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データベースの設計の基本|設計の手順やポイントをわかりやすく解説

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最終更新日: 2023年02月08日

データベース設計とは?

パソコン画面

データベースの設計とは、必要な情報をどういった構造でデータベース化するのかを決めて、実際に設計することをいいます。実際の設計プロセスを理解する前に、まずはデータベースとは具体的にどういうものかを押さえておきましょう。

データベースの基礎知識

データベースとはユーザーが情報を検索・利用しやすいように整理された情報の集合です。

特にIT分野では、コンピューターに保存されている構造データの集まりで、企業の場合は業務で利用する顧客データや商品データなどを、特定のルールで整理したものをいいます。

一般的にはパソコンやサーバーマシンに保存された電子データを指しますが、紙の資料に書かれた情報も、あとから検索・利用しやすいように整理されていれば、データベースとみなすことができます。

データベースを設計する目的

企業がデータベースを設計する最大の目的は、業務効率化と業績の向上です。必要な情報をすぐに利用できるデータベースを設計することで、社員の無駄な作業を削減し、売上につながる情報をリアルタイムに活用できるようになります。

データが各所にバラバラに存在していたり、整理されていなかったりすると、必要なときに情報をうまく利用できず、データの価値を生かすことができません。

自社の環境に合ったデータベースを設計しておけば、顧客情報や売上情報の活用、各種伝票の作成などが効率的に行えるようになります。

ソフトウェア比較のイメージイラスト

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データベース設計の3段階

パソコンとノート

企業がデータベースを設計する一般的なプロセスをみていきましょう。データベースの設計は「概念設計」「論理設計」「物理設計」の3段階のフェイズから構成されるのが一般的です。

企業によっては、論理設計と物理結成の2段階でデータベースを設計する場合もありますが、事前準備段階でもある概念設計を行うことで、より自社にマッチしたデータベースの設計が可能です。

概念設計

概念設計とはデータベースの対象となる情報を抽出し、どういった構成で整理するのかを決めることです。構成を決めるためには、実世界の情報を抽象化し、体系的に表現する概念データモデルを作成します。

これはデータそのもののエンティティと、データ同士の関連性をモデル化したもので、概念データモデルを参考に実際のデータベースを設計していくのです。

論理設計

論理設計は概念データモデルをさらに具体化し、最終的に作成するデータベースの種類に合致した形式に変換する工程です。概念モデルに示した範囲のデータを整理し、誰にでも理解できるように明確化する作業といえるでしょう。

各データをテーブルに変換し、さらに正規化と呼ばれる作業によって、冗長性やデータの整合が取れていない所を修正しながら、各データを構造的にグループ化します。

物理設計

物理設計は論理設計を実際のデータベース運用環境に当てはめる工程です。データベースの性能や可用性などを考慮しながら、正規化したデータテーブルを修正したり、インデックスを付与したりして、実際に使えるように整理していきます。

この時点で、データベースを運用するハードウェアやサーバーなどの選定も行うのが一般的です。物理設計によって、データベースを設置するハードウェアやソフトウェアが決まり、実際にデータが格納される場所が決められます。

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概念設計の一般的な手順

パソコンを操作する人

概念設計は一般的に次の手順にしたがって行います。

  1. 要件定義
  2. エンティティの抽出
  3. 概念データモデルの作成
  4. ER図の作成

データベースの管理対象を現実の世界から抽出して、概念モデルを作成していきましょう。

要件定義

まずは、作成するデータベースによって、どのような情報を管理するのかを決めなければいけません。設計の対象となる範囲が決まっていなければ、データベースに組み込む情報の領域が分からないため、必ず行う必要があります。

データベースを活用する業務を分析し、要件を洗い出すとともに、業務に必要となるシステムの機能や処理性能、拡張性などの検討も必要です。

エンティティの抽出

エンティティは直訳すると「実体」と訳されますが、データベースの世界ではばらばらの状態のデータのまとまりやカテゴリーを指します。たとえば顧客データを管理する場合、顧客の氏名や電話番号、所属している部署などがエンティティとして抽出できます。

エンティティは以下の2種類があり、それぞれを考えることで必要な要素を漏れなく出せるでしょう。

リソースエンティティ

安定した状態のもので、実際に存在するもののエンティティです。例として「社員」「氏名」「電話番号」「店舗」「商品」などが挙げられます。

イベントエンティティ

時間的な変化の多い業務データを管理するエンティティです。「注文」「出荷」「入金」「売上」「請求」などが挙げられます。

概念データモデルの作成

データベースの作成に必要なエンティティを抽出したら、それをもとに概念データモデルを作成していきます。各々のエンティティの関係性を整理し、全体像としてまとめることで、データベースの全体像を徐々に明らかにすることが可能です。

業務単位ごとに作成するケースが多く、製造や物流など、ほかのビジネス活動におけるデータモデルを作成し、それらを統合して企業全体のモデルを作成するケースもあります。

概念データモデルを業務ごとに作成すれば、それぞれの部署で利用されるデータ群がわかるようになるのです。

ER図の作成

概念データモデルを作成するにあたっては、ER図が頻繁に使われます。「ER」とは「エンティティ(Entity)」と「リレーションシップ(Relationship)」のことで、各エンティティ同士の関係性を示した図です。

具体的なER図の記載方法はさまざまですが、代表的な手法として「IE記法」と「IDEF1X記法」の2種類がよく使われ、以下のような特徴があります。

記法特徴
IE記法リレーションが直感的に理解しやすい
IDEF-1記法細かい表現ができる

IE記法

リレーションの線には、エンティティが関連する最小件数と最大件数を示す記号を使用し、以下の意味で使われます。

記号 意味
0
1
< 複数

上記の記号を組み合わせると以下の図のような関係性を表すことができます。以下の図はA1件に対してBは0か1件の関連があり、B1件に対してAは1件のみ関連することを表しています。

IE記法

IDEF-1記法

●と文字や数字を使って細かい表現をすることができます。

記号 意味
なし 1
0以上
●P 1以上
●Z 0または1
●N Nは指定した数(例:5)
●N-M N~Mの間の数(N,Mは実数)

上記を組み合わせるとA1件に対してBは0か1件の関連があり、B1件に対してAは1件のみ関連することを以下のような図で表せます。

IDEF-1記法

論理設計の一般的な手順

沢山のモニター

次に、論理設計の一般的な手順を解説していきます。論理設計は概念設計によって作成したモデルをデータベース(リレーショナルデータベース)で利用できる形式に変換する工程です。具体的には、テーブル変換と正規化の作業が行われます。

テーブル変換

作成するデータベースの種類を決め、それに応じてテーブルを作成します。データベース上でしっかりと要件を実現できるテーブルにする必要があり、各テーブルがどのような列を持つのかを明確に定義しなければいけません。

基本的にテーブル内のレコード(情報)は別のテーブルのレコード情報と関連付けられますが、いわゆる「多対多」のリレーションは複雑になるため、基本的には「1対多」となるようにデータベースのテーブルを分割する必要があります。

正規化

データベースの分野における正規化とは、冗長なデータを取り除いて整理する作業をいいます。具体的には、データの追加や更新作業が整合的かつスムーズに行えるように、テーブルのフォーマットを整え重複をなくすことです。

同一テーブル内に同じ情報が複数入っている状態を非正規化などと呼び、情報を並び替えたり、データを別のテーブルに分離したりすることにより、冗長性のない最適なテーブル構造にする必要があります。

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物理設計の一般的な手順

パソコン画面

続いて、データベースの物理設計の手順を解説します。物理設計はデータベースを配置する場所やハードウェア、ミドルウェアなどを選定する工程です。

データ型の決定

まずデータを格納する部分の設計を行います。データを文字や数字などに分類し、それぞれの記録方法や取り扱い方の規約を定めなければいけません。

これを「データ型」と呼び、格納するデータの性質を定義することで、SQLをはじめとしたデータベース言語を使って制御できるようになります。

データ型が正しく設定されていなければ、想定しない処理結果が返ってきてしまう可能性があるので、事前に必ず決めておかなければいけません。

性能要件の確認

データベースにどれぐらいのデータが定期的に追加されるのか、一度に何人のユーザーが同時にアクセスするのかなど、データベースに必要とされる性能要件を確認します。

データベースに求められる性能から、導入するハードウェアやネットワーク環境を明確にするわけです。

性能要件が曖昧なままデータベースを設計してしまうと、運用後にアクセス障害が発生したり必要なデータを保存できなくなったりする問題が生じるかもしれません。データベースを活用する環境に関しても、物理設計の段階で考慮しておく必要があります。

インデックスの登録

データベースの物理設計には、インデックスの作成と登録が欠かせません。インデックスとは「索引」を意味する言葉で、検索目的となるテーブル内のレコード(情報)を識別する項目と、レコードの格納場所を示すポインタで構成されているのが特徴です。

インデックスによって目的のデータが格納されている場所をすぐに特定できるため、データベースの処理スピードの高速化を実現できます。

データ領域の設計

上記の性能要件の項で確認したデータ量を、問題なく格納できるデータ領域を明らかにします。

それをもとに、導入するハードウェアのスペックやファイルの置き場所を決定しますが、将来的にデータベースに格納した情報量が増えてしまう可能性もあるので、データ領域のサイズには余裕を持たせておくことが重要です。

データ領域を決定したら、ハードウェアあるいはソフトウェアのどこにデータベースを設定するか、物理理的な配置を決めて設計は完了です。

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データベース設計のポイント

キーボード

それでは、データベースを設計する際に留意すべき点として、特に重要なところを解説します。データベースに限らず、業務で使用するソフトウェアは導入目的の明確化と詳細な設計プランが欠かせません。

目的の明確化

基本的なところですが、データベースを導入する目的と主な用途、そして自社のどの部署が使用するのかなど、具体的なユーザーを想定して設計を始める必要があります。ユーザーを想定せずにデータベースの構築を始めてしまう企業は少なくありません。

後から大きな仕様変更が必要になるケースもあるので、むだな作業工程を省くためにも、目的に添ったデータベースの設計を心がけましょう。

モデルをしっかりと設計する

自社の業務システムや業務プロセスを俯瞰し、概念モデルを構築することで、データベースが果たすべき機能を規定することが重要です。

闇雲に設計を進めるのに比べて、対象とすべき業務範囲を明確にできるので、その後の論理設計および物理設計がしやすくなります。

モデルを理解することにより、設計すべきデータベースの全貌が理解できるはずです。

またモデル理解が進むと、後々必要になりそうな項目など、見えにくいシステムの使用を想像して追加できるようになります。これらを追加できるとより使いやすいデータベースが作成できます。

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データベース設計に役立つソフトウェア

3画面最後に、データベースの設計に役立つソフトウェアを紹介しておきます。専門知識を有していなくても運用できるデータベースソフトもあるので、自社に専門のスタッフがいない企業は詳細を確認してみるとよいでしょう。

Lucidchart

Lucidchartはノンプログラミングでも作成できるクラウド型のデータベースソフトです。企業の業務データの処理に求められるデータベースを簡単に作成でき、Excelやほかのソフトウェアと連携もできます。

直感的で分かりやすいインターフェースが特徴で、エンティティ同士の関連も表現しやすく、さらにER図の作成もスムーズです。

たとえ設計が初めてのユーザーでも、無料ガイドサービスを活用することで、安心してデータベースの論理設計ができます。無料で利用できるフリープランに加えて、月額800円からのIndividualプラン、企業ユースを想定したTeamプランや法人向けプランが利用可能です。まずはフリープランで使い勝手を確認してみるとよいでしょう。

参考:Lucidchart Ι 公式ページ

ERMaster

ERMasterはER図を作成するためのGUIエディターで、オープンソースソフトウェア(OSS)の統合開発環境として有名なEclipseのプラグインとして利用できます。ER図の作成に係る一連の操作を直感的な操作で行えるのが特徴で、MySQLやPostgreSQL、OracleやSQLiteといった主要なデータベースのほとんどをサポートしています。

Eclipseを含め無料で利用できるツールなので、低コストでデータベースの開発・構築を行いたい企業のおすすめです。なお、Eclipse3.3以上で利用できるプラグインのため、インストールする際にはバージョンにも注意しましょう。

参考:ERMaster Ι 公式ページ

MySQL Workbench

MySQL WorkbenchはMySQLのためのGUIツールで、オープンソースで提供されています。データベースを操作用のツールとして知られていますが、設計から実際の開発まで対応しており、データモデリングやサーバーの設定、ユーザー管理まで包括的に行うことが可能です。

ER図の作成からデータベースの状況を把握するためのダッシュボード機能など、エンジニアが求める機能を網羅しているのはもちろん、初心者にとっても使いやすいツールになっています。基本無料で使えるのも、データベースの構築にコストがかけられない企業にとっては、嬉しいところでしょう。

参考:MySQL Workbench  Ι 公式ページ 

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データベース設計の勉強に役立つおすすめの本3選

本で勉強する男性

データベースの勉強を本で行いたいという人も多いと思います。ここでは入門者におすすめの本1冊とある程度知識がたまってきた中級者におすすめの本を2冊紹介します。

【初心者におすすめの本】

  • ゼロからはじめるデータベース操作
【中級者におすすめの本】

  • 達人に学ぶ SQL徹底指南書
  • SQLアンチパターン

ゼロからはじめるデータベース操作

ゼロからはじめるデータベース操作
SQL 第2版 ゼロからはじめるデータベース操作 (プログラミング学習シリーズ)

図がわかりやすく知識がほぼ0の状態から読んでも理解しやすい内容になっています。データベースの利用方法も記載されているので、目的を見失わずに勉強を進められるでしょう。

この本では最終的にアプリケーションの利用方法まで記載されているため、データベースの勉強を始めるのにピッタリな1冊です。

達人に学ぶSQL徹底指南書

達人に学ぶSQL徹底指南書
達人に学ぶSQL徹底指南書 第2版 初級者で終わりたくないあなたへ (CodeZine BOOKS)

「ゼロからはじめるデータベース操作」と同じ著者が書いた本で、基本的な知識を身に着けた人におすすめな1冊です。

SQLについてより詳しい内容が記載されています。基礎的な内容は最小限の量しか書かれていませんが、その分実践的な内容が多くなっています。

SQLの原理や仕組みなども書かれているため、なぜ今の形の言語になったのかなどSQLの本質的な情報を理解することができ、スムーズに学習を進められるでしょう。

SQLアンチパターン

SQLアンチパターン
SQLアンチパターン

アンチパターンとはソフトウェア開発の際に見られる間違った解決策のことです。この本ではSQLのアンチパターンを多く紹介し、どのようにすれば回避できるのかまで解説しています。

典型的なミスを減らせるほか、基礎の再確認にもなり、作業スピードが大幅に向上するでしょう。実際にSQLを使って勉強し始めた人におすすめな1冊です。

データベースの基礎を理解して設計しよう

働く人

データベースの設計プロセスを簡単に解説してきました。データベースの設計は「概念設計」「論理設計」「物理設計」の3段階に分類でき、それぞれ一般的な手順が決まっています。

事前の設計計画が重要で、自社の目的やビジネス環境に合ったデータベースの青写真を描くところから始める必要があるでしょう。将来的な拡張も含めて、無駄のない設計工程を考えましょう。

実際にデータベースを設計する人は初めに知っておくべき事柄として、設計に関わらない人にとっても、全体の設計手順を押さえておくと、技術部門とコミュニケーションがとりやすくなります。

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