データベースは、業務システムやアプリケーションの要であり、その選定と費用に関する理解は重要です。
この記事では、初期費用や月額料金について詳しく解説するとともに、企業の規模や運用方針に合わせた最適な選択をするためのポイントを紹介し、おすすめ製品も併せてご提案します。
データベースの費用相場
データベースの費用相場は、システムの規模や用途によって大きく異なり、小規模なものでは5万円〜30万円、大規模な基幹システムでは数千万円に達することもあります。用途に応じた適切な予算計画が、効率的で効果的なデータベース運用の鍵となります。
システム規模 | 費用相場 |
個人事業主向け | 5万円〜30万円 |
中小企業向け | 30万円〜300万円 |
大企業向け | 500万円〜 |
基幹システム | 3000万円〜 |
個人事業主向け
個人事業主の多くは、エクセルやスプレッドシートを使ってデータを管理していることが一般的です。これらのツールは手軽に利用できるうえ、コストもかからないため、小規模なデータ管理には十分対応できる場合が多いでしょう。しかし、顧客管理や伝票管理など、扱うデータが増えてくると、手作業が増えて効率が悪くなることがあります。
そのような課題を解決する手段として、シンプルなデータベースシステムの導入が挙げられます。データベースシステムを利用すれば、複雑な設定やプログラミングを必要とせず、データの検索、追加、更新、削除といった作業をスムーズに行うことが可能です。また、エクセルなどで管理していた既存データを簡単に取り込むことができるため、移行もスムーズに進みます。
こうした小規模なデータベースは、個人事業主や少人数のチームでも利用しやすく、顧客管理、名刺管理、伝票管理など、日常業務に必要な機能がしっかりと備わっています。また、構築費用の目安は、内容や規模によって異なるものの、5万円から30万円程度で収まる場合が多いです。短期間で導入できる点も大きな魅力です。
中小企業向け
中小企業向けのデータベース構築費用は、一般的に30万円から300万円程度が相場とされています。この価格帯は、データの規模や必要な機能、導入するシステムの種類によって異なります。中小企業でよく利用されるデータベースの用途には、注文管理、在庫管理、営業リストの管理などがあります。これらのデータを一元化することで、情報を効率的に抽出でき、業務全体の効率化が期待できます。
データベースを導入することで、従業員の負担を軽減し、人的ミスを防ぐことが可能です。特に、業務において重要なデータを扱う場合には、予算を確保し、信頼性の高いシステムを構築することが推奨されます。
具体的な導入例として、小規模なシステムではNAS(ネットワーク接続型のHDD)を活用した簡易的なデータベースが挙げられます。この方法では、数人の従業員で情報を共有しやすい環境を構築でき、エクセルで分割管理していたデータを一元化することができます。例えば、勤怠管理や顧客リストの統合といった、日常業務を効率化するシステムに適しています。
大企業向け
大企業向けのデータベース構築費用は、一般的に500万円以上が相場とされています。この費用は、データの規模やシステムの複雑さ、多人数での利用を想定した環境構築の必要性によって大きく異なります。大企業でよく利用されるデータベースの用途としては、商品やサービスの入出庫管理、顧客管理、仕入先管理が挙げられます。
大企業では、複数の部署や多くの従業員が同時にデータベースを利用することが一般的です。そのため、信頼性が高く安定したシステムを構築することが欠かせません。大量のデータを効率よく処理するためには、高性能な専用サーバーの導入が必要です。サーバーの性能が不足していると、システムが遅くなったり停止したりするリスクが生じます。また、無償版のデータベースソフトでは対応が難しいケースが多く、有償版の商用データベースを利用することで拡張性と信頼性を確保することが求められます。
具体的に使用されるデータベースとしてWebシステムを基盤にしたデータベースの利用が一般的です。この際によく採用されるデータベースには、MySQLやPostgreSQLがあります。MySQLはオープンソースで提供されており、シンプルな業務から中規模システムまで幅広く対応可能です。一方、PostgreSQLは高度なトランザクション処理や複雑な業務要件にも対応できるため、大企業のニーズに適しています。
基幹システム向け
基幹システム用のデータベース構築費用は、一般的に3000万円以上とされています。基幹システムは、企業全体の業務を統合して効率化を図るための重要なシステムです。このシステムに利用されるデータベースは、販売管理、生産管理、人事管理、会計管理、企業資源の管理など、多岐にわたる業務を支える役割を担っています。
基幹システムでは、大量の業務データを一元管理する必要があるため、データベースの規模が非常に大きくなります。その結果、導入や運用にかかるコストが高額になる傾向があります。さらに、企業ごとに異なる要件に対応するため、カスタマイズが必要になることが多く、開発期間が長期化する場合も少なくありません。また、システム稼働後には、保守やアップデートといった継続的なメンテナンス費用も発生します。
基幹システムで使用されるデータベースは、大量のデータ処理や高い信頼性が求められるため、商用の有料データベースが主流です。たとえば、Oracle Databaseは大規模なトランザクション処理や高度なセキュリティ機能に対応しています。Microsoft SQL Serverは柔軟な拡張性を備え、複数の業務システムと連携することが可能です。SAP HANAは、ERPシステムとの統合に適しており、リアルタイム分析にも対応しています。これらのデータベースは、単独で利用されるのではなく、基幹システム全体の一部として統合される形で導入されるのが一般的です。
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データベース構築費用を決める要素
データベース構築の費用に影響を与える要素について解説します。
テーブル・カラム・レコード・リレーションの数
テーブル・カラム・レコード・リレーションのそれぞれの数が増えるほど費用に大きな影響を与えます。
テーブル
テーブルは、データベース内でデータを整理し、効率的に管理するための基本的な単位です。それぞれのテーブルは、データの種類や特性に応じて設計され、関連する情報を規則正しく格納する役割を持っています。テーブルを利用することで、データを項目ごとにまとめ、一つの集合体として扱えるようになり、効率的なデータ管理が可能になります。
テーブルは、エクセルのシートに例えられることがよくあります。エクセルのシートが特定のデータを管理するように、データベース内のテーブルも、それぞれ独立して顧客情報や商品情報、取引履歴などを管理します。複数のテーブルを持つデータベースでは、それぞれのテーブルが互いに関連付けられ、必要に応じてデータを組み合わせて利用できる構造になっています。
ただし、テーブルの数が増えすぎると、管理が複雑化し、構築や運用にかかるコストが増大することがあります。そのため、テーブルを設計する際には、データの種類や使用目的を十分に考慮し、適切な構造を整えることが重要です。また、データの重複や不整合を防ぐために、正規化などの設計手法を用いることで、データベース全体の品質を高めることができます。
カラム
カラムは、テーブル内で「属性」を表すデータ項目を指し、データベースを構成する基本的な要素の一つです。エクセルで例えると、垂直方向に並ぶ「列」に該当します。たとえば、A列やB列、C列といった形式でデータが整理されており、それぞれの列が特定のデータの種類や属性を表しています。
カラムは、テーブル内のすべてのレコードで共通する情報を管理する役割を持っています。顧客情報を管理するテーブルを例にすると、「顧客名」「住所」「電話番号」といったカラムが設定され、それぞれのカラムが対応するデータを格納します。このように、カラムはデータを整理し、検索や更新を効率化するために欠かせない要素です。
レコード
レコードは、データベース内でデータそのものを指す単位であり、テーブル内の一つの行を構成します。エクセルで例えると、水平方向に並ぶ「行」に該当します。具体的には、1行目、2行目、3行目のように順番に並ぶデータの集まりがレコードと呼ばれます。
レコードは、一つのデータセットを表し、テーブル内のカラムに対応する項目がすべて含まれています。例えば、顧客情報を管理するテーブルでは、「顧客名」「住所」「電話番号」といったカラムに対応して、一人の顧客に関するデータが一つのレコードとして格納されます。こうしたレコードが複数集まることで、テーブル全体のデータが形成されます。
リレーション
リレーションは、データベース内でテーブル同士の関係性を定義する概念です。リレーショナルデータベースでは、このリレーションを設定することで、複数のテーブルのデータを関連付け、効率的に管理し操作することが可能になります。エクセルで例えるなら、異なるシートのデータを関連付けて使うイメージに近いものがあります。
リレーションは、データベース設計において重要な役割を果たします。例えば、顧客情報を管理するテーブルと販売情報を管理するテーブルがある場合、両方のテーブルに「顧客ID」という共通のカラムを設けることで、どの顧客がどの商品を購入したのかを追跡できるようになります。また、販売情報を管理するテーブルと在庫情報を管理するテーブルに「商品ID」を設定すれば、販売履歴と在庫状況を簡単に紐付けることができます。
リレーションの設計は、データの活用を効率化する上で重要なだけでなく、業務の正確性や整合性を保つためにも欠かせません。例えば、顧客の購入履歴や在庫状況を同時に確認する必要がある場合、リレーションによって関連付けられたデータを基にして、必要な情報を迅速に取得することができます。
データベースの共有手段
データベースの共有方法や利用する人数は、構築費用や運用コストに大きな影響を与えます。特に、複数の拠点でデータを共有したり、インターネットを利用してアクセスを可能にしたりする場合、単独利用(スタンドアロン)の形式と比べて、費用が増加する傾向があります。共有方法を選ぶ際には、事前に利用環境やアクセス人数を明確にしておくことが重要です。
スタンドアロン形式でデータベースを利用する場合は、比較的低コストで運用を始められます。たとえば、個人のPCにAccessをインストールし、データベースを構築する方法では、Accessの購入費用と設計・構築費用だけで十分です。この形式は、単一のユーザーによる利用には適していますが、複数のユーザーが同時にアクセスすることはできず、共有の自由度が制限されます。
一方、社内LANを利用してデータベースを共有する場合は、専用のデータベースサーバーを構築する必要があります。この方法では、サーバー機器の導入やネットワーク環境の整備が必要となり、初期費用が高額になる場合があります。また、利用するユーザーが多くなるほど、アクセスをスムーズに保つために高性能なサーバーやネットワーク機器の導入が求められます。
インターネットを利用して複数の拠点でデータベースを共有する場合は、さらに高額な費用が発生することがあります。この形式では、セキュリティ対策やクラウド環境の構築、高速で安定したネットワーク回線の確保が重要な要素となります。また、インターネットを介した共有はセキュリティリスクが高まるため、データを保護する暗号化や認証システムの導入が不可欠です。
セキュリティの強度
データベースのセキュリティは、機密情報の保護や業務の信頼性を確保する上で欠かせない要素です。セキュリティ対策には、アクセス制御、データ暗号化、監査ログの管理、定期的なバックアップ、侵入検知システム(IDS)の導入、セキュリティパッチの適用などが含まれます。これらの対策を講じることで、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑え、データの整合性と可用性を維持することが可能になります。
特に、機密性の高い情報を扱うデータベースでは、強固なセキュリティ対策が求められます。企業が保有するデータの多くは社外秘であり、その漏洩は事業に深刻な影響を与える可能性があります。そのため、セキュリティ対策をどの程度まで実装するかが非常に重要であり、それによって構築費用や運用コストが大きく変動します。
スタンドアロンのデータベースをインターネットに接続せずに利用する場合は、外部からの不正アクセスのリスクは低くなります。しかし、現代の業務環境ではインターネットを利用したデータ共有やリモートアクセスが一般的であり、このような利用方法では、セキュリティ対策を適切に施さなければなりません。アクセス経路が多様化するほど、セキュリティの強度を高めることが求められ、それに伴いコストも増加します。
たとえば、アクセス制御では、ユーザーごとに権限を設定し、不必要なデータへのアクセスを制限します。データ暗号化により、万が一データが盗まれた場合でも、その内容を解析されるリスクを低減できます。また、監査ログを適切に管理することで、不正行為の検知や追跡が可能となり、セキュリティレベルをさらに向上させることができます。
おすすめのシステム開発企業6選
データベース構築を依頼できるおすすめのシステム会社8選を紹介します。
会社 | 得意業界 |
株式会社シーイーシー | 不動産、飲食、流通・小売、IT・インターネット、教育 |
株式会社メディアフュージョン | 教育 |
株式会社創研 | 飲食、流通・小売、医療・福祉、旅行・ホテル |
株式会社アシスト | 不動産、金融、飲食、流通・小売、建設・建築、IT・インターネット、運輸・物流、製造、教育、医療・福祉、エネルギー、公共 |
株式会社ビッグコマース | 不動産、流通・小売、運輸・物流、教育、旅行・ホテル、アミューズメント・レジャー |
EBAテック株式会社 | 不動産、金融、流通・小売、IT・インターネット、運輸・物流、製造、医療・福祉、旅行・ホテル、アミューズメント・レジャー、エネルギー、公共 |
データベース構築を外注する際に適したシステム会社を選ぶポイント
データベース構築を外注する際、適切なシステム会社を選ぶことは、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。選定の際には、実績や専門性、担当者の対応力、コスト管理といった複数の視点から慎重に判断する必要があります。
自社開発の比率は高いか
データベースの構築や設計は、システム開発の一環として行われることが一般的ですが、その開発手法やプロセスは企業によって大きく異なります。全工程を自社で完結する企業がある一方で、案件を受注するだけで、実際の作業を下請け企業に任せるケースも少なくありません。
多重請負が発生する場合、開発費用に中間マージンが加算され、結果的にコストが膨らむ傾向があります。請負の段階が増えれば増えるほど、費用の透明性が失われるだけでなく、最終的な開発コストが予想以上に高額になる可能性が高まります。また、中間業者が介在することで、開発中のコミュニケーションが複雑化し、依頼内容が正確に伝わらないリスクも増大します。
これに対して、自社開発の割合が高い企業では、開発プロセス全体を直接管理しているため、依頼者とエンジニアとの間でスムーズな意思疎通が可能です。このような企業では、エンジニアの専門知識やスキルが高い場合が多く、細かな要望にも柔軟に対応してもらえる可能性が高まります。また、開発の進行状況をリアルタイムで把握できるため、課題が発生した際にも迅速に対応できるメリットがあります。
データベースエンジニアが在籍しているか
システム開発にはさまざまな分野があり、企業によって得意とする領域や専門分野が異なります。そのため、データベースの構築を依頼する際には、専門的な知識とスキルを持つデータベースエンジニアが在籍している企業を選ぶことが重要です。
データベースエンジニアが在籍している企業では、専門知識を活かした高品質なデータベースの構築が期待できます。特に、データベースの設計や構築におけるスキルは、システムの性能や利便性に直結します。クオリティの高いデータベースは、従業員が直感的に利用しやすく、業務効率の向上にもつながります。システム要件の分析や設計が正確に行われるだけでなく、構築後の運用や保守においてもスムーズな対応が可能となります。
企業が特化している分野は何か
データベース構築を外注する際には、依頼先の企業がどのような実績を持ち、どの分野を得意としているかを把握することが重要です。企業によっては、特定の業界や用途に特化したノウハウを持つ場合があります。一方で、実績が乏しい企業に依頼すると、希望通りのデータベースが構築できず、結果的に修正や再構築が必要になり、余計なコストがかかることもあります。
まずは、外注先の実績を確認し、自社が構築したいデータベースの内容に近いプロジェクトを手掛けた経験があるかどうかを調査しましょう。例えば、販売管理システムに強い企業や、人事データベースの構築経験が豊富な企業など、それぞれの得意分野を把握することで、自社のニーズに最適なパートナーを見つけやすくなります。
担当者とのコミュニケーションがスムーズにできるか
データベース構築を外注する際には、担当者との円滑なコミュニケーションがプロジェクトの成功に欠かせない要素となります。依頼者の希望や要件を正確に理解し、それに基づいて適切に対応できる担当者がいるかどうかを確認することが重要です。
構築したいデータベースの目的や具体的な内容を事前に伝えていたにもかかわらず、担当者がその内容を十分に把握していない場合、プロジェクトが計画通りに進まない可能性があります。そのため、初期段階の打ち合わせから、担当者が要望をどれだけ正確に理解し、それに基づいて的確な提案やフィードバックを提供できるかを慎重に見極める必要があります。
自社に最適なデータベースで業務の効率化を図ろう
自社に最適なデータベースで業務の効率化を図ろう
データベースは、企業の規模や扱うデータ量に応じて設計や費用が大きく異なります。適切に設計されたデータベースを導入することで、業務効率が向上し、情報管理がスムーズになり、従業員が円滑に利用できる環境を整えることが可能です。そのためには、導入前に目的や要件を明確にし、データベースの規模やコストを慎重に検討することが大切です。
外注先を選ぶ際には、一つの企業に絞り込む前に複数の候補企業から提案を受けることをおすすめします。複数社に見積もりを依頼することで、自社のニーズに最も合った提案内容を比較検討できます。また、事前に希望や要件を具体的に伝えることで、理想的なデータベースを構築するための基盤をしっかりと固めることができます。
効率的な情報管理と業務の最適化を目指し、自社にとって最適なデータベースを導入することで、企業全体の生産性向上と業務改善を実現できるでしょう。
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