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【図解でやさしく】裁量労働制とは?|ひと目でわかる解説集

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最終更新日: 2024年06月28日

裁量労働制とは、労働形態のひとつで「労働時間を労働者個人の裁量に任せる労働契約」のことを指します。何時から何時まで働くのかを従業員個人が決められるため、仕事の自由度が高まり、労働時間に給与が依存しないことで生産性の向上も期待できる注目の働き方です。

しかしいざ裁量労働制だと聞いても「実際どんな働き方になるの?」「残業代は発生するの?」といった疑問が出てくるのではないでしょうか?

本記事では裁量労働制の仕組みやメリット・デメリットなどを解説。記事を通して「裁量労働制で働く自分」をわかりやすくイメージできる手助けをいたします。

裁量労働制とは

裁量労働制とは

裁量労働制とは「労働時間を労働者個人の裁量に任せる労働契約」のことを指します。

例えば、Aさんは裁量労働制が採用され、会社から契約時間は160時間、月間で支給する金額を40万円と定められたとしましょう。

そしてAさんは 4月に120時間、 5月に180時間働いたとします、するとどちらでも同じ40万円を支給されるのです。

「実際の労働時間の長さに関わらず、契約した時間ぶんを働いたことにする」制度と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

会社から提示された契約時間は「みなし労働時間」とされ、月間で支給される金額はみなし労働時間から賃金が算定されます。実働が5時間でも10時間でも扱いは変わりません。出退勤の時間も労働者の自由です。

ただし、法定労働時間を超える場合や深夜労働、休日労働で働いた時間は別途支給されます。

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裁量労働制が簡単にわかる4つのポイント

多くのメンバーが働くオフィス内の様子

裁量労働制を理解しやすくするために、特徴や仕組みを4つのポイントにまとめました。

  • みなし労働時間の採用
  • 労働時間を労働者個人の裁量で決定可能
  • 残業代は原則として発生しない
  • 労使協定・36協定の締結

みなし労働時間の採用

裁量労働制におけるいちばんの特徴が「みなし労働時間」の採用です。

みなし労働時間とは「実際の労働時間に関わらず、一定の時間を働いたとみなす時間」のことを指します。

給与もみなし労働時間にしたがって支払われるため、何時間働いたとしても月で払われる金額は変わりません。

【みなし労働時間制の趣旨】

何時間働いても支払われる金額が変わらないと聞くと「労働力を搾取する制度」と聞こえがちですが、その認識は誤りです。

そもそもみなし労働時間制とは、実態に基づいた適切な労働時間を「みなし労働時間」として定め、実際の労働時間配分は労働者に委ねることで労働者が自由に働ける環境を整える制度。

そのため、割増賃金を払いたくないからなどの理由で、不当に短いみなし労働時間を定めることは禁じられています。

詳しくは東京労働局の以下のパンフレットにて解説しているため、気になる方はお読みください。

参照:企画業務型裁量労働制』の適正な導入のために東京労働局

残業代は原則として発生しない

裁量労働制では残業代が原則として発生しません。しかし、みなし労働時間が法定労働時間を超えて設定されている場合や、休日出勤・深夜労働の割増賃金は発生します。

まず法定労働時間を超えての労働や休日出勤、深夜労働がなかった例をご紹介いたします。

法定労働時間とみなし残業

Aさんは、月/160時間のみなし労働時間が設定されているときに月/180時間働きました。

このとき実働時間としては、みなし労働時間よりも20時間多く働いていますが、160時間ぶんの労働時間として計上されます。そのため、20時間ぶんに相当する残業代は発生しません。

【みなし労働時間が法定労働時間を超える場合は残業代が発生する】

あらかじめ決められたみなし労働時間が法定労働時間を超えている場合は、そのぶんの残業代が発生します。

<法定労働時間>

  • 1日:8時間
  • 1週間:40時間
残業代の計算式

時間外労働の時間数(時間)×1時間あたりの賃金(円)×0.25

たとえば、みなし労働時間が9時間に設定されている場合、法定労働時間との差分となる1時間ぶんの残業代を企業は支払わなければなりません。

法定労働時間とみなし労働時間

【深夜労働・休日出勤の割増賃金は発生する】

残業代は原則として発生しませんが、深夜労働や休日出勤における割増賃金は発生します。次のケースに当てはまる場合は、企業に割増賃金の支払い義務が生じるため注意が必要です。

  • 法定休日および所定休日に労働した場合
  • 22時~翌朝5時までの間に労働した場合
深夜残業代・休日出勤の残業代計算式

時間外労働の時間数(時間)×1時間あたりの賃金(円)×0.25

たとえば、みなし労働時間が160時間、実労働が190時間で深夜に該当しない残業時間が10時間、深夜に該当する残業時間が20時間だった場合は、20時間分の深夜残業代を支払わなければなりません。

深夜残業と裁量労働制

労働時間を労働者個人の裁量で決定可能

裁量労働制においては、労働者個人の裁量であらゆる労働時間を自由に決めることが可能です。

出勤時間はもちろん、退勤のタイミングも自由です。

子どもを保育園に送り届けてから出勤したり、予定がある日は早めに仕事を切り上げてメリハリをつけたりすることもできるでしょう。

労使協定・36協定の締結

裁量労働制を導入するためには、使用者と労働者間において労使協定を結ばなければなりません。労働条件などの取り決めを前もって行い、双方が合意することで、労働者が不利益になるような裁量労働制の運用を防ぐ目的があります。

特に、みなし労働時間が法定労働時間を超える場合は36協定の締結が必要です。

36協定の上限規制は裁量労働制であろうと、適用されます。36協定の上限規制は以下の通り。

  • 時間外労働の時間を1か月に45時間
  • 年間で360時間までに設定しています

時間外労働の上限を超えるようにみなし労働時間を設定することはできません。

たとえば、みなし労働時間を1日あたり10時間に設定したとしましょう。

出社日数が1か月で20日の場合、法定労働時間が8時間のため、月間の残業時間とされるのは40時間です。

これだと36協定では『時間外労働の時間を1か月に45時間』とされているため、月単位での上限に関しては問題ありません。

しかし年間単位でみると、1年間に480時間の残業が発生する計算となり、時間外労働の上限時間を超えてしまいます。

そのため、みなし労働時間を1日10時間と設定することは、できません。

企業は36協定により労働時間の上限を考慮したうえで、みなし労働時間を設定しなければならなくなるのです。36協定により、法外な時間がみなし労働時間となるような状況となります。

36協定を締結せず、法定労働時間を超えるみなし労働時間を制定したり、36協定の上限規定に反した働き方を労働者に強いることは労働基準法で禁じられているのでご注意ください。

関連記事:36協定とは何かわかりやすく解説!特別条項や罰則についても|ミツモア

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労働者にとっての裁量労働制であるメリット

スーツの男性

裁量労働制は労働者に主に次のメリットをもたらします。

  • ワークライフバランスが実現する
  • 自分のペースで仕事ができる

ワークライフバランスが実現する

裁量労働制を導入すれば従業員のワークライフバランスが実現します。裁量労働制では定時や遅刻の概念はもちろん、フレックスタイム制におけるコアタイム(必ず勤務していなければならない時間帯)のような制限もありません。

成果を上げればよいため仕事が早く終われば空いた時間をプライベートに充てられます。資格取得を目指して勉強時間を多く取ったり、スクールに通ったりといったスキルアップへの取り組みも可能です。

自分のペースで仕事ができる

裁量労働制はあらかじめ決められた労働時間に基づいて給与を支払うため、業務の時間配分は個人の自由です。

そのため、段取りや手順は個人の裁量によって担保されるでしょう。

また、自ら最も効率のよい方法を模索する必要があるため、実労働時間制よりもモチベーションをキープしやすくなります。

労働者にとっての裁量労働制であるデメリット

裁量労働制は労働者に、主に次のデメリットをもたらすでしょう。

  • 残業代と賃金のギャップが発生する
  • 従業員の自己管理能力が求められる
  • 不正適応に気をつけなければならない

残業代と賃金のギャップが発生する

裁量労働制では業務に対するみなし労働時間を先に定めてしまいます。成果報酬制に近い制度となるため、適切な自己管理で労働時間を縮められる人がいる一方で、業務に不慣れな場合はみなし労働時間内に業務を終えられない場合もあるでしょう。

また適切な労働管理ができていなければ、残業代が出ないまま不当な長時間労働を強いられるケースも生まれかねません。残業時間と賃金のギャップがある状態が長引けば、心身の健康に支障を来すリスクもあります。

従業員の自己管理能力が求められる

裁量労働制を導入すると、従業員それぞれに高い自己管理能力が求められるようになります。

従業員が自身でPDCAサイクルを回しながら生産性を上げていくことができなければ、みなし労働時間を超えた長時間労働が発生することも考えられるでしょう。

仕事の生産性や進捗状況の報告・共有により、業務の進行においてボトルネックとなっている部分を早期に見つけることが大切です。

不法適用に気をつけなければならない

裁量労働制の特徴は「みなし労働時間以上の労働時間に対して、原則残業代は支払わないこと」です。

ですがこの点のみを悪用し、残業代を支払わずに不当に労働力を搾取するために、裁量労働制であることを主張する企業があります。

裁量労働制の不正適応かどうかは以下の点を確認してください。

  • みなし労働時間が、法定労働時間を過ぎていた場合、残業代が支払われる契約となっているか
  • 休日出勤や深夜残業に該当する残業代は支払われるか
  • 36協定(法定労働時間外の残業を1か月に45時間or年間で360時間)行わざる追えない仕組みになっていないか
  • 裁量労働制の対象職種と定められていない職業でないか

もしあなたが裁量労働制を偽った不正適応の被害を受けているのであれば、以下の窓口に相談することをおすすめします。

労働基準行政の相談窓口|厚生労働省

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裁量労働制の対象職種

契約現場

どの企業でも全社員に裁量労働制を導入できるというわけではありません。労働基準法によれば、適用できるのは「専門業務型」または「企画業務型」に分類される職種のみと定められています。

専門業務型裁量労働制の対象職種

厚生労働省により「専門業務型裁量労働制」が適用できるのは19の職種に限定されています。

  • 新商品や新技術の研究開発
  • 情報処理システムの分析または設計
  • 新聞や出版、放送番組などの事業における取材・編集
  • 衣服や室内装飾、工業製品や広告など新たなデザインの考案業務
  • 放送番組や映画などの制作事業におけるプロデューサーまたはディレクター
  • コピーライター
  • システムコンサルタント
  • インテリアコーディネータ-
  • ゲーム用ソフトウェアの創作業務
  • 証券アナリスト
  • 金融工学などの知識を用いた金融商品の開発
  • 主として研究に従事する大学教授
  • 公認会計士
  • 弁護士
  • 建築士(一級建築士、二級建築士および木造建築士)
  • 不動産鑑定士
  • 弁理士
  • 税理士
  • 中小企業診断士

職種の例として研究職やシステムエンジニアなどの開発系、デザイナー・コピーライター・ゲーム制作などの創作系、弁護士・会計士・建築士など各種士業が挙げられます。いずれも業務の遂行に専門知識と臨機応変な対応が求められる職種です。

これらの職種は業務と労働時間の指定が難しいため、事業場の労働組合(または代表者の)過半数の決議を取ることで裁量労働制の適用が認められています。

参考:専門業務型裁量労働制|厚生労働省

企画業務型裁量労働制の対象職種

「企画業務型裁量労働制」の対象となるのは、事業運営または企画や立案・調査・分析業務に従事する労働者です。

対象職種の労働者がいる事業場のうち「本社・本店」「事業運営の重要決定が行われる事業場」「本社・本店から独立して事業運営に関わる決定が行われる支社・支店」に適用できます。

専門職ではありませんが、業務遂行には知識や経験が求められる職種です。やはり会社が業務に関して具体的な指示を出すのは難しいため、労働者個人の裁量に委ねる部分が大きいといえるでしょう。

参考:「企画業務型裁量労働制」|厚生労働省

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フレックス・みなし労働時間制との違い

PCを操作する男性

裁量労働制と同じく労働者の自由な働き方を実現する制度として「フレックスタイム制」「事業場外労働のみなし労働時間制」があげられます。これらは制度こそ似ているものの、労働時間に対する考え方や制度の対象者に違いがあります。

フレックスタイム制度との違い

フレックスタイム制と裁量労働制は、自分の好きな時間に出社・退社してよいという点で似ています。ただし労働時間に対する考え方は全く異なります。

フレックスタイム制は最長3カ月の間で「総労働時間」を定め、精算期間内で労働者が自由に働ける制度です。平均して週40時間以上の労働があった場合は、残業手当が支払われます。

忙しいときに多く働き暇なときは早く帰るといった、効率的な働き方ができるのが特徴です。しかし所定の業務をこなしたとしても、裁量労働制と違って総労働時間の短縮は認められません。

関連記事:フレックスタイム制とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説|ミツモア

事業場外労働のみなし労働時間制との違い

事業場外労働のみなし労働時間制と裁量労働制には、制度の対象者に主な違いがあります。事業場外労働のみなし労働時間制とは、保険の外交員や出版会社の記者など「会社の外で仕事をする労働者」に適用される制度です。

裁量労働制は適用職種が限られますが、事業場外労働のみなし労働時間制の場合は職種ではなく個々の労働状況により適用可能か否か判断されます。

社外の業務に従事していて進捗を個々で管理しており、労働時間の正確な把握が難しいことが条件と考えてよいでしょう。

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企業にとっての裁量労働制のメリット

建設会社のビジネスマン

企業が裁量労働制を導入すると、主に次のメリットをもたらします。

  • 人件費を管理しやすい
  • 労務管理を軽減

人件費が管理しやすい

裁量労働制を導入すると人件費が管理しやすくなります。

任せたい業務の範囲と労働時間をあらかじめ設定するため、経営戦略を練る時点で人件費がいくらかかるか把握できるようになります。

残業手当の支払いにより若干上振れする可能性はありますが、ある程度の予測が立てられれば人件費を管理しやすくなるでしょう。

実労働時間で賃金を支払う場合、必ずしも労働時間と生産性が比例するわけではありません。中には生産性が低いにもかかわらず残業時間が増えるケースもあります。

裁量労働制であれば特定の場合を除けば残業代が発生しないため、労働者もみなし労働時間内に業務を終えようとするでしょう。結果として人件費の削減につながります。

労務管理を軽減

裁量労働制を導入すれば、業務効率改善の効果も期待できます。

裁量労働制はあらかじめ決められた労働時間に基づいて給与を支払うため、業務に時間をかければかけるほど仕事量あたりのパフォーマンスが低下します。

つまり、裁量労働制においては、従業員が短時間で成果を出す姿勢が求められるのです。短時間で業務をこなそうとする姿勢は業務効率の向上につながるといえるでしょう。

また自ら最も効率のよい方法を模索する必要があるため、実労働時間制よりもモチベーションをキープしやすく、上席の労務管理の必要がないでしょう。

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企業にとっての裁量労働制のデメリット

残業中の男性会社員とやさしく見守る女性会社員

裁量労働制は労働者に、主に次のデメリットをもらたすでしょう。

  • 労働管理が難しい
  • 導入を適切に行わないと多大なリスクとなる

労働管理が難しい

みなし労働時間に見合った適度な業務を割り振るには、個人の能力・スキル・経験を正確に把握しておかなければいけません。

通常一人ひとりのスペックに合わせた業務量や目標管理は、短いスパンで定期的に行われる1on1ミーティングなどを通してすり合わせていくものです。

しかし労働者が好きな時間に仕事をする裁量労働制ではミーティングの機会が減り、労働者が抱える業務上の進捗や課題を把握しにくくなるかもしれません。

導入を適切に行わないと多大なリスクとなる

労使協定を結ぶまでの話し合いや手続きに時間を取られるのも課題です。裁量労働制の導入自体が負担となる可能性もあるでしょう。

36協定の締結や、適切なみなし労働時間の提示などが求められます。

どれかが抜けていれば、労働基準法違反により罰則を受ける可能性や、悪質だとみなされた場合刑事事件として起訴されることもあるでしょう。

裁量労働制の導入は適切かつ慎重に行う必要があるのです。

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裁量労働制の導入方法

書類をチェックする女性

裁量労働制の導入方法は「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」のそれぞれで異なります。

専門業務型裁量労働制の導入方法

専門業務型裁量労働制の導入は、労使協定の締結をはじめとした5つのステップで進めます。

  1. 労使協定の締結
  2. 協定届の作成
  3. 就業規則の変更
  4. 労働基準監督署へ届け出
  5. 雇用契約書の更新

専門業務型裁量労働制では「適用業務の範囲」「業務遂行方法や時間配分について具体的な指示をしない旨」を定める必要があります。

企画業務型裁量労働制の導入方法

企画業務型裁量労働制の場合は労使委員会を設置し、内容を決議したうえで導入を進めていきます。

  1. 労使委員会を設置
  2. 労使委員会で決議
  3. 就業規則の変更
  4. 労働基準監督署へ届け出
  5. 対象労働者に同意を得る

労使委員会はメンバーの半数が「労働組合」もしくは「労働者の代表者」の過半数であることが要件です。委員4/5の賛成があって始めて可決されます。

どちらの場合でも健康・福祉に関する措置や苦情処理措置についての定めを、協定・決議の有効期間およびその後3年間は保存しなければなりません。

裁量労働制により発生した実際のトラブル

トラブルを未然に防ごう

実際にあった裁量労働の適用をめぐるトラブル例をご紹介いたします。

Case.1 労働基準監督署摘発例

  • 結果:労働基準監督署からの是正勧告
  • 事案内容:芸能事務所にてアシスタントマネージャーを務めていた男性が、最大月200時間を超える残業があったものの裁量労働制の適用ないとされ、残業代は支払われていなかった。事務所は法定職務内容である「プロデューサー、ディレクター」での適用としていたが、実際の職務内容は「打ち合わせの同席、衣装のピックアップ、グッズ売り場の設営」。補助業務が主であり、業務遂行の裁量がないとされ、労基省が裁量労働制の適用は無効とした。

こちらの事例の論点は「法定職務内容」であるかどうか。実際の職務内容が「プロデューサー、ディレクター」業務とみなされるかどうかが重要でした。

本件の場合、業務遂行に対して決定権があるかを重視しており、業務内容は決定権がなく「プロデューサー、ディレクター」ではないとされ、裁量労働制は無効とされています。

その場で裁量労働制の適用とされても業務の内容を紐解くと、裁量労働制とは判断できないことも大いにあるため注意が必要です。

Case.2 ユニオンによる交渉の結果、和解をした例

  • 結果:会社が残業代分の精算を認め、本人が納得する金額での勝利的和解
  • 事案内容:ゲーム制作会社で宣伝業務を担当していた女性。月約70〜100時間の残業があったものの、裁量労働制の適応を主張され、残業代については支払いがなかった。女性はゲームの「開発業務」での裁量労働の適応とされていたが、実際に行っていたのは「体験イベントの実施、Webサイト・SNSの運用」業務。労基省の行政指導などを用いて。ユニオンが会社と交渉し、未払いの残業代分等の精算を認めさせた。

こちらの例も業務内容が注視されました。また本件に関しては労働ユニオンが介入し、未払い残業分を精算させています。

もちろんトラブルにならないことが一番ですが、基本的に裁量労働制の適用に関してのトラブルは、ユニオンや労基省の相談窓口、労働問題専門の弁護士などに相談に乗ってもらえます。

もしお悩みの方がいらっしゃったら是非相談してみてください。

管理システムの導入でスムーズな運用が可能に

管理システムをパソコンで操作する女性

裁量労働制では労働時間が自由に決められることもあり、労務管理や勤怠管理が煩雑になりがちです。また、疎かにすることで重大なリスクとなりうる危険性もはらんでいます。

労務管理システムや勤怠管理システムを活用すれば、これらの一元管理や自動化が可能になるので、管理の手間とコストが大きく削減できるでしょう。

労務管理システムの活用

裁量労働制をうまく機能させるには適切な労働管理が欠かせません。しかし変則的に労働に就く従業員が多数いる場合、管理業務が難しくなります。

労働管理に長けた管理職がいなければ、スキルを向上させるところから始める必要があるでしょう。限られた精鋭のみで運営するベンチャー企業などでは、手間暇かけて管理職を育成するコストが大きな負担になりかねません。

効率的かつ適正な労務管理に活用できるのが「労務管理システム」です。人事・労務で主に必要となる情報を一括管理できるため、煩雑な労働管理の助けとなるでしょう。

勤怠管理システムの活用

裁量労働制では勤怠管理システムの活用が効果的です。

勤怠管理システムとは、従業員の打刻データを集めて、時間外労働時間などを含んだ労働時間を自動で計算できるツールのこと。従業員それぞれの労働時間を一元管理・把握することで、裁量労働制の中でも従業員それぞれの勤務実態を適切に把握できます。

休日出勤や深夜労働などのイレギュラーな出勤時間でもシステム上で処理できるので、事務作業の手間やコストを大幅に削減可能です。

次の記事ではおすすめの勤怠管理システムを紹介しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。

関連記事:勤怠管理システムおすすめ46選!特徴や機能で徹底比較

裁量労働制で柔軟な働き方を

書類を確認する二人の女性

裁量労働制には業務の状況に合わせて変則的に働けるというメリットがあります。合理的であり労働者のモチベーション維持にも役立つ、時代に合った働き方の1つです。

ただし裁量労働制を名乗り、適正に運用していない会社があるのも事実です。労働力の搾取などの目的で運用している会社は、社会問題として取り沙汰されています。

労働者は裁量労働制を理解し自衛の策を、企業側は労務管理システムを活用しながら、自社の管理体制を整えましょう。

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