は「事業者が法人事業者」や「従業員が5人以上の個人事務所」である場合、加入が義務付けられています

法律で規定された条件を満たした従業員であれば、雇用形態にかかわらず、加入が必要です。(70歳以上の対象者は、健康保険のみの加入)

2022年10月からはパートやアルバイトなど、短時間労働者へも健康保険や厚生年金の適用範囲が拡大します。

加入手続きは「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を、年金事務所に提出します。提出期限は従業員を雇ってから5日以内で、窓口や郵送のほか、電子申請も可能です。

新しく雇用した従業員に扶養家族がいる場合には「健康保険被扶養者(異動)届」を、被扶養者に該当する人がいる場合には、「国民年金第3号被保険者関係届」を併せて提出します。

参考:令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

国民年金や厚生年金保険に加入するにはどうすればいいですか?|年金の種類|ねんきん AtoZ|くらしすと

雇用保険への加入

従業員を雇う事業者には事業規模にかかわらず、雇用保険への加入が義務付けられています。

雇用保険に加入できるのは「31日間以上の雇用が予定」されており、かつ「1週間の労働時間が20時間を超える」人です。正社員はもちろん、条件を満たすパートやアルバイトも対象となります。

加入手続きは「雇用保険被保険者資格取得届」ハローワークへ提出します。提出期限は「対象の従業員を雇い入れた月の翌月10日」で、電子申請も可能です。初めて提出するときに限り、「雇用保険適用事業所設置届」も必要になります。

雇用保険加入後に交付される「雇用保険被保険者番号」は、一度発行されると原則ほかの職場へ移っても、変わりません。

雇用保険の加入歴がある従業員の手続きを行う場合には、資格届へ番号の入力が必要です。当時交付されている「雇用保険被保険者証」に記載されているため、事前に従業員へ確認しておきましょう。

参考:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省

事業主の行う雇用保険の手続き |厚生労働省

所得税の扶養申告

所得税においては扶養親族の有無を確認するため、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の作成と提出が必要です。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、所得税上の「扶養控除」を受けるための書類です。申告する扶養親族の人数や年齢によって、納める所得税や住民税の額が変わります。

申告書の提出期限は「最初の給与が支払われる日の前日」までです。必要事項を記入してもらい、会社側に提出してもらう必要があります。

場合によっては親族に関わる親族関係書類や、送金関係書類の添付が必要です。従業員の状況によって、提出しなくてはならない書類が変わるため、よく聞き取りを行った上で必要な書類を指示しましょう。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

住民税の異動

住民税の納付方法には、個人で支払う「普通徴収」と、給料から天引きされる「特別徴収」があります。従業員がそれまで、普通徴収で住民税を納付していた場合、入社の際に「特別徴収への切替申請書」を、従業員の住民票がある自治体に提出し、特別徴収に切り替えます。

使っていない住民税の納付書、もしくは納付済みの領収書を併せて提出しましょう。なお納付期限が過ぎている月がある場合には、切り替えはできず、当該月分は普通徴収で納税する必要があります。地域によっては切り替えまでの数カ月分も、普通徴収で行うことがあるでしょう。

前職で特別徴収を行っていた場合には、「給与所得者異動届出書」を自治体に提出すると、特別徴収の引き継ぎが可能です。上記二つの書類は、自治体が定めた期限までに提出しましょう。なお地方税ポータルシステム「eLTAX」を利用すれば、どちらの書類も電子申請が可能です。

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム

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入社の際に必要な社内での手続き

保険や税金に関する手続きを済ませた後は、社内で必要となる手続きを行います。早め早めの手続きで、いち早く安心して働ける環境を整備しましょう。

法定三帳簿の作成

法定三帳簿とは「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」を指します。労働基準法や労働基準法施行規則により、「起算日から5年間」の保存が義務付けられている帳簿です。

2008年の労働基本法の改正で、保存期間が5年に延びていますが、現在は経過措置として、改正前の3年間が適用されています。

労働者名簿には社員の性別や住所、入社した年月日などを記載します。日雇い労働者や派遣労働者を除く、すべての従業員に対して作成が必要です。

賃金台帳は賃金を支払うごとに、作成が求められる帳簿で、給与の計算期間や労働日数、時間外労働時間数などを記録します。従業員のうち、日雇い労働者に対しても作成する必要があります。ただし派遣社員は「派遣元」が作成の義務の対象です。

出勤簿は労働時間を記録するための帳簿で、始業時間や終業時間、休憩時間などを記録します。役員や組織の長を担うような一握りの「管理監督者」以外は、雇用形態に関係なく、出勤簿を作成する義務があります。

参考:労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう – 厚生労働省

改正労働基準法等に関するQ&A – 厚生労働省

システムへの情報入力

業員の情報を各種システムに入力する作業も、新しく社員を雇い入れたときに、忘れてはならない手続きです。業務効率化のために、社内でいろいろなシステムを運用している企業は多いでしょう。システムを滞りなく運用していくためには、適切な情報入力が欠かせません。

各種システムには従業員の氏名や住所、扶養親族の数などの、個人情報を入力します。入力を忘れると、対象の従業員が、システム上では存在しないまま扱われてしまいます。給与計算や各種手続きの際に不具合が生じ、業務が滞ってしまうため、慎重に行いましょう。

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退社の際に必要な公的手続き

従業員が退社するときには、まず保険や税金の手続きを行います。退社に伴う公的手続きは、期限内に行わないと、退職者に不利益が生じる場合があるため、注意が必要です。

健康保険と厚生年金の資格喪失

退社によって、健康保険と厚生年金の資格を失う場合には、資格喪失の手続きが欠かせません。具体的には「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を作成し、「退職日の翌日から5日以内」に、年金機構の事務センターに提出します。なお電子申請も可能です。

協会けんぽの加入者なら、併せて健康保険証の提出が必要です。家族の分もまとめて回収し、一緒に提出しましょう。健康保険証を紛失してしまったときや、回収できない場合は、「健康保険被保険者証回収不能届」を添付します。

また健康保険証と共に、「高齢受給者証」「健康保険特定疾病療養受給者証」「健康保険限度額適用・標準負担額減額証」などが交付されている場合には、併せて提出する必要があります。

参考:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構

雇用保険の資格喪失

退社によって雇用保険の資格を失う際は、「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出が必要です。提出期限は「退職した翌々日から10日以内」で、提出先はハローワークです。電子申請を選べば、提出にかかる手間を省けます。

基本的には別途「雇用保険被保険者離職証明書」を交付し、資格喪失届と併せて提出します。離職証明書に記載しなければならない項目は、事業主(会社)と離職者、両者の離職理由と離職者の判断(事業主の離職理由への異議の有無)です。

離職者の申し出があれば、必要事項を資格喪失届へ記載し、まとめてしまうことは認められています。ただし退職者が59歳以上の場合には、本人の希望にかかわらず、証明書の発行が必須です。

なお雇用保険被保険者離職証明書は、退職者がハローワークから失業給付を受ける際に求められる書類です。転職先がすでに決まっている場合には、必要ありません。

「雇用保険被保険者離職証明書」を提出すると、ハローワークから「離職票」がもらえるため、忘れずに従業員に渡しましょう。

参考:離職時の離職証明書の提出|厚生労働省

事業主の皆様へ:雇用保険について:被保険者についての諸手続き:5 被保険者が離職したとき | 徳島労働局

住民税の異動

住民税を給料から天引きして納付する、特別徴収を行っている場合には、従業員の退職を自治体に知らせる手続きが必要です。退職を知らせて、初めて住民税の天引きがストップします。退職者のもとに住民税の通知が届くようになり、退職者が個人で税金を納付する、普通徴収に切り替わります。

住民税の手続きの際に提出が求められるのは、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」です。提出期限は「退職した月の翌月10日」で、納付しなかった場合は催促状などが来ることもあります。電子申請での受付も可能です。

なお退職者が引っ越し、前年度分と今年度分の住民税を異なる二つの自治体に払う場合には、「2カ所(旧住所・新住所の各自治体)」へ異動届出書を提出する必要があります。

参考:給与支払報告・特別徴収に係る 給与所得者異動届出書の作成

板橋区役所 よくある質問 「特別徴収」

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退社の際に必要な社内での手続き

保険や税金に関する手続きを行った後は、社内で必要となる手続きを行いましょう。よどみなく手続きを行えば、気持ちよく退職者を見送ってあげられます。

退職証明書の発行

従業員の退職における手続きの一つに「退職証明書」の発行があります。退職証明書とは退職した事実を、公に証明する書類です。退職の際に必ず発行しなくてはならない書類ではありませんが、「退職者に求められた場合」に限って、発行が義務付けられています。

退職証明書は公的機関への提出が必要な書類ではなく、国民健康保険や国民年金の加入手続きに、必要となる書類です。履歴書や職務経歴書の内容が正しいか確認するため、転職先で提出を求められるケースもあります。

源泉徴収票の発行と年末調整

事業者は従業員の退職に際して源泉徴収票の交付が必要です。源泉徴収票とは1年間にどれだけの収入があったかを示す書類で、退職者以外には「12月の年末調整時」に交付します。

年末調整を待たずに退職した場合、源泉徴収票を受け取る機会がなくなってしまうため「退職時」に発行して渡します。源泉徴収票の発行期限は「退職した日から1カ月以内」です。

退職者に対しては、基本的に年度調整を行う必要はありません。年度調整は「給与所得2,000万円以下かつ12月31日時点で在籍している人」が対象です。

ただし12月分の給与支払いを受けてから退職した人や、心身の不調のために退職し、再就職の見込みがない人など、国税庁が定める一部の対象者は12月31日に退職していなくても、年末調整を行います。

参考:No.7421「退職所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁

No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁

No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

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入退社手続きをスムーズに終えるには

入退社手続きは煩雑なため、計画的に行わないとスムーズに終えられない可能性があり、注意が必要です。入退社手続きを滞りなく行うための、ポイントを紹介します。

チェックリストを作成する

入退社手続きを行う際は、チェックリストを作成してから、業務に取り掛かるのがおすすめです。抜け漏れの発生を防ぎ、当該従業員に不利益を与えるリスクを減らします。

保険に関する手続きが間に合わないと、従業員が追加の書類を提出する羽目になったり、転職先が決まるまでに、失業給付が受け取れなかったりする可能性があります。

チェックリストを見ながら、書類の提出期限に合わせてスケジュールを組めば、やり残しを作らずに、入退社手続きができるでしょう。

労務管理システムを導入する

「労務管理システム」の力を借りるのも、入退社手続きをスムーズに終える方法です。書類の作成や、手続きにかかる手間を削減できます。

労務管理システムとは入退社手続きをはじめ、勤怠管理や給与計算などを、一元管理できるツールです。導入すれば書類の作成にかかる手間と時間を削減でき、より重要度の高い業務に専念できます。

またシステムは法律の改正によって変わる税率や保険料にも、都度対応してくれます。コロコロ変わる数字に、翻弄される心配もありません。

2020年4月からは、資本金が1億円を超える大企業の社会保険手続きは、電子申請が義務化されています。労務管理システムから電子申請も可能なため、書類を印刷して、ハローワークや自治体窓口に持参する手間もかかりません。

労務管理システムについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:労務管理システム比較10選!機能一覧や製品特徴を徹底解説
参考:電子申請の義務化|日本年金機構

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システムの活用で入退社手続きの手間を削減

入退社手続きは社会保険の加入・資格喪失から、導入しているシステムへの情報入力まで、多岐にわたります。チェックリストを作成して、一つ一つ重要な業務をこなしていけたとしても、入退社する従業員が多くなる時期には、たくさんの手続きが必要となり、業務が煩雑化するでしょう。

入退社に伴う手続きをスムーズに行うには、システムの利用がおすすめです。簡単な入力を行うだけで、届出書や源泉徴収票が発行できるシステムを使えば、入退社手続きに伴う、手間と時間を大幅に削減できるでしょう。

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