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オンライン名刺とは?メリット・デメリットからおすすめサービス4選まで解説

最終更新日: 2025年11月04日

営業企画やDX推進を担当するマネージャーの皆様は、「名刺管理の属人化」や「CRMに蓄積されたデータの形骸化」といった課題に直面していないでしょうか。営業担当者が個人で管理する名刺情報(人脈)は、会社の重要な資産であるにもかかわらず、退職と共に失われるリスクを常に抱えています。

また、非効率な手入力作業によってCRMデータの鮮度が落ち、結果として営業分析やマーケティング施策が機能しないという悪循環に陥っていませんか。

この記事では、このようなB2B企業特有の課題を解決して、「名刺情報の資産化」と「SFA/CRM連携による営業DX」を実現するためのオンライン名刺の活用戦略を徹底解説します。

オンライン名刺とは? B2B導入で変わる営業プロセスと選定の全知識

スマートフォンとパソコン

オンライン名刺とは、Web上やアプリケーションで交換・管理されるデジタルな名刺、およびそれらを管理するサービスを指します。

従来の紙の名刺との最大の違いは、交換やスキャンと同時にデータ化され、「組織の資産」として一元管理・活用できる点にあります。特にB2B企業が法人向けオンライン名刺サービスを導入する最大の目的は、単なる「名刺管理の工数削減」に留まりません。その本質は、「CRM/SFAと自動連携し、営業データを最大活用すること」にあります。

パンデミックを経てオンライン商談が一般化し、デジタル名刺交換の需要が急増しました。対面営業が再開された現在もその流れは定着し、物理的な名刺とデジタル名刺の両方をシームレスに管理できる統合システムの必要性が高まっています。

法人向けサービスは、主に以下の機能を提供します。

  • デジタル名刺の発行(URL/QRコード)
  • 紙の名刺の高精度スキャン・データ化
  • 名寄せ・顧客データベースの一元管理
  • CRM/SFA(Salesforce, kintone等)との自動連携

市場は、Sansan株式会社が提供する「Sansan」が12年連続で市場シェアの8割以上(2025年時点で84.1%)を占めるなど、既存の紙名刺の管理とSFA/CRM連携を強みとする「名刺管理アプリ型」が法人導入の主流となっています。

B2B企業がオンライン名刺を導入する5つのメリット

法人向けオンライン名刺サービスの導入は、営業部門の生産性向上から全社的なデータ活用基盤の構築まで、多岐にわたるメリットをもたらします。主なメリットは以下の5点です。

メリット1:営業の「名刺入力作業」がゼロになり、コア業務に集中できる

最大のメリットは生産性の劇的な向上です。多くの企業がDXに期待する「業務の自動化、効率化」や「コスト削減、生産性の向上」を、名刺管理の領域で即座に実現します。

例えば、ある導入企業では、メール配信システムと連携させることで、従来1日50件が限界だったメール送信業務を最短5分で5000件に拡大する(※)など、営業担当者が非生産的な作業から解放され、提案活動といったコア業務に集中できる環境を構築しています。

メリット2:CRM/SFAと自動連携し、顧客データの「鮮度」と「精度」が向上する

名刺管理サービスの真価は、SFA/CRMとの連携にあります。従来の手入力では、データの陳腐化や入力ミスが避けられず、CRMが「信頼できないデータ」の集積場所となりがちでした。

SansanSalesforceEight Teamとkintoneといった主要ツール間のシームレスな自動連携は、この問題を根本から解決します。名刺交換後、ほぼリアルタイムで顧客情報がCRMに反映・更新されるため、常に最新かつ正確なデータに基づいた営業活動やマーケティング施策の実行が可能になります。

メリット3:オンライン商談でもスムーズな名刺交換が可能になる

パンデミックを機に「オンライン名刺交換」機能はビジネスの必須機能となりました。対面での営業機会が回復した後も、この流れは「ハイブリッドなネットワーキングモデル」として定着しています。

オンライン商談の冒頭でデジタル名刺のURLやQRコードを交換することで、対面時と同様のスムーズな情報交換を実現し、商談後のフォローアップも迅速化します。

メリット4:名刺情報を「組織の資産」として一元管理・共有できる(属人化の解消)

日本の組織に根強く残る「人脈の属人化」は、深刻なデータサイロを生み出す元凶です。担当者の退職と共に貴重な顧客接点が失われるリスクは、経営上の大きな課題でした。

オンライン名刺サービスは、このデータサイロを破壊します。経済産業省が省内の情報共有の非効率性を解決するためにSansanを導入した事例にも見られるように、組織全体で「誰が・誰と・いつ」接点を持ったかを可視化し、人脈を「個人の所有物」から「組織の共有資産」へと転換します。

メリット5:印刷・郵送コストの削減とペーパーレス化の実現

デジタル名刺への移行や紙名刺のスキャン運用は、物理的な名刺の印刷費用や管理コストを直接的に削減します。

これは単なる経費削減に留まりません。企業内に眠る最大級のアナログ顧客データであった「名刺」をデジタル化することは、多くの企業にとって「営業DX」への具体的かつ現実的な第一歩となり、全社的なペーパーレス化とデータ活用文化の醸成を促進します。

導入前に知るべきデメリットと「よくある失敗」

多くのメリットがある一方、導入前に認識しておくべき現実的な課題も存在します。特に「導入しただけで活用されない」という失敗を防ぐことが重要です。

デメリット1:相手がオンライン名刺に対応していない場合、結局「紙」の交換になる

オンライン名刺が普及したとはいえ、全てのビジネスパーソンが対応しているわけではありません。特に伝統的な業界や特定の役職者との面談では、依然として紙の名刺交換が主流の場合もあります。

現実的には、オンライン名刺が紙を完全に置き換えるのではなく、両者を併用する「ハイブリッドなネットワーキングモデル」が当面のスタンダードとなると理解しておく必要があります。

デメリット2:全社導入・運用のための初期設定とコストがかかる

法人向けサービスを全社で導入するには、当然ながら初期設定の工数とライセンス費用が発生します。特に中堅・大企業向けのサービスでは、コンサルティング費用を含む相応の予算配分が必要です。

導入プロジェクトを成功させるには、経営層を巻き込み、「なぜ導入するのか」という目的の合意形成とトップダウンの支援が不可欠です。

デメリット3:ルールを決めないと、運用がかえって煩雑になる

最悪の失敗パターンは、高機能なツールを導入したものの、「現場が使わない」「データが二重管理になる」状態です。これは、導入目的が曖昧なまま、現場の運用ルールを明確にしなかった場合に発生します。

「どのタイミングでスキャンするのか」「CRMに連携するデータの範囲は」といった具体的なルールを策定し、継続的な社内教育で定着化を図ることが必須です。ツール導入はゴールではなく、スタートに過ぎません。

オンライン名刺サービスの「選び方」3つのポイント

自社に最適なサービスを選定するために、B2B企業が確認すべき最重要基準は「CRM連携」「セキュリティ」「管理の網羅性」の3点です。

ポイント1:CRM/SFA連携は可能か?(自社システムに対応しているか)

法人導入の核となる要件です。その価値は、Salesforce、kintone、HubSpotといった既存のSFA/CRMをいかに強化できるかにかかっています。

単に「CSVで出力できる」レベルではなく、「APIで自動的かつ双方向に同期できるか」を確認してください。名刺管理サービスを、営業・マーケティングエンジンを駆動させる「信頼できる唯一の情報源」として機能させることが目的です。

ポイント2:セキュリティと管理体制は万全か?(Pマーク、ISMS、管理者機能)

名刺は機微な個人情報です。ここで注意すべきは、名刺を「整理・検索できる状態」にした瞬間、個人情報保護法の適用対象となる点です。善意でExcelにまとめる行為も、法務リスクを生みます。

ベンダー選定時には、Pマーク(個人情報保護に特化)だけでなく、ISMS(ISO 27001)認証(組織の全ての情報資産を対象とする国際規格)の有無を確認すべきです。B2B取引においては、ISMS認証が国際基準の堅牢なセキュリティ体制の証明となります。

ポイント3:紙の名刺もデジタル名刺も「一元管理」できるか?

B2B企業の課題は、これから交換するデジタル名刺だけではありません。むしろ、社内に眠る「過去の紙名刺」という膨大なアナログ資産をどうデジタル化するかが重要です。

DXの第一歩として、既存の紙名刺も高精度でデータ化し、新規のオンライン名刺と合わせてシームレスに一元管理できる機能が、法人利用では必須の要件となります。

【目的・規模別】法人向けオンライン名刺・名刺管理サービス徹底比較

法人向け市場はSFA/CRM連携による「営業DX」を目的としたサービスが主流です。ここでは、企業の規模と目的に応じた主要な4サービスを比較します。

Sansan【SFA/CRM連携・営業DX推進】

Sansan
出典:「Sansan」公式Webサイト

中堅・大企業をメインターゲットとする、市場の絶対的リーダーです。単なる名刺管理ではなく、企業の営業活動全体を変革する「営業DXサービス」としてポジショニングされています。

99.9%という圧倒的なデータ化精度、Salesforceとの高度な連携、帝国データバンク情報との連携による顧客データの充実化など、機能面・信頼性において随一です。価格は非公開の個別見積もりで、手厚いコンサルティングを含む包括的なソリューション提供が特徴です。

Eight Team【中小企業・チーム導入】

Eight Team
出典:「Eight Team」公式Webサイト

Sansanと同じ企業が提供する、中小企業や部署単位での導入に特化したサービスです。個人向けアプリ「Eight」の知名度を活かし、導入のしやすさとコストパフォーマンスに優れます。

kintoneやHubSpotなど、中小企業で人気のSaaSとも連携可能です。ある導入企業では、BIツールやメール配信システムと連携させ、営業活動の可視化や生産性を劇的に向上させた事例もあります。価格は初期費用無料、月額19,800円(税抜)+11名以上は1名あたり月額500円(税抜)と明瞭です。

myBridge【コスト重視・シンプル管理】

myBridge
出典:「myBridge」公式Webサイト

LINEヤフー社が提供する、登録枚数無制限の名刺データ化を「無料」で提供するサービスです。OCRとオペレーター入力の組み合わせで、無料ながら高精度なデータ化を実現しています。

「共有名刺帳」機能(プレミアムプランで無制限)も提供されますが、CRM/SFAとの連携はCSVエクスポートが基本となります。「まずはコストをかけずにデータ化と共有を始めたい」という小規模事業者に適していますが、自動連携による営業DXを目指す場合は機能不足となる可能性があります。

Wantedly People【キャリアSNS連携・採用活用】

Wantedly People
出典:「Wantedly People」公式Webサイト

ビジネスSNS「Wantedly」が提供するサービスです。強みは、名刺をスキャンするだけで相手のWantedlyプロフィール(経歴やスキル)と自動で紐づき、人物理解を深められる点です。

基本機能は無料で、主な目的は営業活動そのものよりも、採用活動やパートナー開拓における人脈活用にあります。ペルソナの「営業部門のDX推進」という目的とは、やや焦点が異なります。

オンライン名刺の作成方法と導入ステップ

オンライン名刺の導入は、ツール選定で終わるものではなく、組織の業務プロセスを変革するプロジェクトです。成功には段階的なアプローチが不可欠です。

ステップ1:導入目的の明確化とサービス選定

まず、「なぜ導入するのか」を明確にします。「データ入力時間を50%削減する」「休眠顧客からの商談化率を10%向上させる」など、可能な限り定量的な目標を設定し、経営層の合意を得てください。

その目標に基づき、SFA/CRM連携やセキュリティ要件を定義し、トライアル期間を設けて現場の操作性を確認しながら、最適なサービスを選定します。

ステップ2:運用ルールの策定とテスト運用

導入するツールが決まったら、現場の混乱を防ぐための運用ルールを策定します。「名刺を受け取ったら、その日のうちにスキャンする」「CRMに連携する必須項目を定義する」など、具体的なルールが必要です。

いきなり全社展開せず、特定の部署でテスト運用を行い、問題点を洗い出してからルールを改善することが成功の鍵です。

ステップ3:アカウント発行と既存名刺のデータ化

全社員のアカウントを発行すると同時に、社内に眠る「過去の紙名刺」のデータ化プロジェクトを推進します。これが、企業の顧客データを一元化する上で極めて重要なステップとなります。

スキャナの設置、あるいは郵送によるスキャン代行サービスなどを利用し、アナログ資産をデジタルデータベースに変換します。

ステップ4:社内レクチャーと運用開始(定着化)

ツールの導入はゴールではなく、スタートです。定期的な研修会や活用事例の共有会を開催し、従業員の利用を促進します。

利用者からのフィードバックを積極的に収集し、設定やルールを迅速に改善していくPDCAサイクルを回す文化を醸成することが、ツールの価値を最大化します。

まとめ:オンライン名刺は、B2B企業の「営業DX」の第一歩

オフィスで働くビジネスマン

法人向けオンライン名刺サービスは、かつての「名刺を管理する手間を省くコストセンター」から、企業の収益創出に貢献する「プロフィットセンター」へと、その役割を完全な変えました。

SFA/CRMとのシームレスな連携は、このツールを単なるデジタル名刺入れから、企業の営業・マーケティング活動を駆動させるデータインフラへと昇華させます。

オンライン名刺の導入とは、単なる業務効率化ではありません。それは、これまで「個人」に属人化されていた最も重要な資産=「人脈」を解放し、組織全体の競争力へと変換する、営業DXの第一歩です。この記事を参考に、貴社の顧客データ活用を新たなステージへと進めてください。

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