情報の重複をなくして、効率的にデータを取り扱えるようにする「正規化」は、データベースの運用に欠かせない作業です。データを「正規化」するとはどういうことか、具体的なメリットや手順とともに、基本的な部分をしっかりと押さえておきましょう。
データベースの正規化とは?
データベースの正規化は、データベースの運用ではよく言及される内容ですが、何を意味するのでしょうか。まずは正規化の意味から知っておきましょう。
正規化の意味
「正規化」とは、データベースに格納する情報の重複(ダブり)をなくすために、データを整理するプロセスを指します。
要はデータベース内の整合性を高める工程であり、データの追加や更新時に乱雑になるのを防ぎ、必要な情報を取り出しやすいようにすることです。
正規化によって効率的にデータを取り出せるようになり、メンテナンスのスピードも向上します。データベースの運用には欠かせない作業であり、管理者は正規化の方法を必ず知っておかなければなりません。
正規化の簡単な例
企業で働いている、社員のデータベースを作成するとしましょう。そこで社員コードや社員名、所属部署のコードと部署名、さらに入社年度などの情報を、一つの表に記録したとします。
そのままの情報を入力すると、同じ内容のデータ(部署名や入社年度など)が、繰り返し表に格納されることになり、情報が確認しづらいデータベースになってしまうでしょう。そこで正規化を実行してデータを整理し、いくつかの表に分割することで、情報が確認しやすくなります。
たとえば社員コードと社員名、および部署コードと部署名に表を分割し、社員コードを参照した際に、それぞれの社員名を確認できるようにしておくのです。同じ表でデータの繰り返しを防げるようになり、情報の格納効率もアップします。
データベースを正規化するメリットは?
データベース内のデータを正規化するメリットとしては、次の点が挙げられます。日頃のデータ管理が楽になるだけでなく、修正時や更新時の作業も最小限で済むようになります。
データの管理がしやすくなる
正規化によってデータの重複や不整合をなくせるので、より効率的でスムーズなデータ管理が可能になります。
管理者の負担を軽減でき、他の業務に集中できる時間が増えるため、部署全体の業務効率化にもつながるでしょう。取り扱うデータ量が多くなればなるほど、正規化のもたらす恩恵は大きくなり、必要な情報を素早く活用できるようになります。
データの修正が最小限で済む
データの修正や更新が必要になった場合、最小限の作業で済むようになるのも正規化の大きなメリットです。該当する表やテーブルの、一行のみ更新すれば良いケースが多くなり、データの矛盾も発生しづらくなります。
正規化されていないデータの場合は、1つでも更新を忘れると全体に矛盾が生じてしまう恐れが出てきますが、事前に正規化をしておけば、作業漏れが発生する可能性を軽減できるでしょう。
余計なデータを格納する必要がなくなり、必要十分なものに集約されるので、新規にデータを登録する際の作業負担も軽くなります。
データの検索性が向上する
正規化によってデータの視認性が高まり、検索性も向上します。必要なデータを必要なタイミングですぐに取り出せるほか、複数のシステムから利用しやすくなるのも、メリットといえるでしょう。
検索性が向上すると、誰でもデータベースの情報を活用できるようになり、業務効率が上がります。それだけでなく、売上の向上にもつながるでしょう。ただし、正規化に注力しすぎると表が乱立してしまい、逆に検索性が下がってしまう可能性があるので、注意しましょう。
正規化の手順を覚えよう
スムーズにデータを正規化するためには、実際にデータを取り扱う経験を増やすのが近道です。まずは基本的なやり方を理解しておきましょう。
第1正規形:データベースに格納できるようにする
データベース(リレーショナルデータベース)では、レコード(行)単位でデータを取り扱うため、まずは同じデータの繰り返しがある場合、別のレコードに独立させて格納しなければいけません。
正規化前にバラバラだったレコードの長さを整え、横方向の長さを統一するようにします。これだけでかなり情報が確認しやすくなるでしょう。
第2正規形:部分関数従属性を排除する
次は部分関数従属性を排除する作業です。
特定のデータの属性が、重複せず決まる場合において、他のレコードの値も関連して決まることを「関数従属」といいます。データを一意に識別できる項目(主キー)の、一部分が決まることで、他の項目も決まる関係が「部分関数従属」です。
社員番号や部門コードなどを示す表を、具体例として解説します。主キーである部門コードが分かれば、第一システム部といった部門名が分かる場合、「部門コードに部門名が部分関数従属している」ということです。
第2正規形のフェイズでは、第1正規形のテーブルから、部分関数従属しているレコードを取り出して分割します。
第3正規形:関数従属部分を別に整理する
第3正規形では、主キー以外のレコードに関数従属している部分を切り出します。たとえば社員IDを主キーとし、社員名と入社年度、所属部署のIDを示す表があるとします。
その中で所属部署のIDは主キーではありません。しかし所属部署のIDが分かれば、所属部署名が一意に決まるとすれば、これを別の表に切り出すことで、さらにデータベースの整理が可能です。
このようにデータを集合させて表を分かりやすく分割していくのが、正規化の手順です。正規化によってデータの一元管理が容易になり、整合性も維持しやすくなります。
正規化の方法を理解しよう
データベースの正規化とは何か、基本的な事柄を解説しました。データベースを正規化すれば、データの冗長性がなくなり、効率的にデータを管理できるようになります。
日頃からデータベースに触れていない人は、少し分かりづらい部分もあるかもしれません。しかし概要を理解しておくだけで、どのようにデータを管理すればよいかイメージできるようになります。
この機会に、基本的な手順だけでも押さえておくようにしましょう。
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