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欠勤控除とは?適用されないケースや計算方法、控除する際の注意点

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最終更新日: 2024年03月07日

賃金は労働への対価として、従業員へ支払われるものです。そのため働いていない時間分の賃金は、欠勤控除として差し引ける可能性があります。欠勤控除が用いられるのは、どのようなケースなのでしょうか。控除額の計算方法も紹介します。

欠勤控除とは

タイムカード2枚とPCの写真労働への対価として支払われる賃金は、原則として労働がなければ支払いません。そこで発生するのが欠勤控除です。ただし欠勤控除に関する規定は、企業ごとに異なるため、どのようなルールが適用されるか、自社の就業規則で確認します。

働いていない時間分の賃金を差し引くこと

従業員に支払う給料が元々決まっている場合、必要な労働時間もあらかじめ決まっています。しかしときには従業員の遅刻・早退・欠勤などによって、決められた労働条件を満たせないというケースも、あるでしょう。

そのような場合に、働けなかった時間や日数分の賃金を差し引くのが欠勤控除です。企業によっては遅刻や早退の場合に、「不就労控除」といった名称を用いていることもあります。

「ノーワーク・ノーペイ」がベースの考え方

欠勤控除は「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づいています。企業は従業員が働いていない時間に対し、賃金を支払う必要がないという考え方です。

ただし必ずノーワーク・ノーペイの原則にのっとり、欠勤控除を実施する必要はありません。遅刻・早退・欠勤があっても、賃金が発生すると企業が定めているなら、欠勤控除は不要です。

それぞれの企業により規定は異なる

法律では欠勤控除について、細かく定められていないため、各企業がそれぞれルールを設けます。欠勤控除が適用される場合や、控除額の計算方法などを各企業が定め、就業規則に記載します。

注意が必要なのは、控除の仕方によっては「減給の制裁」にあたる場合がある点です。労働基準法に抵触する問題が生じる可能性があるため、適切な内容の規定を設けましょう。

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適用されないケース

男性が胸の前で手をクロスしている写真従業員が本来の勤務日に仕事を休み、労働していないからといって、必ずしも欠勤控除が適用されるわけではありません。

例えば会社都合の休みであれば、欠勤控除は適用されず、休業手当を支給します。従業員が十分な休日を取得できるよう定められた、有給休暇も同様です。

会社都合のお休み

出勤日だったにもかかわらず、会社都合で休みになったのであれば、欠勤控除は適用されません。加えて企業は従業員に「休業手当」を支給する必要があります。

休業手当は平均賃金の60%以上です。平均賃金は「休業し始めた日以前3カ月間の賃金÷その期間の暦日数」で計算します。

例えば3カ月分の賃金が600,000円で、その間のカレンダー上の日数が91日であれば、「600,000円÷91日=約6,600円」です。このケースなら休業手当は、「6,600×60%=3,960円」と算出できます。1日あたり3,960円以上を、支払う必要があるという計算です。

有給休暇

従業員が「有給休暇」を取得した場合も、欠勤控除は適用外です。事前申請した上で有給休暇を取得すると、本来であれば勤務日でありながら、従業員は出勤した場合と同様の賃金を受け取りながら、休めます。

ノーワーク・ノーペイの原則にのっとって対処する場合、労働がなければ賃金は発生しません。しかしそれでは従業員が、安心して労働に従事できないという事態も起こり得ます。

有給休暇は従業員が、賃金について心配することなく、必要な休みを取得するために、法律で定められた休暇なので、欠勤控除の対象にはなりません。

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適用されるケース

まるのプラカードを持った女性欠勤控除が適用されるケースは、企業ごとに異なります。多くの企業で対象として規定されているのは、遅刻や早退です。たとえ企業にも従業員にも責任がない場合であっても、欠勤控除が適用されます。

遅刻・早退

体調不良や通院、子供の送り迎えなど、従業員に責任のある理由で遅刻・早退をした場合、欠勤控除の対象です。そのため規定にのっとって、賃金から控除額を差し引けます。

ただし有給休暇の使用を従業員が希望する場合は、欠勤控除の対象外です。有給休暇は法律によって、出勤日と同じ賃金の支払いが定められているため、控除はできません。

他にもこんなケースが対象に

病気を理由にした欠勤も欠勤控除の対象です。有給休暇を使わない場合は、賃金から控除額を差し引きます。

ただし体調不良の原因がインフルエンザの場合、企業によっては就業規則で「出勤停止」を定めており、休みを命じることもあるでしょう。このようなケースは会社都合の休業とされるため、休業手当の支給が必要な可能性もあります。

他に裁判員に選ばれた場合も、有給を取得しないなら、欠勤控除を行う企業もあります。

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欠勤控除の計算方法

計算機と書類の写真早退・遅刻・欠勤などが発生した場合、賃金を計算する際、欠勤控除の金額を計算し差し引かなければいけません。欠勤控除はどのように計算するのでしょうか。

勤務・給与形態によって取り扱いが違う

従業員の働き方はさまざまなため、務形態や給与形態の種類によって欠勤控除がどのように扱われるかは異なります。勤務形態ごとの違いは以下の通りです。

  • 定時出社・退社:欠勤日数分を控除
  • 変形労働時間制:1日の所定労働時間のみ控除
  • フレックスタイム制:月の実労働時間が、清算期間の総労働時間を満たしていない場合に控除
  • シフト制:1日の所定労働時間分を、欠勤した時間として控除


加えて給与形態によっても違いがあります。「完全月給制」であれば、遅刻や早退があっても、賃金は全額支給されます。一方「月給日給制」「日給月給制」「年俸制」は、規定に応じて控除する給与形態です。

また「日給制」や「時給制」は、勤務した日にちや時間に応じて、賃金が支払われるため、欠勤控除はありません。

1日欠勤した場合

月給日給制や日給月給制の場合、1日欠勤すると1日分の欠勤控除額が差し引かれます。控除額は「月給÷月の所定労働日数×欠勤日数」で計算可能です。

例えば月給250,000円の人が、所定労働日数25日で3日間休んだ場合、「250,000円÷25日×3日=30,000円」が、1カ月の賃金から控除されます。

月の所定労働日数の設定方法は企業によって異なりますが、多くの企業が採用しているのは、「年間所定労働日数÷12カ月」で出す平均等労働日数です。労働日数が月ごとに大きく変動する場合は、該当月の所定労働日数を用いる企業もあります。

遅刻・早退した場合

遅刻や早退によって欠勤控除する際には、1日の労働時間を元に控除額を算出します。月給日給制や日給月給制では、「対象月の給与額÷月の所定労働時間×欠勤時間数」で算出が可能です。

月の所定労働時間は、一般的に1年間の平均を使用します。計算式は「(365日-1年間の休日日数)×1日の所定労働時間÷12カ月」です。

休日が120日間、1日の所定労働時間が8時間なら、「(365日-120日)×8時間÷12カ月=約163時間」です。給与額が300,000円、欠勤時間数が5時間の場合、控除額は「300,000円÷約163時間×5時間=約9,200円」と算出できます。

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欠勤控除における注意点

ビックリマークの標識を掲げる男性のイラスト従業員の遅刻・早退・欠勤に、欠勤控除を適用する場合、注意点があります。就業規則への記載方法と、各種手当の控除規定、控除対象時間には特に注意しましょう。

就業規則に詳細を明記する必要がある

労働基準法を確認しても、欠勤控除に関する詳細な定めは記載されていません。そのため欠勤控除を適用する場合、就業規則に詳細を明記します。

条件や計算は企業ごとに、自由に設定が可能です。ただし労働基準法の内容に反しないよう、注意が必要です。

就業規則で欠勤控除についての規定を明文化すれば、従業員とのトラブルを防止できます。就業規則を設けていない場合には、従業員と交わす労働契約書に、盛り込んでもよいでしょう。

関連記事:就業規則の絶対記載事項とは? 就業規則作成のポイントを解説! – ミツモア

控除対象になる手当は会社ごとに違う

企業が従業員に支払う賃金には、さまざまな手当が含まれる場合があります。これらの手当に欠勤控除を適用するか否かは、企業ごとに設定可能です。

一般的には業務に直接関連する手当は欠勤控除の対象になり、関連しない手当は対象にならないケースが多くみられます。

  • 控除対象:通勤手当・資格手当・役職手当など
  • 控除対象外:家族手当・住宅手当・地域手当など


ただし上記の区分は、法律で定められているものではありません。そのため企業によっては、家族手当や住宅手当なども含めて、控除の対象となる場合もあります。

働かなかった分以上に差し引くのはNG

欠勤控除できるのは実際に働かなかった時間のみです。そのため本来欠勤控除できる範囲を超えて、賃金を減額した場合には、欠勤に対するペナルティーとみなされます。

就業規則で「減給」に関する規定を設けているなら、労働基準法にのっとった減給処分は可能です。ただし減給総額は、「月給の10%以下」でなければいけません。10%を超える場合は法律違反です。

例えば月給250,000円の従業員に対して、減給できるのは25,000円までと定められています。また就業規則に、減給の規定を設けていないにもかかわらず、減給処分を行った場合にも法律違反です。

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欠勤控除は自社の規定にのっとって行おう

規定に当てはめて対処する人事部のイメージイラスト従業員が遅刻・早退・欠勤などにより、本来定められている出勤日数や、出勤時間の分の労働をしなかった場合、ノーワーク・ノーペイの原則にのっとって、賃金から欠勤控除を差し引けます。

欠勤控除の対象となるのは、従業員に責任のある場合か、従業員にも企業にも責任がない場合です。例えば体調不良や通院を理由に遅刻すると、欠勤控除の対象となります。

ただし法律で詳細が定められているわけではないため、細かな決まりは企業ごとに異なる点に要注意です。自社の規定をよく確認した上で、正しく処理する必要があります。

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