時間や場所にとらわれずに学習できるeラーニングシステム。しかし市場にはさまざまな製品が出回っており、自社のニーズにマッチするeラーニングシステムを選ぶのは意外と困難な作業となります。
この記事では、自社の目的にぴったりのeラーニングシステムを選ぶための6ステップを解説します。
ステップ1:自社のニーズと目的の特定
eラーニングシステム選びの第一歩は、導入によって実現したい目標を明確にするところから始まります。まずは、次の3点をしっかりと確認しておきましょう。
〈確認しておきたい3つのポイント〉
研修対象者 | 社員全員、特定部門、新入社員など誰を対象とするのか、対象者の属性や人数を把握する |
研修内容 | コンプライアンス、業務スキル、マネジメント能力など、身につけてほしい知識や能力は何か |
目標 | 営業パフォーマンスの向上、人材育成の効率化、研修コスト削減など、eラーニング導入でどのような効果を期待するのか |
ここでは、導入に向けた短期的な目標と、中長期的な目標を分けて設定することをおすすめします。システム選定時の判断基準となるだけでなく、運用フェーズでのPDCAサイクルの指針にもなります。
ステップ2:予算の決定
実現したい目標を明確にしたら、eラーニングシステムにかけられる予算を設定しましょう。
一般的な費用相場として、システムのライセンス料金は従業員1人あたり月額500円~2000円ほどかかります。またシステムを単体で構築する場合は、2万円~10万円ほどを見積もっておくとよいでしょう。料金体系はアカウント数や機能数によって異なります。
ニーズによっては高機能なeラーニングシステムが求められるので、検討の際は概算予定額を設定しておくことが重要です。自社の目標達成とコスト効率の両側面を照らし合わせて、バランスを考慮していくとよいでしょう。
ステップ3:必要な機能の洗い出し
設定した目的・目標に沿って、必要な機能を洗い出していきます。
〈受講者向け機能の例〉
- テスト/アンケート機能
- 掲示板/チャット機能
- 学習履歴の管理・共有
- マルチデバイス対応
〈管理者向け機能の例〉
- 受講者の管理・アサイン
- 学習進捗の一括管理
- 教材の作成・アップロード
- レポート出力・分析
- 通知・メール送信
細かい機能や仕様は製品によって異なります。たとえば、テストでは合格基準の設定方法や自動採点の有無、学習者へのフィードバック機能の有無など、チェックすべきポイントは多岐にわたります。
そのため、自社の具体的な運用シーンを想定し、機能要件を徹底的に洗い出すことが重要です。この機能要件リストは、後のベンダー選定でのチェックリストとしても活用できます。
また、業務システムとの連携やセキュリティ対策なども要件化しておくと、より現実的な選定が可能になります。
ステップ4:既存コンテンツの有無確認
eラーニングでは教材となるコンテンツが非常に重要です。コンテンツは自社で作成するのか、ベンダーが提供する既存コンテンツを活用するのかを、この段階で検討しましょう。
自社に研修教材がある場合は教材作成機能があるものを選ぶのがおすすめです。自社に研修教材がなく、教材作成に時間や費用がかかる場合は既存コンテンツが充実している製品を選ぶとよいでしょう。
自社でコンテンツを作成する場合、システムの教材作成機能が使いやすいかどうかが大きなポイントになります。動画編集や台本作成、アニメーション機能なども確認が必要です。作成工数を大幅に削減できる機能があれば大きな助けとなるでしょう。
一方、既存コンテンツを活用する場合は、コンテンツの質や内容が自社のニーズに合致しているかを入念にチェックする必要があります。汎用的な内容なのか、特定分野の専門的な内容なのかによっても、活用のしやすさが変わってきます。また、コンテンツの更新頻度や、オリジナルのカスタマイズ可能性なども考慮ポイントになります。
ステップ5:有力候補の選定とデモ評価
機能要件リストができあがったら、次は市場調査を実施し、自社の要件を満たす有力なeラーニングシステムを選定します。eラーニングシステムを提供するベンダーの数は60社以上と言われており、ウェブでの検索や事例紹介を参考にしながら、候補システムのリストアップを行います。
リストアップの際は、単に要件を満たしているかどうかだけでなく、以下の点にも留意しましょう。
- 提供側の実績やサポート体制
- 価格と機能、対応ユーザー数のバランス
- システムの柔軟性と拡張性
- 業界の評判やレビュー
こうした観点から、5~10社程度を候補として絞り込みます。候補のサービスを比較して、システムを2~3製品ほどまで絞り込みましょう。
そして最後に、候補システムのトライアルを受けてシステム評価を行います。トライアルでは使いやすさや機能の具体的な動作を確認できるため、受講者視点で操作性を体験することも重要です。受講者の理解度やモチベーションに直結するUI/UXについては、特に入念なチェックが欠かせません。
ステップ6:サポート体制とコスト検証
トライアル評価を経て、最終候補の製品に絞り込みます。この段階でサポート体制の確認と、コストの詳細な検証を行います。
サポート体制については、導入時と運用時のフォロー体制、問い合わせ対応の質と対応時間、障害発生時の対応フローなどを十分にヒアリングしましょう。対企業の対応はもちろん、受講者への対応にも目を向けることが大切です。
コストについては導入コストと運用コストを分けて検証する必要があります。導入コストではライセンス料金、導入支援費用、初期設定費用などを確認します。運用コストではシステム更新やコンテンツ追加、利用者数の変動に伴う費用を把握しましょう。
さらに、APIの提供の有無やシステム連携の費用についても、将来を見据えてチェックしておく方が賢明です。可能であれば、数年先を想定したTCO(Total Cost of Ownership)を算出し、総合的なコストパフォーマンスで最終判断することをおすすめします。
まとめ
eラーニングシステムは企業の人材育成に欠かせないツールとなっています。しかし、数多くのシステムが存在する中で、自社に最適なものを選ぶのは簡単ではありません。
本記事では、自社のニーズや目標を起点に、ステップを踏んで検討を進めることが重要であると解説しました。機能要件の洗い出し、コンテンツ確保方法の検討、有力候補のデモ評価、サポートとコストの検証などを経ていけば、最適なeラーニングシステムを選定できます。
人材育成の基盤として、eラーニング活用の第一歩を歩み始めてみてはいかがでしょうか。
次の記事ではおすすめのeラーニングシステム各製品の特徴や機能を比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
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