社内教育や従業員のスキルアップを促進する手段として、eラーニングシステムの導入が注目されています。しかし、受講者数が増えるほど導入費用が高くなり、企業にとって大きな負担となるケースも少なくありません。そこで、補助金や助成金を活用することで、導入コストを抑えながら従業員の成長や業務改善を実現することが可能です。
本記事では、eラーニングシステム導入時に利用できる補助金や助成金の具体的な申請要件や申請方法、さらに活用時の注意点について詳しく解説しています。
eラーニングシステム導入に使える補助金・助成金
eラーニングシステム導入には人材開発支援助成金やIT導入補助金、オンラインスキルアップ助成金が使えます。さらに、人材開発支援助成金は目的によって3つのコースにわけられます。
補助金・助成金名 | 補助・助成率 | 補助・交付制限額 | おすすめのケース | |
---|---|---|---|---|
人材開発支援助成金 | 人材育成支援コース | 45~70% | – |
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人への投資促進コース(定額制訓練) | 45~60% | – |
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事業展開等リスキリング支援コース | 60~75% | – |
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IT導入補助金 | 1/2 | 5万円以上15万円未満(1プロセス以上)
150万円以上450万円未満(4プロセス以上) |
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オンラインスキルアップ助成金 | 1/2~2/3 | 20~27万円まで |
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人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は厚生労働省の助成金で、eラーニングシステムには「人材育成支援コース」や「人への投資促進コース(定額制訓練)」、「事業展開等リスキリング支援コース」の3つのコースが活用できます。
①人材育成支援コース
人材育成支援コースは職務に関連する知識や技能を習得するための訓練を計画にもとづいて実施した際、訓練費用等を助成するものです。
申請要件
- 標準学習時間が10時間以上かつ1カ月以上であること
- 訓練あたりの経費が判断できないサブスクリプション型ではないこと
- 広く国民の職業に必要な知識及び技能の習得を図ることを目的とし、特定の事業主に対して提供することを目的としたものではないこと
2番目の申請要件が重要で、サブスクリプション型のeラーニングシステムは適用外となります。そのため、一般的なクラウド型のeラーニングシステムを導入する場合は対象にならないため注意しましょう。
経費助成
経費助成(通常) | 経費助成(賃金要件を満たした場合) | |
正規雇用労働者 | 45% | 60% |
非正規雇用労働者 | 60% | 75% |
非正規雇用から正規雇用に転換した労働者 | 70% | 100% |
申請方法
- 訓練計画の提出
- 訓練の実施
- 支給申請書の提出
- 助成金の支給/不支給決定
ただし、訓練計画は訓練実施の1カ月前までに、支給申請書は訓練終了の翌日から2カ月以内に提出する必要があります。
②人への投資促進コース(定額制訓練)
人への投資促進コースは「人への投資」を加速化するために訓練経費等を助成するものです。このコースでは①の人材育成支援コース(定額制訓練)では適用外であったサブスクリプション型のeラーニングシステムが対象になります。
申請条件
- 定額制サービスの訓練であること
- 受講の合計時間数が10時間以上かつ実施期間が1年以内であること
- 職務に関連した専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練であること
2番目の申請条件について、契約期間が1年を超えるeラーニングシステムについては初日から1年ごとに申請をおこない、それぞれ申請条件をすべて満たせば助成を受けられます。
経費助成
経費助成(通常) | 経費助成(賃金要件を満たした場合) | |
中小企業 | 60% | 75% |
大企業 | 45% | 60% |
申請方法(人材育成支援コースと同じ流れ)
- 職業訓練実施計画届の提出
- 訓練の実施
- 支給申請書の提出
- 助成金の支給/不支給決定
職業訓練実施計画届は契約開始日の1カ月前までに、支給申請書は訓練修了段階以降に提出する必要があります。
③事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは新規事業の立ち上げに伴う、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に経費等を助成するものです。
申請条件
- OFF-JTにより実施される訓練であること
- 標準学習時間が10時間以上かつ1カ月以上であること
- 以下の2つの条件のいずれかを満たすこと
- 事業展開をおこなうにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識や技能の習得向けの訓練であること
- 事業展開はおこなわないが、DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める場合に必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練であること
経費助成
経費助成 | |
中小企業 | 75% |
大企業 | 60% |
申請方法(人材育成支援コースと同じ流れ)
- 職業訓練実施計画届の提出
- 訓練の実施
- 支給申請書の提出
- 助成金の支給/不支給決定
ただし、訓練計画は訓練実施の1カ月前までに、支給申請書は訓練終了の翌日から2カ月以内に提出する必要があります。
人材開発支援助成金がおすすめのケース
- 計画的な人材育成を実施している場合
- 定額制(クラウド型)で定期的な社員教育をおこないたい場合
- 事業転換や新規事業展開を計画している場合
人材開発支援助成金は、計画的に人材育成を行っている企業に適した助成金です。申請条件にもある通り、計画的な人材育成を実施していると、申請が通りやすくなります。
「人への投資促進コース(定額制訓練)」はサブスクリプション型のeラーニングが対象となっているため、クラウド型のeラーニングシステムの導入に適しています。
また、新規事業展開を計画している場合には事業展開等リスキリング支援コースがおすすめです。
IT導入補助金
IT導入補助金は中小企業や小規模事業者がITツールを導入する経費の一部を補助する制度です。eラーニングの導入には「通常枠」が活用できます。通常枠ではソフトウェアの購入費やクラウド利用料(最大2年分)が補助対象となります。
申請条件
- IT導入補助金が定める「中小企業」もしくは「小規模事業者」に該当していること
- 「gBizIDプライム」アカウントを取得していること
- 「SECURITY ACTION」宣言を実施していること
- 「みらデジ経営チェック」を実施していること
補助率や補助額
補助率 | 補助額 | |
1プロセス以上 | 1/2以内 | 5万円以上150万円未満 |
4プロセス以上 | 1/2以内 | 150万円以上450万未満 |
申請方法
- 事業の理解やITツールの選択
- 交付申請
- 事業の実施
- 事業実績報告
- 補助金交付手続き
- 事業実施効果報告
交付申請後に補助金が交付されるかどうかが決定しますが、具体的な交付額は事業実績報告完了後に確定します。申請から補助金額の決定までに時間差がかなりある点に注意しましょう。
IT導入補助金がおすすめのケース
- eラーニングシステム全体の導入を検討している場合
- 大規模な投資が必要な場合
- ほかのITツールと連携させてeラーニングシステムを導入する場合
社内研修のデジタル化に伴うインフラ整備が必要となるような システム全体の導入を検討している場合やカスタマイズ性の高いシステムを導入するために大規模投資が必要となる場合にIT導入補助金は有効です。
また、eラーニングシステムを導入するだけでなく、ほかのITツールと連携させて全社的な業務効率化を図る場合、IT導入補助金の対象になりやすいです。
オンラインスキルアップ助成金
オンラインスキルアップ助成金はe ラーニング等により実施する職業訓練にかかわる経費の一部を助成することで、企業における従業員の職業能力の開発及び向上を促進する制度です。
申請条件
- 都内に本社または主たる事業所があること
- 訓練の経費を受講者に負担させていないこと。
- 助成を受けようとする訓練について、国や地方公共団体から助成を受けておらず、今後も受ける予定がないこと
- 過去5年間に重大な法令違反等がないこと
助成率や交付上限額
助成率 | 交付上限額 | |
小規模事業者 | 助成対象経費の2/3 | 27万円 |
中小企業(通常) | 助成対象経費の1/2 | 20万円 |
中小企業(非正規雇用労働者が全体の2割以上) | 助成対象経費の2/3 | 27万円 |
受講者のうち非正規雇用労働者が全体の2割以上の条件は交付申請と実績報告時の両方で必要となります。交付申請時に2割以上でも実績報告時に2割を下回っていたら、助成額は助成対象経費の1/2になります。
申請方法
- 交付申請書の提出
- 訓練の実施
- 実績報告書提出
- 助成金の支給/不支給決定
ただし、交付申請書の提出は訓練実施の1カ月前までに提出する必要があります。
オンラインスキルアップ助成金がおすすめのケース
- 補助金や助成金申請の経験が少ない場合
- 個人事業主や小規模事業者
- IT導入補助金や人材開発支援助成金の条件を満たしにくい場合
オンラインスキルアップ助成金は補助金と異なるため、申請条件の達成のハードルがほかと比べて低いです。そのため、はじめて補助金や助成金申請をする方や小規模事業者の方におすすめの助成金です。
補助金や助成金を利用する際の注意点
補助金や助成金を利用する際には支給額が事業規模や雇用形態によって変動することに注意しましょう。また、補助金や助成金の利用には審査があり、申請が受理されずに補助金が支給されなかったり、受理されたとしても申請から支給までには一定の時間がかかってしまう点に注意しましょう。
支給額は事業規模や雇用形態に応じて変わる
補助金や助成金を利用する際には、支給額が事業規模や雇用形態に応じて変わる点に注意が必要です。
事業の規模が大きいほど自己負担を求められる割合が高くなる傾向があります。一方、小規模事業者は経済基盤が脆弱であるため、補助率が高く設定されることが多いです。また、補助金や助成金の中には正社員の雇用促進を目的としたものがあり、正社員を多く雇用している事業者の方が高い支給額を受けられることがあります。
助成金や補助金によって支給要件が異なるため、自社の事業規模や雇用形態を見直し、補助金の要件に適合しているかを事前に確認することが重要です。
絶対に支給されるとは限らない
申請内容が補助金の趣旨や目的に適合していなかったり、必要な書類に不備があった場合、申請が受理されない可能性があります。また、審査では計画書や見積書の具体性も重要視されるため、内容が不十分だと不採択となる場合があります。
また、採択後に事業計画を大幅に変更したり、要件に適合しなくなった場合、支給が取り消されることがあります。また、実績報告が適切に行われなければ、支給が停止される可能性もあるため、報告義務を怠らないよう注意が必要です。
申請から支給されるまでに時間がかかる
補助金や助成金の申請は、通常、審査を必要とします。この審査には、申請内容の確認、提出された書類の審査、要件の確認など、複数のプロセスが含まれます。これらのプロセスを経て、最終的に支給が決定されるため、申請から支給までには一定の時間がかかることが一般的です。
まとめ
eラーニングシステムの導入には人材開発支援助成金やIT導入補助金、オンラインスキルアップ助成金が活用できることを確認しました。それぞれ申請要件が異なるので、その要件と自社の事業や雇用形態等を照らし合わせなが最適な補助金や助成金を見極めることが大事です。
自社のニーズに合った補助金や助成金を選び、スムーズに申請手続きを進めることで、経済的負担を軽減しつつ従業員の成長や業務改善に繋げましょう。
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