eラーニングを導入する際に欠かせないのが、eラーニングシステムの選定です。しかし、たくさんの製品があって特徴も各製品で異なるため、「実際に何ができるのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、eラーニングシステムが持つ基本的な機能に焦点を当てて、受講者側・管理者側それぞれの観点から機能をくわしく解説していきます。
受講者側の機能
eラーニングシステムの受講者側には、講座の受講や進捗状況のチェック、成績確認などのさまざまな機能があります。
受講機能 |
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受講・研修結果の確認 |
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コミュニケーション機能 |
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受講機能
受講機能は、受講者がeラーニングシステムを使って学習を進めるうえで中核となる機能です。主な機能は以下の通りです。
ログイン機能
受講者は専用のIDとパスワードを使ってシステムにログインします。IDとパスワードは管理者側であらかじめ設定されているものを使うのが一般的ですが、受講者自身が設定できるシステムもあります。
またシングルサインオンに対応しているeラーニングシステムでは、他の社内システムと同じIDやパスワードでログイン可能です。
学習計画・受講講座選択
受講者が自分で学習計画を立てたり、受講する講座を選択したりできる機能です。会社が指定した必須講座だけでなく、受講者が自主的に選んで受講できる講座もある場合に便利な機能といえます。
学習計画の立て方についてアドバイスしてくれるeラーニングシステムもあり、受講者の自律的な学習をサポートしてくれます。
講座の受講
教材の閲覧やライブ授業への参加などを通じて、講座を受講します。テキストや画像だけでなく、動画教材やインタラクティブな教材など、様々な形式の教材に対応しているeラーニングシステムが主流です。
教材は何度でも繰り返し学習できるようになっているのが一般的です。自分のペースで学習を進められるのがeラーニングの大きな特徴といえるでしょう。
一部の製品が対応しているライブ授業に関しては講座のスケジュールにあわせて受講する必要がありますが、講師や他の受講者とコミュニケーションを取りながら学習を進められます。
テスト実施
各講座の最後には、理解度を確認するためのテストを用意できます。テストには合格点が設定され、合格するまで繰り返し受けられるように設定可能です。
テストの形式は選択式が多いですが、記述式のテストに対応しているeラーニングシステムもあります。また、テスト結果をすぐにフィードバックしてくれる機能があると、学習の定着度を確認しながら進められて効果的です。
マルチデバイス対応
パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなど、様々なデバイスで受講できる機能です。受講者の利用端末が多様化する昨今の状況において、マルチデバイス対応は今や必須の機能といっても過言ではありません。
自宅のパソコンでじっくり学習する一方で、通勤途中にスマートフォンで空き時間を活用して学習するなど、自分のライフスタイルに合わせて学習を進められるのは、eラーニングならではの大きなメリットです。
マルチデバイス対応のシステムを選ぶ際は、動作の軽快さやユーザーインターフェースの使いやすさにも注目するとよいでしょう。
受講・研修結果の確認
受講者が自分の学習状況を確認したり、過去の履修履歴を振り返ったりできる機能です。
受講・研修結果の確認機能は、受講者の自主的な学習を促すために重要な機能です。自分の現在の状況を把握し、次にどのような学習を進めるべきかを判断する材料になります。また、自分の成長を実感することで、学習へのモチベーションを維持することにもつながるでしょう。
受講の進捗状況
各講座の受講状況や、講座全体の進捗状況を確認できます。各講座の受講完了率や、全体の進捗率などを一覧で見られます。
進捗状況をグラフや図で視覚的に表示してくれるeラーニングシステムもあり、直感的に状況を把握できます。自分の進捗を他の受講者と比較できる機能があると、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
テストの成績
各講座のテストで獲得した点数や、合格・不合格の判定結果を確認できます。テストの結果だけでなく、問題ごとの正答率や、自分が間違えた問題の傾向など、詳細な分析結果が確認できるeラーニングシステムもあります。
苦手分野を知ることで、重点的に復習するポイントが明確になります。また、テスト結果の推移をグラフ化して表示してくれる機能があると、自分の成長を実感しやすくなるでしょう。
未履修・不合格などのアラート
期限までに受講が完了していない講座や、不合格になったテストなどをアラートで知らせてくれる機能です。アラートの方法は、eラーニングシステムへのログイン時に画面で知らせる方法や、メールで通知する方法などがあります。
受講の期限が近づくとアラートの頻度が増えるなど、工夫が凝らされているシステムもあります。受講が遅れがちな受講者にとって、有用な機能といえるでしょう。
過去の履修履歴
過去に受講した講座の一覧や、取得した成績などを確認できます。講座の受講日時や、テストの受験日時なども記録されているので、いつ何を学習したかを振り返ることができます。
過去の履修履歴を分析することで、自分の学習傾向を知ることもできるでしょう。また、会社が定める資格要件を満たしているかどうかを確認するのにも役立ちます。
コミュニケーション機能
コミュニケーション機能は受講者と講師・管理者側が連絡を取り合うための機能です。
eラーニングでありがちな「一人で孤独に学習する」というイメージを払拭し、双方向のコミュニケーションを通じて学習意欲を高める効果が期待できます。また、質問やディスカッションを通じて理解を深められるのも大きなメリットです。
チャット
受講者と講師・管理者側が1対1でチャットできる機能です。
受講者はわからないことを質問したり、講師に相談したりできます。一方、講師・管理者側は学習が進んでいない受講者に個別にアドバイスしたり、フォローしたりできます。
チャットの履歴を参照できると、過去のやり取りを振り返ることもできて便利です。またチャットをするだけでなく、ファイルを送受信できる機能もあると、レポートの提出なども簡単に行えます。
グループディスカッション
複数の受講者と講師・管理者側がグループチャットできる機能です。ライブ配信形式の講座で、受講者同士のディスカッションに使われることが多いです。グループディスカッションを通じて、受講者同士が刺激し合いながら学習を深めていくことができます。
またチャット以外にも、掲示板やフォーラムのような形式で意見交換ができる機能を持つeラーニングシステムもあります。
管理者・講師側の機能
eラーニングシステムの管理者・講師側には、 研修プログラムや教材コンテンツの作成、メール通知などのさまざまな機能があります。
研修プログラム作成機能 |
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教材作成機能 |
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受講・研修結果の管理 |
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通知機能 |
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ユーザー管理 |
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研修プログラム作成機能
研修プログラムをeラーニングシステム上で組み立てられる機能です。複数の講座をまとめることで、体系的な学習を実現します。単発の講座を受講するだけでは得られない、体系的な知識やスキルの習得が期待できます。
またプログラムごとに受講対象者を設定できると、社員の階層やポジションにあわせた教育も実現しやすくなります。
講座の順番指定
プログラム内の講座を、受講者が受講すべき順番に並べることができます。たとえば、基礎知識を学ぶ講座からスタートして、応用的な内容へ徐々に進む構成にすることで効果的な学習が期待できます。
習熟状況などの講座の前提条件を設定できる機能があると、受講者が無理のない順番で学習を進められるようサポートできます。
修了・未修了判定
プログラム内のすべての講座を受講完了したかどうか判定できる機能です。プログラムの修了状況を設定でき、たとえば「すべての講座を80%以上の正答率で受講完了すること」といった条件を課すことができます。
修了者と未修了者を区別して管理できるので、未修了者へのフォローがしやすくなります。
研修プログラムのテンプレート
新入社員研修や管理職研修など、よく実施される研修プログラムのテンプレートを活用できる機能です。
テンプレートをそのまま使うだけでなく、自社の状況に合わせてカスタマイズできるシステムだと、活用の幅がさらに広がります。自社の研修制度に合ったプログラムを効率的に作成できるでしょう。
教材作成機能
教材作成機能は、講座で使用する教材やテストをeラーニングシステム上で作成できる機能です。
教材作成機能はeラーニングの中核を担う機能のひとつです。高品質な教材を効率的に作成できるかどうかがeラーニングの効果に直結するといっても過言ではありません。
使いやすい教材作成機能を備えたeラーニングシステムを選べば、教育担当者の負担を軽減しつつ、より効果的な教育が実現します。
教材コンテンツの作成
eラーニングシステムで活用する教材コンテンツを作成できる機能です。
eラーニングシステムで作成できる教材コンテンツの種類は、テキストや画像だけでなく、動画、音声、インタラクティブなコンテンツなど、多岐にわたります。
動画教材の場合、ライブ収録した講義を編集して使う方法や、ナレーション付きのスライド教材を作成する方法などがあります。インタラクティブなコンテンツでは、クリックやドラッグ操作で学習を進められるコンテンツや、シミュレーション形式の教材などを作成できます。
教材の作成方法は、システムによって異なります。Wordやパワーポイントなどで作成した教材ファイルをアップロードするだけで教材化できるシステムもあれば、専用の教材編集ツールを使って作成するシステムもあります。
教材編集ツールの中にはプログラミングの知識がなくても、インタラクティブな教材を直感的な操作で作成できるものもあり、専門的な知識がなくても高品質な教材作成が可能です。
テスト作成
理解度を確認するためのテストを作成する機能です。選択式の問題だけでなく、記述式の問題やマッチング形式の問題など、さまざまな形式の問題を作成できるeラーニングシステムが望ましいでしょう。
問題の作成だけでなく、自動採点や、受講者へのフィードバック方法の設定が行えるシステムもあります。また、問題の難易度を設定できる機能があると、受講者のレベルに合わせたテストを作成することもできます。
ライブ配信対応
ライブ形式で講座を配信できる機能です。講師がリアルタイムで講義を行い、受講者はチャットやQ&Aの機能を使って講師とコミュニケーションを取りながら学習を進めます。
ライブ配信の講座を作成する際は、スライド教材や補助教材の準備に加えて、配信スケジュールの設定や、講師の割り当てなども行う必要があります。これらの設定が簡単にできるシステムだと、ライブ講座の運営がスムーズに行えるでしょう。
受講・研修結果の管理
管理者・講師側から、受講者の学習状況を把握したり、成績を管理したりする機能です。
受講・研修結果の管理機能は、教育の質を保つために欠かせない機能です。受講者の状況を的確に把握できれば、教育の改善点を見つけ出すことができます。
そして個々の受講者に合わせたフォローを行うことで、受講者の満足度を高め、eラーニングの効果を最大化できます。
ダッシュボード
受講者ごと、講座ごと、部門ごとなど、様々な切り口で学習状況を一目で把握できる機能です。
リアルタイムで最新の状況が確認できるので、問題のある受講者や部門にすぐに対応することができます。過去の特定の時点の状況を確認すれば、受講者の成長の軌跡を追うこともできるでしょう。
ダッシュボードの表示項目をカスタマイズできると、より自社の状況に合った分析が可能になります。
フォローが必要な受講者の検出
学習が遅れている受講者や、テストの成績が芳しくない受講者を検出する機能です。自動化によって教育担当者の負担を大幅に減らせます。検出のための条件設定が柔軟にできると、より細やかなフォローが可能になるでしょう。
検出された受講者に対しては、個別にメッセージを送ったり、補講の講座を割り当てたりと、適切なフォローアップが行えます。
通知機能
管理者・講師側から受講者に対して連絡事項を伝えたり、受講の催促をしたりする機能です。
通知機能は、受講者とのコミュニケーションを円滑に行うために重要な機能です。適切なタイミングで必要な情報を届けることで、受講者の学習意欲を維持し、スムーズな学習の進行を促すことができるでしょう。
メール通知
受講締切やリマインドなどの連絡事項をメール経由で伝えられる機能です。またメールのほかにログイン画面での通知や、スマートフォンのプッシュ通知などの通知方法もあります。
後から確認する可能性がある連絡事項はメールで通知、重要な連絡事項は一定期間ログイン画面で通知するなど、状況に応じて通知方法を組み合わせると、より効果的な連絡が可能になります。
通知範囲の設定
通知の対象範囲を設定できる機能です。全受講者に一斉に通知する場合もあれば、特定のグループや個人にだけ通知したい場合もあるでしょう。通知範囲の設定を細かく行えると、受講者にとって必要な情報だけを的確に届けられます。
また、通知のスケジュールをあらかじめ設定できる機能があると、計画的な連絡が行えて便利です。
ユーザー管理
eラーニングシステムを利用するユーザー(受講者、講師、管理者など)を管理する機能です。
ユーザー管理機能は、eラーニングシステムを安全かつ効率的に運用するための基盤となる機能です。ユーザー情報を適切に管理し、ユーザーの役割に応じたアクセス制御を行うことで、情報漏えいのリスクを抑えつつスムーズな教育の実施が可能になります。
ユーザー登録
受講者や管理者などのユーザー情報をeラーニングシステムへ登録する機能です。CSVファイルを活用したリストのインポートで一括登録できる製品もあります。
また人事システムなど他の社内システムと連携して、ユーザー情報を同期できるものもあります。
グループ管理
ユーザーをグループ分けして管理できる機能です。
部署や役職、受講する研修プログラムなど様々な基準でのグループ化が可能です。そしてグループごとに受講可能な講座を設定したり、グループ単位での通知を行ったりと、グループを活用した管理が行えます。
またグループごとに講座の受講期限を設定できると、部署ごとの業務スケジュールに合わせたeラーニング運用が可能になります。
アクセス制御
セキュリティの関連から、ユーザーの役割に応じて利用可能な機能を制限する機能です。
受講者は講座の受講のみ、講師は講座の作成と受講者の管理のみ、管理者はシステムの全機能を利用可能、といった具合に、ユーザーの種類ごとに権限を設定できます。
また、講座ごとにアクセス権を設定できる機能があると、機密性の高い講座を特定のユーザーだけに公開する、といった運用も可能になります。
まとめ
eラーニングシステムは、企業の人材育成を支える重要なインフラのひとつです。そして、効果的かつ効率的なeラーニングを実現するためには、自社の教育目的や教育対象者を見極めたうえでのシステム選びが欠かせません。
eラーニングシステムを活用して社員の能力を最大限に引き出し、会社の発展に寄与する人材を育成していきましょう。
次の記事ではおすすめのeラーニングシステム各製品を特徴や機能で比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
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